じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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夜之音、月之香

夜之音、月之香

劇団パラノイア・エイジ

「劇」小劇場(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了

満足度★★★★★

「春琴抄」後日譚
盲目→聾唖、三味線→絵筆、と一部設定を変えての「春琴抄」後日譚。佐助の献身的な愛を、いかにも昭和30年代前半な空気の中、市川箟監督の金田一シリーズを彷彿とさせる雰囲気も漂わせて描いて見事。

(以下詳述)
物語の狂言回しとなる編集部の面々の衣裳・メイクから、終戦から数年後というのが見てとれ、田舎の風景描写やあぜ道を疾走するトラックなんてシーンはもう目に浮かぶよう。
目的が読めない何やらアヤしげな人物がウロついたり、ヒロインには出生の秘密があったりという「謎」、行方がわからなくなった人物を探す「山狩り」シーン、ストーリーの中心的な人物が自ら命を断つ「悲劇」など、「あのシリーズ」を髣髴とさせる部分が複数。
その中心的な人物が命を断つのが満開の桜の下。1ヵ月ほど前に桜吹雪の中を歩きながら「逝く時はこういう季節がイイなぁ」などと思ったのでイタく共感。
本作では春琴の娘の父親は佐助ではなく利太郎(←この名前は出ず「春琴のパトロン」とだけ語られる)という設定で、佐助はそれを知った上で春琴を孕ませた咎を受けさらに娘もわが子として(というより春琴の忘れ形見として?)愛情を注いで育てるというのが、原作で描かれる「献身的な愛」に通ずるのではないかと。
また、ほぼ黒一色の何もない素に近い舞台に装置は時としてイーゼルや画材、あるいはちゃぶ台が登場する程度の最小限にとどめ、あとは役者の演技だけで見せる「想像力刺激演劇」なところや、クラシックのピアノ曲の印象的な使い方、それに原作を知っている観客への目くばせ、さらに一部の2役の演じ分けとキャラ設定など、あちこちでツボを突かれる。

ネロとパトラッシュと貧乏神

ネロとパトラッシュと貧乏神

CAPTAIN CHIMPANZEE

青山円形劇場(東京都)

2009/05/02 (土) ~ 2009/05/05 (火)公演終了

満足度★★★

親心的なモノを感じて納得
子供が対象だし、当日パンフに「ネロ(青年期)」という役名があることから、少なくとも原作のような悲劇的な結末ではないと予想していたら、「ビンちゃん刺しちゃうのかよ!」な中盤以降意外にもビターテイストになり、ちょっとビックリするも、そこにせよ、コドモにはやや難しいであろう幸福論的な部分にせよ、「こういうのもわかって欲しい」という親心的なモノを感じて納得。

ネタバレBOX

また、このビンちゃんを刺すシーン、躊躇するネロに何かが憑依したかのように表現し、刺した直後から別人格にしてしまうのが巧い逃げ方(笑)で、豹変するのもやむなし…みたいな?(しかも終盤で憑きものが落ちたように我に返るし)
あと、教会焼失シーンの照明や焼け落ちる鐘楼とその後の骨組みを見せた装置もナイス。
Dolce!

Dolce!

O-MATSURI企画merrymaker

シアター風姿花伝(東京都)

2009/04/25 (土) ~ 2009/05/03 (日)公演終了

満足度★★★★

そう来ましたかぁ!
大正浪漫の怪奇探偵ものということでSHAFTの『蒼龍招来 ~桜蘭館怪盗奇譚~』(03年)やしゅうくりー夢の『大正探偵怪奇譚』(06,07年)と同趣向ながら、全体的にユーモラスなこともありそのどちらとも趣を異にするのが独特。
終盤はどちらかと言えばヴァンパイアものと言うよりは「リビングデッド」シリーズのノリで、しかしそれでも笑えたりするのは『バタリアン』(これも原題には「リビングデッド」が使われているんだが)に近いかも。
また、そこを経てのあの人を喰った結末ったら!(笑)
ある意味ハッピーエンドではあるけれど、このテの作品としては予想外で「そう来ましたかぁ!」みたいな…ヤられたなぁ。

ネタバレBOX

しかし考えてみると、ああいう終わり方なら黒十字探偵事務所シリーズとしての続編も可能で、しかも不老不死になったのだから現代編にもでき…ってそれじゃあ丑三進ノ助シリーズとカブるか?(笑)
いずれにせよそういう展開にもちょっと期待。
ソラオの世界

ソラオの世界

劇団たいしゅう小説家

萬劇場(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了

満足度★★★★

21世紀版惑星ピスタチオ
作・演出(とギター弾き語りの「前説ライブ」(笑))が西田シャトナーだけにまさに「21世紀版惑星ピスタチオ」、惑ピスでの手法をバージョンアップした感じ。以前は装置をほとんど使わなかったのが、直方体のフレーム(「装置」にしては非常にシンプルなんだが)4個を組み合わせたり単体(×4)で使ったり音楽をよく使ったりするのも進化した点か?
さらに、小劇場系劇団・ユニット主宰、解散した劇団(複数)の人気役者、ヒーローもの出演経験者、グラビアアイドルなどプロデュース公演ならではの多彩な顔合わせも魅力で、レスキューフォースの隊長が主人公を庇う役どころだったり仮面ライダー王蛇がやっぱり悪役だったりなんて起用も楽しい。
そんなこんなで、それでなくとも面白いであろうところ、作家の作風やら出演者の経歴なども知っている身であるゆえ「割増し」で楽しめたか?

ベイクド・マンション

ベイクド・マンション

シアターキューブリック

シアターサンモール(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/03 (日)公演終了

満足度★★★

好き嫌いが分かれるかも
絵本作家である主人公・かなえが、痛飲した夜に自分を知っているらしい謎の男に導かれて不思議な世界に迷い込み…という物語、「不思議の国のアリス」を想起させる前半はともかく、自身の過去に遡る(記憶の内部に入り込む?)あたり以降は「いろは坂」並みに左右に揺れると言おうか、一旦「あ、そっち系なのね…」と思ったらまた別方向に振(not「触」)れていたりして油断ならない。(笑) 
それはあたかも、甘い・辛い・酸っぱいなどいろいろな調味料で味付けされたエスニック料理の如く、様々な味が微妙に影響しあって「一言では言い表せない複雑な味」に仕上がった感じ。好き嫌いが分かれるかも。

海と媚薬

海と媚薬

ジ~パンズ

銀座みゆき館劇場(東京都)

2009/04/24 (金) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

満足度★★★

思い当たるフシと共感と
病気で入院した友人が惚れた女性の「パンティー」(劇中表現ママ)を、何とかその友人に届けようとするオトコたちを描いたコメディで、全編に「オトコっていくつになっても子供っぽくてバカだねぇ」という自虐的な目線が貫かれており、思い当たるフシがあるどころか、かなり共感。

その一方で、清楚な女性に見えても実は…だったり、「女性が変わってしまうのは釣ったサカナにエサを与えないオトコのせい」なんて台詞があったりなど「深い」(?)部分もアリ。

また、PMC時代は作・演出のみだった静馬主宰が出演しており、しかしメガネなしだったもんでかなり印象が異なっていることにビックリしたりも…。

なお、奇しくも先日観た芝居と同様、ほぼ普通の服装をした役者が犬を演ずるという手法が使われており、今後のトレンドか?などとも思う。
ちなみにこちらは2匹(雄・雌)いたり、犬の言いたいことを理解できる人物がいたり、1匹は実はチワワであると終盤で明かされる「2段オチ」になっていたりで別の味付けもあったワケなのだけれども…。

ささくれリア王

ささくれリア王

椿組

ザ・スズナリ(東京都)

2009/04/24 (金) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

満足度★★★★

大変満足
10周年記念公演1ヶ月前に主演俳優が降板したことにより素人を急造で主役に起用することにした劇団を描いたバックステージ系。
主宰が公演中止を宣言した時の劇団員それぞれのリアルな反応や、(コミカルかつデフォルメ気味の)劇団内恋愛ネタなど、「あぁ、そういうこと、あるんだろうなぁ」などと丸呑みしてしまう。(笑)
また、アングラ出身の外波山文明を、かつて新国劇が好きだった(しかし観る側であって演る側ではない)という設定にして「最近の芝居はワカラン」と言わせてみたり、初めて演技をする素人っぽい芝居をさせてみたり、というのが愉快。
さらに、舞台となるのが稽古場なので(ささくれ団の)過去公演のチラシがあちこちに貼ってあったり、劇団員が過去公演のTシャツを着ていたりして、「風と共にささくれぬ」「ささくりびと」(あと3つくらいあったけれどなんだったっけ?)など、その工夫がこらされたタイトルにも感心。
結末は予定調和っぽくはあったものの、楽しく観ることができ、しかもハッピーエンドなので大変満足。

花見て一杯

花見て一杯

バッカスカッパ

池袋GEKIBA(東京都)

2009/04/25 (土) ~ 2009/04/26 (日)公演終了

満足度★★★★

おバカ満開!(笑)
本公演ではコミカルな部分もありつつリアルな芝居で身につまされたりすることが多いこのユニット、今回は番外公演ということで80分ほどの上演時間に5編(とプロローグ、エピローグまで)を詰め込んだコント・オムニバス、もうおバカ満開でバカバカしいったらありゃあしない!(貶しているのではない:念のため)
また、開演前と終演後の楽屋を描いたプロローグとエピローグに映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』を連想したとかしなかったとか。(笑)

櫻の園

櫻の園

ネルケプランニング

青山円形劇場(東京都)

2009/04/22 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

満足度★★★★

スーパーヒーロータイム!?
94年の初演(この時のみ東京芸術劇場 小ホール1)・再演、一昨年の三演に続いて通算4度目になるが、何度観てもよく出来た作品で、印象に残っているセリフでホロリとしてしまったりもして… 

が、戦隊もののレギュラー経験者2名(ゲキイエロー、風のシズカ)に仮面ライダーのレギュラー2回(555、キバ)経験者1名が主要な3年生という今回の布陣は、スーパーヒーロータイムのファンとしては嬉しいものの、そちらのイメージがまだ残っているので微妙?
いや、彼女たちの責任ではなく、一方的にこちらの「刷り込み」が原因なんだが…(爆)

新橋フロリダ

新橋フロリダ

昭和芸能舎

SPACE107(東京都)

2009/04/21 (火) ~ 2009/04/26 (日)公演終了

満足度★★★

得意の人情系ストーリー
経営に苦しむキャバレーを描いた、羽原主宰お得意の人情系ストーリー、これまたお得意(?)のショー場面も今回がさよなら公演(といっても解散するのでなく次回から「昭和芸能舎」に改名するということなんだが)だけに、冒頭(練習シーン)とラストに配して、従来比2倍、みたいな?(笑)
舞台が昭和45年なだけに客入れ時のBGMから劇中使用曲、当時の出来事などリアルタイムで知っていた身として「昭和か、何もかも懐かしい…」であり、使用曲がイントロドン状態な上に歌手名まで覚えていたってくらいで(爆)
あと、カーテンコール後の「次回公演予告」は、前年の『ラフカット2008』を観ていた身としてニヤリ。

県人会寮桜荘物語

県人会寮桜荘物語

空間製作社

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2009/04/23 (木) ~ 2009/04/26 (日)公演終了

満足度★★★

どことなく昭和の薫り
タイトル通り県人会が運営している「寮的なもの」に住む人々の1年間を描いたもので、設定は20世紀末ながら、どことなく昭和の薫りが漂う…(笑)
雑居系も短編連作も好きで、芝居を観るようになったキッカケの1つに劇団四季のミュージカルがある身として「お子様ランチ状態」と言おうか、好みの三点盛りで、大ロマンスでもファンタジーでも、歴史上の人物の生涯でもない、ごく身近な題材でもミュージカルにできますよ、的なところが斬新。
欲を言えばもう少しダンスナンバーも欲しかったが、舞台中央に廊下部分が突き出している装置ではいたしかたあるまい。
その意味で、題材がストレートプレイっぽいだけに、装置もそっち寄りだったのか、とある意味納得。

BARAGA-鬼ki

BARAGA-鬼ki

演劇集団Z団

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2009/04/22 (水) ~ 2009/04/26 (日)公演終了

満足度★★★

ダイナミックな演出はまさに「娯楽時代劇」
鬼の文字が使われているので伝奇系かと思いきや、土方歳三を主人公に据えた幕末モノ。その意味では一昨年の高杉晋作を描いた第6回公演『ハナレウシ』と同系列。
本作を含む8回の公演(番外公演が1回ある)の中で一番舞台が広いであろうこの会場だけに殺陣を筆頭としたダイナミックな演出はまさに「娯楽時代劇」。オープニングのクレジットや音楽の多用はちょっと映画っぽくさえもあるか?
娯楽という点では女スリと少年のコンビが「志なら持っているぜぃ!」と入隊を志願して、スリは情報収集役に、少年は近藤勇の養子に、なんてエピソードなども絡ませてあるのがミソ。
そんな彩りもあったので、第一幕75分、休憩15分、第二幕95分と、休憩込みで3時間を超える大作もさほど長くは感じず。
ただ、土方の五稜郭での戦いまで描くので終盤でちょっとモタついた感はアリ。

リビング(公演終了!!)

リビング(公演終了!!)

カスガイ

王子小劇場(東京都)

2009/04/22 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

満足度★★★★★

むしろさわやかな印象に仕上がっている
イタい(重いとはちょっと違う?)テーマでありながら全体的にはイタくも重くもならない、どころかむしろさわやかな印象に仕上がっているのが心地好い。ほどよくまぶされたユーモラスな部分もさることながら通奏低音のように姉を心配する弟の気持ちが貫かれているからか?
また、プロフィール写真以外情報がなかったため、その印象から創られたというキャラを演じた渡邊安理、キャラメルでは決して見ることができないであろう役どころで、貴重なモノを観ることができて満足。

テンリロ☆インディアン

テンリロ☆インディアン

劇団6番シード

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2009/04/18 (土) ~ 2009/04/26 (日)公演終了

満足度★★★★

中2日でGIRLS
BOYSバージョンと一部の役の設定が違い、脚本も異なるということだけ知って臨んだら、骨格は同じながら肉付けがだいぶ異なっており、犯人が現場から消失するトリックはこちらの方が手が込んでいる代わりに「空耳」部分の語呂合わせがちょっと苦しいような…
とはいえ、腹話術師ではなくフォークシンガーがいることもあって歌うシーンがあったりもするし、総合的に言えばこちらの方がわずかに見せ場が多い感じか?
なんでも初演時は人間ピラミッドがBOYSのみだったそうで、今回はそれもGIRLSに採り入れたのでバランスが崩れたのかしら?(笑)
で、先に観たことによる刷り込みもあってか基本編のBOYS、応用編のGIRLSのような印象を受けていたら、後から「BOYSを元にGIRLSを書いた」というハナシも耳にして「あ、なるほど」と。

ネタバレBOX

また、先に「肉付けがだいぶ異なる」と書いたけれど、実は真犯人まで違うので、BOYS版の真犯人と対応する役の人物を注視していたらコロリと騙される。(ヤラレタぁ…)
テンリロ☆インディアン

テンリロ☆インディアン

劇団6番シード

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2009/04/18 (土) ~ 2009/04/26 (日)公演終了

満足度★★★★

まずはBOYS
ある事件の容疑者としてアメリカで拘置所に拘留された9人の日本人が真相を推理するという『12人の怒れる男』的作品。鍵となる「空耳」的な部分には『12人の優しい日本人』を、そして一件落着後に意外な真犯人の独り言で一気に真相を明かす「大逆転」ぶりに映画『ユージュアル・サスペクツ』を連想。

The Joker

The Joker

劇団BOOGIE★WOOGIE

d-倉庫(東京都)

2009/04/17 (金) ~ 2009/04/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

実に鮮やか!
1933年のシカゴを舞台にカジノも経営するギャングのジョーカー一派とかつてジョーカーと愛し合ったこともあるクイーン率いる一派の騙しあい、ネタがネタだけに劇中でカードマジック(やカードではないマジック)もいくつか披露し、お約束や楽屋落ち(ただし初めてでもわかるレベル)の適度なギャグもありという娯楽作。
ダブルキャストは1役のみながらキャラが違う上に結末・真相を知った上で観ると「あぁ、ここからもう罠が仕掛けられていたんだな」と改めて気付いたりでき、さらに一部を除いてマジックも違うものなので2度続けても十分に楽しい。
また、時・場所を表す「字幕的なもの」の出し方も演劇的でナイスアイデア。
もちろん、キャスト陣もヒゲや白髪まじりなんてメイク(これがよく似合っているんだ)も含めて役にピタリとハマり、それぞれキャラが立っているのがイイ。

誕生

誕生

TEAM☆イットクルゼ!

劇場MOMO(東京都)

2009/04/15 (水) ~ 2009/04/19 (日)公演終了

満足度

やりたいところのものはよくわかるが
惹句に「タイムスペクタクルファンタジー!」とあるように、梶尾真治のアレに広瀬正の「マイナス・ゼロ」を加えてキャラメル風味(オープニングのダンスとかモノローグの多用とか)に仕上げた「時間SF系」。
やろうとしているところのものはよくわかるが、全体のバランスが悪い(時を超えるまでが長い割に超えてからがアッサリ)上にクロノス・ジョウンターのような時間跳躍マシンで時を超えて以降、続出する疑問点が置き去りなままなのは残念。

風の鎌鼬

風の鎌鼬

Will-o'-the-Wisp

シアター風姿花伝(東京都)

2009/04/17 (金) ~ 2009/04/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

ストーリー、キャスト、スタッフワークそれぞれに満足
チラシの惹句に「古墳時代の抗争劇!」とありつつも、内容説明及び主題曲から半ば予期した通り、『荒野の7人』がベース。(ただしメンバーが3人なだけに集結するプロセス部分はない)
がしかし武器は刀系だし、クライマックスは土砂降りだし、「勝ったのは里人(さとびと)だ」だし、なので原典およびそのまた原典をよく知っている…どころか大好きな身として大いに楽しむ。
またこれが、単なる翻案ではなく、より大きな権力に対して里人たちが立ち向かおうとするところで終わるのが上手いところ。終盤で里人たちが武人(ぶじん)に対して立ち上がるところとこのラストシーンなんてゾクゾクするというか目頭がアツくなるというか、なくらいで。
さらにシンプルながら立場(所属)を一目で識別できる衣裳もナイス。里人たちはシーンによっては武人も演ずるのだが、この衣裳によって観客を混乱させないのは上手い。
他に場転時の(伴うSEも込みで)「つむじ風」を想起させる効果を筆頭とした照明も◎。このサイズの小屋なのにムーヴィング使いまくり、みたいな。(笑)
それもただ使うのではなくキッチリ効果的に使っているワケで。
あと得物のデザインも鎌鼬3人がそれぞれ違っていたりして良かったし、ストーリー、キャスト、スタッフワークそれぞれに満足。

真夜中のファイル

真夜中のファイル

Wit

サンモールスタジオ(東京都)

2009/04/15 (水) ~ 2009/04/19 (日)公演終了

満足度★★★

それぞれ作家性が出たオムニバス
トリプル主宰それぞれの作品4編と翻訳モノ1編のオムニバス、各編の中心人物がそれぞれ何らかの「罪」を犯している(ゆえにその人物が神父に懺悔するところがイントロになっている)という以外にもう1つ「縛り」があった方が全体にまとまりが出たような気がしないでもないが、それぞれ作家性が出ているのは面白い。

大ニンゲン展

大ニンゲン展

ソラトビヨリst.

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2009/04/15 (水) ~ 2009/04/19 (日)公演終了

満足度★★★★

初演と優劣つけ難し
07年7月の第2回公演作品の再演で、今回は中山座長による演出。
人体内の細胞たちを擬人化するという突拍子もない発想が楽しいのは前回同様ながら、今回は舞台が広くなったことで舞台後方を一段高くして立体的に見せるように変わった他、右脳と左脳それぞれに背の高い役者を1人ずつ配して、この2人の演技がアツ苦しいことといったら!(笑)←もちろんイイ意味で
また、大きな違いは夏生が文字通り「闘病」するシーンがなくなりその代わりに善と悪の「カシラ」による殺陣が入ったこと。
今回の方が統一がとれて説得力がある一方で、破天荒さ(笑)に欠ける気もして、一長一短ってところか?(=優劣つけ難し)
あと、ここの特色であるところの出演者それぞれの「名乗り」がいつもながらイイ。

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