★★★早くも安定かな?

「犬と串」は、「卒業物語」「メスブタ」についで3度目です。
今作のチラシには、メルヘンワールドと書かれていたので、思いっきり方向転換してくるかと期待も大きかったけれど、もはやお得意の方向性で。
90分。

★★★★若さを実感

ありとあらゆる言葉、演出が計算され尽くした芝居の完成度も
観劇の楽しみだが、
荒削りな中に垣間見える、勢いとパワーもまた、
観劇の楽しみです。

★★★★現在にとどまることなく

早稲田の劇研を母体に旗揚げされた『犬と串』。粗があるけど、パワーで押し切る、というような、いわゆる”学生劇団らしさ”はもちろんありますが、もはやその域を越えた完成度の高さを見せてくれました。

★★★明るく発散させる若いパワーを、内側にも向けて欲しい

 早稲田大学内で上演される学生演劇を観ると、作品の内容はともかく、公演自体がとても立派だなぁと思います。装置、照明などのスタッフワークが充実していて、観客は満員に近いほど入っており、チケット収入を見込んだ演劇公演としてきちんと成立させていることが多いからです。
 でも今作は「CoRich舞台芸術まつり!2009春」最終選考作品ですので、“学生演劇なので”と甘めに観ることはせず、他公演と同じ視点からクチコミを書かせていただきます。

 コント風のオープニングを経て黒幕が開くと、巨大なプリン・アラモードといちごケーキで出来た豪華な舞台美術が現れました。こってり広がった乙女ワールドで、美味しいケーキ屋、優しい草食系男子の国、処女と童貞の妖精だけの編集部という3つのコミュニティーが、徐々に崩壊していく様子を描きます。 

 残念ながら、役者さんはセリフを一方的に吐き出すようにしゃべる方が多かったです。型にはまった動きでがむしゃらにつっ走られても、私にはあまり魅力が感じられませんでした。元気なのは素敵ですが、放出するだけでは退屈してしまいます。
 男子が上半身裸になるシーンが多く、少々戸惑いましたが、皆さんしっかり鍛えてらっしゃるので不快感はゼロ。作品全体としては、もっとハチャメチャで弾けた演出があってもいいんじゃないかと思いました。

★★★★★若さだけじゃない、才能を感じた。

明るく面白いファンタジー仕立ての中に、毒を盛りこんだり、人生の矛盾をついたり、そして青春のやるせなさやはかなさまで盛り込んで、これでもかこれでもかという盛りだくさんのデコレーションケーキである。

完成した芝居や、優等生的な芝居を求める方にはお奨めしない。しかし、荒削りでも胸にささるするどい感性に触れたいと思う方、将来大化けするかもしれない若い才能にいち早く接したいと思う方、必見である。

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