じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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 RED&WHIITE

RED&WHIITE

8DORI

タイニイアリス(東京都)

2009/12/29 (火) ~ 2010/01/01 (金)公演終了

満足度★★★★

満足満足ゥ
大晦日恒例の「国民行事的番組」の本番中に大物演歌歌手が姿をくらまし、中盤の特別コーナーはなんとか別の演出で切り抜けたものの、大トリとしての彼の出番が刻々と迫って…という基本的にはコメディ。
そんな中に、元ネタを知っていればより笑えるエピソードばかりでなく、アイドル集団出身のデュオや売れないインディーズバンドの事情から最近の某番組への皮肉・批判も盛り込み、最後にはちょっとした感動要素も加えて見事。
脚本と演出が ATTENTION PLEASE! の山縣有斗なので、なるほどそんな取り合わせは『マイハマ・バイス』(09年6月)系だな、などとも思ったり。
前説アナウンスが通りいっぺんのものでなく程よくユーモラスだったりもして、そのセンスで期待値がさらに上昇…というのも『マイハマ・バイス』の時と同様。
また、劇中で中心となる会議室の手前と上手側にホール内の廊下を設置し、下手手前(カタチの上では会議室の片隅)にある半畳ほどのスペースで劇中のホールの舞台ソデを見せるという装置プランも◎。
終盤で明かされる失踪の理由はσ(^-^) の弱点である(笑)親子ネタ絡みだし、そのちょっと前の「事情がよく見えていないんだけど、あなた、今、いい笑顔してる…それをみんなに届けてあげて」なんてメイクさんの台詞も良かったし、満足満足ゥ。

くらやみに降る雪

くらやみに降る雪

and Me

SPACE EDGE(東京都)

2009/12/25 (金) ~ 2009/12/31 (木)公演終了

満足度★★★★

リピートしちゃったし…
高校バレーボール部OG会の二次会、大半がカラオケに流れる中、一部のメンバーは高校の体育館に付設された用具室に集まるが、そこは彼女たちにとっては忘れることができない出来事があった場所で…という物語。
事前情報で「過去の出来事によって心に “くらやみ” を抱える」人物たちが「それを乗り越えて歩き出すスタートライン」の話で「and Me的ファンタジー」であり「未来に続く覚悟と希望のお話」だということを知っていたが、確かに今までの4作品とはテイストが異なる。
中心となるパートの16年前を見せるプロローグは、出だしこそ従来に近くて笑えるものの、重い怪我あるいはそれ以上のダメージを与える事故があったことを暗示して、それが以降のストーリーに影を落とす。それによって、かつてなくシリアスな雰囲気が漂って、緊張感がある感じ。(今まではダレていた、というコトではない…念のため)
だからこそ、それを乗り越えて歩き出す(←その表現がちょっと弱い気もするが)結末は優しく、タイトル通りに雪が降るラストシーンは美しい。
が、終盤での「言いたいことを言ったのでいなくならない」香織ともういなくなってしまっている文緒の対比が切ないのはよく伝わるのものの、そこに持って行くための香織と志穂のギクシャクが唐突に感じられないこともない…。
あと、前説アナウンスが本編の内容に合わせて放課後の学校放送(1回目と開演直前でパターンを変えている)な上にアナウンスがない時でもかすかに放課後の校庭のノイズを流している(開演を告げるのはそのS.E.からのチャイムだし)のがナイスアイデア。
なお、高校バレー部時代の出来事が心のしこりになっているのは1ヶ月ほど前に読んだ瀬尾まいこの「図書館の神様」と共通だし、「高校と雪」ということでは「ヘヴィーな『飯綱おろし』」のようでもあり…。
また、2度目には内容を知っているので終盤で見かけが円香のままでも文緒になっている部分に気付いたりもする。

メッテルニヒ飛行場

メッテルニヒ飛行場

トリのマーク(通称)

ザ・スズナリ(東京都)

2009/12/26 (土) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★

おサカナになったワ・タ・シ
「かつてアパートであったところ(=スズナリ?)」の未来の様子を見せるシリーズ(ってワケではないのか?)、今回は飛行場。ってか、かつてその事務所だった場所である報告書の提出を待っている男と彼をめぐる女性たち…みたいな。
どこかのどかで、しかし微妙にシュールな状況が、終盤で思い切りシュールに変化するのがここらしい…かな?
でもって、待って待って待ちわびて…な展開に漱石の「夢十夜」を連想し、また、女性たちが変身(?)して登場したのには「おサカナになったワ・タ・シ」(by 高沢順子・三東ルシア)を思い出す。
…って、それは単にコトバの上でのハナシで、見た目についてはむしろボッシュ(あるいはボッス、ボス)だったかの絵に描かれた魚の頭に脚が付いたヤツのリアルタイプか?などと今書きながら思ったり…。

スポーツ演劇「すこやか息子」

スポーツ演劇「すこやか息子」

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2009/12/25 (金) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

家族の絆をシッカリ描き込んで好感
エアロビクス風NHK子供向け教育番組(あるいはその逆)的に非常にわかり易く親族・姻族関係を説明する中に家族の絆をシッカリ描き込んで好感。
嫁に行った姉のことを「家族と縁を切ったのですか?」と問う息子に「あちらの家族と縁を結んだのです」と、亡くなった祖母についての「家族ではなくなったのですか?」という問いには「家族の活動に参加できなくなりましたが家族です」と回答するなど見事。
また、看取ることができたり、事後に知らされたりと様々な家族との死別も描かれており、ちょっぴりホロリとしたりも。
で、「休憩」の宣言が出た時(2回くらい?)以外はほぼ身体を動かしていて、その振り付けもキチンと揃っていながら、終盤の側屈だけは身体の柔らかさ・硬さの違いが如実に出てバラバラなのが可笑しい…(完成されたものは崩れるだけなので長持ちさせるために敢えて1本だけサカサマにした日光東照宮陽明門の「逆さ柱」も連想)

ヒットパレード・スペシャル

ヒットパレード・スペシャル

tea for two

劇場MOMO(東京都)

2009/12/22 (火) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

Aプログラム
台詞はすべて心の声で、相手には聞こえないどころか表情や動作がまったく違う受け取られ方になって笑わせる「タッチ」はともかく、2編目以降は「優位性の逆転」が隠しテーマ?などと思ったのは深読みか?
「重き荷を負いて」は終盤で思わぬ展開が2段構えで待っており、「天体観測」では結局兄の方が上手…と言うか妹が釈迦の掌の上の悟空のようにも思えてくる。
「桜坂」は隠しテーマ(なのか?)もさることながら、当日パンフの「言い訳」(笑)に大いに納得。あのザラつきはそういうことからなのか…みたいな?

ヒットパレード・スペシャル

ヒットパレード・スペシャル

tea for two

劇場MOMO(東京都)

2009/12/22 (火) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

Bプログラム
クライマックスでドサクサ紛れに判明する “相談したいこと” の内容でドッと笑わせる「待つわ」、出オチ的なものも含み全編笑いの「TAIN-TRAIN」に続く「大阪で生まれた女」も営業会議(?)の様子で笑わせるのでBプログラムはコメディ編か?と思っていたら、面白うてやがて哀しき…という展開で、しかし力強く立ち直るというのはイイ。
さらに構成が独特にして抜群な「サイレント・イヴ」で締めくくる構成は前菜やスープなどが出されてメインディッシュに至るコース料理の如し。

ヒットパレード・スペシャル

ヒットパレード・スペシャル

tea for two

劇場MOMO(東京都)

2009/12/22 (火) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

Cプログラム
出勤前のサラリーマンを描いた一人芝居「サムライ」、だらしない男とひたすら尽くす女性の「守ってあげたい」という(部分的に)身につまされたりもする(爆)「ダメ男見本市」的な前半、夫婦ではない男女芸人コンビの解散ステージ後、女性の切ない想いがしみる「横恋慕」、クリスマスイブの “小さな奇蹟” に心温まる「すてきなホリディ」という後半の対比が鮮やか。
また、「すてきな…」は回想場面への切り替えとその見せ方も巧い。(とか言って最初はちょっと戸惑ったのだが…(笑))

オサムシ

オサムシ

バジリコFバジオ

駅前劇場(東京都)

2009/12/25 (金) ~ 2009/12/29 (火)公演終了

満足度★★★

裏手塚治虫史
同じく手塚治虫を題材としたLast Brandの『明日のアトム』(08年1月)とはアプローチが全く異なり手塚だけでなく他のマンガ家も3人くらいフィーチャーされるし、内容としては「八割くらいはデタラメ」(←当日パンフより)な「裏手塚治虫史」だし、と対照的なのである意味で対になっており、両方観ると手塚治虫像がより立体的に浮かび上がる、みたいな?
手塚マンガのキャラを「欽ちゃんの仮装大賞か!(笑)」な扮装や人形で登場させたり、同時期(ったって幅が広いが)のマンガやマンガ家のネタが満載だったりもして、おそらく大半がワカった身としてかなりウケる。

椅子

椅子

ZORA

イワト劇場(東京都)

2009/12/25 (金) ~ 2009/12/26 (土)公演終了

満足度★★★★

舞台を軍艦島に設定
廃墟のような部屋(加藤ちかによる美術がステキ)で暮らしているらしき老夫婦の会話(←いかにもイヨネスコ(笑))が続き、やがてその部屋には次々と客が訪れ…な物語。
客が増える度に椅子(の代用となるもの)を出しては会話をするが、その「客」は観客には見えず、「もしかすると彼らにしか見えないナニカでは?」と思っていたところに「弁士」(←冒頭から会話には出ていた)が現れて、老夫婦がいる舞台両側の照明が青白いものとなり、普通の照明の中の弁士とその娘が花束を持っている(そういえば弁士は喪服なのだった←花束の後に気付いた)ことでやっと老夫婦の素状が判明するのが舞台表現ならではで面白い。
また、老夫婦と弁士親子が同時に登場しているシーンも、時間的に同時なのかあるいは過去と現在をオーバーラップさせているのか、どちらにもとれるというのも巧い。
さらに終演後に関係者から舞台を軍艦島に設定した翻案であると聞き大いに納得。

音もなく しぐれ降る 晩秋にて 候

音もなく しぐれ降る 晩秋にて 候

プロペラ☆サーカス

d-倉庫(東京都)

2009/12/23 (水) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★

「信長史」を2時間弱に圧縮したのはアッパレ
織田信長を中心とした戦国絵巻、2~3役を演じる役者が複数いたり、秀吉が太閤になってからのシーンが時折差し挟まれたりするので、その頃の歴史についてアバウトにしか知らず登場人物の親族・姻戚関係にも疎い身(爆)としてはついて行くのが大変ではあったが「信長史」を大河ドラマの総集編よろしく(笑)2時間弱に圧縮したのはアッパレ。
また、幼少時のホトトギスにまつわるエピソード(創作と思われるが見事)&前田利家が部下となるシーンという冒頭を再現して終わるのがイイ感じ。

108本のびんといくつものため息

108本のびんといくつものため息

空鼎鬧

劇場HOPE(東京都)

2009/12/23 (水) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★

Cプログラムのみ観劇
A・B・Cそれぞれ異なった3つの短篇を1つの共通のストーリーを合間に挟んで見せる(=全部で10話)という企画、最初にチラシを見た時に単なるトリプルキャストと思いこんでしまい、3バージョンあると知った時にはすでに他のコマがすべてふさがっており…というのが残念。
1編目の「シャンメリー」は不倫もので男の妻まで登場するのにドロドロとかそういった感じがあまりしないのが不思議。
続く2編目の「メッセージ・イン・ザ・ボトル」は「不幸のボトル通信(これと同じ文章を30本のボトルに入れて流さないと…)」や「高校のボトル通信同好会」などという発想が楽しい。
3編目、「香水びん」は切ないオンナゴコロとちりばめられた映画ネタが好みだし、「みか」につけられた「メカちゃん」というニックネームも愉快。
また、大谷なおりに津留崎夏子に似たたたずまいを感じたりもして。
がしかし、それらをつなぐ(←内容的に、ということではなくあくまで構成上)「アバンストーリー」はいくつかツッコミどころが…。
まず、ボウフラを養殖(?)するハナシは単なる振りにとどまり、帰結しないのが半端な印象。
また、演奏後はみんなで飛び降りるとか言っていたのはどうしたの?な感なきにしも非ず。
そもそも先立つだけではないので「アバン」じゃないじゃん!(笑)
…とはいえ、びんの演奏(時節柄曲目はやっぱり「Happy X'mas (War is Over)」だ)がステキだったので「終わり良ければすべて良し」かも…。

タマリ

タマリ

劇団K助

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/12/22 (火) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

変形バックステージコメディ
年末恒例の「あの人は今?」的特番に出演するかつて人気を博した役者や歌手、芸人たちが集まっている控室(=溜り=タマリ)に銃を持った覆面の男が押し入って…という状況から始まる物語。
しかし覆面の男が実は仕込みというドッキリ企画だったのにアッサリそれがバレてしまい、窮地に陥ったディレクターがドッキリにひっかかった演技をするやらせをもちかけ…といういわば変形バックステージコメディ、そのテが好きな身としてはタマラン。
しかも基本的にはコメディでありながら、かつてCMの「こども船長」(笑)でブレイクして12歳で(!)劇団を立ち上げ作・演出もこなしたものの現在はなかずとばずで辞めることを考えていた俳優を筆頭とした「どん底」な面々が「現状からだったらいくらでも立ち直ることができる」とポジティブになる終盤は感動的だし、存在感が薄く唯一見せ場がなかった「おワン子クラブ」(笑)出身のアイドルにスポットが当たる締め方もイイし、序盤でホワイトボードに書いておいた「盛り上がる要素」が最終的にすべて揃うというのは巧い。

冬のジャンゴフェスタ2009

冬のジャンゴフェスタ2009

劇団S.W.A.T!

「劇」小劇場(東京都)

2009/12/09 (水) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

完結編に相応しい仕上がり(III)
まずはジャンゴよりも先にシンゴが登場するという掟破りな始まり方をし、しかしそれ以降は前2作での「お約束」をキチンと踏襲しながらも「シリーズ最大の敵」「ピンチに陥った主人公に力を貸すかつてのライバル」などの新要素を加えて完結編に相応しい仕上がり。
甘えに起因する疎ましさ(「姉や妹なんていなくなっちゃえばいいのに」)を上回る姉妹愛や、シリーズ共通の「自分はどうなってもいいからあの人を助けて」な場面で泣かせるのもやはり巧い。
また、天使に左手を切り落とされてギターを弾くことができないサダエルに、ヒロインの妹でパンクバンドをやっている花穂が「アタシがアンタの左手になるよ」と連弾(?)するのは愉快。高石ともやとナターシャ・セブンの「5人ばやし」(5人が4つの楽器を使い、自分の右隣の相手の楽器のフレットを押さえて自分の楽器の弦を爪弾く)を思い出したりもして。

パッチギ!

パッチギ!

フジテレビジョン

新国立劇場 中劇場(東京都)

2009/12/04 (金) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★

8,000円の元は十分に取れた
たとえばキョンジャがブラスバンド部ではないなどちょっとした設定の違いはありつつ、原作である映画と同じ羽原大介の脚本(&井筒和幸の総監修)なので、映画が大のお気に入りである身にとっても文句ナシ。
第1幕のクライマックスとなるアンソンの送別会での「リンジンガン」(映画では日本語詞だったようだがこちらは原語)はやはり泣けたし、その前に女優陣による朝鮮舞踊を入れた演出も○。
第2幕では、映画でカットを重ねて見せた通夜・日朝決戦大喧嘩・出産・ラジオ出演と4つの出来事が重なるクライマックスをどうするんだろう?と思っていたら、やはり舞台ならではの表現で見せてくれてこちらも◎。
また、浅見れいなが楊原京子の役どころにつき出番が少なかった代わりに真木よう子の役どころであるちすんの出番が多かったのでトントンってところ?
ほかにキャスト関連では渡辺哲や小市慢太郎、峯村リエなんてあたりがさすがな味を出しているほか、昭和芸能舎メンバーも的確なサポート。
「映画ではどうだったっけ?」な部分もある一方、カット割まで含めて鮮明に覚えているシーンもあり、そんな「記憶の虫干し」もできたし、S席8,000円というのはフトコロへの少なからぬ打撃ではあったものの「やっぱり6,500円のA席で十分だった」なんてことはなく、むしろ元は十分に取れた、的な。

男舞~オトコマイ~

男舞~オトコマイ~

劇団男魂(メンソウル)

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2009/12/17 (木) ~ 2009/12/28 (月)公演終了

満足度★★★★

極道×HIPHOP
優勝すれば芸能界デビューというダンスコンテストに出場する一人娘の芸能界入りを心配する組長が、その優勝を阻止するべく組員を率いてコンテストに出場しようとするが…な物語。
極道×HIPHOPというミスマッチなものを、リアリティはともかく(笑)芝居のウソとして十分に成立させているばかりでなく、コメディ要素や親子ネタまでバランス良く取り入れて見事。
その「極道」についても「美学」と「コワい部分」を共に描いており、しかも極道関連の面々がメイクのためもあってかいかにもいそうな感じで…(笑)
親子ネタに関しては「私が踊っているところなんて見たことないくせに」から「踊ってみる?」を経ての「ドック・オブ・ザ・ベイ」で涙をこらえきれず、ってか「ベッドを抜け出して…」のあたりからすでにヤバかったし…やはりソレが弱点なσ(^-^) なのであった。

protest

protest

劇団熱血天使

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2009/12/18 (金) ~ 2009/12/22 (火)公演終了

満足度★★★★

やるなぁ、ワカモノ!
若き日のオリバー・クロムウェルが、師であるビヤード牧師の逮捕と死によって失意の底に沈み、そこから立ち直るまでを描いた歴史系。
クロムウェル(とその妻)を紀元前のギリシアを民主化に導いたクレイステネス(とその妻)の転生とし、かつてのギリシアの巫女(転生というよりは霊的なナニカになった本人か?)が彼らを導くという「裏歴史」的な発想が面白い上に、クレステイネスに「知らない国の若者になっている夢を見た」などと言わせて「胡蝶の夢」にしたエピローグにツボを突かれる。
しかもこのエピローグ、プロローグでギリシアの良い巫女と悪い巫女(笑)のエピソードを見せているので対になっているワケで…。
なんでも作・演出はまだ大学在学中の21歳(!)とのことで、「やるなぁ、ワカモノ!」みたいな…(笑)

おぼろ

おぼろ

ゲキバカ

吉祥寺シアター(東京都)

2009/12/16 (水) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★

コメディ風味の娯楽時代劇
お披露目公演ということで、本編の前に劇団員(=主宰と7人の男優)による口上と自己紹介があり、それと続いての吉田兄弟(だよね)の曲に乗せたオープニングダンスとでハートを鷲掴みにされる。
以降の本編は比較的基本に忠実な義賊ものに「500年後から来た双子」などというトンデモ系(笑)の要素を加えたコメディ風味の娯楽時代劇で、ZABADAKや上々颱風、スウィングジャズも使う選曲や台詞にさり気なく織り込まれた歌詞(「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ…POISON」とか)にツボを突かれる。
また、観ながら「そう言えば『カゴツルベ』もここで観たんだっけ…」などと思っていたら、終盤でパなく降りしきる雪が共通だったという。
共通と言えば
 1.からくり人形(あるいはからくり人間)が登場する時代劇
 2.吉祥寺で上演
 3.終盤で雪が降る
の3点が数日前に前進座劇場で観たものとカブっており…(@_@)

幸福な王子

幸福な王子

yOsuka

遊空間がざびぃ(東京都)

2009/12/19 (土) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★

“主題と変奏曲” 的スタイル
オスカー・ワイルドのあの有名童話を楽園王+の長堀博士の作・演出でという企画、ちょっとしたプロローグの後に展開されるのは思いの外原作に忠実なストーリーで少なからず驚いていたら、続いて上演された「シンクロ」(←第2章と当日パンフに銘打たれている)が「幸福の…」をベースにしたオリジナルストーリーなので「あぁ、“主題と変奏曲” 的なスタイルなのね」と納得。
で、キモの部分だけ覚えていた原作を「あぁ、そうだった」と懐かしく思い出すとともに当日パンフに感化されたのか「確かにワカラン」な感も…(笑)
また、王子からの「贈り物」を届けることで他人の幸福を目の当たりにし、おそらくはそれを我がことのように感じながら最後に力尽きるツバメにちょっとだけ「マッチ売りの少女」(←not 別役作品)を連想。
あと、「シンクロ」が実は原典の中で王子が「贈り物」をする先の1つを描いたスピンアウト(とはちょっと違うか?)作品であることが最後に判明するというのは巧い。
なお、奇しくも対面式客席で車椅子に乗った人物が出て来るというのが前々日に観たものとカブる。ホントに今年はカブりが多いこと…(って、前々日の車椅子は予定外なモノなんだが(笑))

西遊記前戯

西遊記前戯

スキマニ

ブディストホール(東京都)

2009/12/18 (金) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★

妖怪・化け物DAYその2
ダークな「リアルタイプ西遊記」、σ(^-^) の知っている門肇作品は SPIRAL MOON への脚本(多数)、パーマ企画での作・演出(2作)、映画『隣人13号』の脚本、とそれぞれテイストが異なっており、今回は「強いて言えば」の限定条件で『隣人…』に近い感覚か。
石から生まれたがあまりの悪行ぶりに釈迦によって封印された孫悟空が、500年後にその封印を解いた玄奘三蔵に同行することになり、猪八戒や沙悟浄と出会い「3人のお伴」が揃うまでを描いたもので、悟空、八戒、悟浄を「化け物」として扱っている(あるいは彼らの化け物としての面を強調している)のが新しい。
また、白塗りや隈取りという見た目だけでなく、台詞回しや感情表現などにも歌舞伎&アングラのテイストをたっぷり感じる。
で、歌舞伎ってば今でこそ伝統芸能という格調高いもののような扱いだけれど、発祥の頃は思いっ切りアングラだったワケで、そんなことに気付いたりもできて楽しからずや。
もちろん京劇っぽい雰囲気もあるし、「ちゃっぱ」のような、あるいは韓国シンバルのような打楽器も使うので東洋系無国籍な感じか?(はたまた上々颱風チックとか?(笑))
さらに悟空のアタマの輪っかがキリストがゴルゴダの丘へ向かう途中にかぶせられた棘の冠のようなデザインなのも面白い。(「確かに痛そう」ってコトだけではなく(笑))
他に、内容的には悟空の息子が見た目は石ながら実は生きていて仏の道に帰依した者だけがその声を聞くことができるなんて設定、表現的には「釈迦の掌」関連でそれぞれの指を役者が演ずるなんて手法が印象に残る。

天河鈴の妖霊病症録 鬼の巻

天河鈴の妖霊病症録 鬼の巻

Office《RELAX》

六行会ホール(東京都)

2009/12/16 (水) ~ 2009/12/20 (日)公演終了

満足度★★★

妖怪・化け物DAYその1
人間界で思い悩み行き場の無くなった心あるいは魂が妖怪たちの世界に迷い込み、そこで妖精・天河鈴たちによって癒される(?)という世界観の物語。
和洋折衷というか、日本と西洋の妖怪(あるいはモンスター)が同居した妖怪世界ではそれぞれキャラが活かされているものの、バンシーの元ネタを知らなかったのがちょっとクヤしい。
一方、人の心に巣食うモノが人を鬼に変える、というあたりは民俗学的な部分も含めて大いに納得と言おうか共感と言おうか…。またその角のデザイン・造形もステキ。

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