★★★★★これが北京蝶々か!?

と、思うくらい良い意味で肩の力が抜けて観やすい作品になっていると思います。北京は、「コントローラー」から観ていますが、脚本、演出面での意外性などはないけれど、今まで観たどの作品よりも愛すべき作品でした。
90分。

★★★★愛ですね。

人間の嫌な部分、特に恋愛時や閉鎖時に起きるエゴが取り上げられているにもかかわらず、不愉快さを感じない舞台でした。
暴走も過激さも必要としない、安定した真摯な作品作りが、
非常に心地良かったです。

★★★社会の縮図で何を描く?

どちらかというと硬派な作風というイメージがあった北京蝶々。今回ももちろんそういった部分を残しつつ、でもいつもよりキャッチーな印象を受けました。

★★★隔離空間のリアルを俳優の身体から感じたい

 擬似地球“バイオスフィア2”にて自給自足生活を送る8人の男女と、彼らを外部から観察する研究者たち。OFF OFFシアターの舞台上にある柱を活用して、上手側に研究室、柱を挟んで中央および下手にバイオスフィア内部を対置させた具象美術でした。茂った木々に実る作物も丁寧に作りこまれた美術は見ごたえあり。文字映像で上手壁に居住者たちの日記を表示し、人物の背景を伝えていました。

 スフィア内は農作物の収穫が少なく、海洋地区が汚染されて魚が取れないなどの食糧危機にあり、居住者は常に飢えていているはずなのですが、役者さんの演技は状態を説明する型どおりのもので、私には切迫感や恐怖、狂気、そして殺気などが感じられず。残念ながら、物語の起承転結が体を素通りしていくようでした。例えばシミュレーションゲーム「シムシティ」(古いですね)や冒険もののロール・プレイング・ゲーム等で、画面上の架空の街を攻略していくような手軽さに似てる気がしました。お好きな方もいらっしゃると思います。

 敢えてリアリティを求めない演出だったのだとすれば、一観客の個人的でわがままな願いではありますが、隔離された空間でのサバイバル以上に、意外だったりわくわくするものが欲しかったですね。
 北京蝶々の作品を観るのは初めてでした。作・演出の方は慎重に考えた末に題材や視点を選択されているようなので、また違った作品も観てみたいと思います。

★★★★力作、意欲作、目の付け所の違い。

 最近日常を等身大に描く劇団が増えている中、北京蝶々はシチュエーションやドラマの設定を大事にする劇団である。

 まず、バイオスファイア2に目をつけ、これを元にドラマを作ろうと思ったことに作者の(演劇的)意識の高さを感じる。そしてこの難しいテーマを個性的な登場人物の設定で非常に見やすいものにした。

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