最新の観てきた!クチコミ一覧

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リング・アウト

リング・アウト

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/09/27 (金) 15:00

帰国後10数年ぶりにお笑い系舞台を拝見。始まりは大声上げてのドタバタ喜劇と思いきや、ストーリー性のあるお笑いで楽しめました。途中話の急展開に唐突なところもあり、筋書つくりに苦労した跡もうかがい知ることができました。役者さんの個性が生かされていましたが、あともう少し笑いの大きな波が欲しかったというのが本音です。

白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

滅茶苦茶面白い。
タイトルだけでずっと観たかったのは今作と鵺的の『悪魔を汚せ』。全く情報を入れずに観たのが正解。ラビット番長は再演を度々行なってくれるのが本当に有難い。
ホラーなのかと思っていたらガッチリした人間ドラマ。改めてチラシを見るとよく出来たイラストだ。まさにこれ。場面転換に使うのは土間と板の間を遮る障子戸、左に3枚右に3枚。

北海道の北西部苫前(とままえ)郡を旅行していた2組の大学生カップル(宇田川佳寿記氏&鈴木彩愛さん、金田央〈ひろと〉氏&青山真梨さん)。渋滞を避けようと脇道に入ったところホワイトアウトに遭い車の中で暖を取る。ガソリンも底を尽き救助を呼ぼうと外に出、一軒の建物の灯りに辿り着く。廃墟のような小屋には老人(松沢英明氏)が独り、一晩泊めて貰うことに。「何でこんな廃村に一人でいるのか?」皆が不思議に思う。「それを伝えるには長い昔話が必要だ」と老人はゆっくりと話し始める。時は1915年(大正4年)、日清日露戦争に日本が勝利し第一次世界大戦に参戦した時代の物語。

ラビット番長オールスターズ、皆適材適所に適役でハマっている。
鈴木彩愛さん、江崎香澄さん、流石の見せ場。
子役の酒井碧葉君、大崎嬉(うれい)ちゃん、プロの仕事。
MVPは傲岸不遜の陸軍隊長・宮沢天氏。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

一人、女性が途中退席したが駄目な人には本当に駄目な話なんだろう。かなりグロテスクなスプラッター・シーン。小道具の完成度には感心。見せ方も練りに練っている。サウンド面もガッチリ。スピーディーな障子の張替えも見事。この劇団の最大の武器が映画のようなカット割り。パッパッパッと絶妙に切り替わる。

物語は三毛別羆(さんけべつひぐま)事件。口先から後ろ脚の踵までの長さが2.7メートル(立てば3.5メートル以上)、体重340kgのエゾヒグマが開拓村を襲い、2日間で死者7名重症者3名を出した。日本史上最悪の熊害(ゆうがい)と呼ばれている。吉村昭が書いた小説『羆嵐(くまあらし)』が有名。木村盛武が調べて著した「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」が基になっている。味を覚えた人間の女性の肉だけを執拗に狙い喰らう化物。

当時、村長の息子だった大川春義(6歳)は幼いながらにヒグマに対し激しい復讐心を抱く。「殺された村民一人につき10頭のヒグマを殺す」と犠牲者の霊前で誓った。マタギになり、1977年(昭和52年)、102頭目のヒグマを殺したところで引退。8年後、事件の70回忌法要の記念講演の壇上で突然死。

思い出すのは千葉真一の初監督作品、『リメインズ 美しき勇者(つわもの)たち』。人食い熊に復讐を誓ったマタギの物語。JAC創立20周年記念作品でメチャクチャ気合が入ったアクション、濃密な脚本、大傑作になる筈だったが・・・。肝心の熊のシーンがモロ着ぐるみでどうしようもなかった。いや、これ何とかならなかったのか・・・。
トモダチガーデン

トモダチガーデン

壱劇屋

ABCホール (大阪府)

2024/09/27 (金) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

関西の小演劇でもこれほどスタイリッシュでセンスがよくカッコいい劇団を僕は知らない。最近見に行けなく久々だったので待ち遠しかったり、また以前と変わっていないかなど不安感もあった。

ところが見てみると、やはりいつもの大熊演出。プリズム多様といい、今回はウエハウスのグリーン版で、ものすごいことを舞台上でしてしまう。もう息をのむ展開。みんなようやるわあ。あれは若くないとできないなあ、ものすごいものを見せつける。

劇は、メルヘン調の童話風で、女の子ガーデンでの出来事、、。これが大熊だから、少々ホラーにもなる。どいうやって練習するのかな。セリフは覚えられるけれど、あのパフォーマンスは練習するしかない。運動神経の悪い人はどうするんだろうとか、ファンだからか、心配までしてしまう。

いつもなかなか取れないチケットが今回簡単にいい席で獲得できうれしかった。しかし会場に入ると、なんと半分も入っていない、平日午後3時、だからか?  こんなに面白いのにもったいない!

白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

しっかりのめり込んで観た2015年の作品、ストーリー知っているはずなのに今回は前回より、怖さというか血生臭いと言うか"妙に恐怖映画的な雰囲気"が漂い、障子越しに血の匂いがドクドクと溢れ出しているような感覚がした。ほんの少し覗く断末魔の見せ方も上手過ぎた。加えて、あの熊の咀嚼音!あまりの生々しさにちょっとウっとなってしまった。しかし、恐怖だけでなく切なる人の想いを感じさせる辺りは井保三兎ならでは!また、小劇場あるあるになるが、役に対してキャストの年齢がかけ離れていて"これは無理があるなぁ"と思わされることが度々ある。この舞台ではそういう違和感は感じられなかった。長年同じ舞台を踏んでいるキャストたちのチームワークは半端なく流れも良かったと満足させてもらった。やっぱりラビット番長は外せない!

いつかのもの語り。

いつかのもの語り。

BB stage

萬劇場(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

演出なかなかよかったです。ただ、ちょっと話がフォローしにくかったかな…というのがありました。自殺の動機もイマイチということもありちょっと「うーん…」というのがありました。あと、どうでもいいことですが、毎度思うことですが、萬劇場はほんと音響がいいですね。ほとんどライヴハウスですね。出版編集者役の女優さんの地声が大きいこともありますが、彼女の声が大きすぎて「もしかして1人だけマイク使ってる?」と思ったほどですw 

白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

ノワール系じゃなくてホラー?

ネタバレBOX

と思いきやノワール。
おだやかに始まり、進む。
おばけ屋敷的演出へ。
熊撃ち名人のバックグラウンドが明らかになるあたりから急激に演劇的な面白さが上がる。
最後は思いっきりノワール。

普段のラビット番長のほうが好きですが、これはこれで面白いし、好きです。
The Human Condition

The Human Condition

人間の条件

アートスタジオアイムヒア(神奈川県)

2024/12/07 (土) ~ 2024/12/08 (日)開幕前

実演鑑賞

「いらない」と、思われたことはありますか。
「いらない」と、思ったことはありますか。
本作のキャッチコピーである。

人間の条件『The Human Condition』は相模原障害者施設殺傷事件が題材ということで観る前からきちんと受け取れるか、耐え切れるかの不安もあり、かなりの覚悟で観劇を決めた。この事件を扱う限り問題作にしかならない、ならざる/せざるをえないという気持ちがあったし、そういう意味ではやはり問題作だった。

ただ、思うところやきついことも沢山あったけど、「一人の男の思想と罪を糾弾し、許さないとすることだけではこの事件は終わらない、終わらせてはならないのではないか」、「その思想や罪と果たして自分は無関係だろうか、社会は無関係だろうか」という視点から考えて、考えて、そして応答することなしではこの先の劇作に向かえないという思いの片鱗を端々にみた。上演にあたって膨大なステイトメントが発表されていたことも影響していると思う。いつもの観劇だと、そのことは上演ではなくその周辺情報の力でともすれば劇の強度の評価は損なわれたりするのだけど、この題材を扱う本作においては全てが必要で連動しているものとして私は捉えた。

カンパニー名とタイトルが同一であることが示す通り、本作以前と以降で劇団や劇作家としての在り方も変わるのだとも感じました。

作品が与えるショックを鑑みて上演前には入退室自由のアナウンスがあり、植松死刑囚の思想や言動をなぞるシーンでは私も心身への負担から一時退室も考えたけれど、全編観た今は、少なくとも今は必要なシーンであったように思う。直接的な描写を避けた「配慮」ともとれる演出もあって、そのことを被害を受けた人や遺族に対する姿勢として受け取りつつ、それが同時に観客へ配慮でもあることから色んなことを考えさせられたりもした。

カンパニー側からのアナウンスは丁寧にされているのですが、劇場の客席のつくり上、なかなか途中・一時退室する勇気が出しにくいかもしれない。だけど、そこは本当に誰しもに無理せずに観てほしいし、そういうことがどんどんされていくこともまたこの作品を通じて目指す社会の在り方なのではないかとも感じた。

あと、私は人間の条件の持ち味とも言えるドラスティックな劇中音楽の持ち込み方が本来はとても好きで、今回も際立っていたし、必要な箇所もあったのだけど、激しい音楽がドラマの盛り立てを手伝わざるをえない部分もあり、題材が題材だけにそのあたりのバランスはかなり悩ましいところだなという気づきもありました。
まだ全然頭も心も整理がついていないけど、観たということを残しておくべきだと感じたので、まとまらないままですが書きました。

※"ネタバレ"や"満足度"というものを本作に持ち込むことに抵抗があるため、ネタバレBOXの使用や満足度の設定は控えます。

リング・アウト

リング・アウト

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
物語は、人の心情を繊細 かつ大胆に描き、笑い 泣き 笑いと観ている人の感情を揺さぶり続け 飽きさせない。男がアクシデントで失神し、目覚めると何と20年前の景色が広がっていた。そこで何を見聞きし、伝えたかったのか。客席は、爆笑したかと思えば啜り泣きがあちらこちらで聞こえる。

「A.R.Pがお届けする異次元タイムパラドックスの新世界!」という謳い文句、その面白い発想に感心する。単なるタイムパラドックスものなら、他公演でも観ているが、本作では 更に異次元という捻りを加え興味を惹く。巧いのは大胆な描き方、場面の繋がりを描くのではなく、語りで場面間の橋渡しをする。それによって アップテンポだが丁寧な紡ぎになっている。
(上演時間1時間40分 休憩なし) 

ネタバレBOX

素舞台、周りはARPの英文字が並んだキープアウトのようなイエローテープで囲まれている。場面に応じてホワイトボード等が搬入される。また客席の一部を特別リングサイドに見立てている。

物語は、主人公 鮫島が2024年9月23日から2004年9月23日へ異次元タイムパラドックスして起こるドタバタ。そして20年前に落雷で亡くなった妻と不思議な邂逅をする。生前に伝えたかった事、第1に 色々ゴメン、第2に 娘を産んでくれてありがとう、そして一緒(結婚)になってくれてありがとう。本当なら 生きているうちに言いたかったがことが素直に言えた。この件が物語の見せ場<肝>であろう。
プロレス団体WPWの看板レスラーの鮫島は、男手ひとつで娘を育ててきた。その娘が鮫島の後輩レスラーと結婚しようとしている。勿論 父 鮫島には内緒である。どのタイミングで彼を紹介しようか、その画策が面白可笑しく描かれている。

亡き妻の20回忌法要、そして所属団体の経営危機、色々なことが重なり、そのドサクサに彼を紹介しようと…。しかし或るハプニングで鮫島は失神し意識は20年前に飛んでしまう。そして何故か妻の意識が自分の体に入り込む。同じ頃、WPW創立20周年で一大イベント(10月6日)を催そうと、しかも 倒産寸前でもある。単にタイムスリップしただけではなく、体と意識が入れ替わるという異次元ハプニング。心療内科でも対処出来ず、超次元研究所なる研究施設まで出てくる。色々な場面が次から次に現れるが、それを語り部によって簡潔に説明し場面を繋いでいく。そのため話と話の繋に混乱は生じない。

娘は彼氏を紹介して結婚出来るのか、鮫島の体と心は元通りになるのか、無事にイベント試合が出来るのか、WPW団体は存続できるのか等、関心と興味を惹く出来事をちりばめる。それを面白可笑しく、そして涙を誘う観せ方で紡いでいく。一部の客席を 劇中観戦用の座席に見立て、対戦相手をそこへ投げ飛ばす豪快さ。まさに色んな意味を込めてリングアウトを使用した公演。
次回公演も楽しみにしております。
るつぼ

るつぼ

演劇ユニット King's Men (キングスメン)

座・高円寺2(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

良かったと思います。

されどハシクレ!

されどハシクレ!

劇団 バター猫のパラドックス

王子小劇場(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 「誰も知らない」という映画は御存じだろうか? 切り口は全く違うものの今作を拝見しながらこの映画のことを思い出していた。(追記後送)

ネタバレBOX

 板上は奥に2F 部分を設け下手階段は板地部分から下手に延びた階段を上がり踊り場で右上に延びた階段。上手階段はそのまま2Fへ上がれる。2Fを支えるようにホリゾント側及びその手前に壁を設けこの壁と壁の間が通路になっている。
 オープニングで登場するのは明天前は結界でも張るような仕草を見せる男、素早く部屋の出入口、窓等を封印するかのようにテーピングすると直ぐ去る。物語り自体はゲームに登場するキャラクター・主役級、背景の名もなきキャラを構成し台詞ぽ無いキャラ・モブ等。後者の内ハシクレと呼ばれる者だけが主役級と対話可能であるが、他の者には彼ら2人の対話はテュゥルルルルという具合にしか聞こえないので一般モブは2人との対話も不可能なら対話内容を理解することも不可能である。
ところでどうやらこの物語の舞台はゲームとしてずっと機能していないらしい。ゲーム内の物語と外界と通じるゲーム機との間に出来した齟齬や様々なバグが絡まり合う中でゲームと現実が時に一体化してしまう世界での、とある状況を映し出している。根本的に不安定なので決して安息という状態を基礎とはし得ない。そんな社会に追い込まれた者(最弱者)の余りに痛ましい生涯を描いた物語なのだ。というのも主役級が待つヒーローは永遠に登場しない為、物語が始まることは在り得なかったのだ。この状態に閉じ込められたキャラ達は総て一応給料や社会保障等は出ているものの為すべきことが何一つ無いまま無為に過ごしているのである。永遠と見紛う退屈の中で。
夜はやさし

夜はやさし

DANCETERIA-ANNEX

大倉山記念館(神奈川県)

2024/09/23 (月) ~ 2024/09/25 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/24 (火) 19:30

よかった!4人で繰り広げられる会話によって1人1人の想いが前向きに変わっていくドラマ、脚本の素晴らしさに感動。選曲も良し。
どこか懐かしく、あったかい日々を思い出しました。

セチュアンの善人

セチュアンの善人

劇団俳優座

俳優座劇場(東京都)

2024/09/20 (金) ~ 2024/09/28 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ブレヒトの代表作の一つ。長年持ちレパとしていた演劇アンサンブルの最終公演(鑑賞会公演)を観たいと申し入れていたのが上演中止となり、泣く泣く断念したのが10年近く前。そんな事を思い出したが、漸く上演が観られた。
俳優座劇場のステージが近く見える。小劇場の範疇。のっけから所狭しと走り回るワン役による所か。こんな元気の良い逸材が俳優座に居たのか・・?と驚いたら、桐朋の学生だった。学生演劇はさほど見ていないが、以前桐朋学生の発表公演を観た時の印象は、出来上がった感にまで持って行けるポテンシャル。即ち若さ、による柔軟さ。適役を与えられれば無敵状態。
本舞台では降板と再配役が相次いだ模様だが、結果的に大きな役に起用された桐朋学生の存在感と劇団とのマッチングは頗る良かった。
ブレヒトらしい皮肉の効いた寓話(教育劇を思い出させる)を心行くまで堪能。三人の神様の登場や心優しい売春婦(善人)のシェン・テと効率を重んじる冷徹なその従兄弟シュイ・タの謎が寓話性を高めて美味しい。
根底には資本主義社会の構造(人間の行動原理を含めた)を物語を使っておちょくり暴露する視点があるが、「恋愛」をまな板に載せているのが興味深い。

ネタバレBOX

現代を反映した台詞を書き加えていて、そこは気が利いていたが、結語に「効率なんてくそくらえ」の台詞を据えていたのが私としては勿体なかった(敵を「効率」の語で括ってしまうのは繊細さに欠きはしないしないか。家事だって効率を求めて主婦は賢く立ち働いている。これを糞食らえとは思わない。では何が我々の敵なのか・・考察を要する。台詞一つはとても重要だ。)。
そして最終シーン。暗転の後に中央の円形にてんこ盛りになった俳優らの塊が現われ、「2000年後」の字幕が点灯する。これが分からない。
後の解説によれば、文明の象徴である「ビル群」との事だが、ビルには見えず、本編では既に現代が混入している所、「2000年後」だと西暦4000年代か?と訝り、造形の意味も分からないので些か混乱を来す。試行錯誤の結果だったろうが、ここも少々もったいなかった。
白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

家屋の前方が緩めのV型になっていて何だろうと思っていたら、左右から出てくる障子がセンターで止まるようになっていて成程と。羆の恐怖表現に、小劇場の狭い空間を最大限に工夫していて見応え充分。

白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。と言っても流血・暴力シーンなど、トリガーアラートには留意が必要。
当日パンフでは、100年ほど前にあった実話「三毛別羆(さんけべつひぐま)事件」を題材にしている とある。日本最大の獣害事件として有名らしいが、自分は知らなかった(Web上に情報有り)。さて、ラビット番長の公演と言えば、介護・将棋・野球の三本柱(ハートフル)という印象が強いが、本作のようなノワール系で緊張を強いる話も面白い。

公演はテーマ性、観せる演出、語り部による客観的な紡ぎ、その相互の緊密な繋がり連携によって迫力ある物語に仕上がっている。勿論 キャスト陣の迫真の演技が物語を支えている。初演(2015年、その時が事件から100年目)も観ており 概要は覚えていたが、改めて再演を観て 考えさせられることの多さに気づく。
池袋演劇祭参加作品。
(上演時間1時間45分 休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、「く」字を下向きにしたような変形半円、後景は鬱蒼たる樹木の中といった不気味な雰囲気を漂わせる。障子の開閉で情景・状況の変化を表す。

物語は現代と過去、と言っても ほとんどが事件に関する描きである。若者が道に迷い一軒のあばら家で暖をとっているところから話は始まる。この家の主(老人=語り部)は、冬だけこの家に滞在しているという。その理由を語り出し、場転換すると そこは北海道開拓当時へ…。開拓した土地は自分のものになる、そんな甘言に夢見て北海道へ移住した貞夫一家(貧民)。村長を始め村人たちは親切に迎え入れ、馬まで与えてくれた。

北海道の冬、それも僻地では極寒。白魔来るは、雪が降る日に起こる災いのこと。その災いとは巨大な羆の襲来、村人たちは為す術もなく家族を食い殺される。これは開拓民の視点で、羆にしてみれば先に生息していたのは獣のほう。開拓すればするほど羆の餌場は荒らされ、生存の危機といった見方が出来る。
物語が面白いのは、視点の転換によって見え方・考え方が異なる、その柔軟な発想。勿論 直截的には環境問題といったことを思うが、究極的には人と獣の生存をかけた戦い。

また語り部の老人、実は羆に殺された女の胎内にいた赤ん坊で、奇跡的に助かった。多くの村人が犠牲になり、貞夫は自分たちが入植したために惨劇が起きたと嘆く。生まれながらにして望まれぬ、いや忌み嫌われる存在、それが父 貞夫の「この子を殺してくれ!」という慟哭。一方、羆退治のために伝説のマタギ 平吉を招請した。その風貌は、日本人とは思えないもの。ロシア人とアイヌ人の混血、彼もまた蔑まれ虐められていた。この差別意識が物語の背景に暗い影を落とす。

チラシには「惨劇」「鳴り響く悲鳴」といった言葉が並ぶが、首が落ち、血が飛び散り障子を赤く染める、腸が引き裂かれる等のシーン。また照明は全体的に昏く、音響は上演前から風が唸り、おどろおどろしい音が鳴り響く。場転換時の三味線を弾く音、太鼓を叩く音が緊張・緊迫感を煽る。テーマの明確さ、恐ろしい場面演出、時代の背景や状況を語ることによって、現代との橋渡しをする。トリガーアラートが乗り越えられるならば、ぜひ劇場で恐怖を!
次回公演も楽しみにしております。
いつかのもの語り。

いつかのもの語り。

BB stage

萬劇場(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いくつかの物語が平行して動き出し重なっていく、ややファンタジー感もありますが、本質は人の優しさが溢れる舞台でした。

ネタバレBOX

登場人物が多いせいか、ややそれぞれのエピソードが希薄かなとも感じてしまいました。主人公の同級生の自殺の動機が少し苦しく、また私の見落としかと思いますが、主人公と少年との関りが今一つよくわからなかったのが気になりました。
一度

一度

UNITレンカノ

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2024/09/04 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/06 (金) 14:00

元有名演出家のオーナーが定期的あるいは突発的に役者にダメ出しをして稽古をつける喫茶店を舞台にした演劇愛ダダ漏れの秀作。
脚本家に無断で脚本に手を入れる演出家とか次第に自分の考えに凝り固まり方向性がズレてしまった役者とか「ありそー」と思える問題を笑いの中に提示し、元・父親の娘への想いや継父に対する嫉妬心も加えて、そりゃあ「旗降ろし公演」ということを別にしても感動しますって!
さらにそこに殺陣まで盛り込んで、まさに集大成、的な。いやぁ、いいモン観たなぁ♪

うしろのみぃちゃん

うしろのみぃちゃん

橋田ゆういちろうのカンパニー

扇町ミュージアムキューブ・CUBE02(大阪府)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/26 (木) 19:00

価格4,500円

昨日、初日を観てきました。
ダンスのシーンが散りばめられ、楽しい舞台でした。
みぃちゃん役の藤原実礼さんが(11歳??)すばらしく、目を離せませんでした。素直に成長していってほしいです。
藤井愛希子さん、よかったです。
観に来ていた子供さんたちもとても楽しそうでした。

ネタバレBOX

最後、藤原さん藤井さんがユニゾンでセリフを言うところ、帽子をとるところ、あまり舞台では泣かなくなりましたが、泣いてしまいました。
ふたりの演技が良かったからだと思います。非常に良いシーンでした。
るつぼ

るつぼ

演劇ユニット King's Men (キングスメン)

座・高円寺2(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/09/26 (木) 18:30

久しぶりのアーサー・ミラー
アーサー・ミラーに初めて出会ったのは半世紀近く前の大学の教養の英語の授業で「A View from the Bridge」だった
「るつぼ」はその2年前の17世紀末の魔女狩りを素材にマッカーシズムへの警鐘を鳴らした作品だ
中心となるアビゲイルとプロクターの妻の二役の絵里とプロクター役の平澤智之、それにその召使メアリー役の山本麻祐が熱演だった
簡素なプロジェクションマッピングのみのセットで会話劇を引き立たせていたのだろうが、さすがにそれて休憩なし2時間40分は長かったな
それと多様な起用という趣旨はわかるものの、キャストの力量に差がありすぎた
台詞のない時には棒立ちの者や、男優陣には滑舌が悪い役者も

ラスト・オーダー!

ラスト・オーダー!

劇団イーゼルノップ

G/Pit(愛知県)

2024/09/21 (土) ~ 2024/09/22 (日)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2024/09/21 (土) 13:00

時々早口になったり聞き取りづらいところもあったんだけれど
ウイットに富んだセリフで結構笑えた。
ただ、1時間半、場をもたせなきゃならないっていうのもあるから
そうなっちゃうんだろうけれど
テロリストを説明するあたりだとかの会話がだらだら続いて
まどろっこしいっていうか回りくどいっていうか
イラっとさせられた部分も・・・
最初に言ってた逃走した包丁男が
あんな役回りだったとはちょっと拍子抜け。
テロリスト(もどき)、警察、包丁男も交えての
壮絶三つ巴バトルが見たかった。

いつかのもの語り。

いつかのもの語り。

BB stage

萬劇場(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

説明にある「こんにちは、僕はしがない図書館の管理人さ」、その僕に導かれた世界をファンタジー風に描いた物語。舞台美術はその世界の雰囲気を漂わせ、照明や音楽は効果的に物語を支えている。
ラスト、或る人物が登場することで、さらにファンタジーなのか リアルかといった想像が膨らむといった巧さ。構成は凝り過ぎかと思ったが、登場人物の夫々の心情を分かり易く観せるための工夫のよう。

物語は主人公を始め、悩み苦しんでいる人々の現在を見つめ、過去を顧み、そして未来を拓く、そんな滋味溢れる内容だ。物語としては面白い。ただ図書館という言葉から、静かに時が流れると思うのだが、編集者のキャラを濃く(騒がしく)し、敢えてデフォルメしたような人物造形は、抒情的な雰囲気にあわない。コメディリリーフといった存在でもないようだ。出来れば、もう少し落ち着いたキャラのほうが、全編を貫く雰囲気に合致する と思う。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は中央に両開きドア、左右に本棚が並ぶ。上手の一部が階段になっており その上り下りによって躍動感が生まれる。上演前から3人の人物が読書をしており、後々 物語に絡んでくる。舞台と客席の間に白い紙が…それが浮遊感を表す。物語の紡ぎと浮遊感ある雰囲気がファンタジーといった印象を与える。

高校の同級生から書く才能があると言われ、発表した小説(処女作)が話題になり 一躍人気作家になる。編集者から次回作を促され、執筆した2作目は酷評され自信を失う。また高校の友人が自殺し、書くことが怖くなった主人公の心の彷徨であり咆哮でもある。目に見えない心の叫び、それを上演前に読書していた3人の物語(オムニバス風)に重ねる。書けなくなった幻の小説家、その書き手を探すファンによって解き明かされる謎(小説家の心情も含め)、それが物語の肝。小説家は男手ひとつで育てられる。第1:小説家は母の思い出がない。第2:心臓病の娘の母親、第3:(母)親に捨てられ、見ず知らずの爺に育てられた娘、この薄幸とも思える人物達が健気に、そして必死に生きようとしている。その小話を交錯するように紡ぎ、独特の世界観を描き出す。いずれも過去に向き合い、情愛の繋がりの大切さを説く。

主人公に書くように勧めた女子高生が自殺する。それが彼の処女作が評価された後だけに嫉妬したのか、という読み筋になる。しかし劇中ではその理由を否定しており、彼にもっと書かせるといった励ましの行動だったような。この場面の解釈が難しく、モヤモヤとする。しかしラスト、自殺したはずの女子高生と図書館の管理人が登場する。亡くなった魂が現世を見守る、もしくは 物語全体が劇中劇であり、亡くなった女子高生が書いた小説といった捉え方も出来る。その意味でファンタジーかリアルなのかといった想像が膨らむ。

舞台技術…音響・音楽は、図書館の入退室時に響くドア開閉の重厚な音、温かく優しい音色の音楽など効果的。照明は黄昏をイメージの落ち着き、白銀照明による淋しさが印象的だ。物語をしっかり支えた舞台美術と技術、それに好感をもった。
次回公演も楽しみにしております。

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