メモリーがいっぱい 公演情報 ラゾーナ川崎プラザソル「メモリーがいっぱい」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     ベシミル! 役者陣の演技が良い。父・大地役、大地の親友・翔太役が特に気に入ったが上手い役者が揃い、演出、脚本もグー。舞台美術も気に入った。

    ネタバレBOX

     川崎市の市政100周年記念事業の一環として若手演劇人によってプラザソルで上演されている今作、こういうとちょうっと硬いが家族連れで観て楽しめるというコンセプトで創られ、話は結婚を決めたりつが彼・登志夫と共に故郷の離島を訪ねるが、未だ彼に父がロボットであることは話しておらず、彼は挨拶の席で父に殴られてしまった。何故、人間であるりつの父がロボットなのか? この理由を島の婆さん・キヌが説明するという形で進むので物語の筋も組み立て方も分かり易い。尺も2時間と程よく、何といっても結婚の挨拶に久しぶりに故郷を訪ねたりつの父・大地が型落ちのロボットという設定が良い。而も

    大地を演じている役者さん(豊田 豪さん)の演技は秀逸。
     舞台美術も平台を多数幾重にも重ねて作り、而も踊り場に当てられた部分は一部を他の平台で支えることによって安定させる構造になって居る為長方形、正方形、直方体等矩形で構成されているが、ただ積み上げる単純な構造にならず緊張感のある作りになって居る。のみならずホリゾントには高低差のある木製の丁度アイスクリームのバーのような形の文様が踊りアクセントを付けている他、名画・ヴィーナスの誕生のように貝殻から立ち上がるヴィーナスの代わりに放射状に広がる光線が放射状に広がって独特のアクセントを付けている。役者陣の演技は良い役者を揃えてレベルの高い演技であり、演出もグー。脚本も押しつけがましさがなくホームドラマの定石を弁えつつそれを感じさせない作りで笑いも随所に鏤められ今作の肝・親子の愛とそれを支える島の人々の情、ヒロインの父が人型ロボット(試作機)であるという異常な状況を島の大人たちに受け入れさせるのがヒロインの学校友達であるという実に自然な描き方も素晴らしい。
     子供というものは、孤りで大きくなったような勘違いをしでかし勝ちだ。然し齢を重ね父母を亡くして長い時を経て初めて親の注いでくれた深い愛や慈しみの有難さ、その何物にも代えられぬ稀有な僥倖を知って後悔するのではないか? そんな思いをしみじみ噛みしめさせてくれた秀作である。

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    2025/01/27 12:53

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