第一次審査(ネット審査)結果発表!
地域別エントリー状況
審査のポイント
審査員がそれぞれに10作品を推薦し、1作品につき1票ずつ合計10票を投じました。票の入った作品について議論を重ね、10作品を決定しました。
一時的に膠着状態になるほど審議は難航しましたが、さまざまな角度から団体、作品、応募内容等について話し合った末、審査員全員が納得のいく結論を導き出すことができました。
鈴木 | ①自分たちの活動を、客観的かつオリジナルな言葉で表現しているか。②スポンサードの対象となる次回公演の内容や企画の方向性がきちんと示されているか。③こりっちの機能を活用し、十分な情報提供をしているか。以上3項目を中心に選考しました。今回の応募書類では、ロングランや地方公演など、観客のアクセシビリティ向上への関心の高さが目立ちました。とはいえ、こうした課題設定には必ず、それぞれのカンパニーの個性、表現の力が前提とされているはず。アートとは、オリジナリティーとは何か。通過した10団体は、その問いを自ら繰り返す強さとしなやかさを感じさせてくれました。 |
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高野 | 提出された文章類、CoRich舞台芸術!の「観てきた!」クチコミを含めた団体の実績、スポンサード公演候補である次回公演などを重視しました。最終審査に進んだ10作品は多くの観客の目に触れることになります。応募数の増加と比例して、人気、実力ともに申し分のない団体からの応募が増えてきたことを嬉しく思います。美術、照明、音響、衣裳、制作などのスタッフワークも含めた総合力を見たいので、上演会場も考慮に入れました。 |
手塚 | 「CoRich舞台芸術まつり!2012春」に多数の応募ありがとうございました。おかげさまで過去最高の応募数となりました。最終選考に残したい団体があまりに多く、審査は議論白熱、こちらも過去最高の時間がかかりました。 私は、過去何作品かのCoRich舞台芸術!上での評判、CoRich舞台芸術!の利用状況、そして企画書のビジョンを総合判断して審査をさせてもらいました。 |
藤原 | まずはエントリーの文章、続いてウェブサイトや動画等から、そのカンパニーの現在の視野や体力を推し量り、さらにはダサくないセンス、そして情熱、思想、謎めいた魅力の有無で判断しました。今回の公演でやりたい狙いが書かれているかどうかも大事なポイントです。やはり何らかの方法で世界をつかまえようとするところに、そのカンパニーならではの「声」が現れる。これは見過ごせないな、と思える魅力的な声の持ち主を最後まで推しました。 |
山口 | エントリーの文章を重視しました。自分たちの団体を客観的に捉え、的確に言葉で説明し、伝えることができているかどうか、そして今後も演劇活動を継続していくための将来のビジョンを明確に持っているかどうかを吟味しました。その上で過去の公演内容やHPを見させていただき、自己プロデュースができているかどうかをチェックしました。 以上のポイントを踏まえ、さらにCoRichでの過去公演の口コミなども参考にしながら、グランプリの賞金100万円で飛躍が期待できそうな団体を選びました。CoRichならではの審査結果になったと思います。 |
それでは10作品の発表です!
※公演初日順。
ひょっとこ乱舞(東京都)
今回の公演はひょっとこ乱舞最終公演と銘打たれています。解散ではなく、あらたにアマヤドリという名前で再生することが決まっているそうです。しかし、ひょっとこ乱舞という団体が無くなるのは事実。今回の公演はそういった意味でひょっとこ乱舞の最終章に相応しい記念碑的作品を創ってくれるだろうと期待しています。
(手塚宏二)
(手塚宏二)
FUKAIPRODUCE羽衣(東京都)
口元からポロポロとこぼれ落ちた「こころ」を拾い集め、声や身体を通し、「詩の首飾り」をつくる――。どんな下ネタを扱っても、愛と詩情を忘れない羽衣は、今どき珍しい演劇純情乙女です。応募の文章には、その真心がたっぷり詰まっていたと思います。“お祝いJAPAN tour”の実現に向けて、全身でぶつかってこい!!……って、まぁ、言われる までもないでしょうが。
(鈴木理映子)
(鈴木理映子)
DULL-COLORED POP(東京都)
1年あまりの活動休止期間を経て、DULL-COLORED POPはひとまわりもふたまわりも大きくなったように感じます。また主宰谷賢一は個人としてもこの一年、さまざまな活動をし、急成長した演劇人のひとりです。その新生ダルカラが今回は6都市7会場を回る巡業公演を行うそうです。常に演劇界に新しい風を吹かせるダルカラ。この巡業公演でどんな旋風を演劇界に巻き起こしてくれるのか、楽しみでなりません。
(手塚宏二)
(手塚宏二)
子供鉅人(大阪府)
昨夏、噂を聞いて大阪まで『バーニングスキン』を観に行った。舞台美術、空間設計、物語のモチーフなど、ただならぬセンス。複層的な時空間の舞台でキャラクターたちが変幻自在にメタモルフォーゼしていく様は、幻想的でありながらも力強い。すでに海外ツアーも経験している彼らですが、今回でさらに飛躍し、「子供鉅人と聞けば泣く子も黙る!」と言われますようにと期待します。益山兄弟の弟・寛司の妖しい動きにも注目。
(藤原ちから)
(藤原ちから)
tsumazuki no ishi(東京都)
SF的なありえない設定、展開がむしろ、社会の矛盾や亀裂を鮮やかに見せる。tsumazuki no ishiの芝居には「ファンタジー」を通して「リアル」を提示する、演劇人としての骨太な気概を感じます。「命の重みを敢えて軽視した」という新作が、私たちの目の前にどんな風景を立ち上げるのか。単なる予定調和でも露悪でもない、「ソレ」としかいいようのないものとの、眼の覚めるような対面を心待ちにしています。
(鈴木理映子)
(鈴木理映子)
空想組曲(東京都)
空想組曲のダーク・ファンタジーはCoRich舞台芸術!でも毎公演、評判を呼んでいます。作・演出のほさかようさん、お一人だけのプロデュース・ユニットですが、美術や照明などのスタッフワークを含む総合的な完成度がコンスタントに高く、「2年内に400人規模の大劇場への進出」という将来のビジョンには現実感がともないます。一昨年に拝見し、友達を誘ってもう一度観に行きたくなった「組曲『空想』」の第2弾となる、7月公演「組曲『回廊』」にも惹かれました。
(高野しのぶ)
(高野しのぶ)
北京蝶々(東京都)
これまで複数回「CoRich舞台芸術まつり!」にエントリーし、そのたびに健闘してきた北京蝶々。定期的に活動を続けていて、すでに小劇場界では若手と呼べない安定感ですが、昨年は演出家を外部から迎えるという斬新なスタイルで観客を驚かせてくれました。今回は≪北京蝶々×ぬいぐるみハンター≫、もう観客がワクワクしてしまうしかない顔合わせ! 北京蝶々を池亀さんがどう調理してみせるのか、期待しています。
(山口由佳子)
(山口由佳子)
範宙遊泳(東京都)
観客の期待を飄々とかわし、つかみどころがないように見せかけて、確実に何かを残す。私の思う範宙遊泳の印象です。しかし今回の応募作品のタイトルと内容は、どちらかと言えば直球! 並々ならぬ気合いを感じます。また、範宙遊泳は脚本、演出、役者、制作…、総合的にとてもバランスが良い劇団だと思います。バランスの良さは強みであり、集団が大きく飛躍する原動力にもなります。今後の飛躍を期待させる公演、見逃す訳にはいかないでしょう。
(山口由佳子)
(山口由佳子)
バナナ学園純情乙女組(東京都)
2011年は「20年安泰。」やF/T公募プログラムに選出されるなど、大ブレークを果たした彼女たち。制服を身にまとった地下アイドル風の装いで颯爽と登場し、現代ニッポンオタクカルチャーの熱狂と虚無感を鋭く切り取ってみせた。今回は恒例のおはぎライブを脱ぎ捨て(やらないってこと?)、「狂騒的演劇体験」を築くそうです。きっとこれは主宰・二階堂瞳子の闘争センスを証明する絶好のチャンス。革命は終わらない。
(藤原ちから)
(藤原ちから)
intro(北海道)
畑澤聖悟さん(渡辺源四郎商店)の助言を得て3月に発表される『言祝ぎ』の姉妹作として、出演者を増やし、脚本も改訂して上演される『ことほぐ』。秋にはこまばアゴラ劇場サマーフェスティバル<汎-PAN-2012>でも上演されます。長期間かけて進化、熟成されるチャンスを得た幸福な作品に出会えそうです。「CoRich舞台芸術まつり!」始まって以来初の、札幌での審査となりました。期待を胸に伺います。
(高野しのぶ)
(高野しのぶ)
以上の10作品です! 次の最終審査では、審査員が実際に公演を観にいきます。
「あと一歩!」だった作品
最後まで候補に残っていた、大変惜しかった7作品です。
“審査員注目の作品”として公表させていただきます。※初日順
「おかえりなさいⅡ」 | うさぎストライプ(東京都) |
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「ワラ」 | 空(utsubo)(東京都) |
「ローザ」 | 時間堂(東京都) |
「「限定解除、今は何も語れない」 +「あと少し待って」」 |
A級MissingLink+三角フラスコ(宮城県) |
「ウェディング、ラン!」 | 8割世界(東京都) |
「方丈の海」 | TheatreGroup“OCT/PASS”(宮城県) |
「ツレがウヨになりまして」 | 笑の内閣(京都府) |