満足度★★★★★
西村太佑の新境地
1年契約で顧客に「買われる」職業の女性が存在する「もう1つの日本」、父は金だけ渡して再婚し(後に死亡)母は出て行ったきり戻らずで一人ひきこもる少女が残った金をはたいて「吉田さん」を購入し…。一方、その少女が愛読するホラーマンガの作者(今年になって3本目の女流マンガ家モノだ)はアシスタントとして複数の女性を買って使っており…な物語。
買われる職業に就く女性たちは全員が人を殺した過去を持つ、など珍しくダークな一面もあるものの重くはならず、笑いを交えながらも親としての責任放棄にも言及し、単に「女性のみ(オープニングの生アナウンスのみ通常通り尾形雅宏)のグワィ」ではなく「西村太佑の新境地」といった感じ。
一方、その職業の原点は江戸時代の湯女であるという説明(「本体」が口頭で行なっている設定)を劇中劇風に見せたり、「買われる」側の研修の様子も挿入したり、などのアイデアあふれる見せ方はおなじみの「西村節」で、そういう意味で「一粒で二度オイしい」な感じ。
そんな挿入部分もありつつ、前半は少女の話が中心で、「少女が冷蔵庫に保存していたもの」を明かす直前でマンガ家側のストーリー(前半にも時々挿入されてはいる)に移り、少女が新人の「お試し」的に派遣されると、その日で契約満了となる女性が行方をくらました母であることが判明してクライマックスを迎え「冷蔵庫の中身」も含めてストーリーを収束させる構造がまた見事。
思い返すとクライマックスを中心に哀しい部分も少なからずあり、ホントに新境地。
が、モロモロを含めてテッパンであることに変わりはなく、今回も満足満足ゥ。
なお、タイトルの読みは「にょにょにょ」で、終幕近くに少女がする「姦しい」の読み違い。