満足度★★★★
第1幕と第3幕は特に印象的
吸血鬼ドラキュラのモデルとなったルーマニアの「串刺し公」ヴラド・ツェペシュに想を得て書き下ろされたフィクションで、序章的な第1幕、タイトルロールであるテペスの少年時代を描いた第2幕、その後を描いた第3、4幕という構成。中でも第1幕と第3幕は特に印象的。
第1幕はテペスの両親を描いたもので、結婚のいきさつから心臓病をかかえて出産した妻(=テペスの母)の葬儀までを、基本の衣装の上にシンプルな上衣(?)を1枚羽織るだけで婚礼衣装や喪服を表現するなど多くを説明せずにそのシーンを観客に悟らせる手法によってテンポ良くダイジェスト的に見せて◎。テンポと言えば第2幕で少年テペスが瞬く間に別役の女性に変わるのも鮮やか。
第3幕は極めてアングラ(特に寺山?)っぽく、テント小屋で演ったらモロじゃん!な内容を、木目のあたたかさが特徴的なこの劇場でストレートプレイまんまな演出で見せるのが面白い。音楽に喩えればギンギンのロックな歌詞を演歌のメロディに載せました、的な?(笑)
で、テペス親子だけでなく別の親子も含めて「親の因果が子に報い」だの「血の呪縛」だのというフレーズがよく似合う内容(ギリシア悲劇に通ずるかも)は、ヘヴィーあるいはビターだが、最後の最後にそれをフッと和らげて終わるのは上手い(あるいは「ズルい」?(笑))。
あと、自分の出生に関してコンプレックスを持つ主人公という部分に前日観た某映画を連想。