満足度★★
RPG的世界
新宿眼科画廊の地下スペースのこけら落とし公演ですが、敢えてオープニングの華々しさを排したような、シンプル設えでの男3人芝居でした。
コンビニバイトの青年が初期のテレビゲームのロールプレイングゲーム的な世界に迷い込み、自己のアイデンティティについて考える物語でした。死んでもセーブしたところから何度でもやり直せる世界と現実の1回限りの人生を対比して表現した作品と解釈しましたが、作りが荒くてテーマよりも小ネタや特異なキャラクターばかりが表に出て来ているように感じました。
範宙遊泳の作品は客席や劇場の外部空間を物語の中に取り込んで、演劇という形式を相対化するギミック感溢れる演出が魅力的なのですが、今回はそのような趣向がなくて残念に思いました。
もうひとつの魅力である、シニカルな視線を感じさせる、作り物感満載のキャラクターの造形は今回もしっかり感じられました。
長手面の壁の片側が一面鏡張りになっているのを隠さずにそのまま使っていましたが、特に鏡を活かした演出がなかったのが勿体なく思いました。