月下氷身 公演情報 KARAS「月下氷身」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    時代を越えて繋がる美学
    能の名作『融』と、その詞章を採った同名の地歌の演奏に合わせて勅使川原さんが踊るダブルビルで、平安~室町~江戸~現代とそれぞれの時代の表現が連なった、興味深い公演でした。

    『融』(世阿弥)
    面と装束を着用しない、袴能の形式による上演で、ビジュアル的には地味な分、演者の細やかな動きに集中できました。前半はシテとワキの会話が中心的であまり動きがないので、両手を水平に広げたり、水桶に水を汲む仕草が印象に残りました。
    中入り後の扇を用いての舞が美しく集中しつつも同時にまどろむという独特の心地良さが感じられました。

    この演目は2週間前にも観たばかりで、一見個性を出さずに演じるように見える能でもやはり演者によってかなり違いがあって面白かったです。シテは日替わりなので、他の日も観てみたく思いました。


    『水銀の月』(石川勾當作曲『融』、勅使川原三郎振付)
    擦り足のゆっくりした歩みによる舞台への出捌けや、床を踏み鳴らすなど、能のボキャブラリーを取り入れつつ、勅使川原さんならではの重力の方向が変化するかのように見える滑らかな足捌きが印象的な作品でした。
    モーツァルトやバッハ、あるいは電子音楽で踊るイメージが強いので、三味線・歌と箏の曲との組み合わせが新鮮でした。曲調に合わせて(といっても当然テンポや歌詞に合わせて踊るようなことはしていませんが)、早い動きや鋭角的な動きはほとんど使われていなかったので、少々単調に感じる所もありましたが、緊張感のある密度の高い30分間でした。

    普段の能・狂言の公演では舞台上は常に均一に照らされ、客席も明かりを落とさないのですが、備え付けの照明だけでも片側からだけ照らしたり、客席の明るさを変化させたりして空間のを演出していたのが面白かったです。

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    2011/08/24 23:35

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