裸のリア王
MICHInoX(旧・劇団 短距離男道ミサイル)
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2013/12/02 (月) ~ 2013/12/03 (火)公演終了
満足度★★★★★
短距離男道ミサイル「裸のリア王」観ました
仙台・大阪・名古屋・新潟を駆け抜けた、伝説の半裸の男の群れ!
それが、短・距・離・男・道・ミ・サ・イ・ル!
短編を繰り出してきた彼らが、ついにフルサイズ作品で全国公演を成し遂げました。
私は名古屋で観劇。
なお、リア王については、数年前に富山・利賀村でSCOT・四ヶ国語「リア王」、今年9月には東京で柿喰う客・女体シェイクスピア「失禁リア王」を観劇。四ヶ国語に、失禁に、裸。。。(´Д`)
劇場内に入ると、客席と併設して物販&ミサイルの軌跡紹介コーナー。初心者にも親切。
前設を真面目に運びつつ、いつしかハルク・ホーガンのモノマネコーナーにw
場内整理や物販をしていた男達が舞台に続々集結、いさぎよく脱衣!無意味なエグザイル!!
そして、終わってみればあっという間の二時間。
初めての「リア王」観劇でも、充分伝わるであろう、真っ当なリア王に。
(まあ、真っ当じゃない描写盛り沢山だけど)
実力ある役者陣がさらけ出すサービス精神で、男の裸と笑いだらけ。
はまり役のケントやエドモンドも含め、全員でたわけた事を全力で(しかも緻密に)やっている。自由なシーンでのアクシデントとも仲良し。
時折、客席がシンと集中する場面や、山の手事情社を思わせる美しいシーンも。
写真でもいつも感じていたけれど、照明のあて方がいいんだなあ。ブラックボックスの劇場に映える。
少し原作から改変された流れのラストは、もはや荘厳…。
あと少しで、笑い一切抜きでもイケるのでは?
仙台の演劇人が、C.T.T試演会など時間をかけ各地で築いてきたネットワークが開花した、行く先々に多くの味方を持つ、暖かい旅公演でした。
ミサイルが、津でも長久手でもなく、名古屋に来てくれた幸せ。
そして、今週末大阪へ、同じ仙台の劇団・三角フラスコの公演を観に行った際、主宰(女性)やプロデューサー、宣伝美術の方と、ミサイルの話題で華やいだ事も付記しておく。
(ハシゴで観た、突撃金魚の会場がミサイルの大阪公演会場。サリングさんもミサイル観劇)
もはや、ミサイルは共通言語(キリッ)
伊藤キムダンスワークショップ
一般財団法人ちりゅう芸術創造協会
パティオ池鯉鮒(知立市文化会館)リハーサル室1(愛知県)
2013/12/01 (日) ~ 2013/12/01 (日)公演終了
満足度★★★★
伊藤キムダンスワークショップ参加しました
WSなのに、なぜか登録されてます(笑)
ダンサー・伊藤キムさんは愛知・知立市出身、こちらで公演もよくされています。
会場のパティオ池理附は、アクセスが悪いのがいつも難。。。(徒歩20分かけて往復しました。ちなみにこの日は、10:30名古屋→14:00知立→19:00岐阜。。。)
参加者は、ダンス経験者も未経験者もごちゃ混ぜという感じ。
キムさんの提示したテーマは、「日常の中の非日常」。
以下、当日の覚え書きより。
・時間・空間を操作して偏らせる(動きのリズム・動く止まる、群れの密度・個人の位置)
・他人と合わせる事ができるなら、次はあえて外して我を通す
・腰は、球体の中で自在に動かす
・手の指、爪先まで駆使して腰を動かす
・身体の動機なくして、頭で動かない
・具体的な対象を手にしたら、そこから視線を外すと世界が広がる
手本で見せるキムさんの動きが滑らかで色っぽい…(笑)
初心者にも経験者にも、得るところのあるWSでした。
来年一月に踊る機会があるので、こういう経験ができるとありがたい…
M-PAD2013 まとめ見
M-PAD
四天王寺スクエア(三重県)
2013/11/23 (土) ~ 2013/11/30 (土)公演終了
満足度★★★★
「M-PAD2013 まとめ見」観ました
三重に、全国各地(石川、東京、京都、茨城、大阪、埼玉)から8団体が集結して二週間に渡る、料理+朗読のリーディング企画。
その最後の絞めとなる、まとめ公演(飲食はなし)。
私の観た11/30の回は、坂口修一・第0楽章+K.I.T・カトリ企画・百景社が出演。(23日の回は、西本浩明・aji・第七劇場・このしたPosition!!でした)
[坂口修一「駆け込み訴え」 作:太宰治 演:志賀亮史]
原作を知らずに観ました。最初は、駆け込み寺に訴え出た妻の話かと思いきや…うわあ。
ひとりの役者の語り口と演技で、抜け目なく話が運ばれる快感。インディぺ・一人芝居フェスに出してほしい(笑)。
特に、美術が秀逸。 話を理解するにつれて意味が分かってくる、あのゾクゾク感。
[第0楽章+K.I.T「風の又三郎」 作・宮沢賢治 演:柏木俊彦]
テキストと現代人の生活を重ねて舞台に乗せ、言葉と身体を乖離させて見せる趣向。
ただ、それがどんな効果を狙ったのかは掴めず。うーむ。
[カトリ企画「お岩」 作:小山内薫 演:横山拓也]
つい一週間前にF/T・木ノ下歌舞伎「東海道四谷怪談」でお岩を演じた黒岩三佳が、またしてもお岩に。
闇に切り込むような明かりの中に佇み、ほとんど動かず低い声で語る、その姿と声は怖かったけど、やや単調な感も(キノカブでいろいろ考えさせられたせいか…)。
横山さんはこういう演出もするのか…という意外感。
[百景社「夢十夜」 作:夏目漱石 演:志賀亮史]
まさに夢のように混濁する不可思議なミニストーリー群を、いろんなバリエーションの見せ方で(百景社ならではの、ちょっと待てwwというものも)。
男女役者二人の、まるで掛け合い漫才(笑)のようなエンターテインメント(どこがリーディングだという気も)
細かなビジュアル(髪型w)や小道具への行き届きが素敵。
特に、豚の話が見応えあり。ちぎっては投げ、ちぎっては投げのアクション!(だから、リーディング。。。)
様々な人々が劇場に集まったM-PADまとめ見、肝心の料理と連動した各公演にはやはり行けませんが(汗)、今後も続けてほしい意欲的な企画です。
INDEPENDENT:13
INDEPENDENT
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2013/11/21 (木) ~ 2013/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
「“INDEPENDEENT:13”」3ブロック観ました
(→第2ブロックから続く)
一人芝居フェスも大詰め。
東京・キノカブ6時間+夜高バス+大阪・インディぺ6時間…さすがに、体に応えてきた。。。
終盤、少し意識が飛んでしまい、記憶がさだかでない事をあらかじめお詫びします。(名古屋出身の石原正一さん、楽しみにしてたのに 涙)
[10周年孤独乱交パーティー (出:一瀬尚代 作:山本正典 演:泉寛介)]
男性が書いたとは思えない奔放過ぎる戯曲を、天然のように演ずる女優のド迫力。「オーーーーーッ!!」
東京芸術劇場で観たGSQの、鳥公演とかQとか連想。でも、作・男(´Д`)
作の山本さん(コトリ会議)は、この前の週に芸術創造館(ピンク地底人「家電の王子さま)で後ろ姿をお見かけしましたが、「人見知りする性質」(芸創・若旦那さん談)だそうで、ついお声をかけそびれてしまいました…
(ちなみに、去年の仙台・若伊達プロジェクトでも、山本さんの「桃の花を飾る」を観ました。あの時感じた奇妙な空気が、体の中によみがえった…)
[「ヴァニシング・ポイント」 出:椎木樹人 作:竹内元一 演:奥山貴宏)]
死に直面するドキュメンタリーを、決して暗くならずに見せる語り口に好感。
ただ、芝居としての変化をもっと盛り込んで、あえてエンターテイメントなスタンスで、「これから死ぬ男」に迫ってみてもよかったかも。)
[「独楽アイソレーション」 出:松本茜 作・演:戒田竜治)]
(この辺から意識飛び気味 汗)
語る言葉を背景に、残像を残すようなムーブメントが幻想的。おかげでさらに意識が。。。
[「すみれほどなひと」(出:石原庄一 作:蟷螂襲 演:久保田浩)]
作品の静けさと相まって、かなり朦朧としてしまいました。。。
ただ、これまでの作品とは、舞台上の空気が明らかに違う、開かれた風景を感じました。佇まいもいい。
3ブロック目では、一瀬尚代さんの作品があまりにも破壊力が(笑)
なんとか、全作品観終わりました。
関西圏の演劇シーンを代表するような作品群を重層的に拝見、、大阪まで足を運んだ甲斐がありました。
公演はもちろん、交流の場としても非常に魅力的なインディぺ。
来年もまた来たいです!(いっそ出るかww)
INDEPENDENT:13
INDEPENDENT
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2013/11/21 (木) ~ 2013/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
「“INDEPENDEENT:13”」2ブロック観ました
(→1ブロックから続く)
2ブロックでは、TVにも出ている大人気者が出演とのことで、出演者は三人。
[「あのとき」 (出:泥谷将 作:鈴木友隆 演:オダタクミ)]
絶妙な切り替えで役を演じ分けての、誰もが覚えのある青春の傷をえぐり出してからの、希望の光へ。
一人三役でしかも一人、同じ台詞が、繰り返されるたびに違って聞こえる。一人芝居の醍醐味。
[「約二人の女」 出:田中良子 作・演:大塚雅史)」
唐十郎とか清水邦男とかを連想、異質のレトロムード演出。
大時代的な演技は意図?ならば、もっと自信たっぷりに(精神的に)低い重心がほしい。まだ若い?w
[「THIS IS 一人」 (出:一明一人 作:西川さやか 演:上原日呂)]
どこまで計算?どこまでドキュメンタリー?
勝手に、「一人芝居フェスティバル!」(読み方違うよww)
ぐだぐだに見えて、構成のしっかりした様子も感じさせる。おそらく可変性も高い。
ホームだからこそなれど、プロの現場をこなしていればこその、お客様へ奉仕する仕事。
非常に個性的な三組。
お気に入りは泥谷将さん。本当に、一人芝居初めてなの!? (°Д°)
近所のたこ焼き屋で揚げたこ焼きを食べて、いよいよ最終3ブロックへ。
(3ブロックへ続く→)
INDEPENDENT:13
INDEPENDENT
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2013/11/21 (木) ~ 2013/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
「“INDEPENDEENT:13”」1ブロック観ました
日曜に、通しで観に行きました。(この前日には、東京でF/T・木ノ下歌舞伎「東海道四谷怪談」6時間通し上演へ。そこから夜高バスで移動して、こちらも6時間コース。。。)
津や名古屋の、東海地方版は観たことあり。
今回出演される岸・正龍さんは、そちらの常連。本家インディぺについに出演!
裏のマドラスでカレーを食べて、まずは1ブロックへ。
[「シロとクロ」 (出:米山真理 作・演:勝山修平)]
アクションし続けながら唄い語る叙情風景。
からだで謳うセピアな思い出。身体版・みんなのうたの趣も。
[「short stories」 (出・作・演 いいむろなおき)]
照明の切り取りなど、見せ方も研ぎ澄ました超絶マイムの進化論。
身体の縮尺や重力までも制御されているかのような異空間。
いいむろさんは終演直後、三日後の東京・こまばアゴラ公演のため、そそくさと退場。腰が低く挨拶されるそのお姿にも衝撃w (知人「世界のいいむろなのにねえ」)
[「ねぇ、ムーちゃん」 (出:ナガムツ 作・演:亀井健)]
唯一無二のキャラを生かした関西的不条理。
なぜか背景に、新今宮駅(西成・釜ヶ崎の前)が浮かんで見えた…
[「ウィザードリーマン・ビギンズ」 (出:岸☆正龍 作:二郎松田 演:おぐりまさこ)]
初日は大苦戦したらしいけど、私の観た回では、戯曲・演出・演技が噛み合い真価発揮のスラップスティック。(土曜はもっと大受けだったそうな)
本人曰く、(公演期間中、激しく評価が変わったことで)「舞台の恐ろしさを思い知った」そうです。。。
ちなみに岸さんは、マジックも得意なんですよー(^ω^)
1ブロックの白眉はやはり、いいむろなおきさん。マイムという表現への強い信念も感じさせられる姿。
岸☆正龍さんも、アウェイであれだけウケてよかった!本家インディぺ出演という悲願を果たされた…
じつは、本職(社長!)の都合で役者は引退されるそうですが、一人芝居はライフワークで続けてほしいです。
上の喫茶店でしばし休憩、次のステージへ。
(2ブロックへ続く→)
東海道四谷怪談―通し上演―
木ノ下歌舞伎
あうるすぽっと(東京都)
2013/11/21 (木) ~ 2013/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
木ノ下歌舞伎「東海道四谷(×四ツ谷)怪談」アフタートーク観ました(笑)
いま気づいたら、F/T前から「四谷」を「四ツ谷」と書いていた。。。(だから雑だと言われるんだ 怒)
(第三幕から続く)
終演後は、毎度恒例のアフタートーク。
相変わらず、おーじ×木ノ下先生の歌舞伎LOVE、調子に乗った掛け合い漫才のようなトークが楽しい。
観客をぐいぐい巻き込むオーラ。何時間でも聞けるなあ(笑)
これを聞くと、またキノカブを観に行きたくなるという洗脳効果。
これだけで一公演がっつりやればいいと思う(トークショーともいう)
※トーク中、実況でツイートした内容をネタバレBOXに入れました(隠すことではないけれど、仕分けとして)。
木ノ下歌舞伎理解の参考になれば幸いです。
東海道四谷怪談―通し上演―
木ノ下歌舞伎
あうるすぽっと(東京都)
2013/11/21 (木) ~ 2013/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
木ノ下歌舞伎「東海道四ッ谷怪談」第三幕観ました
(第二幕から続く)
ここまでの幕よりも、かなり演劇的な見せ方。
人々の、取り返しのつかないどろどろした行き違いの後で、一瞬の崇高な魂の輝きを提示。
そして夢の場。あんな美しいシーンが生まれるとは…宮澤賢治みたい。
あれが伊右衛門・岩の、本来ありたかった姿か。
ズレが悲劇へ向かったラブロマンス・東海道四ツ谷怪談。
じつはロマンチスト・おーじの面目躍如。
最初の不安が嘘のような6時間。
通して観たからこそ、掘り下げて気づかされることもある、内容も濃厚な観劇体験でした。
(アフタートークへ続く←まだ続くんかい!)
東海道四谷怪談―通し上演―
木ノ下歌舞伎
あうるすぽっと(東京都)
2013/11/21 (木) ~ 2013/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★
木ノ下歌舞伎「東海道四ッ谷怪談」第二幕目観ました
(第一幕から続く)
第一幕で積み重ねた歴史が、一気に花開く展開。
「スターウォーズ・帝国の逆襲」にも通じる、観客との間にできあがった共通認識の上でのエンターテイメントの炸裂(←おーじに言ったら、呆れられたw)。
重要な事件が、一場面一日で立て続けに。
まごころとしがらみと欲望の行き違い。
パニックからの冷静さへの心境変化、次は相手へパニックを押しつける。
私は二幕目から、役者の出はけに合わせて脈動するような背景や、「ゴゴゴゴゴ…」的効果音wが、演出効果として気にかかり始めました。
舞台全体が、一体として息づいている…
(第三幕へ続く)
東海道四谷怪談―通し上演―
木ノ下歌舞伎
あうるすぽっと(東京都)
2013/11/21 (木) ~ 2013/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★
木ノ下歌舞伎「東海道四ッ谷怪談」第一幕観ました
「義経千本桜」「黒塚」に続いての木ノ下歌舞伎観劇です。
千本桜では、幕ごとに演出家が変わる試みが面白かったけれど、今回はおーじが全幕演出。じつは少々不安…6時間耐えられるのか…
すでに死を予感させる舞台、生々しさと透明感を兼ね持つ背景。
過剰な意図を感じさせず、観客に何かを考えさえる舞台美術。
世代や身分等、社会でのあり方で違う言語・身体。ちょっとひやひやする役者も(汗)
金のやりとり、世間のしがらみから生まれる、流動的な力関係のルール。
事情をかかえた者たちが複雑に絡み合う群像劇。
時折、錦絵を思わせる舞台上のミザンス(役者の立ち位置)が、遠くの席からだとよく見て取れる(←いい席取れなかった負け惜しみ)
ただ、正直、物語としては一幕目は少々退屈でした。ラストの見せ場、二人殺しで半寝落ちしてしまいもったいない。。。
まだ起承転結の「起」、ドラマはこれから。
(第二幕へ続く)
家電の王子さま
ピンク地底人
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2013/11/15 (金) ~ 2013/11/17 (日)公演終了
満足度★★★★
ピンク地底人「家電の王子さま」観ました
昨年の「京都・名古屋の若手演出家WS」で3号さんにお会いして以来、ずっと気になっていたピンク地底人。
(団体名だけは知っていた。昨年のエイプリルフール、ツイッター上で東京・王子小劇場が侵略された事件w)
やっと観れました。初・芸術創造館@大阪。
会場に入ると、現代芸術を思わせるセットが、すでに何か示唆的。アンビリカルゥ…(気のせいかメガネ率が高かった気も)
始まると、舞台狭しと配置された家電たちが、みな人間を凌ぐ名優揃い。家電たちとの会話は、事実上の一人芝居。
人形劇とかアニミズムとか、観ていながら想像を刺激。
ちょっと、ニットキャップシアター「少年王マヨワ」を思い出す、神聖な空間。
ストーリー・世界観は、ブラッドベリとかジュブナイル系好きにはたまらない。優しくも切ない、忘れていたものとの再会と別れ。
昔こどもだった大人向け舞台。ままごと「日本の大人」が楽しかった人なら間違いなく好きになれる。
じつは、物語もキャラもいろいろと暗喩がありそうな雰囲気だけど(それを示唆するには、ちょっとバランスに乱れか?)、こむずかしく深読みしなくても充分楽しめます。
終演後、3号さんと話したら、ふだんの(「小難しい」w)ピンク地底人とは違う作風とのこと。
感覚の共有性がかなり高いし、これは、規模としては全国は厳しくても、関西周辺でなら再演ツアーが充分できそう。
地底人の名古屋侵略を、心待ちにしております(笑)
非!リア王/ぴかぴか
妄烈キネマレコード
ナンジャーレ(愛知県)
2013/11/14 (木) ~ 2013/11/17 (日)公演終了
満足度★★★★
妄烈キネマレコード「ぴかぴか」観ました
(→一本目「非!リア王」から続く)
妄烈キネマレコード二本立て公演の二本目。
こちらは、名古屋一満面の笑みが似合い過ぎる女優、澤井しおりによる作・演出。
mだ世界を見始めたばかりの少女と、世界の外からやってきた来訪者の、出会いと交流。
観客も彼女とともに、かつての、そしていまの自分を見つめなおす。
札幌ハムプロジェクト「パレパーレ星の新しい生き物」を思い出す、純粋な子供心の世界。
照明・音響も世界観を大事に構築。
役者陣もステキ。主人公は9才児にしか見えない。宇宙人がキレッキレ。
やや退屈な流れもあったけれど、大多数から好感を持たれるかわいい作品になったので、初手としては成攻でしょう。
実舞台で経験を積んで、もっとイケる作品になるといいなあ。仲間も発表できる場も持ってるし。
ひとつの団体で、ショーケース的な上演を行う意義を感じる二本立てでした。
非!リア王/ぴかぴか
妄烈キネマレコード
ナンジャーレ(愛知県)
2013/11/14 (木) ~ 2013/11/17 (日)公演終了
満足度★★★★
妄烈キネマレコード「非リア王」観ました
名古屋の若手でも、かなり本気度が高い劇団。
春の、こりっち舞台芸術まつりにも、名古屋から五団体中でエントリーしていました。
今回は二本立て公演の、まずは一本目。
「彼女のいるリア充ライフ」に、憧れ求める男子五人のグダグダライフ。
気を許し合う者同士が、未知のものへの憧れと恐れを共有しながら、少しずつ時が流れていく様子を、丁寧に描写。
奇抜な設定や派手な展開はないけれど、若い世代の共感を呼ぶ作風。
二本立てで時間が限られてるためか(約60分)、ラストが少し物足りない?
終盤の、(一応)リア充二人の会話のズレが面白かったので、あと20~30分、五人それぞれの展開がほしい。
それぞれの違う「リア」の変遷をもっと見てみたい。
強度は高いので、伸ばして再演していいかも。
などと書いていたら、
なんと、12/1(日)に急遽、追加公演が!見逃した方は、ぜひ!
(二本目「ぴかぴか」へ続く→)
あの町から遠く離れて
A級MissingLink
カフェ+ギャラリー can tutku(大阪府)
2013/11/08 (金) ~ 2013/11/10 (日)公演終了
満足度★★★★
A級Missing Link「あの町から遠く離れて」観ました
東京公演時に宣伝美術を担当した、京都の清水さんのオススメで観に行きました。
地下鉄で二駅離れた劇場で、愛知・SOM企画「サ××ド・オブ・ミュージック」(こちらも清水さんゆかりの人だらけ)大阪公演を観る予定があり、そのすぐ後に。
細部の小物にまで気の行き届く、落ち着いたカフェのイベントスペース。
専門的な照明はほとんどない状態の舞台での試演会。
個性的な道具立てで、至極真っ当に、男女の揺れる関係の中の心の機微を描写する、静かな演劇。
シリアスな本道と、ナンセンスな脇道のバランス感覚が独特。深刻になりがちな物語に、緩衝材の役割?
個人的には、本道と全く関係ないあるキャラが、突然難解な事をつらつらと話し出すのが、ゴドーのラッキーを彷彿とさせたw
船内を動きで表現する美術も効果的。
舞台らしくない周囲の空間も見えるのが、何だか記憶の透明感を連想。(覚えている物は見え、覚えてない物は見えない)
物語の見せ方とも併せて、夢の中のようでもある。
何かが欠けた感覚。まさにミッシング・リンク。
試演とはいえ、劇場(カフェ)の雰囲気ともマッチした、こじゃれた作品でした。これが舞台で完成すると、どんな作品になるのだろう…
サ××ド・オブ・ミュージック
SOM企画
藝術工場◉カナリヤ条約(大阪府)
2013/11/09 (土) ~ 2013/11/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
SOM企画「サ××ド・オブ・ミュージック」観ました
あいちトリエンナーレ2013祝祭ウィーク参加の地元・名古屋公演は、自団体の稽古で見逃し(初通し稽古は見学)、一ヵ月後の大阪公演へ足を伸ばしました。
大阪では、愛知の200席程度から50席ほどの客席へ。
廃工場を改装したクセの強い劇場。
しかし実際に来ると、劇場と作品の強烈な個性が思いの外マッチしているのが一目で分かる。
世界中が知っている実際の事件をモチーフにした世界観は、ちょっとご都合な面もあるけれど、日常では見せない人間性をむき出しにする。
愛や利益を求めながら互いに傷つけ合う人々の、精神のせめぎ合いが増幅・凝縮された世界。
そこに飛び込むKYで(笑)無垢な花と、そんな嫌な世界を避けて籠もった城から強引に(笑)引き上げられた魂。
やっと、信じることができたのに…
通し稽古ではオレンヂスタ色の強かったラストが、大幅に変更。
主人公の、より困難な戦いへの強い意思に、焦点が合った。
afterimage振付・参加のムーブメントが、雑多に蠢く気配を舞台上へ、観にくく醜く制御。
二人芝居に寄り添うダンサーは、美しくまたユーモラス。
役者陣では、特に主演の男女二人の熱演に注目。
ダンサーであるafterimage主宰が、不思議な存在感。(ダンスを始める10年前には演劇をやっていたそうな)
もちろん、ハンパな役者は一人もいない。
大阪まで足を運んだかいがある、パワフルな公演でした。
たぶん、土地柄とも相性がよかった。日替わりゲストで参加した関西演劇人の皆さまにも感謝。
まだまだ成長途上ですが、愛知の若手クリエイターの結集、愛知から大阪へのつながりというイベント性も加味して、あえて五つ星をつけさせていただきます。
なお、この作品は来年一月に愛知で凱旋公演があります。
祝祭ウィークは一日しかなかったので、見逃した方には大チャンス!
日替わりゲストで、京都の杉原邦生さんも出演の予定!(笑)
Mr. Fujino
世田谷シルク
四天王寺スクエア(三重県)
2013/11/09 (土) ~ 2013/11/10 (日)公演終了
満足度★★★★
世田谷シルク「Mr.Fujino」観ました
初・世田谷シルクです。名前だけは知っていましたが、まさか津に来るとは…。
他の人々とは違うあり方で世界を俯瞰する主人公。個人を貫く生き方とは。
それを取り巻く美術・音・動き、全てが切れ味よく、映像のように美しい統一美。
ただ、あの会場では、ちょっと不向きだったかも。もっと遮断された環境の方が映えるのでは?(三重県文とか)
物語も、考えさせるとはいえ、世田谷シルクが魯迅「藤野先生」を舞台化するというのが、そんなにはしっくり来ない…(BeSeToのための演目?無知ならすみません…)
とはいえ、アート寄りに見えつつ気楽に楽しめる要素の多い、実は間口の広い作り。
津のお客さんが、かなりいい反応をしていたのが印象的でした(関西方面からも来ていたのでしょうが)ああ、津がうらやましい。。。
ながぐつをはいたねこ
柿喰う客
長久手市文化の家 風のホール(愛知県)
2013/11/09 (土) ~ 2013/11/09 (土)公演終了
満足度★★★★
柿喰う客「ながぐつをはいたねこ」観ました
書き喰う客・こどもと観る演劇プロジェクト。
名古屋近辺ではすでに何度か上演されてますが、私は今回が初。
最低限の装置が置かれた、素に近い舞台(後ろに置いてある設営道具とか丸出し)。クラブーっぽい照明・音楽の中を、こちら目線でゆったりと妖しく踊るメイド姿のネコ耳女…もう、なんかすでに予想と違う(笑) こどもぉ。。。
場内整理・前説をしていた人が、開始とともに舞台に飛び乗り役の世界へ。これ、ちょっとこども的には燃えるシチュエーション。
かわいく凛々しいねこの、しなやかで力強い身体。
形態模写とかではなく、他の人間たちとは明らかに違う身体(終演後に中屋敷さんと話したら、ねこだけ重心が低いそうな)。
物語は皆が知っている通りに、舞台と客席、役と役者の距離感を操作する演出。
演出家による、統一感ある独自の解釈が分かりやすく伝わる。
りっぱな長靴、贈り物、肩書き、服、城、そして名前…虚飾に振り回される人間の馬鹿馬鹿しさ。
そして、それらを駆使して主人を助けながら、最後にもっと大事なものを手に入れて去っていくねこ。
大胆かつ繊細な照明・音響が、舞台のみならず劇場全体を世界にする。
役者それぞれのキャラを生かした配役、役作り。
歌もダンスも濃密な45分。密度が濃い舞台でした。
こどもたちにとっては、学校観劇では得られない種類の観劇体験。
客席がこどもだけではない、おとなばかりではない、というのが重要。
※この後に観た、小池博史ブリッジプロジェクト「注文の多い料理店」も一応子供向けだけど、こちらは、あえてわかりにくい要素を含めていました。
こどもに家まで持ち帰ってもらう、何年後かに初めて「あ、わかった!」と思ってもらえれば、という作りでした。
同じ子供相手でも、様々なアプローチがある…
満月ドリル
劇団B級遊撃隊
千種文化小劇場(愛知県)
2013/11/08 (金) ~ 2013/11/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
B級遊撃隊「満月ドリル」観ました
じつは、いまだに掴みどころを押さえきれてないB級遊撃隊。
それなのに、毎回観に行っています(個性的な知り合いが出ているというのもあるけどw)。
現実と幻想、現在と過去、生と死、愛憎が交錯する舞台は、海の見えない砂浜にして、地に落ちた月面。
周囲を囲む闇から現れ消える人々は、本当にそこにいるのか。
確かなのは、自分が抱えている過去や怨念。
向き合って、決別や折り合いはできるのか…。
B級テイストが、今まだ観た中ではもっとも分かりやすく伝わった。
ビジュアル的にも物語の構造的にも、円形劇場を使う必然性が非常に高い。
佃流「わが星」の趣さえも。
役者陣も見事。特に、終盤の佃典彦さんと長嶋千恵さんの二人芝居は、ひしひしと締め付けられる思い。
まだ分かりにくいところはあるけれど、それでもB級の今後を決める代表作になる可能性が。
会場をかなり選ぶけど、再演してツアー公演など、名古屋以外の人にもぜひ観てほしい作品でした。
終演後のグッズ販売では、劇中で佃さんの役が大事に持っている大事袋(おおごとぶくろ)を模した小物入れ袋が大好評、初日完売!(売り子の、吉村公佑さんの力w)
最後の一個は、私が買いましたww
マチルド・モニエ『ピュディック・アシッド』/『エクスタシス』
Mathilde MONNIER(マチルド・モニエ)
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2013/10/26 (土) ~ 2013/10/27 (日)公演終了
満足度★★★★
マチルド・モニエ「ピュディック・アシッド」「エクスタシス」観ました
30年前に制作された作品を再振り付け。
激しく関わりあう男女関係、前者は対立と共存、後者には馴れ合いでない共犯関係を感じた。
舞台の見せ方、前者は途中で脱いで敷かれたキルトが個人の領域を、後者は立ち並ぶライト群が行きずりの街中を思わせる。
男女共通の性差を越えた衣装が、二人ともよく似合い、よく動く。
しっかりした構成の分かりやすさの中に謎もはらむ、片時も目の離せない作品でした。
それほどダンスを見慣れてない人でも、これを入口に楽しめそう。
基本の偉大さ。
空中のエス
空中のエス実行委員会
ナンジャーレ(愛知県)
2013/10/26 (土) ~ 2013/10/27 (日)公演終了
満足度★★★★
Sの字×空宙空地「空中のエス」観ました
名古屋演劇界の中堅どころ、関戸哲也とおぐりまさこが、作・演出とプロデューサーとしてタッグを組んだ企画。
精神分析用語でもあるタイトル「エス」に惹かれたのか、自意識・自我に関わる作品が多い短編集となりました。
iakuを彷彿とさせる綿密な伏線が、観客自身の心の闇を振り返らせる一人芝居。
個性的な若手やベテラン役者の持ち味を活かし、どうしようもない現実に絡めとられた自我と、それでも生きているわずかな希望を覗かせる二人芝居。
等等、一人の作家がこれだけバラエティに富む盛りたくさんの物語を提示。続けてきた重み。
各編とも、細やかな機微に富んだ演出・演技が、劇場を出た後々まで豊潤な印象を持ち帰らせてくれた。
そして一本、全然考えさせないとんでもないバカ作品もw
(あれは、台本で読んでもそれほどでもないと思うけど、舞台上のビジュアルで目の当たりにさせられると、ぐうの音も出ない…)
あろうことか、そのバカ作品「喫茶店」と、よこしまブロッコリーや劇王子などで何度目かの再演、叙情あふれる作品「雨の日はジョンレノンと」双方に、なぜかベケット的味わいを感じてしまったという。。。(あいちトリエンナーレの影響?)
観劇体験というのは、じつに奥が深い。(←何か間違ってる)
「雨の日はジョンレノンと」は、きっとまたどこかで再演されるので、ネタバレしません。
「喫茶店」は…再演ないとは思うけどネタバレするのも無粋な作品ww
好みはあれど、全編手堅く、次回公演も信頼できるショーケース短篇集でした。