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団体所在地 応募数 割合
東京都 36 70.59%
大阪府 4 7.84%
北海道 2 3.92%
愛知県 2 3.92%
京都府 2 3.92%
愛媛県 2 3.92%
埼玉県 1 1.96%
神奈川県 1 1.96%
奈良県 1 1.96%
計51団体

審査員がそれぞれに10作品を推薦し、1作品につき1票ずつ票を投じました。票の入った作品について約3時間45分に渡って議論を重ね、10作品を決定しました。

丘田
例年に比べて応募数こそ少なかったですが、続くコロナ禍で見通しが立てにくい状況にも関わらず、51もの団体からご応募いただけたことがまずとても嬉しかったです。劇場に通ういち観客としても、その意欲に励まされるような心持ちでした。名乗りを上げてくださった方々にこの場を借りて感謝を申し上げます。

審査会で推薦する10作品を選出するに至り、まず、応募書類の心に留まった文言にマーカーを入れました。その後、一つ一つ団体のHPやSNSも見させていただき、カラーやビジョンを紐解く作業を加えました。CoRichの特色であるアクセス数やクチコミなどの観客からの声や期待度も団体の魅力を把握する上で参考の一つにしました。
それらの作業と審査会での議論を通して、私が重視したことは次の2点です。

① 団体紹介・公演の意気込み・将来のビジョンの3点が齟齬なく、連動していること

3点のそれぞれが団体の「これまで」、「今」、「これから」であると捉え、経歴ではなく経緯としてどういった活動をしてきたか、今なぜその作品を上演するのか、どのような形で表現を続け、それぞれの日々に接続していきたいかが明確に示されていることを重視しました。

② 活動に継続性が感じられること

継続性と一口に言っても何を基準にその高低を測るか、ですが、「これから」について綴る文言が抽象的な表現に留まらず具体性があったことは一つのポイントになりました。例えば、団体の在り方を綴られていた場合、メンバーが別の地域に住んでいたとしても、どういう拠点を据え、どんな形で活動を展開していきたいかが明記されていた際は具体性があると判断しました。ハラスメントに言及されていた場合、創作環境をどう整え、どういったアプローチをすることで現場の風通しをよくしようとされているか、その点が詳しく書かれているかを見ました。社会との接続を掲げられていた場合、どこで、どんな人と、どのような形で演劇と社会を結びつけたいか、そのイメージが明確であることを重視しました。

審査会において印象的だったことは、最初の投票が例年よりバラけていたことです。これは、それだけ多様な団体や作品がその持ち味を伝え、同時に審査員も多様な目線で審査に臨めたということであり、私個人としては良い審査の形であったのではないかと思っています。そこから侃侃諤諤、10作品を決定させていただきました。

長々綴らせていただきましたが、透明度高くお伝えしたいという思いから、推薦や審査を通じて感じたことを書きました。
最後に、審査員という立場であると同時に私も観客の一人です。今回の応募をきっかけに初めて知ることができた団体も多く、来る上演を想像してわくわくするようなときめきも覚えました。願わくはその全ての公演が無事開幕し、そして完走を遂げられるよう心待ちにしています。
前回審査員を務めたことでCoRich舞台芸術まつり!の傾向と方向性を理解できたため、個人的に選考基準をやや変更した方が良いと判断した。その為、今年は「広報」はそのままにするとして、その他に「動機、目的、目標」に重きを置いて審査を行った。この「動機、目的、目標」とは、その団体の制作における動機および目的と団体の目指す目標が、具体的かつユニークであり、それが明確な言葉によって説得力をもって説明されていることである。「広報」は例年通り、応募作品を含むCoRichページ、公式サイト、動画等の広報の力量に対する評価である。關は審査員の中でも特に未見の団体が多かったため、応募ページや公式サイトなどのメディアに頼った選考にならざるを得なかった。

これらに鑑みて評価すると、議題に挙がった団体にはある程度の共通点があったと言えるだろう。すなわち、それらの団体は自身のストロングポイントおよび業界内の位置付けを客観視できており、加えて「将来のヴィジョン」が明確かつ目標と作品の方向性にズレがなかった。

また、今回議論の争点として特に注目されたのは、感染症対策やハラスメント対策を意識しているか、という点である。必ずしも全ての団体がアピールポイントとして挙げなければならない訳ではないが、団体や応募作品の形式あるいは内容次第では、当然言及されているべき点が言及されていないと、やはりそこは評価を落とさざるを得ない。これらの点に対する団体側の意識が問われる機会となっていた。
園田
職業柄、公演企画書に目を通す機会が多く、それを読むような感覚で団体各位に提出して頂いたテキストを読みました。その際大事にしたポイントは主に、①応募作品の概要がイメージできるか? ②その上で、応募作品の上演に興味・関心が持てるか? の2点。提出テキストのみでイメージが掴みづらい場合、過去公演を知っていればそれを振り返りつつ、各団体のホームページやアップ済みの戯曲・動画を参考に、この作業を進めていきました。それらを経て審査員各位との一次審査に望み、会議の場で僕が大事にしたポイントは、①自身の経験や意見をなるべく実直に表明する、②各位の意見を尊重する、でした。①と②を両立させることで、結果的に多彩な10作品が揃ったと感じています。 最後に個人的意見をひとつ。僕は「演劇作品を審査する」機会を、これまで割と多く経験しています。そうすると、応募団体や作品のことを(さすがに全団体とは言えませんが)結構覚えるものなのです。つまり一次審査の結果に関わらず、僕と貴団体は既に出会っています。更に応募自体をサイト上で公表している為、多くの閲覧者・未来の観客とも既に出会っていることに。この事実を、どうぞ今後の活動に繋げて頂けたら嬉しく思います。
深沢
各団体の応募を総覧して感じたことは、新型コロナウイルスの流行はもとより戦争や社会を騒がせた事件など時勢を反映した企画が多かった点である。ジェンダーバランスやハラスメントに配慮している旨記載している団体も少なくなかった。クリエイターの意識の高さが印象に残るいっぽうで、ダンスなど身体表現を主とする団体の応募が少なかったことは残念であった。

例年通り「応募公演への意気込み」と「将来のビジョン」を特に注視しながら団体を選出したところ約半数となった。そのうえでホームページやSNSの充実、公演概要の具体性や「観たい!」クチコミの利用などについて精査し10作品に絞り込んだうえで一次審査に臨んだ。

審査員の半数以上が入れ替わったためか、私が携わった過去2回と比べだいぶ票がばらけた。そのため各団体についての細かな意見交換が続いた。結果、開票時点では1票しか入らなかった団体が支持を伸ばしたり、逆に多数派だった団体の支持が減ったりという逆転劇が起きた。審査員によって基準はさまざまだったが、公演内容や将来のビジョンが具体的かつ説得力があり、今後の継続的な活動が期待できる団体を推薦するという態度は共通していたように思う。

感染症禍は収束傾向にはあるものの、応募数が減少したことに危機意識を覚えている。本催事を通して舞台芸術界に前向きな話題を提供できるよう、グランプリ決定まで各団体と伴走していきたい。
松岡
「団体紹介」「本公演の意気込み」「将来のビジョン」を最重要とし、加えて団体のHPや過去映像をその次に、最後にほんのわずかな指標として自身が観劇鑑賞していた場合はその評価を考慮しました。最重要としたそれぞれの文章から読み取れる範囲での「企画の独自性」「社会的視点」「制作運営体制」を基軸として評価しました。団体の独自のweb情報からはもっと体感的な、「面白そう」や「何か起こりそう」といった情動を意識して拝見しました。そうして10団体程度を選び、審査会に臨みました。初めて参加したCoRich舞台芸術まつり!の審査会ではとても多様な意見に触れることが出来、自分自身勉強になりました。全ての審査員が全ての作品に敬意を持って評価されており、時間はかかりましたが、皆さんの合意を持って10作品を選ぶことが出来たものと考えています。

最後に今回ご応募頂いた全ての団体及び個人に敬意を表します。丸3年に渡るパンデミックによって、Show Must Go Onは失われました。特に制作運営体制の厳しい小規模団体は公演をすることそのものが解散への第一歩になりかねません。公の補助金には事業実施期間に制限があり、思い通りの時期に公演が打てないことも、公演を予定していた小劇場が閉館した団体さえいらっしゃると思います。日本の特に近代における舞台芸術史は、劇団や舞踊団、小規模団体が作ってきました。その歩みが止まることは、日本の舞台芸術史そのものが止まることです。創造環境がこのままではいけない事は明らかですが、少なくとも今現在、皆さんが公演を続けている事自体が舞台芸術史そのものです。ありがとうございます。

それでは10作品の発表です。
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最終審査に進む10団体には
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※公演初日順。

最終10団体

DADA

DADA

幻灯劇場(京都府)

★審査員より(深沢祐一)
「祈り」と「遊び」のテーマのもと多様な表現者が集う2013年旗揚げの演劇集団。2017年初演の三演となる本作は、ある兄弟を軸に彼岸と此岸のあわいを行き交う人々を通して、従来の家族像へ問いを投げかける音楽劇です。これまでの意欲的な公演活動と演劇の裾野を広げようとする今後の計画に将来性を感じています。デザイン性の高い宣材や公演動画、各種SNSをうまく使った広報など制作力の高さにも期待しています。

最終10団体

橋の上で

橋の上で

タテヨコ企画(東京都)

★審査員より(關智子)
タテヨコ企画はその説明能力の高さが高く評価できた。自己紹介が上手く、見たことがない人でも団体の特徴をイメージしやすいのではないだろうか。加えて、CoRichを含めメディアを上手く活用しているのも好感が持てる。他方で、「将来のヴィジョン」がやや平凡であり今ひとつ具体性に欠ける点は気になった。とはいえ、今まさに取り上げられるべき重要な問題を応募作品のテーマとしており、視野の広さと社会と演劇のつながりへの意識も評価へと繋がった。コロナ禍において顕著になった、貧困に端を発する女性の抱える問題を今どのように描き出すのか期待される。

最終10団体

少女仮面

少女仮面

ゲッコーパレード(埼玉県)

★審査員より(松岡大貴)
「俳優は何かに奉仕する存在なのか?」という疑問が、舞台芸術の、特に小劇場の創造環境に接する俳優から発せられても特に驚きはありません。演出家が持つ権威性への疑問や、稽古場での創造主体は誰なのか、模索する試みは重要なはずです。一方「消費」という言葉が持つ意味は何なのか、俳優を中心に創作が行われた時、戯曲は、制作者は、消費されるのでしょうか。唐十郎『少女仮面』を演出することは、戯曲をも「消費」から救う試みなのでしょうか。葛藤や戸惑いとそれでも向き合う貌を、観に行きます。

最終10団体

松竹亭一門会Ⅱ 春の祭典スペシャル

松竹亭一門会Ⅱ 春の祭典スペシャル

afterimage(愛知県)

★審査員より(園田喬し)
愛知県名古屋市を拠点とするコンテンポラリーダンスユニット。ダンスを越境した活動も目立ち、応募テキストから伝わる「異端」のオーラに目を奪われがちですが、僕個人は「…意外と王道では?」と予想しています。今回はダンスと落語を融合させたスピンオフ企画「松竹亭一門会」としてエントリー。コンテンポラリーダンス×落語とは!? の正体を目撃するのは勿論のこと、落語の奥深さ、紡いだ時間、器の大きさ、等々を感じさせてくれる上演に期待しています。ちなみに僕、古典落語の愛好者です。

最終10団体

あげとーふ

あげとーふ

無名劇団(大阪府)

★審査員より(丘田ミイ子)
“「演劇活動を諦めない」という決意”。その一文から始まる応募書類からは継続と発展への意欲とそれを実現するための具体的なビジョンを受け取ることができました。劇団が掲げる演劇と地域の接続と共存は、舞台芸術業界全体の繁栄に繋がる試みであると感じます。
『あげとーふ』は、団体の母体である高校演劇部の全国大会準優勝作の15年ぶりのリメイク。そのきっかけは、コロナ禍でも“演劇活動を諦めない”多くの学生達との出会いでした。団体の一つの転機となった作品が今だからこその形で新生することに期待が高まります。公演場所は大阪・西成区の老舗商店街の空き店舗を改装した劇場兼アトリエ。「どんな場所でどんな景色が立ち上がるのか」。そんな高揚感とともに街の空気を存分に感じながら上演に立ち合えたらと思います。

最終10団体

令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment(東京都)

★審査員より(園田喬し)
東京を拠点に国内各地で活動し、主にシチュエーションコメディを多く手掛ける劇団。登場人物たちが特定の状況下で右往左往するドタバタ展開を含みつつ、終盤はキレイに収束させる作風にカタルシスを覚えやすい。今作は、劇団の代表作『ナイゲン』に通じる会議劇形式を取り入れており、その意味でも安定した一作かも。「武具の所持について議論する」というモチーフも様々な社会的諸問題の暗示に繋がりそう。笑いながら個と社会の接点を再考する。そんな機会になることを願っています。

最終10団体

きく

きく

エンニュイ(東京都)

★審査員より(丘田ミイ子)
「演技が下手な人なんて存在しない」、「自分の言えないと思った台詞は変えても良い」。
メンバーは元より、ワークショップなどを介して年齢や職業を横断したコミュニケーションを重ねるエンニュイ。表現に対する自由で独創的な眼差しは応募文の端々から伝わってきました。そんなエンニュイの新作公演のタイトルは『きく』。他者の話に耳を傾ける中で生じるイメージの相違や思考のズレに焦点を当てた本作は、「共感」や「想像」という行為をまっさらなところから見つめ直す機会になるかもしれない。そんな期待を抱いています。 “me too”という声に触れる機会の多い現代で、その奥に内包されるものを「きく」こと。エンニュイの発する声を受け、私は何に耳をすませられるだろう。期待と少しの緊張を胸に、聞き手としての新たな体験を得られたらと思います。

最終10団体

本人たち

本人たち

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク(東京都)

★審査員より(松岡大貴)
「舞台芸術」という箱庭を華麗に飛び交う者もいれば、その箱庭を破壊しようとする者もいる。自身がスペースノットブランクに抱く印象はそのどちらでもありません。ある種の既存を既存として認識した上で、それを緻密に繋げ、あるいは離して、その激しく揺れるビーカーの中で“リアリズム”は泡を吹いているはずです。その一方、制作面の特徴としてここ数年驚くほど多数のフェスティバルやコンクールにも参加しています。自らを“観る”ことの出来る存在を自ら創出する試みも、コミュニケーションを通したスペースノットブランクの実験なのでしょうか。注目しています。

最終10団体

半魚人たちの戯れ

半魚人たちの戯れ

ダダ・センプチータ(東京都)

★審査員より(關智子)
応募ページの言葉使いはやや観念的であり、自己紹介等に特定の劇作家を挙げているがそれが逆に理解を妨げているように思われたが同時に、それが当該団体の目立った特徴であり興味を惹かれた点でもある。HPに掲載されているYouTube動画および短編戯曲は非常に助けになり、それらの魅力が今回の選考に大きく影響した。「将来のヴィジョン」は手法の洗練に限定されているが、応募者の思い入れの深さがよく理解できた。総合的に見て、自己の位置付けができている点と演劇に対する応募者/団体の強い思いによって期待値が上げられた団体である。

最終10団体

あたらしい朝

あたらしい朝

うさぎストライプ(東京都)

★審査員より(深沢祐一)
主宰の大池容子さんの作品を上演する2010年結成の劇団。2020年10月のアトリエ公演を劇場サイズにリメイクした本作は、新しい生活を始めるために旅に出る人々の物語です。劇団員のライフステージや生活拠点が変化しても、共に創作を続けていこうとする前向きな姿勢から学ぶべきところは多いです。各地に持ち運びしやすい作品の巡演を通し、新たな出会いを獲得している意欲の高さにも興味を惹かれています。

以上の10作品です!
次の最終審査では、審査員が実際に公演を見に行きます。

CoRichメンバーもクチコミをして
全国の舞台芸術ファンみんなで盛り上がろう!

最後まで候補に残っていた、大変惜しかった作品です。
“審査員注目の作品”として公表させていただきます。※初日順

The Reed 犬猫会(神奈川県)
Spring Grieving PLAY/GROUND Creation(東京都)
シーユレーター 老若男女未来学園(東京都)
Q&Q y/n(東京都)

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