じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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『Tepes』

『Tepes』

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

ザムザ阿佐谷(東京都)

2009/06/26 (金) ~ 2009/06/30 (火)公演終了

満足度★★★★

第1幕と第3幕は特に印象的
吸血鬼ドラキュラのモデルとなったルーマニアの「串刺し公」ヴラド・ツェペシュに想を得て書き下ろされたフィクションで、序章的な第1幕、タイトルロールであるテペスの少年時代を描いた第2幕、その後を描いた第3、4幕という構成。中でも第1幕と第3幕は特に印象的。
第1幕はテペスの両親を描いたもので、結婚のいきさつから心臓病をかかえて出産した妻(=テペスの母)の葬儀までを、基本の衣装の上にシンプルな上衣(?)を1枚羽織るだけで婚礼衣装や喪服を表現するなど多くを説明せずにそのシーンを観客に悟らせる手法によってテンポ良くダイジェスト的に見せて◎。テンポと言えば第2幕で少年テペスが瞬く間に別役の女性に変わるのも鮮やか。
第3幕は極めてアングラ(特に寺山?)っぽく、テント小屋で演ったらモロじゃん!な内容を、木目のあたたかさが特徴的なこの劇場でストレートプレイまんまな演出で見せるのが面白い。音楽に喩えればギンギンのロックな歌詞を演歌のメロディに載せました、的な?(笑)
で、テペス親子だけでなく別の親子も含めて「親の因果が子に報い」だの「血の呪縛」だのというフレーズがよく似合う内容(ギリシア悲劇に通ずるかも)は、ヘヴィーあるいはビターだが、最後の最後にそれをフッと和らげて終わるのは上手い(あるいは「ズルい」?(笑))。
あと、自分の出生に関してコンプレックスを持つ主人公という部分に前日観た某映画を連想。

ショートストーリーズ

ショートストーリーズ

劇団6番シード

劇団6番シード稽古場(東京都)

2009/06/26 (金) ~ 2009/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★

Bコースっっ!!!
ショートコント「新妻さん、夫婦さん」に連作短編集「取調室A・B・C ~犬と向日葵と秘密基地の話~」を組み合わせた75分。
「新妻さん…」はまさにインパクト命のショートコントながら、「新妻さん」の夫の名前はダイレクトに「スキオ」さんではなく「好夫と書いてヨシオと読むんです!」の方が良かったような気も…
「取調室…」はAとBがコメディでCがハートウォーミングという構成なのでCでは「どこで落とすんだ?」な戸惑いアリ(爆)。
が、少年の父に事情聴取する婦警も母親であり、という設定が巧みで、ラストには往年の山田太一作品などに通ずるものを感じる。

ショートストーリーズ

ショートストーリーズ

劇団6番シード

劇団6番シード稽古場(東京都)

2009/06/26 (金) ~ 2009/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★

Aコースっっ!!!
映画『パニック4rooms』の原案でライトな謎解き系「3人の男とひとりの女」、前回公演『テンリロインディアン』の原案的な「渋谷警察24時ころ」、ラジオドラマを元にイベントでの上演用にリライトしたハートウォーミング系「Re:」の3本で70分。
「3人の…」は自殺をほのめかす携帯メールに慌てて彼女の部屋に駆けつけた3人の男たちが中心で、しかし3人の相手の名前は違っている上に大家が告げた借主の名前はまた別で…というツカミはオッケー、さらに後半の謎解きパートもテンポ良く、短編ならではのキレの良さアリ。映画版はどんなだったんだろう?
「渋谷…」は『テンリロ…』を観ていた身として「なるほど、この設定にいろいろ付け加えてああいう風に仕上がったのね」と大いに納得。
「Re:」は当日パンフにあった「元はラジオドラマの脚本で」という部分をすっかり忘れて観ており、主人公グループにとって未知の相手であるメールの送信主の表現方法を「小説など文字情報であれば簡単なのに、それをよくこういうカタチで舞台に上げたなぁ」と感心。また、親子ネタに弱い身として、ラストにはホロリ。

ナンノチカラ?

ナンノチカラ?

シネマ系スパイスコメディAchiTION!

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/06/26 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

マイルドなバッドエンド
生きることに失望しかかっている男と女それぞれの前にナゾの人物が現れ、彼らに関わる人物が持っていた100円ライターの出どころを遡りながら関係者の持つ「チカラ」を当てろと言い…という物語。
出だしは2組それぞれを交互に描きながら、次第にそれが接近・交差して1つにまとまってゆく構成が巧み。
また、毎度ながら映像の使い方も上手い。超能力で行方不明者を探す番組でのスタジオと現場中継の表現なぞまんまだし。
ただ、必ずしもハッピーではない終わり方なのはちょいとひっかかる。
とはいえ、ロミジュリ風でありつつ悲劇というよりは「マイルドなバッドエンド」ってところなのであくまで「ちょいと」なのだけれども。

Lady BAT

Lady BAT

大路組

六行会ホール(東京都)

2009/06/24 (水) ~ 2009/06/27 (土)公演終了

満足度★★★

歴史再現ドラマのような落ち着き
同じく川島芳子を題材とした月蝕歌劇団の『怪盗ルパン・満洲奇岩城篇 ~川島芳子と少年探偵団~』とは対照的に(笑)ケレン味とはほぼ無縁、歴史再現ドラマのような落ち着いた見せ方で、これはこれでまた面白い。また、芳子の最後の言葉は「男装の麗人」などと伝えられているのは虚像だったのでは?などとも思わせるもので、これには盲点をつかれたようでドキリ!

Benkei

Benkei

K.B.S.Project

ブディストホール(東京都)

2009/06/25 (木) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

「何でもあり」状態で親しみやすい
今回はいくつかある柱のうち古典に独自のアレンジを施す路線で、題材は能の「舟弁慶」。
が、それに「義経千本櫻」の要素も加えて殺陣あり舞ありギャグありミスマガジン出身のアイドル出演までありという「何でもあり」状態で親しみやすい上に当日パンフに人物相関図はあるわ冒頭で平知章が背景となる状況は説明するわで非常にわかりやすくなっており…そのあたりは上手い。
しかも大河ドラマ「新選組」どころではない大胆な設定(笑)も盛り込んでの娯楽作、元ネタを知っていても知らなくても楽しめるというシカケ。(知らないと誤解しそうではあるが…(爆))
さらに卓袱台(!)を使った殺陣なんて滅多に目にできるモンじゃありませんぜ。

不完全版「幸福論」

不完全版「幸福論」

tea for two

「劇」小劇場(東京都)

2009/06/25 (木) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

連作に単品としての個性も加えて
3編オムニバスで第1話が後の2話につながっている構造、2編目は1編目と併行しており3編目は1・2編目のかなり後という構成が面白いのみならず、大笑い系コメディの1編目、「幸福の王子」をそうアレンジしますか、な2編目、「それまでのものとどう繋がるんだ?」な二人芝居の3編目とそれぞれ趣きを異にしており、単品としての個性も持ち合わせているのが巧い。
また、第3話にチラリと幸福論っぽいものが出てくるのも上手い。

クラウド・エンド

クラウド・エンド

激団リジョロ

シアターシャイン(東京都)

2009/06/24 (水) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

どんな事情でも復讐なんてしちゃダメよ
かつて車で死亡事故を起こし服役していた男・大山が出所後に乗った長距離バスで想像を絶する体験をする物語。
観終わっての印象は「重いなぁ、ビターだなぁ」「大山に対するペナルティが重すぎるのでは?」なのだが、その分「どんな理由があろうとも決して復讐などしてはイケナイ」というテーマが強く押し出されているワケで。
今までに観た「復讐の連鎖は断ち切るべき」系のものが主人公が自らの意思(意志?)によって復讐をやめる(あるいはやめさせる)のに対して、本作は復讐をすでにしてしまった主人公がそれに起因した不思議な体験をするということで、閻魔堂の地獄図によって「生前悪いことをすると地獄でヒドい目に遭いますよ」と脅している感覚に近いかも?などと思ったりも。(笑)
また、「賽の河原」的場所で大山が被害者夫妻から謝罪されるのは服役して一般的に罪は償っていても根は優しい人物なので被害者に対してずっと負い目を感じ続けるであろう大山への救いか、と思わせておきながら終盤で、やっと「生きたい」と思い始めた双葉を(苦痛から救うためとはいえ)手にかけなくてはならなくなるというのは、その落差もあってホントにヘヴィー。がしかし非常に巧い。
あと、舞台左右にある階下の楽屋へつながるハッチも劇中で使うために左右も隠さずすべて露わにし、出ハケは客席入口から舞台にむけて設置した花道を使う装置プランや、ほぼ素の舞台に椅子だけ設置してバスの輪郭は照明によって表現するアイデアなども◎。
決してハッピーエンドと言えない終わり方や、大山の行動の意図が曲解されかねない(あるいは理解されにくいかもしれない)ことなどから、万人にオススメとは言いにくいが、個人的には高評価。

センチメンタルヤスコ

センチメンタルヤスコ

CORNFLAKES

笹塚ファクトリー(東京都)

2009/06/23 (火) ~ 2009/07/01 (水)公演終了

満足度★★★

最終的に紗がかかったまま
保険の電話契約担当であるヤスコが首を絞められ担ぎ込まれた病院のロビーに彼女の携帯の受信・発信履歴に過去2ヶ月間名前があった男性が集められ刑事の事情聴取を受け…という物語、3年前の旗揚げ作品とのことながら今回が初見。
首を絞めた者は誰か?という推理系のストーリーではなく、7マタ(!)をかけられていた男たちの証言によってヤスコの「人となり」がクッキリ浮き上がる…という構造ながら、最終的に紗がかかったままのようだったのは惜しい。
一方、劇中の現在と証言内容である過去、あるいは過去同士をクロスさせる見せ方は映画やドラマでも稀に使われることがあるが、やはり舞台ならではの表現で面白い…というか上手い。

ATTLIVE -Live,too Death,too-

ATTLIVE -Live,too Death,too-

ATT

アイピット目白(東京都)

2009/06/23 (火) ~ 2009/06/23 (火)公演終了

満足度★★★★

新ワザや新ネタ満載
ATTの公演としては前年10月の『悪っぱれ』以来、ATT LIVE としては前年5月以来という久々のもので、その間に開発したであろう新ワザや新ネタ満載。むしろオール新作、的な?
中では、一般的な芝居では何度か観たことがある“全く関連のない2つの状況での会話がリンクする”手法を使った「一方その頃」と、お馴染みのCMをATT流にアレンジした「CMごっこ」にウケる。
他に「ラピュタリング上の戦い」のアイデアに感心。
さらに、メンバー紹介的に各人のソロをフィーチャーした「エンディングアクション」も良かったなぁ。そういえばこういうの、今までになく、名前と顔と得意技を覚えるのには最適。フィーチャーされたメンバー以外はマスクをしているってのもナイス。
で、おおかた満足するも、「Happy smile, Happy fool. A-T-T!」の唱和が今回もなかったのはちょっと物足りないような…

知新笑新・噺二題

知新笑新・噺二題

イエロー・ドロップス

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/06/22 (月) ~ 2009/06/23 (火)公演終了

満足度★★★

吉村雄之輔氏の立居振舞
落語や古典をベースにした和のテイスト、ということで、前半は「花魁お染(=品川心中・前段)~だまし蕎麦や~幽霊の辻」の「吹き寄せ」(←音楽で言えばメドレー:約45分)。
「立体落語」とでも言うべきそのスタイルは2月に観た『噺劇と落語の会』の噺劇(しんげき)パートと近い趣向ながらアチラが落語寄りだったのに対してコチラは小劇場系芝居寄り。そのアレンジの違いから、噺劇で感じた「下げでスパンと終わる落語の潔さが失われた」という憾みはほとんど感じず。
中入(本編内容からいって「休憩」よりこっちでしょ?)後の「らくだ」は約50分かけてジックリと見せる。が、終盤はかつて読んだり聴いたりしたものとは異なっており、そんなところも落語だねぇ、みたいな。
で、これのイントロとコーダにあたる部分に登場した吉村雄之輔氏(だよね?)の立居振舞が、何とも色気や愛嬌のあるもので、「技術」ではなく「芸」というのはこういうモノなんだ、な印象を受ける。

ダーリンダーリン

ダーリンダーリン

colorchild

LIVE HOUSE GRAFFITI(東京都)

2009/06/20 (土) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

満足度★★★

ライブハウスの特質を活かして
ストーリー自体は既視感があったり強引だったりするものの、実際のステージを公開録音(録画か?)会場に見立てたシーンがあったり、70年代末から80年代初頭あたりのアイドルポップスを歌って踊ったり、客に振ったりと、ライブハウスの特質を活かしているのが楽しい。
あと、またもや「心の中に入る」ネタがあり、ホントに今年はこれが多いこと。心を病んだ現代の象徴か?(笑)

タバコの煙とコーヒーの湯気

タバコの煙とコーヒーの湯気

オムプロモーション

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/06/13 (土) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★

会話の巧みさは健在
ある喫茶店の閉店後、コーヒーを飲むことができるように自らを訓練(?)する女性従業員とマスターがその日訪れた客たちを話題にあげて…というオープニングに導かれる会話劇オムニバスで、06年4月のペテカンによる初演に新たなエピソードを附加した作品。
観ながら「そうそう、そうだった」というのが少なくて、記憶力がそんなに減退したかと思っていたら、後から新作の方が多いと耳にして一安心、みたいな。(爆)
で、初めて観たペテカン作品である『やわらかな君の髪をなでる』(04年12月)以来舌を巻きっ放しの会話の巧みさは健在。時には自然に、時には誇張されてコミカルに、ホント上手い。
なお、家族ネタに弱い身として「父と娘と」で娘の妊娠を知りさり気なく娘の煙草を隠す父と、「梅雨兄妹」で「母が死ぬワケがない」と力説する兄に涙腺を刺激される。

ふうふうの神様

ふうふうの神様

劇団桟敷童子

ザ・スズナリ(東京都)

2009/06/19 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

「神隠し」をベースに「人隠し」のコワさも
息子が神隠しに遭ったのは幼い頃に神隠しに遭うも5年後に戻ることができた自分のせいではないかと考えた女性が、息子の身代わりになろうと幼少時住んでいた山奥の村に帰り…というところから始まる物語。
民間伝承、民俗信仰、土着宗教的な「神隠し」をベースにしながら神隠しならぬ「人隠し」(戦争、犯罪、失踪などによる人為的な人間消失)のコワさにも触れ、「胡蝶の夢」(ありゃま、またカブり:でもこのネタ、大好きなのでむしろ歓迎!)的要素まで絡ませ、子を喪った(←「亡くした」とは限らない)親の哀しみをもクローズアップして描いて見事。

アンジェラ

アンジェラ

BB団

ウッディシアター中目黒(東京都)

2009/06/19 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★

ポップで若々しく生まれ変わった感じ
Z団による初演(05年11月、@SPACE107)をコンパクトに刈り込んで、ポップで若々しく(!?)生まれ変わった感じ。
また、今回のアンジェラ役の森林永理奈も決して悪くはないのだが、初演時にZ団メンバーのサポートを受けつつ、ストーリーをグイグイ引っ張っていた柳沢なな(当時18歳・初舞台)の力量は大したモノだったなと今さらながら気付く。
さらに、他のキャストに関して初演版を思い出したり思い出せなかったり(爆)もしつつ、「記憶の虫干し」的な楽しみ方もする。

『鯖男にイカの目女』

『鯖男にイカの目女』

リボルブ方式

シアター711(東京都)

2009/06/17 (水) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

満足度★★★

ケラに通ずるセンス
タイトル通りシュール…なんて書き出しを用意していたら、確かにシュールではあるけれど、タイトルから予測していた想定の範囲内にとどまっており、むしろすっトボけた会話のズレ具合や壮大なホラ話に発展するというケラリーノ・サンドロヴィッチに通ずるセンスの印象が上回っており…。
で、終演後に降りてきた主宰はナイロン100℃のTシャツを着ていて「あ~、やっぱりぃ!」みたいな。(笑)
また、冒頭の「スポットライトを浴びない側」であるという独白をする主人公が中央のスポットライトから外れた上手に立っており「暗転中の板付き位置を間違えたわけではありません」とか舞台上に落ちた紙を拾って「舞台中央を示すものでしょうか、いやそうではありません」とか言うメタフィクション系あるいは楽屋落ち気味の台詞も楽しいし、オープニングクレジット映像の終わりのイカだらけの画像でスクリーンを下半分だけにして生の演技と組み合わせてイカの大漁シーンを見せるアイデアもナイス。
あと、ヒロイン・スルメの無表情っぽい台詞回しには前日マチネに観た作品を連想。

ホーンテッドアパート

ホーンテッドアパート

Swanky Rider

ザ・ポケット(東京都)

2009/06/17 (水) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★

あたたかくて後味も◎
あと1ヵ月ほどで結婚1周年を迎える夫婦の住んでいるアパートには以前亡くなった若い女性の霊が幸せそうな若夫婦に嫉妬して祟るという噂があり…な物語、一見ホラー系ながら実は堤泰之の『煙が目にしみる』や柳美里の「雨と夢のあとに」などと同系統の「逝った者がこの世に遺した想い」がテーマなハートウォーミングストーリー。
前述の2作はもちろん、このテの作品が大好きで観慣れて(読み慣れて)いる当然の結果として高くなっていたハードルも楽々クリア、的な?
インチキ霊媒師(『押入れのちよ』にも出てきたな、霊媒師と偽って儲けようとするオバサン)に「声」が聞こえてしまうあたりは『煙…』などこのテの作品でのお約束とはいえやはり楽しいし、(消息不明となっている)夫の「(妻の)わがままの受け止め方がわからず受け流していた」なんて台詞は上手いし、エピローグでの主人公の姉・兄の思いやりがあたたかくて後味も◎。

『LUXOR』『読後感』

『LUXOR』『読後感』

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2009/06/17 (水) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★

『読後感』
『LUXSOR』が理系丸出しだったのに対してこちらはいかにも文系な理屈っぽさ満載(笑)、道に喩えれば理路整然とした京都の街と曲がりくねった山道(獣道?)くらい対照的。
内容的にも「ココロの故障」を片や科学的に内面から、片や言葉によって外面から治そうするハナシだし、装置も白が基調の『LUXSOR』に対してこちらは黒が基調と何から何まで逆というのが面白い。
当初『LUXSOR』のみの予定だったところ「記憶」というキーワードが共通で、初演は2ステージのみであった『読後感』を「歌あわせ」的に組み合わせて交互上演にしたという企画、大成功。

芍麗鳥(シャックリ)

芍麗鳥(シャックリ)

乞局

駅前劇場(東京都)

2009/06/17 (水) ~ 2009/06/22 (月)公演終了

満足度★★★

Don't think, feeeel!
名を捨て身分を捨てて自分たちの理想郷を「建国」して暮らす人々を描いた物語、シュールさとオフビート感覚のブレンド具合が独特にして絶妙。
シュールと言えば屋外(公園らしき場所)なのに上手奥には襖、中央と下手奥には金色の額縁があるという美術もシュールレアリスム(=ルネ・マグリットとか)の絵画を思わせる。
また、第*章・第*節で区切られていることには箱庭円舞曲(アッチは当日パンフに書いてあるだけで劇中で表示したりしないけれど)、公衆便所で暮らしている人物がいるのにはMUの作品を連想。
で、何の比喩であるかとか教訓はあるのかとか、そういったことは読み取ろうとせずひたすら感じるままに観る。だって、「Don't think, feeeel!」系でしょ?(笑)
とかいいつつ、4人に増殖(分裂?)した「女」には「民衆から神と崇められたアノ人」などを連想したが、それは深読み…ってか誤読?(爆)

『LUXOR』『読後感』

『LUXOR』『読後感』

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2009/06/17 (水) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

『LUXSOR』
一言で表現すれば「新感覚SFホラーミステリー」、論理パズルをヒントと解法を与えられながら解いてゆく感覚が「アタマのタイソウ」な前半、「異人たちとの夏」的世界を理系の作家が書くとこうなりますよ、な終盤、ともに従来の SPIRAL MOON にはなかったようなツクリなのに全体に流れるやわらかな空気は変わらず。
また、映画で言えばワイプのように、暗転せずに次の場にスイッチする手法も面白い。後から聞いた話では台本では暗転になっているそうで、こうすることによってブツ切れになる印象が薄ると同時に上演時間短縮にもつながる、的な。

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