満足度★★★★
好きな公演です
本公演は新作書下ろし作品で、テーマ性に優れた内容であった。オフィシャルチラシには、SFオペラと印刷されており、当初から「すみだパークスタジオ倉」でのオペラ公演を案内している。もちろんこの劇場がオペラ劇場でないことを承知の上で公演している。当日配布パンフ中で、原作・脚本・作曲・演出担当の神田慶一 氏が「オペラ劇場を離れ、敢えて様々な挑戦の可能性を秘めた芝居小屋で上演するオペラとして様々な挑戦を行っている新作を創り出しました。オペラには不向きな環境かもしれませんが、今までにない形でのオペラ創作のアプローチとして、新たな刺激と魅力と、更にはこのジャンルの可能性を提供する...」と記している。この試みに敬意を表したい。
もともと日本にはオペラ上演する劇場が少なく、あっても東京を始めとした大都市に集中している。地方でオペラを観たいと思っても、その機会が少ないであろう。そういう意味で普通の芝居小屋での挑戦...好きである。
このオペラ劇場ではない小屋で、舞台上手にオーケストラピットを設置し、最低限の編成(14楽器?)で、音楽を奏でていた。本来のオーケストラピットがあれば指揮者は正面から芝居の進行状況に応じてタクトを振ることが出来るが、本公演では難しい。それゆえ指揮者から舞台が見えるよう斜めに指揮台を設置している。先に書いたが、敢えて...の苦心した点であろう。
公演の内容は、現代社会に対する問題提起が鋭い。寓話を装いながら、その描く心底...実に感銘を受けた。
純粋に公演内容だけみれば、いくつか気になる点はあるが、それ以上にテーマ性とそれを演出した力量は素晴らしい。