満足度★★★★
夏の日の妄想
男と女の心が入れ替わるという映画やマンガで非常にありがちな設定の物語でした。最初はパロディ的なムードなのが次第に熱を帯びてエモーショナルなシーンに変貌するロロの特色が良く出ている作品で、シュールでキュートな独特の魅力に引き込まれました。
前半はサブカルを引用した小ネタで笑いを取るところが多く、軽い気持ちで観ていたのですが、後半は風変わりでカオス的ながらも感情が伝わってくるシーンが連発され、圧巻でした。
特にマイクを手に持ち相槌を打ち続ける女性がマイクをオフにしてモノローグを語るシーンに不思議な切なさがあって素晴らしかったです。最後の1人での対話のシーンも身体表現が印象的で美しかったです。
一般的な意味での上手い演技というわけではないのですが、狭い空間の中を駆け巡り、ちょっと下品なことにも体を張り、照明も自らの手で操作するエネルギッシュな役者達の姿が魅力的でした。
今回はビジュアル的な仕掛けを用いた見立て的な演出があまりなかったのが残念でした。
馬と妖精や、時折出てくる朗唱的台詞回しなど、シェイクスピアの『夏の夜の夢』にインスパイアされた作品に感じられました。今後、古典戯曲にも挑んで欲しいです。