劇団劇場~Act In Rule~vol.4
劇団劇場製作委員会
Glad(東京都)
2011/09/04 (日) ~ 2011/09/04 (日)公演終了
満足度★★★
競い合い
8つの共通ルールの下で5団体が上演する対バン形式の公演でした。会場が渋谷のクラブでスタンディング・お酒ありだったので賑やかな雰囲気でした。周囲にラブホテルがたくさんある場所での公演ということでか、下ネタを含んだドタバタコメディ寄りの作品が多く、シリアスなものやアーティスティックなものも観てみたかったです。
劇団東京ペンギン『非番刑事道玄坂ノボル~戦慄の15分(クォーター)』
テロリスト達が国会議事堂と間違って渋谷のクラブを占拠するところから始まる作品で、観客を人質に見立てツイッターで「テロなう」とつぶやくように促したり、ルールの1つである「助けて」という台詞を客に言わせたり、テロリスト役の人の本当の母親に電話を掛けたりと、現実世界との繋がりを強調していたのが印象に残りました。
トレモロ『Ham!Ham?Hamlet!!』
音楽とダンスを用いて『ハムレット』を15分間に圧縮した作品。ステージ上手で音楽を操る演出家によって物語が進められていくように見せる演出の効果が感じられませんでした。絶えず音楽が流れていて、台詞がほとんど聞こえず、またタイミングに関わるルールが無視されているように感じました。今回唯一の笑いを取ろうとしていない劇団でしたがルールを上手く利用できていなくて残念でした。
あんかけフラミンゴ『駆け抜けてイタリアン初経』
解散寸前の劇団が性教育の授業風景を描いた作品を上演するという劇中劇構造を持ったドキュメンタリータッチの作品でした。月経の血をトマトの汁で表現し、終盤はスペインのトマト祭りのようにトマトを投げつけ合うカオスな展開でした。馬鹿馬鹿しく下品に徹した作風に潔さを感じました。作品の15分間以外の準備と撤収の時間もパフォーマンス的に扱われていて面白かったです。
□字ック『ワールド・ワールド・ワールド』
ラブホテルの女清掃員2人の変ながらも共感できる会話を描いた作品でした。ルールで決まっているスポットライトのみになる時間を停電シーンに充てたり、流れるピアノ曲をチャイムとして扱ったりと、ルールを自然に取り込みながら、女の飾らない心情を描いた脚本が見事でした。小野寺ずるさんのエキセントリックなキャラクターが魅力的でした。舞台袖(設定上は下のフロア)から聞こえてくる喘ぎ声も効果的でした。
はちみつシアター『月光ロック』
友人の結婚式に集まったAV女優に転身した元アイドルや怪しい宗教に嵌っている女医など駄目な感じの女達が実は昔セーラームーンのメンバーだったという荒唐無稽な物語でした。敢えてルールを話の中に取り込まず、異物としてメタ的に扱う反則技が楽しかったです。30歳を過ぎた女達の自虐的な破れかぶれな感じが印象的でした。
「ベルナルダ・アルバの家」
ウンプテンプ・カンパニー
シアターX(東京都)
2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了
満足度★★★★
重厚な芝居
その土地の因習・血筋に囚われて破滅していく家族を女優10人とミュージシャン2人によって描いた、まさに「演劇」といった正当派な作品で、多少の古臭さはありましたが、2時間半以上ある上演時間を長く感じさせない熱のある演技が魅力的でした。
父が亡くなり、厳格な母親の下で喪に服す5人姉妹の前に現れる1人の男の存在によって姉妹の間に嫉妬が渦巻き、悲惨な結末を向かえるという暗い物語ですが、同時に女達の強い生命力が感じられました。
新井純さんと坪井美香さんの演技が凄味がありながらも客観的な余裕も感じさせて素晴らしかったです。2人が会話するシーンは内容的には楽しくはないのですが、演技のバトルが楽しかったです。
ウンプテンプカンパニーの若い役者達も海外戯曲独特の言い回しを違和感なくこなしていましたが、ベテラン勢と比べると大仰さに説得力が伴っていなくて只のオーバーな演技になってしまってる場面が所々ありました。
演出は派手なことをしないオーソドックスなもので、本物の飲み物や水瓶を使っていてリアリティがありました。
気の触れた祖母の表現がアングラ的スタイルで、第1幕でポーズを決めるところや、第3幕でのモノローグ的な歌が作品全体のトーンから浮いているように感じられて残念でした。
天井から紗幕が吊り下げられ、ステージの上には大テーブルと椅子のみの舞台美術に対して劇場の元々の木製の壁の存在感が強すぎてビジュアル的な統一感が失われていたので、壁は黒い布で隠した方が良いと思いました。
ビブラフォンを中心にしたパーカッションとピアノの生演奏が主張し過ぎず、だからといって登場人物の感情にべったりな分かりやすい音楽でもない、絶妙なバランスを保っていて効果的でした。
女達の置かれた状況を象徴するような鳥かごの中の小鳥達も、良いタイミングでさえずりを聞かせる名脇役でした。
夏も
ロロ
SNAC(東京都)
2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了
満足度★★★★
夏の日の妄想
男と女の心が入れ替わるという映画やマンガで非常にありがちな設定の物語でした。最初はパロディ的なムードなのが次第に熱を帯びてエモーショナルなシーンに変貌するロロの特色が良く出ている作品で、シュールでキュートな独特の魅力に引き込まれました。
前半はサブカルを引用した小ネタで笑いを取るところが多く、軽い気持ちで観ていたのですが、後半は風変わりでカオス的ながらも感情が伝わってくるシーンが連発され、圧巻でした。
特にマイクを手に持ち相槌を打ち続ける女性がマイクをオフにしてモノローグを語るシーンに不思議な切なさがあって素晴らしかったです。最後の1人での対話のシーンも身体表現が印象的で美しかったです。
一般的な意味での上手い演技というわけではないのですが、狭い空間の中を駆け巡り、ちょっと下品なことにも体を張り、照明も自らの手で操作するエネルギッシュな役者達の姿が魅力的でした。
今回はビジュアル的な仕掛けを用いた見立て的な演出があまりなかったのが残念でした。
馬と妖精や、時折出てくる朗唱的台詞回しなど、シェイクスピアの『夏の夜の夢』にインスパイアされた作品に感じられました。今後、古典戯曲にも挑んで欲しいです。
ピグマリオン
アトリエ・ダンカン
あうるすぽっと(東京都)
2011/08/19 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了
満足度★★
主役が残念
イギリスの言語学者が下流階級の女性を上流階級の人であるように仕立て上げ、感情のすれ違いが起こるビターなシンデレラ・ストーリーでした。
この戯曲を基にして作られたミュージカルの名作『マイ・フェア・レディ』と比較すると(オードリー・ヘップバーン主演の映画版しか見たことがありませんが)、クオリティに疑問が残る公演でした。
具象的な舞台美術やしっかりと作り込まれた衣装が美しい、奇をてらわないオーソドックスな演出の会話劇でしたが、物語の中に織り込まれた階級制度や女性蔑視に対する視点をもう少し強調した方が立体感のある作品になったと思います。
転換時に流れるビートルズの曲は下流階級から上流階級へというストーリーに合致したコノテーションとして機能していて、巧い演出だと思いました。
主演の市川知宏さんは噛むことが多く、滑舌も良くなくて文節毎にクシャクシャと早口に喋っては間を空ける台詞回しが聞いていて不快でした。普通の若者の役ならまだしも、今回演じたヒギンズ教授は言語学の音声学における天才という設定なので、全然説得力がありませんでした。普段はもっと毅然としたイギリス紳士らしさがないと、最後の台詞も活きてこないと思います。せっかく他の役者達は充実した演技をしていたのに、そのアンサンブルを壊してしまっていて残念でした。
イライザを演じた高野志穂さんは粗野な花売り娘からエレガントな貴婦人に変化していく様を上手く演じていていました。華やかな世界の中で不安を感じている様子が表情や立ち振る舞いに丁寧に表現されていました。
浦嶋りんこさん、尾藤イサオさんのアカペラ独唱が見事でした。
トラディシオン/トライゾン
地点
シアタートラム(東京都)
2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了
満足度★★★
様々な断絶
ダンサーの山田せつ子さんと地点の俳優の安部聡子さんコラボレーションで、ジャン・ジュネの演劇論をテキストにしたパフォーマンスで言葉と身体について考えさせられる作品でした。
山田さん、地点のそれぞれの公演でははっきりとは分からないながらも何となく理解できるところがあるのですが、コラボレーションすることによって逆に理解し難い深い断絶が現れているように感じました。
素舞台の上にはダンサーと役者の2人と中国風の子供の像2体だけが存在し、照明も気付かないほど緩やかに変化し、テキストに出てくるモーツァルトのオペラの曲が客入れ時と最後に流れる以外は音楽なしの空虚な時間・空間の中に響く、独特なイントネーションと分節の台詞回しに心地良い緊張感がありました。
山田せつ子さんのダンスも派手さはありませんが、トラムの広い空間に負けない存在感があり、美しかったです。
安部さんと山田さんのパフォーマンスは直接的に絡むことがほとんどなく、一方が動いているとき、他方は静止したままという淡々とした展開が能の公演のように感じられました。
パフォーマンスの後に、監修の三浦基さんと翻訳・構成の宇野邦一さん(音や照明も三浦さんではなく宇野さんが決定したとのことです)、ゲストの鵜飼哲さんの3人による約1時間のトークがあり、舞台上で起きていた具体的な事象について言及しようとする鵜飼さん、宇野さんに対して、三浦さんが抽象的意味での「時間」や「影」というトピックに話を持って行こうとしていたのが、想像していたのと逆の展開で面白かったです。
いまいち話が噛み合っていないように思えましたが、普通とは異なる切り口でのトークで興味深かったです。
パフォーマンスもトークも難解で、単純に楽しめるものではありませんでしたが、色々と考えさせられる刺激的な公演でした。
半神
多摩美術大学映像演劇学科
多摩美術大学 上野毛キャンパス映像スタジオ(東京都)
2011/08/26 (金) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★★
エネルギッシュ
大学の授業の一環として行われた公演で、若いエネルギーの溢れる舞台でした。
神話の引用や野田さんらしい凝った言葉遊びを交えてシャム双生児の姉妹の葛藤が描かれ、笑いを狙った箇所には少々時代を感じるところがあるものの、とても面白い物語でした。
夢の遊眠社やNODA・MAPでの上演を観たことがないので、劇中劇の構造が元から脚本にあるのか演出上のアイディアなのか分かりませんが、学生の公演であることにとてもマッチしていて効果的でした。
演技に関しては客演の人たちは良かったのですが、学生の人たちは台詞が聞き取りにくかったり、表面的な役作りに見えるところがあり、まだまだこれからだと思いました。
最前列で観たのでそう感じたのかもしれませんが、全体的に声の音量をもう一段階落とした方が聞き取り易く、また叫ぶ場面が引き立つと思いました。
スタッフワークがしっかりしていて見応えがありました。
作品のキーワードの1つ「編む」をモチーフにした舞台美術が別のキーワード「海」を連想させる海草に見えて面白かったです。机や浴槽として使われるオブジェも良かったです。
LEDの照明器具を多く使った照明プランがシャープで多彩な色彩を演出していて美しかったです。
音響は音楽・効果音のセレクトも、音を入れるタイミングもあまり上手く行っていない感じがして残念でした。
パンフレットが充実した内容・エディトリアルデザインで、さすが美術大学だと思いました。
【千秋楽売り止め】かいじんぐるーのはなし【台本絶賛公開中】
アメウズメ
STスポット(神奈川県)
2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★
ニュータウンと学生運動
10年程前にあった事件に絡む人達が集まって公開ディスカッションをするという設定で、典型的なニュータウンの風景と小学生による学生運動を描いた作品でした。ポップな感じのタイトルやチラシのイメージに反してシリアスな雰囲気でした。
怪しいホームレスのおじさんの言葉と誰も見たことがない「かいじんぐるー」の存在によって子供たちが闇雲に革命を目指す姿が60年代の学生運動に重ね合わされていました。
舞台上で行われていることや台詞の内容は特に難しくなく分かり易いのですが、それを通じて何が言いたいのかがよく分かりませんでした。
現在の時間と過去の再現シーンをシームレスに接続し、瞬時に異なる人物に切り替わる手法は演劇ならではの表現で興味深かったのですが、演出や演技が力不足であまり効果が感じられませんでした。
ある公開ディスカッションの会場という設定なのに、客席がステージを挟んで両側にある配置であったり、出演者が全員裸足だったりと、設定を感じさせないような演出になっていた意図がよく分かりませんでした。
「石」と「意思」を掛けていたのですが、ただの言葉遊びに終わらせず、そこからもっと発展させて欲しかったです。
「エダニク」「サブウェイ」
真夏の極東フェスティバル
王子小劇場(東京都)
2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
スリリングな『エダニク』(真夏の會)
屠場の一室で繰り広げられる3人の議論が、小細工のない演出で描かれ、スリリングな会話に引き込まれて90分間があっという間でした。
気弱で現実主義的な沢村、情に厚い職人肌の玄田、チャラチャラしていながら時折感情的になる伊舞、とタイプの異なる3人の優劣関係が入れ替わりながら展開するのですが、どの人物も単純に共感できるような性格には描かれていないので、3人の関係の緊張感が最後まで持続していて物語に強い推進力がありました。
舞台上には登場しない人物も巧く話に取り込んでいて、物語に広がりが出ていました。
職業差別や命の尊さなどのトピックにも触れていましたが、そこに深入りして情に訴えたりはせず、所々にコミカルな場面を盛り込みつつ価値観の異なる労働者の関係性にフォーカスを合わせていたのが清々しかったです。
役者の声の大きさや間の取り方が絶妙で素晴らしかったです。特に時折見せる無関心なそぶりの表現が良かったです。
舞台の上には机と椅子と電話のみしかなく、照明の変化やBGMは転換のときだけしか使わないという必要最低限な道具立てでしたが、3人の会話のやりとりが面白く、全く飽きることがありませんでした。
今回合同企画をした極東退屈道場の様々な仕掛けが施された作品とは正反対のストレートなワンシチュエーションの会話劇で、対比が興味深かったです。
「エダニク」「サブウェイ」
真夏の極東フェスティバル
王子小劇場(東京都)
2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
重層的な『サブウェイ』(極東退屈道場))
重層的な物語構造を用いて、故郷を喪失し都市で地下鉄に乗る人々の孤立感が描かれた作品で、短編コント集のように見せかけながらも実は緻密に関連性を持たせている脚本が見事でした。基本的にはコミカルな雰囲気ですが、ところどころにゾクゾクさせる怖さがあり印象的でした。
地下鉄をテーマにしたドキュメンタリー映画の撮影という劇中劇的な構成で、曜日で分けられた各章ごとに1人ずつインタビューの体裁のモノローグがあり、同時に字幕で旧約聖書の『創世記』が表示され、直接は関係しないながらもかすかに関連しているような距離感が絶妙でした。
ベタなギャグからマニアックなネタまで様々なタイプの笑いを挟みながら、次第に社会的な視線を感じさせるシリアスな雰囲気に移行するかと思いきや、それまでの流れを打ち壊すような怒涛の急展開があり、タイトルの「サブウェイ」がとんでもない所に繋がり、唖然とさせられました。
クライマックスの後の終盤のシーンは再演に際して付け加えられたのことで、メディアのあり方が問われている最近の状況をシニカルに描いていて面白かったです。『創世記』の物語も終盤になって現実との繋がりが見えて来て興味深かったです。最後の観光ガイド風に話される台詞が素晴らしく、とても心に響きました。
役者8人は皆個性的でキャラが立っていてチャーミングでした。時折見せる冷徹な表情が怖くて良かったです。人情劇的な劇中劇のシーンでの大げさな臭い演技も楽しかったです。1人だけ他と異なる衣装で狂言回し的な役割を演じつつ、iPadを用いた字幕操作も担当していた中元志保さんの奔放な感じが素敵でした。
開演前の趣向(真夏の會のメンバーが出演)や、駅や車内のアナウンスに様々な台詞が被さるシーンなど、演出も新鮮で楽しかったです。演出とは別に同時並行的に作られたというダンスも効果的でした。
おそらくスノッブな感じにならないように敢えてそうしたのだと思いますが、脚本に対して演技や演出の精度が少々低く感じられる部分があり、勿体なく思いました。最後のシーンは映像と同期させてカッチリと見せて欲しかったです。
すごく笑えたり泣けたりする分かり易い内容ではないのですが、とても共感できる作品でした。次作もぜひ東京公演を行って欲しいです。
月下氷身
KARAS
セルリアンタワー能楽堂(東京都)
2011/08/24 (水) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★★
時代を越えて繋がる美学
能の名作『融』と、その詞章を採った同名の地歌の演奏に合わせて勅使川原さんが踊るダブルビルで、平安~室町~江戸~現代とそれぞれの時代の表現が連なった、興味深い公演でした。
『融』(世阿弥)
面と装束を着用しない、袴能の形式による上演で、ビジュアル的には地味な分、演者の細やかな動きに集中できました。前半はシテとワキの会話が中心的であまり動きがないので、両手を水平に広げたり、水桶に水を汲む仕草が印象に残りました。
中入り後の扇を用いての舞が美しく集中しつつも同時にまどろむという独特の心地良さが感じられました。
この演目は2週間前にも観たばかりで、一見個性を出さずに演じるように見える能でもやはり演者によってかなり違いがあって面白かったです。シテは日替わりなので、他の日も観てみたく思いました。
『水銀の月』(石川勾當作曲『融』、勅使川原三郎振付)
擦り足のゆっくりした歩みによる舞台への出捌けや、床を踏み鳴らすなど、能のボキャブラリーを取り入れつつ、勅使川原さんならではの重力の方向が変化するかのように見える滑らかな足捌きが印象的な作品でした。
モーツァルトやバッハ、あるいは電子音楽で踊るイメージが強いので、三味線・歌と箏の曲との組み合わせが新鮮でした。曲調に合わせて(といっても当然テンポや歌詞に合わせて踊るようなことはしていませんが)、早い動きや鋭角的な動きはほとんど使われていなかったので、少々単調に感じる所もありましたが、緊張感のある密度の高い30分間でした。
普段の能・狂言の公演では舞台上は常に均一に照らされ、客席も明かりを落とさないのですが、備え付けの照明だけでも片側からだけ照らしたり、客席の明るさを変化させたりして空間のを演出していたのが面白かったです。
東京タンゴ
マドモアゼル・シネマ
神楽坂セッションハウス(東京都)
2011/08/20 (土) ~ 2011/08/21 (日)公演終了
満足度★★★
童話的な朗らかさ
カエルの王様が発令した「ポワント条例」によって全員がポワントを履くことになった村の人々という童話的物語をユーモラスに描いた作品でした。
ポワントを履いて常に爪先立ちのため動作がギクシャクするのをコミカルに見せ、観客にポワント条例を続けるかどうか多数決を取り、晴れて廃止となって自由に踊り回るという分かりやすい筋立てでしたが、親しみ易さを演出しようとするあまり、必要以上にウケ狙いのベタな動きや台詞が盛り込まれている感じがしました。
マドモアゼル・シネマのメンバーのダンスは悪くはないのですが、ちょっとモサモサした感じがあり、あまり印象に残りませんでした。
ゲスト出演のジャン・ローラン・サスポーテスさんは、シルクハットを被ってゆったりと粋な感じ踊る姿がダンディーで、彼が所属していた故ピナ・バウシュのヴッパタール舞踊団の作品を彷彿させる雰囲気がありました。特に両手を恋人に見立てて椅子に座ったまま手だけで踊るシーンが美しかったです。
吾妻橋ダンスクロッシング2011
吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会
アサヒ・アートスクエア(東京都)
2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了
満足度★★★
玉石混交ながらも刺激的
「ダンス」と銘打ちながらも一般的な意味でのダンス作品は1組だけで、癖のある先鋭的パフォーマンスのショーケース的イベントでした。完成度の差が激しく、全てが良かったとは言い難いのですが、様々なタイプの表現を一度に観ることが出来る良い機会でした。
康本雅子『絶交』
男女の関係をコミカルかつちょっとエロティックに描いたデュオ作品。日常的な動作を反復しながら増幅する振付が主体で、康本さんの立ち姿の美しさと動きのキレの良さが印象に残りました。途中でダンサーが停止して、スタッフが衣装替えや掃除をする時間があったり、パフォーマンスが続く中で撤収作業が始まるのが面白かったです。
Line京急『トゥシャイシャイボーイ』
チェルフィッチュの山懸さんとミュージシャンの大谷さん、台詞を話さない水着の女性によるパフォーマンスで、主体の不一致やドキュメンタリー的映像、リルタイム映像による表情のアップ、韻を踏んだラップ的な台詞など現代的なイディオムを用いながらもユルユルな雰囲気でした。
ボクデス&家族『パンダンス』
小浜さんの実際の家族がパンダに扮して繰り広げられる脱力パフォーマンスでした。4月に品川の楽間で上演したものとほぼ同じでしたが、今回は小浜さんのご両親も出演していて、ほのぼのとしたシュールさが漂っていました。キュートなお子さんが美味しいところを全て持って行っていました。
三浦康嗣『合唱曲 スカイツリー』
ピアノと2台のギターの伴奏による混声合唱曲で、道路の環状線&放射線の「放射線」と放射能の「放射線」や、スカイツリーと子供の成長を重ね合わせた歌詞が良かったです。途中に単語を羅列するラップや日常会話的な芝居の部分もあり、三浦さんが音楽を担当した、ままごとの『わが星』を思わせる雰囲気がありました。
悪魔のしるし『ポ食』
オーストラリア人アーティストによる捕鯨反対のスピーチに続き、朱鷺の保護を訴えるスピーチ、そして同様の論理展開で芸術の保護を訴えるスピーチが続くシニカルな作品でした。鯨を食べる代わりにポテトチップスを食べれば良いとのことで、ポテトチップスの空き袋を繋ぎ合わせた巨大なオブジェが人を飲み込むのがユーモラスでした。
core of bells『プレシャスハイム3丁目』
ハードコアチューン『ゲス番長のテーマ』の演奏を前後のMCも含めて何度も繰り返し、繰り返す度にヴォーカルが倒れ、楽器の音が出なくなり、照明も暗くなって行き、他の作品の出演者たちが「聞こえない」「帰れ」、「つまんねー」等と野次を飛ばす展開がハチャメチャで面白かったです。舞台芸術における再現性について、笑いながら考えさせられる刺激的なパフォーマンスでした。
大谷能生×吉田アミ『Duo Improvisation』
通常の奏法をほとんど使わない大谷さんのサックスと、超音波やノイズのような吉田さんのヴォイスによる微細な音響の即興演奏でした。物音一つ立てられないような緊張感が気持ち良かったです。一部では何かのテキストを読んでいるようでしたが、音の響きに解体されていて内容は待ったく分かりませんでした。
地点『his master's voice』
大日本帝国憲法や玉音放送など、天皇にまつわるテキストを5人の俳優がステージ後方でほとんど動かずに地点ならではの独特の台詞回しで語る作品で、音楽的にも聞こえる声の存在感が強烈でした。唯一の小道具であるスイカに関連して台詞の合間にスイカの種を飛ばす音が断続的に挿入され、不思議な効果を出していました。「his master's voice」という言葉を極端なビブラートをかけながら『君が代』のメロディーで歌うシーンが印象的でした。
遠藤一郎『三日月』
ダンボール箱を積み上げたオブジェの前でお面を付け藁を身に纏って舞うパフォーマンスでした。終盤に割られるくす玉から出て来る垂れ幕に書かれた「本気で行けば最強」という文や、小さく畳まれた布(紙?)に書かれた「REVOLUTION」という単語からポジティブさを感じました。ASKAの曲や、観客を巻き込むパフォーマンスが本気なのか笑いを狙っているのか曖昧で、空回り感がありました。
LIGHT Part 18 「二つの麦畑」
ケイタケイ
スタジオ・ムービングアース(東京都)
2011/08/19 (金) ~ 2011/08/24 (水)公演終了
満足度★★
労働と儀式
1983年にニューヨークで初演した作品の改訂再演とのことで、農作業や土着的な儀式のような表現を通じて、コミュニケーションの始まりや断絶を思わせる内容でした。
1人の男が積み重ねられた布を藁を束ねた箒のようなもので払って筒状に巻いて紐で縛る作業を繰り返し、ダンサー達がそれを背負って動き回り、お互い布や木の枝を交換するようになり、共同性の発生を描いているようでした。
1人だけ舞台の周囲に竹で囲いを作る作業を続け他の人達と距離を取っている者も後半では他の人達と同じように巻いた布を背負って全員で苗を植えるかのように舞台上に並べていくのですが、並び終えた途端に争いが起き、全て蹴散らかされてグチャグチャになってしまうのが人間の集団の不安定性を写し出していて印象的でした。
ダイナミックな動きはあまりなく、労働における動作を儀式化したような重心の低いゆったりとした動きがメインで、キビキビと躍動する身体を観る快楽性を感じられませんでした。
作品の内容的に、きっちりしたフォルムやムーブメントではなく、ダンサーそれぞれの個性を見せる意図は分かりますが、一糸乱れぬ緊張感のあるダンスのシーンを入れた方が構成にメリハリが出ると思いました。
Nazca -ナスカ-
劇団銀石
吉祥寺シアター(東京都)
2011/08/18 (木) ~ 2011/08/21 (日)公演終了
満足度★★
世界観に入り込めませんでした。
吉祥寺シアターの広い空間を使って、蝉と戦争とナスカの地上絵を絡めたロマンティックな物語が描かれていました。
天文学、少年文学、ナチス、零戦など様々なソースからの引用がありましたが、モチーフが多過ぎて焦点が定まっていないように感じました。もう少し絞ってシンプルにテーマを浮き立たせた方が良いと思いました。
大声、早口、間のない会話と、個人的に苦手なスタイルの台詞の扱いで、ハイテンションなトーンが続き、疲れました。子供向けの演劇のような台詞に合わせた動きもオーバーアクションで、そこにメタ的な意図も感じられず、野暮に感じました。
何人かの役者はちゃんとした基礎がある感じでしたので、ナチュラルでシリアスな演技を観てみたく思いました。
ピアノの生演奏に続いての、映像と大仕掛けな美術を駆使した冒頭シーンはスケールが大きく、素晴らしかったです。それ以降のシーンではビジュアル的に魅力が感じられるところがなく、残念でした。
舞台の一番奥まで使い、さらにキャットウォークや奈落まで演技エリアとしていて、空間に広がりがあって良かったです。
増殖にんげん
ぬいぐるみハンター
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/08/16 (火) ~ 2011/08/21 (日)公演終了
満足度★★★
おとこ版を鑑賞
2010年2月に初演を行った作品の再演とのことで、最近のぬいぐるみハンターのファンタジックでファンシーな作風とは異なる、比較的現実的な雰囲気でちょっと駄目な人達を描いていたのが新鮮でした。
マイナーなアイドルのスコッティー・ネピアを追い掛けるオタク男子たち6人をハイテンションに描き、終盤は少し温かみを感じさせる物語でした。
客と役者のエリアを区切らず、会話を2つのエリアで同時に進行させたり、客を巻き込んだりと少々実験的な趣向を盛り込みながらも、小難しい方向には行かず、単純に楽しめる作品でした。
シーンの切り替わりを表すハンドクラッピングと動きの使い方がテレビやラジオ番組のジングルのような効果を出していて、スムーズに展開して行くのが小気味良かったです。立ち見について言及するメタな自虐ギャグがさりげなく織り込まれていて笑えました。
狭い空間なので声が響き過ぎて、1つのグループに集中しようとしても台詞が聞き取り辛いところがあったのが残念です。
範宙遊泳の宇宙冒険記3D
範宙遊泳
新宿眼科画廊(東京都)
2011/08/13 (土) ~ 2011/08/17 (水)公演終了
満足度★★
RPG的世界
新宿眼科画廊の地下スペースのこけら落とし公演ですが、敢えてオープニングの華々しさを排したような、シンプル設えでの男3人芝居でした。
コンビニバイトの青年が初期のテレビゲームのロールプレイングゲーム的な世界に迷い込み、自己のアイデンティティについて考える物語でした。死んでもセーブしたところから何度でもやり直せる世界と現実の1回限りの人生を対比して表現した作品と解釈しましたが、作りが荒くてテーマよりも小ネタや特異なキャラクターばかりが表に出て来ているように感じました。
範宙遊泳の作品は客席や劇場の外部空間を物語の中に取り込んで、演劇という形式を相対化するギミック感溢れる演出が魅力的なのですが、今回はそのような趣向がなくて残念に思いました。
もうひとつの魅力である、シニカルな視線を感じさせる、作り物感満載のキャラクターの造形は今回もしっかり感じられました。
長手面の壁の片側が一面鏡張りになっているのを隠さずにそのまま使っていましたが、特に鏡を活かした演出がなかったのが勿体なく思いました。
杉本文楽 曾根崎心中
公益財団法人小田原文化財団
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2011/08/14 (日) ~ 2011/08/16 (火)公演終了
満足度★★★★
表現力豊かなシンプルさ
写真作品をメインに現代アートのシーンで活躍する杉本博司さんが古典芸能、しかも新作・新演出が作られる機会が比較的多い歌舞伎や能、狂言ではなく、文楽の演出を手掛けるということで興味深い公演でした。
文楽は数回しか観たことがないので、オーソドックスな演出とどう異なるのかを楽しむことはできませんでしたが、ビジュアル表現に対してのこだわりが強く感じられました。
打楽器と読経の音を背景に、暗闇の中でスポットライトの当てられた三味線と胡弓のデュオによる「プロローグ」で始まり、「観音廻り」では舞台のかなり奥から手前の花道まで川のように細長く照らされたエリアで、通常はメインの役の人形は3人で操るところを桐竹勘十郎さん1人で操っていてシンプルな佇まいが印象的でした。両サイドには事前撮りの人形の顔のアップでの映像が映し出されていたのも効果的でした。
「生玉社の段」では中央に白い鳥居が設置されていましたが、他のシーンに比べてビジュアル的にインパクトを感じませんでした。竹本津駒大夫さんの義太夫は言葉が聞き安くかつ各登場人物の演じ分けが見事で素晴らしかったです。
「天満屋の段」は手前上手に店の入り口の引き戸、中央に階段状のセット、奥の上空には赤が鮮やかな大きな暖簾でスタイリッシュな空間構成でした。全体的にシリアスなトーンの中、とぼけた感じのコミカルなシーンがあり楽しかったです。
最後の段「道行」は徳兵衛とお初のやりとりが切なく、人形の動きの中に人間以上の情感が現れていて、美しかったです。後半は「観音廻り」と同じ照明で、「観音廻り」で宙を舞う蝶に対応して人魂が浮くなど、シーンが関連付けられていていました。
基本的に抽象的な真っ暗な空間の中、人形にスポットライトが当たる演出で、人の手を離れて自分で動いているかのように見えて引き込まれました。人形の衣装はエルメスのスカーフを使って作られたとのことで、鮮やかな彩りが綺麗でした。
役柄の台詞と動きとの関係性に現代演劇の手法に通じるところがあって、興味深かったです。
大きなものを破壊命令
ニッポンの河川
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/08/10 (水) ~ 2011/08/14 (日)公演終了
満足度★★★
4人の女優の演技と操作を楽しむ
4人の女優が演技だけでなく照明や音響も操作するという独特なスタイルでハチャメチャな物語をコミカルに描く作品でした。後に残るものはありませんが、女優4人の演技に笑える部分が沢山あって楽しかったです。
熊谷の珍走団の頭、かんばやしまもる(14歳)と首絞めジャックの闘いの物語と、軍を脱走しジャングルの中を進む4姉妹の物語が入れ替わりながら展開しますが、巧みに絡み合うということもなく、ストーリーの流れを楽しむというよりかは、それぞれのシーンの馬鹿馬鹿しさを楽しむタイプの作りでした。
照明は床に設置されたスイッチで操作し、音響は左腕に装着したカセットプレーヤーとスピーカーから流し、違う音を出すときはテープを入れ換えるというアナログな手法が楽しかったです。舞台の3隅に特に劇の内容とは関係のない自転車が吊るされていて、最後のシーンで手でサドルを回し、回転する車輪のスポークに仕込まれた照明で花火を表現していたのが素敵でした。
中央の演技スペースを客席が4方から囲む配置でどの席でも役者との距離が近く臨場感があり、馬鹿馬鹿しいことを真面目に演じている本人達も楽しんでやっているのが伝わってきました。
インド人の風習をネタにしたところはシニカルなブラックジョークになっていればまだ良いのですが、ただ単純に馬鹿にしているだけに見えて、印象が悪かったです。
「熊」 「附子」
森崎事務所M&Oplays
国立能楽堂(東京都)
2011/08/11 (木) ~ 2011/08/12 (金)公演終了
満足度★★★
チェーホフと狂言の親和性
チェーホフの短編を狂言の様式に翻案した新作と定番を茂山家の若手役者が演じ、敷居の高さを感じさせない親しみやすい雰囲気の公演でした。
『熊』(原作:チェーホフ)
登場人物の名前と文体が狂言の様式になってはいますが、台詞は概ね原作通りでした。意外と違和感がなく自然な話の流れになっていたと思います。特に貸した金を取り立てに来た男が水や酒を家の従僕(太郎冠者)に要求する下りは、狂言作品によく見られる同じ行動の繰り返しで笑わせる手法に重ね合わされていて、興味深かったです。
終盤でのピストルでの決闘シーンは武器を刀や弓に置き換えるのかと思いきや「ピストル」という単語をそのまま使い、出てきたのは昔ながらの竹製の水鉄砲、しかもそれを見た男が「スミス・ウェッソン製の立派なものですな」と原作通りの固有名詞が含まれた台詞で畳み掛けて、とても笑えました。
原作にはない、従僕の後口上りで締めたのも程良く様式感が演出されていて洒落ていました。
太郎冠者を演じた茂山宗彦さんの台詞を本当に忘れたのか演技なのか分からないようなスリリングな老人っぷりが楽しかったです。
『附子』
有名すぎて逆にあまり観る機会がなく、久々に観た演目ですが、前半の何度も繰り返される動作と、後半のとんち話的な展開がやはり小気味良かったです。
次郎冠者を演じた逸平さんのとても小心そうな振る舞いがチャーミングでした。太郎冠者・次郎冠者ともにこやかな表情で演じていたのが印象的でしたが、個人的にはもっと真面目な表情で馬鹿馬鹿しいことをしているタイプの演技の方が面白くなりそうだと思いました。
タカセの夢
SPAC・静岡県舞台芸術センター
シアタートラム(東京都)
2011/08/10 (水) ~ 2011/08/11 (木)公演終了
満足度★★★
ユートピア的世界
静岡の中高生10人(観た日は1人が体調不良のため9人)がカメルーン出身でフランスで活動している振付家・ダンサーのメルラン・ニヤカムさんの演出・振付で踊る作品で、子供たちの希望がポジティブに描写されていました。
唯一の男性ダンサー、高瀬君が見た、女の子にモテるという夢をきっかけに人間や自然との調和のイメージを連ねた構成でした。冷たい現実世界や、過去を懐かしむだけでなくさらに活動的に生きようとする年老いた姿などがスタイッリッシュな映像や、クラシックとアフリカ音楽のコラージュ的な音楽、遊び歌、そして沢山の台詞を用いながら明るい雰囲気で描かれていました。
伝えたいメッセージは素晴らしいと思いますが、その伝え方があまりに物事を単純化し過ぎているように感じられて、あまり共感できませんでした。大人が期待する「純粋な心を持った子供」像を子供に押し付けているみたいで違和感を持ちました。
物語的要素についてはあまり楽しめなかったのですが、純粋な身体運動として見たときの振付や、美術・照明・映像などのテクニカルな部分はクオリティが高くて楽しめました。
アフリカの民族舞踊的な力強く時には軽やかなステップを多く取り入れたキビキビとした振付が新鮮で、それに応えたダンサーたちの躍動感溢れるユニゾンの群舞が見ていて気持良かったです。大人でも子供でもない思春期のエネルギーに満ちた身体性がはっきりと感じられました。大きめの劇場では珍しい、床も含めて真っ白な空間に色彩豊かな衣装が映えていました。
急遽1人が出演できなくなり、おそらく関係するシーンなどを組み立て直すために開場時間はかなり押しましたが、半日で変更に対応できる臨機応変さにまだ若いダンサー達の将来性を感じました。