タッキーの観てきた!クチコミ一覧

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ラストマンスタンディングマッチ

ラストマンスタンディングマッチ

チョコレイト旅団

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2015/02/26 (木) ~ 2015/03/02 (月)公演終了

満足度★★★

スポコンものか...
映画「ロッキー」シリーズを連想させるような内容であるが、描くスポーツはプロレス...10カウントという説明からボクシングと誤解しそうであるが、フォールによる勝敗とは別次元を意味しているようだ。要は(脚で)立つ、(弱気を)絶つ、(新たに)発つ、(奮い)起つ、というスポコンイメージであるが、その応援者たちが特殊異形というか...

ネタバレBOX

魔女とその下僕が期間限定(この世に居られる期間)で少年の応援をする。まぁ魔女が少年を好きになり、結婚をしたいと言い出したことに端を発する。この魔女たちが実に愛らしく、映画「アダムスファミリー」を連想させる。
さて、公演は父親が覆面プロレスラーで、いわゆる正義の勇者と信じていたが、実は悪役(いつも負ける)プロレスラーであることを知った少年の裏切られた思いとそうせざるを得なかった父親への愛情に苦悩する姿...。と同時に仲間だと思っていた友達に苛められるようになる。
近所に魔物が住むと噂される館へ迷い込んだ少年。この現実の世界と異世界を同時進行して描かれるファンタジー性ある演出は面白い。
しかし、ストーリーはストレートで「捻り」や「オチ」が感じられない。ストレートでも良いと思うが、その場合はもう少し感情移入(感動)できる見せ場が必要だろう。完全に予定調和である。
役者の演技力は確かで、バランスがとれていただけに残念であった。
ちなみに生演奏は、楽器に近い方の観客は、セリフと音響余韻が被る場合があるので要注意である。

今後の公演にも期待しております。
渦中の人

渦中の人

セロリの会 

「劇」小劇場(東京都)

2015/02/25 (水) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

余韻が心地よい
観光資源があまりない離島を舞台にしたハートフルドラマ。まず舞台セットはしっかり作り込んでおり、本当にその場にいるような感じになる。登場人物は、キャラクターと役割を明確にしており、物語をしっかり支えている。
幕開け暗転と波音で心落ち着け、最後も波音で余韻が…見事な演出効果だった。だだ、脚本・演出とも秀逸であったが、ラストが慌ただしく収拾がつかなくなった印象があった。

ネタバレBOX

本公演は、サスペンスという印刷文字があったが...ハートフルドラマとしての印象ほうが強い。舞台は、観光資源の少ない離島を大いに盛り上げようとしている住民とある目的を果たすためにやってきた宿泊客とのドタバタ騒動と、宿の夫婦の愛情を描いた話。この舞台セットが良い。舞台全体が旅館の雰囲気を作り出している。上手は宿の受付とテーブル席(食堂か)、下手が座敷に卓袱台が置かれている。
この島には宝くじに当たるというジンクスのようなものがあり、金に困っている客がそのご利益を求めてやってくる。そのうち、宿の主人が施す念力に肖りたいと...この噂を街の観光興しに利用し、観光マップ、海運グッツまで拡販する。
一方、旅館を切り盛りしている夫婦関係は危機に直面している。妻からは離婚届が突き付けられて、何故...戸惑う夫の慌て振りが滑稽である。旅館という場を中心に描かれる”サスペンス”ならぬ”コメディ”は役者の演技力も相まって観応えがあった。
今後も楽しい公演を期待しております。
エグ女

エグ女

f.tプロデュース

千本桜ホール(東京都)

2015/02/25 (水) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

大和撫子という言葉はどこへ
実話ベースということだが、「本当に女性は恐い」という印象である。その昔「エロ・グロ・ナンセンス」という言葉があったが、本公演は「エロ・エグ・ナンセンス」が合う内容であった。もっとも短編8連作の演出は各パート毎にまとまりがあり、楽しく観られる。
因みに、エグいとは? 語感からイメージできるが、辞書によれば、抉る(鋭く指摘する)、えげつない(やり方、言い方がむき出しでいやらしい、情が薄い)のどれにも当てはまるようなタイトル…センスが良い。

ネタバレBOX

脚本はパートを設定し、学生時代、姉妹、劇団の先輩後輩という人間関係から、SEX観、性癖、彼氏の取合い、浮気という身の下話、そして親友面して…。こわい話ばかりである。全体の関係は、緩く繋がっており、脚本・演出とも秀逸である。
演技は体を張って迫力があった。本当に平手打ち(多少指は曲げている。本当の平手だったら頬に手形の痕が残る)の応酬、取っ組み合いで髪の毛が乱れる、口に含んだ液体を相手の顔に吹きかけるなど、臨場感が凄かった。本当に仲の悪い行為が見て取れる演技は観応えがあった。初日の観劇であったが、楽日まできれいな女優の顔が腫れ上がるのでは、と心配になった。
特に、厭な女を演じた川崎真美さんの演技はリアルで、アイドルから完全に脱皮したように見受けられた。

今後の公演にも期待しております。
静寂の扉

静寂の扉

643ノゲッツー

OFF OFFシアター(東京都)

2015/02/24 (火) ~ 2015/03/02 (月)公演終了

満足度★★★★

しじまに鉦の音
コミカルなタッチだが、その描くテーマは現代社会への鋭い問題提起..。
しかし、その提起と終盤に描かれる少し怖い話の結びつきに無理が...

ネタバレBOX

タイトル通り過疎地帯の状況とそこで暮らす人々の希望と苦悩...現状の地方再生の問題意識も垣間見えるが、前半は坦々としたテンポで日常が描かれる。
登場人物は、携帯電話も繋がりにくい過疎地に住む人々の苦悩、都会の生活に嫌気がさした人、さらに過疎地から東京へ移り住んだが、都会生活に馴染めず帰郷した人など...それぞれの意識や生活感の違いが上手く描けている。興味深いのは、就労への取り組みから生活用品までインターネットを通じて行える、と強がりを言いつつも、婚活に精を出す独身者(若者とは言いがたい年齢)の切実な姿が痛々しい。
そして、特定の人しか感じない(聞こえない)鉦の音...実はこの地は自殺の名所で、遺体が発見された時は、役場の人間が対処(埋葬)する因習だとか。この”しじまの鉦の音”がフラッシュ照明と相まって怪しげな雰囲気を出す、見事な演出である。ただ、この過疎地の問題と自殺の名所の関連付が強引なような気がする。確かにサスペンス風...この悪しき噂を恐れた住民が鉦の音が聞こえないふりをする。結局のところ、、郷土愛に包まれたハッピーエンドに収まり、問題・課題を広げたまま収束した感じで物足りなかった。
今後の公演にも期待しております。
回想電車999【ご来場ありがとうございました!次回公演は四月!】

回想電車999【ご来場ありがとうございました!次回公演は四月!】

壱劇屋

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2015/02/19 (木) ~ 2015/02/23 (月)公演終了

満足度★★★★

ジグソーパズル...
ピースを一つずつ丁寧にはめ込んでいくような精緻な構成で、見事な脚本であった。タイトルや登場人物からのイメージは”銀河鉄道”であるが、推理またはサスペンス仕立てで、その観せる演出力も見事であった。
欲をいえば、前半からもう少しテンポよく展開できると物語への引き込み効果が上がったと思う。

ネタバレBOX

回送列車は回想との文字繋がりで、その鉄道シーンは複数のダンボール箱とゴム縄というシンプルなもの。さらに舞台全体の色彩を暗くもしくはモノトーンにすることで、細いゴム縄(白)を用いても、その柔軟性と白色を活かして立体的な舞台芸術に仕上げていた。
後日追記
「戯作 肉体だもん」

「戯作 肉体だもん」

劇団ドガドガプラス

浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)

2015/02/20 (金) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

現代風…肉体の悶
妄りに見せて淫らに魅せる、実に“華”のある芝居である。田村泰次郎作「肉体の門」を参考にしており、「肉体の解放こそ人間の解放である」というテーマ性は、十分に表現出来ていた。
この「肉体の門」は、何度か映画化されており、自分は1964年、77
年、88年制作を見たことがある。タイトルに象徴されるように「性」を題材にしているが、戦後間もなくの混乱期に女性が逞しく自立していく様が強調されており、本公演もその醍醐味は観せてくれたが…。と同時に個人(女性)としての愛憎も身近で愛らしい一面として描いている。多くの女優の妖艶な肢体が舞台狭しと跳ねる。
少し気になったことも…。

ネタバレBOX

戦後の混乱期という雰囲気が感じられない。あまりに華やかでどん底から這い上がる、というバイタリティー溢れる感情が伝わらない。自分も戦後間もなくの頃は知る由もないが、少なくともデホォルメしたとはいえ、舞台のような艶やかさはないだろう。敢えての演出かもしれないが、テーマの底流は保って欲しかった。確かに公娼制度、性病、靴磨きなどというセリフはあったが、それは上辺の表現上のこと。もっと「性」で「生きている」という切迫感のようなものがほしい。例えば、性の縄張り争いは「生」に直結すると思うが、その抗争に緊張・迫力がない。もっと強かさがあってもよかった。
歌・ダンスとの安定して良かったが、まるで”現代レビュー・ショー”を観ているようで、時代感覚にアンマッチさが感じられた。もっとも「目指せ、浅草公会堂」を意識しているかも...。

今後の公演にも期待しております。

PS
今回は最前列に座ったが、冒頭のシーンで、客いじりを経験した。
「お兄さん(実はおじさんだが)、私をいくらで買ってくれる...」と。まさしく肉体の悶を体験させてくれた。
第41回「a・la・ALA・Live」

第41回「a・la・ALA・Live」

a・la・ALA・Live

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2015/02/21 (土) ~ 2015/02/21 (土)公演終了

満足度★★★

個々のパフォーマンスは面白い!
あらら…という印象である。個々のパフォーマンスは面白いものがあるが、やはりブッブッと切ており、関連性がないと…少なくともテーマに繋がりがあると納得感がある。元からそういう構成であったと思うが、一連の流れがあると印象に残る。パフォーマーの関係者やコア観客(自分が観た回は、20公演観た2名へのプレゼントあり)だけの公演ではもったいない。もっと多くの観客に楽しんでもらいたい。そのためには、“あぁそうなんだ”という落語でいう”オチ=繋がり“があると印象・余韻が違ってくると思うが…。
短編芝居、パントマイム、ダンスなど、色々なジャンルの仲間による公演、ワークショップの案内(折込みチラシ)もあり、演劇、パフォーマンス活動の普及に努めていることに好感を持った。
今後の公演にも期待しております。

空気ノ機械ノ尾ッポvol.21

空気ノ機械ノ尾ッポvol.21

空気ノ機械ノ尾ッポ

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2015/02/20 (金) ~ 2015/02/22 (日)公演終了

満足度★★★

膨らんだ…
面白い内容。些細な出来事をこんなに膨らませることに驚いた。しかし、現実感はあり、”なるほど”と感心する場面が多かった。と同時に一昔前であれば当たり前の善意として出来たことが、今の時代では人心の制約(例えば個人情報保護という名目での萎縮)にも繋がる皮肉な話…。

ネタバレBOX

落し物「封書(宛先、差出人なし)」を拾った人が、その処理に要した話。単にそれだけであるが、そこには現代世相へのアイロニが見て取れる。
落し物係へ届け出たところ、自分の住所・氏名を書くよう説明を受ける。もし落とし主が現われた時、その連絡先として知りたいというもの。誰が何を書いているか分からない、という「封書」の秘匿性が拾得者のみならず、その扱いをめぐり相談を受けた者、預かり係の人間の立場が本当にアイニカルに描かれており、面白かった。結末は、冒頭の拾得シーンへ邂逅するようであるが、その描き方にインパクトがなく、残念であった。
今後の公演も楽しみにしております。
男の壁/女の壁

男の壁/女の壁

劇団献身

RAFT(東京都)

2015/02/19 (木) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★

「女の壁」拝見
描かれた女子トークに見られる底意地の「悪さ」「怖さ」が印象的であった。

ネタバレBOX

公演の印象は、ある程度「動き」や「セリフ」は観せてくれたが、芝居全体を包んでいる雰囲気が緩い。友達同士の雑談だが、あまりに普通過ぎてインパクトがない。逆に「動き」は誇張したような表現に違和感がある。
脚本は何を見せようとしたのであろうか。訴えるテーマ、主張なりが分からなかった。芝居は観て魅せてが理想であろうが、その内容が理解できなかった。演出は、コミカルな喜劇仕立てにしようとしていたが、無理矢理に笑いをとりにいった感じであった。
感心した点は親友を自認しつつある二人が、最後に「私、あんたが嫌い」「私も…」という会話。うわべだけの親友顔か、唯一この会話が印象に残ったフレーズである。少なくとも自分にはインスパイアするものが感じられなく、残念であった。
今後の公演に期待しております。
「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

★☆北区AKT STAGE

★☆北区AKT STAGEアトリエ(東京都)

2015/01/18 (日) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★

売春捜査官
熱海殺人事件の登場人物である、部長刑事・木村伝兵衛を女性(草刈麻有)が演じるという別バージョン。他役は伝兵衛のホモの部下、部長の恋人であった熊田刑事、容疑者大山金太郎の4名で行う会話とパワフルな演技が魅力な芝居。熱海の海岸で幼馴染を刹那的に絞殺した犯人を、部長刑事が犯行の動機付けや犯行の背景となった状況を巧みに暴き、犯人の心情を吐露させていくという、一種の心理劇。つか こうへい氏作

ネタバレBOX

この演目が北区AKT STAGE第3期生卒業公演として上演(90分)されることになり、気になっていた研究生女優(Hチーム)がいたので観劇した。何度も観たことのある演目であるが、改めて今にも通じる問題(地域格差、男女差別)や課題(同性愛者の痛み)を含んだ芝居であり、つか氏の慧眼に感心した。
例えば「ここで引くわけにはいかんのですよ。ここで引けば、やっぱり女は使いものにならん。お茶汲みさせときゃイイってもんになるから、世の中の女性のためにも引けんのですよ」と…。カッコイイ言葉がテンポよく出てくる。
さて、演技は研究生卒業公演とは思えない迫真の演技で、他役者(3男優は劇団員)に比べても引けを取らない素晴らしいもの。”○○ファミリー”を垣間見せるアドリブも堂々としており、何よりも”華”があった。できれば「熱海殺人事件」バージョンも演じてほしかった。
今後の活躍も楽しみにしております。
「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

★☆北区AKT STAGE

★☆北区AKT STAGEアトリエ(東京都)

2015/01/18 (日) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

熱海殺人事件 
登場人物は、部長刑事・木村伝兵衛、転任刑事、婦人警官、犯人・大山金太郎の4名で行う会話とパワフルな演技が魅力的な芝居。お決まりの捜査資料をワザと落とし、転任刑事に拾わせる。犯人を花束(今作品では、柔棍棒)で叩くシーンなど見慣れていたが、それでも面白い。
北区AKT STAGE第3期研究生卒業公演…過去に何回も観ている演目であるが、気になっていた研究生がいることから観劇した。場所は北区西が丘劇団稽古場で、3列雛壇の座席。最前列に座った(後々、これが失敗…この列の椅子は背もたれなし)。床に這い蹲るシーンが観にくくなることを我慢するのであれば、後列がよかった。

ネタバレBOX

この、卒業公演は「熱海殺人事件」「売春捜査官」の2演目を交互に上演するものである。観劇してきた日は、気になっていた研究生すべてが、何らかの役で出演することになっていたが、1演目90分×3公演を連続で観ることは耐えられず、2演目で終えた。
さて、N’チームを拝見した。気になっていた女優のダンスはキレがあり、スピードもあった。しかし、演技は緊張なのか役柄に入り込めていないようだ。セリフを間違えないようにという姿勢が見て取れ、生き活き感が伝わってこなかった。
今後の活躍に期待しております。
金色の翼に乗りて

金色の翼に乗りて

ピープルシアター

シアターX(東京都)

2015/02/18 (水) ~ 2015/02/22 (日)公演終了

満足度★★★★

骨太な内容
極めて主張・テーマ性が強い公演である。また、演出は序盤の個人レベルの恋愛観から、複数のフィリピン女性とヤクザが登場するに至り、国家レベルの骨太な作品へ変容させており、その手腕は素晴らしかった。
しかし、少し気になったことも…。

ネタバレBOX

序盤は日本人男性とフィリピン女性(アンナ)の恋愛会話劇。その後、アンナのフィリピン女性友達とそれを追いかけてきたヤクザが登場したところから、在留、在日外国人の意識・問題を扱ったメッセージ性の強い芝居へと変化していく。暗転もなく、登場人物の入れ替わりで舞台雰囲気を一変させる演出手腕…見事だった。
違法滞在しているフィリピン女性の売春行為とそれを仲介、仕切っているヤクザ…ダークな世界を描いており、公演としては興味深かった。たしかに、この芝居の時代背景(マルコス政権崩壊後の数年間)の時は、日本への違法入国・滞在があったようだ。今も完全否定できるかは分からない。しかし、未だに発展途上(格下の国)に見立てているような不快感もあった。
公演の本質は別…国家政策に翻弄される人々の苦悩や苦渋の選択、人間(個人)として、その運命にどう向き合い、折り合いをつけながら生きていくかという重く大きな問題が横たわっている。しかし、現実は存在するだろうことは認識しつつもやはり第三者的な観方(傍観者)になっており、感情移入できない。
演出は前半の男女情愛の会話劇という”静”から、中盤以降の国籍問題を絡めたダーク・アクションという”動”の芝居へ転換させるなど、魅せてくれた。
個々のキャストの演技も素晴らしく、バランスがとれており観応え十分であった。
今後の公演にも期待しております。
必要とされている、と思う病気

必要とされている、と思う病気

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2015/02/14 (土) ~ 2015/02/23 (月)公演終了

満足度★★★★

同感なところもある
案外、自分がいないと仕事をはじめ、色々なことが出来ない、進まないと思っている人が多いかもしれない。自分がいないと困るだろうという自尊心。それは必要であると同時に面倒で持て余す感情でもある。
本公演ではそんな人の心底をくすぐるような面と不安感を募らせる面の長短が観える内容であった。
この舞台は病院内であるが、そのセットが見事である。上手が入院病室内(4人相部屋のベット)、下手がナースステーション(今は別名か?)でその雰囲気がよく出ていた。その配置は単純な二分割セットではなく、下手・上手を遠近造作することで立体規模が感じられた。ドラマの制作現場を覗いているようである。

ネタバレBOX

コント芸人が結核の疑いで入院し、そこの入院患者、見舞い客、家族、および病院関係者(医師、看護師)との交流を描いた話。入院患者の戸惑いと思惑…長期入院による職場復帰への不安、保険受給・無料入院の恩恵など、その出来事は面白い。そして病院側の診療体勢と人間関係(医師と看護師、看護師同士)…責任が増すベテラン看護師と新人看護師の意識のギャップ、職員看護師と派遣看護師の立場壁がコミカルに描かれる。
入院したコント芸人が漫才でいう「ボケ」「ツッコミ」のいずれでもなく緩衝的な立場に安心している様子。結末はシニカルで可笑しいと同時に悲哀も感じさせる秀逸な演出であった。
今後の公演にも期待しております。
僕の内定先は、ショッカーです

僕の内定先は、ショッカーです

劇団サラリーマンチュウニ

上野ストアハウス(東京都)

2015/02/12 (木) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

働くこと?
この公演の主題はなんでしょうか?”働くこと”の意義や動機付けと言ったところでしょうか。それであればインターンシップという短期間で、真に認識できるだろうか。キレイごとだけでは生活出来ない、社会とりわけ「会社」という組織内では仕事の厳しさ、人間関係での悩み、自己啓発という色々な問題・課題が山積する。それを一つひとつクリアーし、それを経験として…偉そうなことは言えないが、だいたいそんな感じではないだろうか(会社勤めだけではない)。その描き方が芝居とはいえ、真剣さが伝わってこなかった。

ネタバレBOX

就職活動中の学生が秘密結社「ショッカー」でインターンシップとして社会(会社勤務)経験し、働く意義のようなものを”知る”ような物語。朝の挨拶が「イーッ」というような叫び声…。会社それぞれ、ルールや慣行がある。朝の挨拶にしてもラジオ体操もその一環と見れば割り切れるので、些細なことは言わない。しかし、会社にとって重要なこと。敢えて比較していたが、「人材育成」「技術革新」「収益確保」のどれもが大切で、相互関係があると思う。描く構図をわかり易くという意図は分かるが、そう短絡的にしなくてもよかったと思う。
さらに組織内の権力争いの末、敗者の腹いせに個人情報を流出させるという暴挙。完全に犯罪でしょう。表層的には面白い演出であるとは思うが、その描いた内容は有り触れたものであり、深みを感じなかった。

今後の公演に期待しております。
u-you,company 14th STAGE『UTSUKE』三部作

u-you,company 14th STAGE『UTSUKE』三部作

u-you.company

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/02/11 (水) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

等身大…
人との関わりを通じて、自我に目覚め成長していく、というテーマ性は分かりやすい。その描き方は、芝居でよく見かける時空間移動というオーソドックスな手法を用いていた。
本公演のキャストは現役アイドルで、等身大の華やかさがあった。
さて、公演そのものは…

ネタバレBOX

「過去」「現在」「未来」の3編があり、自分が観た「現在」編は過去・戦国時代(織田信長が家督相続する前)に繋がっている、という設定である。物語は、崖っぷちのご当地(キャラ)アイドルグループが起死回生を目指したライブの準備活動中に戦国時代にタイムトリップするというもの。
織田信長と出会ったアイドルは、メンバー毎に抱く思いは異なり、それぞれが思い悩む姿が愛おしくなる。天真爛漫なアイドル(表顔)とのギャップを表現し、成長していく様が印象的である。
残念ながら、本公演しか観ていないので、なぜ繋がっているのかという「理由」が分からず、時空間移動が容易に出来てしまうのも物足りない。何らかの制約があり、それを試練という大袈裟なものでなくても、何か克服または乗り越えたような描写があると、緊迫・迫力感が増したと思う。
今後の公演も楽しみにしております。
蠅取り紙 山田家の5人兄妹

蠅取り紙 山田家の5人兄妹

劇団俳協

TACCS1179(東京都)

2015/02/14 (土) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

好公演(Bチーム)
準劇団員の公演…毎回楽しみにしているが、今回も期待を裏切らない好公演であった。脚本は、過去に何回か観たことのある演目であり、今回はその演出と演技に注目して観た。また、毎回感じることであるが、舞台セットが素晴らしい。上手は椅子席のダイニング、下手が畳部屋という二間…小道具等の装飾品も自然に置かれている。

ネタバレBOX

山田家の兄弟姉妹5名(ダブルキャスト)が主な人物。それに三女こずえの亭主・麻倉と母親(共にシングルキャスト)の2名が加わり、計7名が登場人物である。ハワイに行っている母親がいつの間にか帰宅しており、その頃、ハワイで母親が盲腸の手術後の麻酔から目覚めないとの電話が…。”魂”のみが帰宅したと思い込んだ子供たちの狼狽たえが可笑しい。そして、子供たちが現在抱えている「悩み」「思い」を話すシーンが感動的である。子供一人ひとりのキャラクターや役割を描き込んでおり、その気持が手に取るように分かる。家族の在り方に特別な設定はなく、どこの家庭にもありそうな出来事を坦々と描く。しかし、その心情は切ないほど感じ入る見事な演出であった。
それに応えるような演技…同じレベルで調和のとれた芝居は観ていて安心する。本当の兄弟姉妹のようで、その言い争いはどこかの家庭を覗いている様である。
次回公演も楽しみにしております。
poiche

poiche

幻想芸術集団Les Miroirs

シアターシャイン(東京都)

2015/02/13 (金) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

雰囲気はあったが…
公演の全体的な雰囲気は、幻想的・神秘的という謳い文句通りであった。その主な要因は、登場人物の妖艶な衣装、メイクおよび仕草であろう。また舞台セットは奥行きのある舞台スペースを作り出し、前後を仕切るように黒いカーテン(緞帳のように重厚ではない)を張っていた。それは部屋間(舞台側・上手には白いシーツで被われたソファー)または屋内外という区分状況を作り出しており、演出は巧み。ただ、その物語を紡ぐには…。

ネタバレBOX

脚本で疑問を生じた。また、キャストおよび演技に違和感のようなものを感じた。
まず、未完の脚本を仕上げることと同時に芝居が進行する劇中劇の様相を呈するが、その結末に導く伏線のようなものが感じられなかった。主人公タクソス(朝霞ルイさん)が、実はマダム・パフィア(乃々雅ゆう さん)の実子ということであったが、その件は最後に一気に台詞で説明されただけ。さらに、パフィアが連れ去ったのが実子でないプシュケ(麻生玲菜さん)ということ。常識的に考えれば、実の子を連れ出すと思う。2人いるうち、実の子とは知らなかったという前提であろうか?

演技は、男性キャスト(富樫勘九郎さん)が登場するまでは、声が小さく聞き取りづらかった(最前列に座っていた)。その後、男性の声量に応えるように声に張りが出てき、滑舌も良くなった。また女性だけの演技(発声も含め)は宝塚歌劇団のように誇張したようでもあった。それに比べ男性キャストの演技は極めて普通で、同一舞台上ではギャップを感じた。舞台雰囲気の統一感を重要視するのであれば、男性キャスト(中性的な男性ならOK)の登用要否についても一考が必要ではないか。

舞台雰囲気は素晴らしいものがあり、それが特長であることは十分伝わった。
今後の公演も楽しみにしております。
ユメオイビトの航海日誌

ユメオイビトの航海日誌

LIVEDOG

シアターサンモール(東京都)

2015/02/11 (水) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★

エンターテイメント…
その表現が合うような公演であった。ストーリーはそれほど複雑ではなく、幅広い客層に親しまれるような芝居である。だたし、登場人物の掘り下げが浅く、物語が表層的になっていたように感じる。
しかし、自分が観た初日には、演技のかたさは見受けられたが、それでも多くの観客(老若男女)が約2時間40分(途中休憩なし)を楽しんだように談笑が聞こえた。

ネタバレBOX

「ユートピア」を求めての航海…それは古からの言伝え「精霊」と「人間」の共存共栄をもたらす場所を探す冒険である。
少女レナ(楠世蓮)が自由を求めて幽閉されているような場所から逃げようとして、監視者(英国海軍軍人)に殺害され、その死の間際に魂だけを精霊ローサ(フォンチー)の体内に取り込んだところから物語は始まる。この精霊は少女の元恋人で海賊ライド(高木万平)と知り合い…一方、英国海軍内では権力闘争や蘇生薬研究といった話が別展開しており、海賊と海軍の接点として精霊(その力の争奪)の存在がクローズアップされ、それぞれの思惑が絡み活劇の見せ場になってくる。
キャストはアイドル系のビジュアル揃い。しかし、殺陣等の動作は的確・機敏であった。そしてなにより華がある公演であった。
次回公演も楽しみにしております。
ゾンビ沼袋

ゾンビ沼袋

lovepunk

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2015/02/10 (火) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★

体力の続く限りがんばって
女優・安城久美子生誕50周年記念という副題が付いている。もっとも芝居の中では引退公演という台詞が何回も出ており、その都度本人は訂正するようなコメディ場面もある。その生き方が、といっても波瀾万丈ということでもなく、至って平凡であるが故に感じる”私の半生”はという件は共感できる。今の時代、劇的な生き方をしている人は何人いるだろうか(本人の受け止め方の差異はある)。それでも生きる、ゾンビのように復活する、そんなバイタリティー溢れる公演であった。

ネタバレBOX

女子プロレス界をドキュメント制作するという設定。女子プロレス界へ復帰してくるゾンビ沼袋(安城久美子)を中心に、その業界の裏話・暴露話の筋立は面白い。そこは”マッチ・メイク”としてのプロレス”ショー”がある。筋書のある興行・フェイクと悪態つくTV制作サイド、だからヤラセも当然という姿勢で描く。一方、プロレス業界側もショーであることは認めつつも、真剣に取り組んだ試合を主張する。少なくとも自分の信念は持つべきと…多少説教臭くなりかけたが、軽妙な演出・体を張った演技が絶妙のバランスを保ち、最後まで飽きさせることなく観せた。随所に社会批判、反骨精神を散りばめるなど、全体を通して楽しく面白いが、けっして底浅くはない。

クセになりそうな芝居であり、次回公演も楽しみにしております。
完熟リチャード三世

完熟リチャード三世

柿喰う客

吉祥寺シアター(東京都)

2015/02/05 (木) ~ 2015/02/17 (火)公演終了

満足度★★★★

小悪魔的なリチャード三世
女性7名(今までの最少人数)で演じるシェークスピアの「リチャード三世」は、主役のリチャード三世(安藤聖)以外は、一人複数役を行わなければならい。その表現パフォーマンスは、仕草、声色を変える芝居をしているが、それ以上にその人物のキャラクター、役割を掴んだ演技が良かった。
特に、リチャード三世は狡猾、残忍、豪胆な詭弁家であり、シェイクスピア作品の中ではハムレットと並んで演じ甲斐のある役とされている。芝居的には、それを女性ならではの小悪魔に表現(毒々しさは薄れた)しており、魅力ある公演にしていた。

ネタバレBOX

 リチャード三世はその醜い容姿を嘆き恨み、その結果心根も醜悪という設定である。誰もが持ちえているかもしれない人間の心底にあるドス黒い感情。そこは認めたくない”闇の部分”ではあるが、それも含め人間という存在が強調された物語である。
 怪異な容貌と鬱屈した野心のため嫌われ、恐れられつつも巧みに人を惹きつける男の一生を描いている。彼の野望の犠牲となり親を失った子、夫を亡くした妻、子供に先立たれた親の嘆きから、不幸の底にある者でさえ他人の不幸がわからない密やかなエゴイズムが劇中に映し出されていくさまが見事であった。それを女性7名の感情豊かな表現で描き、魅了してくれた。

今後の公演にも期待しております。

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