三月の5日間
7度
北千住BUoY(東京都)
2024/12/05 (木) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
※会場での通し稽古の見学ですが、とても興味深い公演で記録しておきたいので残します。ご了承ください。(ゆえに公演としての満足度については空きにさせていただきます)
チェルフィッチュ初演はおろかリクリエーションも観逃してる私にとっては初めての『三月の5日間』。前説から渋谷の街の風景のみならずそこに身を置いた時の体感をも握らせる導入がとても効いていて、不思議な没入感を堪能。一人芝居というよりは一人語りという感じで声が印象的な演劇でした。照明や音響、BUoYという独特な空間との共振あるいは違和が加わった時、また別の体感が生まれるのではないかと思います。
レットイットビーム
コメディアス
OFF OFFシアター(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初めてのコメディアスを『レットイットビーム』で。
文字通りレーザービームを駆使した科学と演劇の融合、インディージョーンズのアトラクションのような体感。
もうこれは変態的なまでの飽くなき偏愛と探究心を以て「光」という科学、文明、いや神秘に迫る大実験劇。発明レベルの圧倒的舞台装置、反射と屈折、そして、その光路の果てに現れる科学では証明不可能なヒューマニズムとユーモア。新たな"光"が眩しい演劇だった!
たずね先
ワワフラミンゴ
プーク人形劇場(東京都)
2024/11/28 (木) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今日の”たずね先”は大好きなプーク人形劇場(劇場ぴったり)。
色んな人に「絶対好きだよ!」と言われつつ観逃してしまってたのですが、こんなにもやさしくかわいく、可笑しくて愛らしい演劇が今新宿に発生していること、私も忽ち1億人に言って回りたくなった。心がほぐれる時間。みんな愛おしい。
もう一つ大事なことは、ワワフラミンゴ初観劇の人対象の初フラミンゴ割使わせてもらったということ。これもまたとってもやさしい、うれしい計らい。私みたく観たくて観逃してきちゃった人や演劇にむずかしい印象をお持ちでなかなか劇場に足が向かない方も是非この機会にと思いました。心がふかふかになります。なりました。
赤砂
不条理コントユニットMELT
SPACE EDGE(東京都)
2024/11/30 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
MELT『赤砂』久々のEDGEで。ビジュアルやコピーにしろ映像や音楽にしろめっちゃかっこいいのに、しっかりくだらないの本当清々しい。凄まじいスケールの話とあまりにみみっちい話が往来した結果、これぞ人類?と核心に迫られた気になってしまったのも手腕か。配役も空間もバチ決まりのSF 悲喜劇でした。
間の時間
愛知県芸術劇場/Dance Base Yokohama
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2024/12/07 (土) ~ 2024/12/09 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
愛知県芸術劇場×Dance Base Yokohama「パフォーミングアーツ・セレクション」Bを10歳娘と。
個性豊かな3つのパフォーマンスがそれぞれ自分の心身の別々の場所を訪れる。そのアクセスで初めて気づく感覚や感情、記憶もあり踊りの奥深さや身体が否応なく抱えるドラマを改めて思い知った。濃密な時間だった。
①柿崎麻莉子「Can't Sleeper」自分の身体との対話について考えさせられた。耳を澄ませたらその囁きがふとどこからか漏れ聞こえてくる様な柿崎さんと堀田さんの身体の動きや流れ。それらが重なり、解けてまた重なっていく中、なぜか遠い郷愁に触れた気がした。観客の言葉との交わりにも胸がぎゅっと。
②岡田利規×酒井はな『ジゼルのあらすじ』古典を網羅した人の身体から発せられる現代口語。ジゼルの物語と酒井さんの生き様が混ざり合って"あらすじ"に止まらぬ新たな全幕を見た心地。酒井さんのコメディエンヌっぷりに感嘆しつつ"悲劇のヒロインらしさ"に収められる女性へのクエスチョンも受け取った。
③島地保武×環ROY『あいのて』裏面や側面をもがぐっと開かれた舞台がそのまま心象風景へと繋がる様な時間。刻まれた記憶や意識/無意識に重なる履歴、身体に宿る様々なアーカイブその在処へと導かれるパフォーマンスだった。ラップの韻と身体の動と静の間がまさにあいのて如くハマった瞬間ドキッとした。
ダンスは全然詳しくなくて子が習うようになって興味を寄せるようになったのだけど、身体とはこんなにも自由で無限なのだと改めて感じてこの体感忘れたくないな、と綴った。B以外の作品観られなかったのが悔やまれるけどインタビュー読んで想像するなどもして踊りを知らぬ身体で踊りたくなる一日でした。
観劇中娘の爪先がトゥシューズを履く時みたく自然にのびゆくのが目に入り一緒にきてよかったと心から。あの爪先を久々にみた。(訳あってお休みしていたバレエを年明け再開するにあたり不安がないか気になってたけど今日「楽しみになってきた」と言っていた。バレエもヒップホップも楽しんでほしいな)
アンナの銀河
演劇集団nohup
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/27 (月)公演終了
『リタの教育』『オレアナ』二作同時上演
稲葉賀恵 一川華 ポウジュ
シアター風姿花伝(東京都)
2025/01/11 (土) ~ 2025/01/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「リタの教育」も観劇。今回の企画の主眼だが「オレアナ」と同キャストによる二人芝居、男性教授とその研究室を訪ねて来る女学生、という設定も同じだ。
設定は同じだが、当然ながら話も役柄も違う。「オレアナ」はある決意を秘めた学生との緊迫の一夜と最後に後日談がある一気呵成の芝居だが、本作は若い既婚女性が「一般人枠」に応募し教授との対話の中で「知る」喜びを獲得して行く数年にわたる経過を描いた休憩有り2時間超えの芝居。女性は夫との生活の中で素朴に感じた疑問、「このままでは先に進めない」という予感が「学び」に向かわせた模様なのだが、文学系の教授に彼女は畏怖する事がなく「あんた」と呼び、彼女なりの言葉で物事に迫って行く。その理解のプロセスが独特で教授は彼女の吸収力や学ぶモチベーションを発見する。「教える」喜びを思い出したかのようである。
「オレアナ」はハラスメントという剣呑なテーマを扱ったが、後者は「教える・学ぶ」関係の根本を抉る辛辣な喜劇、と言える。だが彼女が学生らとの交流を話し、海外旅行の話をすると微妙な感情がもたげるのが分かる。物事の理解が増した彼女は学生らとも積極的に付き合い、特に親しい一人の女子学生の意見をまじえて話すようになる。彼女が訪ねて来て間もない頃、こんなやり取りがある。彼女が書いた(ある文学作品を読んでの)セオリーを無視したレポートの中に魅力を見出したらしい教授がいる。彼女が言う、「テストに合格するために何が必要かを教えてほしい」。と、教授「その方法はあるし教える事もできる。だがそんな無味乾燥なつまらないもののために、君が持っているこれ(レポート用紙を示しながら)を捨てる事に何の価値がある」・・数年後、彼女の訪問が間遠になり、教授はどこか荒んでいる。彼女は相変わらずこの場所を自分の場所としていたいにも関わらず、教授は元々好きだった酒の毒がいよいよ回り、酩酊状態で教壇に立って放言をした事が問題となり処分を受ける事になる。懲戒は免れ、オーストラリアにある学術施設に2年間放逐される事となり、荷造りの日に彼女が研究室を訪ね(あるいは呼び出したかして)最後にシーンとなるが、ドラマの頂点はその少し前、教授にとっての危機が全開の時。反発のやり取りの中で女学生はついに「嫉妬」の言葉を出す。前は可愛い赤ん坊だったのに、今は自分で何でもできる。それを認めてほしい、私たちは対等だと。これに対しだったら出て行くがいい、と教授が言うのに対し彼女は「ここは残しておきたい」と訴える。自分にはここが必要であり、訊ねる事は少なくなっても自分にとっての場所なのだと。明確に親離れと子離れの話と相似なのだが、ボロボロに見える教授が彼女にある事を言う。それは彼なりの文学観・世界観の表明である。即ち彼女は学問というツールを用いて学生らと議論をし、アカデミックな仕事に勤しむ手腕を手にした、のであるが、それはたかだか大学(あるいは学問の世界)で暮らす事ができる方法であるに過ぎない。本当に学問的である事、真実を見るために切り開くべきフィールドを探し続ける態度こそ、価値あるものだ・・。この芝居で、リタが怯む一瞬が過ぎるのはここだけであるが(私がそう感じただけで殆どサブリミナルなサインであったが)、去り際の場面と合せて、彼が研究者としての体裁や人からの評価に飢えた薄っぺらな人物である事を免れている。ささやかに盛り込まれたテーマは演劇製作においても、政治においても、革新であろうとする事とは何か、について考えさせられる。
微妙なニュアンスの描出によって人間の関係の変化を抉り出し、厳しい現実の中に希望を見出させる二作であった。
メモリーがいっぱい
ラゾーナ川崎プラザソル
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2025/01/24 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ベシミル! 役者陣の演技が良い。父・大地役、大地の親友・翔太役が特に気に入ったが上手い役者が揃い、演出、脚本もグー。舞台美術も気に入った。
『鯨よ!私の手に乗れ』『りぼん』
オフィス3〇〇
本多劇場(東京都)
2025/01/08 (水) ~ 2025/01/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
直前に観劇を思い立ったものの本多は後方が厳しかったなと些か逡巡。しかし宣した以上は観るべしと足を運んだ。顔は判然とせずとも芝居はよく届いた。歌の比重が高く、ヘッドセットのマイクのためか誰が喋っているか探す場面が多々(自分が喋ってるという芝居してちょ、と内心こぼす)。
戦時下の日本や戦後の幾つかの時期を、説明抜きに行き来する3◯◯ならではのカオス演劇。中心となる女性たち(同潤会アパートの住人たち)は縁りの女優か、知らぬ名もあるが演技が「届く」面々。全体としてアンサンブルも含め華やぎ賑やかしい出演陣が舞台を埋め、群像たちの個体識別は未完に終わったが、様々な「喪失」の悲哀の重層低音を響かせる3時間近いドラマは「再会と獲得」を暗喩するラストで締め括られた。何のかの言って最後には渡辺えり氏がこの機に再演に付した思いが切々と迫って来るのであった。
取り戻せ、カラー
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
広田氏の私小説的物語であるそうだが、もちろんフィクションを織り交ぜているとしても、この、かなり壮絶な半生と、祖父母や両親の人生と、これから向き合わなくてはいけない「母」や「きょうだい」「きょうだいの家族」「自分の家族」と、これから先を生きる者たちが抱えるかもしれない「血の繋がり」の呪縛等々を「舞台作品」とし世に出したことに、まず感服する。
そして、タイトルの「取り戻せ、カラー」は、これからカラーを取り戻しに行く広田氏の覚悟と決意表明のようにも感じて、胸が熱くなる。
登場人物が多く、時代が行き来するので混乱するかと思ったが、そこはさすが実力の確かな役者さん揃い。素晴らしかった。
特に相葉るかさんは、ちょっと、いやかなりエキセントリックな母親を見事に演じていて素晴らしかった。
「アマヤドリ」活動休止前最終公演とのこと。
いろいろな事情があるとは思うので、何年先になるかはわかりませんが、どうか近い将来に「カラー」を取り戻して更に深みを増した広田氏の脚本・演出で「活動再開記念公演」が行われることを切に願う。
メモリーがいっぱい
ラゾーナ川崎プラザソル
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2025/01/24 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
主役のロボットの父(豊田豪)の演技、我々ロボットを想像するようなや動きや台詞回し。それは面白いのですが、暗転の場面、普通、そこでは演技はしないものです。でも彼は暗くなってもロボットを演じていました。実は以前、『ガラスの動物園』と言う芝居、ローラ役の女優、足が不自由な役なのですが、暗転になると普通の動きをしていました。それを批判的に書いていた投稿がありましたが、私は芝居のルール、その良し悪しは分かりませんでした。でも暗転の場面でも観客は目を凝らしています。俳優が、そこまでの注意を払うのがよく分かりました。
アンナの銀河
演劇集団nohup
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/27 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/01/23 (木) 19:30
『アンナの銀河』のタイトルやあらすじを読んだ感じだと、藤子F不二雄のSF(少し不思議)な漫画の話とかのパロディ的なSFコメディ劇と思って期待して観に行った。途中劇中にはっきり出てこない星人が優生思想で人間を研究対象で下等に見ているのがナチスを彷彿とさせる。
さらにシェルターでアンナと他の家族が生活する。共同で隠れてシェルターで生活するが途中で大人同士のイザコザが起きたり、不倫が起きたりし、実験用ペットとして15年間シェルター外の入れ物の外から観察してきた星人が痺れを切らせて未知のウィルスを食べ物を作り出す機械の中に混入し、アンナ以外全滅するが、アンナだけ生き残り、引き続き観察が続けられる。といった在り方が『アンネの日記』を書いていたアンネとその一家が密告されて、ナチスに捕まり、アンネは病気で亡くなるという事実と偶然かもしれないが酷似して(厳密なやり方は違うものの)重なる部分が多くて、ちゃんと劇作家·演出の人は『アンネの日記』を読み込んで、アンネフランクに関わる文献を徹底的に調べ上げた上で書いて上演しているなと感じ、感心してしまった。
それまでのけいかではハラハラドキドキ心配になり、時に戦慄さえ感じて、終始緊張しっぱなしで、時々笑える場面も多々ありつつも、劇の進行から片時も眼が離せなかったが、終わり方が『アンネの日記』を換骨奪胎した上にアンナが救われるということで、安心して胸をなでおろすことができた。
アンナが劇中書く日記をアンナ自身が独白で読み上げる形式が普通の劇より説明的な感じがやや否めないものの、それが逆に新鮮で特徴的。アンネフランクの生涯は劇にもたくさんなっていると思うが、『アンネの日記』をアンネが独白形式で読む説明感強めでありつつの群像劇で、要所要所の重要な山場の場面さえ押さえれば、観客が劇に引き込まれつつ、最後にお涙頂戴的なことでなく、無理なく感動して、自然と涙が出てこれる演出方法で、本当の『アンネの日記』の劇化の際に参考になるんじゃないかと考えた。もちろん説明的すぎるのも良くないと思うので、適度なバランスは大事だと思うが。
『アンネの日記』における性的描写やアンネが明るくお喋りで落ち着きがないが無邪気でありつつませていて、段々日記を書く中盤頃から思春期なのを意識し始めたりする、アンネがよくその辺にいる普通の女の子だといったエピソードがあるが、『アンナの銀河』においても似たようなエピソードをちょこちょこ挟む劇作家·演出の人の妙な忠実ぶりには感慨深かった。
どらきゅらぁズ
四宮由佳プロデュース
サンモールスタジオ(東京都)
2025/01/21 (火) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
キリキリした緊張感、熱量で押してくるみたいな芝居じゃない。
このゆるさはきっと自覚的なもので、なかなかうまくいってると思いました。
そこがダメな人もいるだろうけど、自分は肩の力抜いて観られて悪くはなかった。
シンプルなセットのなか、棺桶の使い方は面白かったですね。
3つあった親子関係には、ちょっとホロリとした。
きみは泡沫にうたう。
キミノアトリエ
王子小劇場(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
こちら良かったです。
まず、美術と照明が良くて。丸い発光体を多数釣っていて、それが光ったり暗くなったり、昇ったり下がったりするんですが。
凄い綺麗で幻想的でしたね。タイトル通り泡を連想して、それはつまり更に裏の意味まで繋がるんですが。
アドリブ的なギャグシーンは、この作風ならいらない気もしたけど、そういうシーンで一息つける人もいるのかな。
通路を役者が通る演出はかなりやってきて、なかなか効果的だった。
詩的、散文的な見せ方なんですが。
最終的にはああってなる感じで。
観終わったあと、芝居に浸った余韻がありました。
かっこいいジャンパー(仮)
道楽息子
アルネ543(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
荒唐無稽でハチャメチャだけど、演劇愛ってスジは通ってると思う。
元気あったころの香港映画のテイストを感じたり。
演劇をこの世から消滅させようとするものと、演劇をやろうとする人たちの戦い。
結構過激な演劇あるあるネタたっぷりでしたので、そこをユーモアで流せる人なら楽しめるかと。
僕は面白かったですね。
取り戻せ、カラー
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
家族の話、作演の私小説的な話。
時系列はやや前後はあるけど、それでもアマヤドリの作品としては、かなりわかりやすい感じで。
もう少し驚きがあるのかと構えていたら、全体的にオーソドックスで、どストレートだなって思いました。
役者や各種の基本的な質に間違いは無く。
僕は誠実だと感じたのですが、提示されたお話にどこまで共感出来るか、みたいなところかなと。
『幻書奇譚』
ロデオ★座★ヘヴン
新宿眼科画廊(東京都)
2025/01/23 (木) ~ 2025/01/28 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
世界最古の本をめぐる、ワンシチュエーションのミステリー劇。
まず脚本が面白く、役者陣も素晴らしく、会場との親和性も抜群なので入り込めます。
10年前の作品の再再演になるそうですが、古びておらず、むしろ今だからこそって感じすらありました。
二面の客席の作り方もよく考えられていて。色んな意味でスキが無い芝居だなって。
ピリピリした芝居じゃなくて、息抜き出来る場面もちゃんと多数用意されてるんですよね。
昨年11月に、同じ新宿眼科画廊で”平坂村事件”(同作家による。これもめちゃ面白かった)を観ていたのは、幸いだったなって思います。
観劇後に知ったのですが、この2作は構造的に盾の表と裏って発信がSNSであったんですね。
うんうんって感じ。お話に繋がりがあるわけじゃないですけどね。
ニッポン人は亡命する。
うずめ劇場
シアターX(東京都)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
二十歳代に来日してそのままこの国に定住して三十年、日本語堪能のドイツ人の演劇人による問題劇である。さきに詩森ろばによる性行為のハラスメントが問題とされた劇を見たが、こちらは広く日本に拡がる生存権、表現の自由と権利、国家権力を問題にしている。
問題は。福井県の職業高校で起きた演劇部への差別事件である。全県の高校が参加する演劇祭の作品を地域のケーブルテレビが中継放送した。しかし、この職業高校の作品だけ、県の原子力発電所の是非を扱っているため放送しなかった。これは表現の自由に関する侵害ではないか。また職業高校に対する差別ではないか。
この高校の演劇部を指導してきた地元の教師や指導者は異議を唱えた。しかし、同じ高校の教職員からもも、同意が得られず、県の教育委員会も同意しなかった。さらに、全国組織でも、教員組織のみならず、劇作家協会や演出者協会に訴えても、支持は得られなかった。みな、あれこれの理由をつけて(ここはいかにもありそうなことで笑ってしまうが、もちろん舞台では笑い事ではありません!と正論である)。福井県が、全国4位の原発受け入れ県で、一方でははかばかしい産業もないという現況を背景にしての職業高校の持つ周囲への配慮である。しかし正論を言えば、これは憲法違反である、とてもこんな生き苦しい国には住めない。生存権の問題だと、ドイツに亡命しようと、ドイツ大使館に亡命させてくれと訴え出る。ここからドラマが始まるわけで、ドイツ大使館も在日本大使館だから、窓口は責任者「代理」として日本人を雇っていて対応する。奇妙な亡命申し出に大使館も辟易して、対応時間を決める。問題は次第に矮小化して肝心の問題はどこかへ行ってしまう。
問題素材提示劇である。
まぁ、よくあることだが、現代の日本人はこういう問題の処理と解決はあまり上手くない。そこをこの「問題提起素材劇」は面白く展開して2時間、飽きさせないが、そこでどうなるというものでもない。しかし、この課題をいろいろ考え話し合ったりするのは今後の役には立つだろう。現代版のブレヒト劇である。一つのジャンルにはなるだろう。
このドラマの感想となると、内容は、国を超えて理解することは出来るが、共感は作りにくい。ということだろうか。ドイツでも同じような問題は難民問題で起きている、どのような国でも、人間が作る社会があれば対立する問題は起きる。ドイツを諦めてカナダで亡命希望しても結局亡命者として受け入れないだろう。それならカナダは自由の国ではないというのか?。結論が諸般の事情で出せないことはある。それをなんとかやりくりして過ごすのは社会の必然で、この国には、無理矢理解決を図って身の程知らずの戦争で国民の命も財産を大いに失った経験がある、どこで妥協点を見つけるかで、その方法は一つづつ考えていくしかない。
亡命で解決するというのは劇の脚本の面白さである。現実の問題解決になるためには劇の現実化への可能性がなければならない。いい妥協点が見つかればドラマの効用である。
久し振りで登場した作者は・鈴江俊郎、健在だったのか! かつて、自殺した学友が自転車に乗って現われる青春劇に共感したことを思い出した。もう四十年近く前のことだ。
『マリンスノーの雪解けを』
演劇集団MALACHITE
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
満足度★★★
過去作品は基本ファンタジーの劇団だが、今回はファンタジー感はほんの少しで、リアル会話劇 前半でこうなるだろうな〰️と思っていたとおりに進み、中弛み感はあったが、最後は定番のハッピーエンド 物足りないかな〰️
生ハムの原木
月曜劇団
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了