★★★捲土重来?再上陸を期待して

明るいドタバタを通じて、ある集団に参加する人々の個人的事情を紐解き、集団における彼らの「ふるまい」を注視していく……のだけど、やっぱりドタバタもしちゃうよ!、というコメディー。キレがよく明るい演技には、このごろの口語演劇にはあまり見られないサービス精神と潔さを感じました。

レタス工場のサークルの話、のはずが、どんどんと宇宙サイズの物語へ変わっていく展開は、破天荒というかなんというか……なかなか追いつけないなぁとも思ったのですが、その飛躍自体は楽しかったです。
ボイスパーカッション、パイプ椅子をつかったフォーメーションで見せる場面も巧みです。宣伝等でもアピールされているようでしたが、似たような演出をされる他の芝居(といってもそれほど経験はないですが)と比べても、完成度は高いのではないでしょうか。

 明るくて、ヒューマンなのに、「ふるまい」に着目するなんて、どこかちょっとだけ(SFらしい?)醒めた視線が入る辺りに個性も感じさせる集団。欲を言えば、で、あるからこそ、今以上に、このオリジナリティのある作風もどんどんアピールし、育てていただけるといいかも!と思いました。


公演中止で、結果的に数少ない観客の一人、になってしまいましたが、今後のリベンジにも期待しつつ、書いておきます。

★★★地震で東京公演6ステージを中止。大阪公演に伺いました。

 東京公演の3月11日昼公演を観ている時に地震が起きました。制作さんの冷静かつ適切な誘導により、観客は全員無事に劇場の外に避難することができました。外に出てからも出演者の皆さんが気さくに声をかけてくださったおかげで、落ち着いて行動できました。チケットの日時変更や払い戻しについての連絡方法もその場で説明してくださったので、小劇場公演の主催者への信用が増したと思います。本当にありがとうございました。

 3月11日からほぼ20日後の大阪公演では、劇団のファンらしいお客様も多数いらしてアットホームな雰囲気。東京公演よりも役者さんの演技が洗練されていて見やすかったです。

 大がかりな装置はほぼなく、主な小道具はパイプイスとテーブルぐらい。登場人物は同一色のつなぎルックにビジュアルを統一し、セリフと動きでストーリーを進めていきます。
 レタスだけを栽培する工場のレクリエーション部という設定には、閉鎖的で奇妙なイメージがあり、"新入り"の不審な行動が謎を呼ぶのも面白いと思いましたが、その後の荒唐無稽な展開にはついていけず。

★★★★★大阪まで観に行った価値あり。

パイプ椅子を使った演劇ということで、フィジカルシアター的な芝居かと思ったが、今回の作品はポップな人情喜劇という雰囲気だった。役者ひとりひとりが魅力的で、その魅力的な役者陣が見事なチームワークで1+1が3にも4にもなるような面白さを感じさせてくれた。

SF風な味付けをしているが、物語の根底は人間愛。最後に人情物語が壮大な宇宙物語に切り替わったが、とても楽しめた。上質なエンターテイメントを堪能出来た。ただ、ラストのどんでん返しの連続は少し広げすぎたのではないかと思う。

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