『BORDER〜罪の道〜』
五反田タイガー
六行会ホール(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
チケプレでご招待頂き観劇。女子刑務所を題材にした舞台で、前半は軽微な罪を犯した子たちの明るいコメディのような感じで進みますが、後半から重い罪を犯した子たちが入所して来てシリアスな物語が展開しますので、この辺は観る人を選ぶかもしれません。そういうのが大丈夫なら楽しめると思います。カワイイ子も沢山出て来て楽しかったです。ありがとうございました。
血の婚礼
劇団俳小
駅前劇場(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/10 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
俳小の海外戯曲上演を観始めた最初が「群盗」。d倉庫で躍動の舞台に大満足した。この舞台の演出も菊池准氏であったとパンフに。
新劇系の俳優の客演を入れつつ公演を打つ俳小は、今回も主要な役レオナルド他に客演を配していた。さてその出来は・・
まず上田亨氏が音楽(+演奏)と見て「あ」と思う。この方は舞台を音楽で染め上げてしまう事があるのだが、今回は大変良かった。挿入歌・踊りは多用されていたが、しつこくならない線(歌い方、振付には多少注文を付けたくはなったが、収まりづらく感じた理由は恐らく駅前の難点=天井が低く俯瞰の光景が見せにくい点等が影響した感)。開幕を知らせるように音楽が鳴ると、フラメンコ・ギターの音色、これをキーボードで演奏していて驚いたが、曲もギター演奏仕様の楽譜で全く違和感がなかった。
さて「血の婚礼」は、自分の中で別格な作品。十数年前松田正隆氏の晦渋な演出で観たのが最初で、後は新国立研修所公演(よく演じていた)、前に無名塾で観た同作者の「ベルナルダ・アルバの家」がむしろ同じ世界観を体現していて、印象が重なっている。だがもっと遡るとカルロス・サウラ監督のスペイン映画でこの世界観の洗礼を受けた事を思い出す(同監督は「血の婚礼」も撮っているが私が観たのは別)。
婚礼の日に花嫁が奪われ、その夜が血の夜となった。・・「血の婚礼」の筋書きは言えばそれだけだ。主人公となる花嫁の、結婚に対する両端に引き裂かれる感情、その葛藤のグラデーションの心情が、人の根源的欲求の「ある顕われ方」として生起する。ある時は花婿に「ずっとそばにいて」と求め抱擁する行為に、ある時は花婿を遠ざける行為に・・。茫漠として不可解な精神の深淵を想像する事を促される・・自分にとって本作はそういう作品である。
この花嫁の生まれ育ちも、村人の間で囁かれる場面があり、一方の横恋慕の男も家系(血)の噂がある。そして新郎である息子を殺される事となる母も、自分の夫と息子(兄)を殺された過去を血の仕業(宿命)として語る。花嫁のみならず相手の男の説明不能な欲動も、彼の妻の目を通して炙り出される。この妻も婚礼の日を心穏やかならぬ思いで過ごしている一人。何かと彼女を遠ざける夫に、彼女はついに(愛の不在に関わらず)「あなたといる人生しか私にはない」と悲壮な決意で迫り、男は呪われた運命であるかのように頭を垂れ、それを受け入れるかに見える。(一幕の終盤に見せるこの場面で私の周囲の女性客たちは涙を拭っていた。血が巻き起こす不条理の中に一抹の人間の理性の確かさを見てわずかに救われる瞬間。劇中最も胸が熱くなる場面だった。)
だが戯曲の基調である不穏な空気は消えない。二人の姿を見ればつかの間の安堵があるが、二人が離れる度に「見えない何か」への不安がもたげる。不可解さゆえの不安。
その意味で、演技的には、台詞に表れない(いや台詞のみならずアクションとしての「演技」にも表れない)要素が、つまりは役者がまとう佇まい、容姿、存在から滲み出るものが表現を大きく左右する。努力では迫り切れない領域がある、と言おうか。。
俳小の本舞台は鋭く迫る場面を生み出していたが、トータルとしてはやはり「随分難しい作品に挑んだな」という感想が最初に来る。
芝居に「完成」は無いと言うが、創造的模索の道程を見た感である。作品をじっくりと眺めながら、様々な考えを生起させ、二時間ニ十分の道程を歩き切った疲労と共に帰路についた。夜はよく眠れた。
ジョバズナ鼠の二枚舌
おぼんろ
新宿シアターモリエール(東京都)
2025/03/04 (火) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鼓動、鼠は1分間に600から700回、象は約20回だそうです。カラクリの真似をして心臓のあたりを押さえてみましたが1分間に60から70回と言う人間の鼓動はよく分かりませんでした(脈拍は取れましたが)。でも、生まれてこの方1回も休んでいない心臓もやがて止まる時が来るのだと思って、ひとつ決心したのでした。
夜明けのジルバ
トローチ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2025/02/23 (日) ~ 2025/03/02 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2025/02/23 (日) 17:00
11年目で7本目となる
トローチの新作。久々に太田善也の作演で。120分?3月2日まで赤坂RED/THEATER。
Lovely wife
劇団青年座
本多劇場(東京都)
2025/03/06 (木) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
淵に沈む
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2025/03/07 (金) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
がらんどうの素舞台、暗転すると最小限の寝台や椅子や机がその都度運び込まれる。闇の中、拘束された寝台の上、日本国憲法を暗唱する男。「基本的人権の尊重」を叫ぶ。「うるせえぞ!」「黙れ!」との声とガンガン壁を叩く音が続く中、男は日本国憲法を訴え続ける。一体、誰に?
ここは精神病院、男(西山聖了〈きよあき〉氏)は東大法学部の学生だった20歳の時、統合失調症を発症、2003年に措置入院。一度退院するも父母への暴力行為で2005年再入院。それ以来20年ここにいる。父親が亡くなり、母親(岡本瑞恵さん)が三男である息子を退院させ共に暮らしたいと願い来院。主治医(鬼頭典子さん)はそれを喜び誠実な対応。精神保健福祉士(ソーシャルワーカー=相談援助、社会復帰支援員)の歌川貴賀志氏。看護師の今井優香里さん。看護助手の小栁喬(きょう)氏。だが精神病院の医院長である田代隆秀氏はそれを快く思わなかった。
役者陣は凄腕ばかり。各人、見せ場あり。鬼頭典子さんのまとった優しい雰囲気の受け答え、歌川貴賀志氏の誠実な魂、今井優香里さんの眼差し。岡本瑞恵さん、小栁喬氏は存在がリアル過ぎ。西山聖了氏の望まぬ病気で失った20年の重み。やはりMVPは田代隆秀氏だろう。文句の付けようがない。
これは救いの物語である。地獄の底で喘いでいる者達を何とか救おうと足掻く人がほんの僅かだが現実に確かにいる。何も出来ない問題に対し何とか救う手立てを考えている。治らない病気で見棄てられた人間をそれでも治癒しようとする。その姿に観客は思い知らされる。
是非観に行って頂きたい。
血の婚礼
劇団俳小
駅前劇場(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/10 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
いつも素晴らしい舞台を見せてくれる俳小だが、今回は本当に舞台らしい舞台、演劇らしい演劇だった
特筆すべきは上田さんの音楽
フラメンコギター中心だが、場面場面で音楽の入りもフェードもピッタリで、劇的効果ももたらしていた
キャストの演技は早野、吉野両ベテランを中心に仕草、表情とも素晴らしかった
二人以外では加藤、新上の夫婦役や何度目かの西本の表情が印象的だった
小池は何度も主役で観ているからまあこんな感じだよなと言ったところ
ともかくセリフが「詩」のところが多いから、切り替えも大変なのだが、皆口跡もはっきりしていた
また「月」(福島)のダンスのエッセンスが効いていた
メインでない舞台端でも細かな演技がなされていたのは演出、キャストともお見事
劇中結構歌や踊りがあったが、早野、新上、西本の歌が記憶に残った
全体的に婚礼の明るく華やかなシーンもあって明暗のメリハリがはっきりしていた
相変わらずセットの作りこみも素晴らしかった
デマゴギージャズ
MONO
吉祥寺シアター(東京都)
2025/02/28 (金) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
現代の話に時々明治維新のその祖先の話が絡まり面白かった
質の高い笑いで前日の下らん観劇のうっ憤を晴らす
まあ「デマ」「陰謀論」なんてものがテーマだから現代風刺にもなってる
キャスト皆表情素晴らしく、プロットも良くできていた
そしてこういうベテランの劇団に共通することとして、壁のしみに至るまで舞台美術が良く作りこまれていた
セットが15度くらい(?)斜めを向いているのは黄金比かもしれないな
デマは恐ろしいねぇ、とんでもない方向に導く
淵に沈む
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2025/03/07 (金) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
プログラムに精神病院における過去の虐待事件のことが書かれてあったので凄惨な物語を想像したが、そういうシーンはなく、精神医療をより良くしようと努力している人たちが描かれた社会派の内容。
プシュケーの蛹
中央大学第二演劇研究会
シアター風姿花伝(東京都)
2025/03/06 (木) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/07 (金) 18:00
今回の中央大学第二演劇研究会2024年度卒業公演『プシュケーの蛹』というタイトルだけ見ると、現代舞踏集団群舞公演だと思った。
しかし、実際観た公演は良い意味で裏切られて、混沌(カオス)としていて、アンドロイドに幽霊、宇宙人、さらに街の奇人変人で超個性的でアクが強い住人が舞台狭しと主人公3人とそれぞれ出会い、それらが複雑に絡み合っていて、最後のエンディングに向かって突っ走る。泥臭く、青春で、もどかしいまでのアンドロイドとの純愛の要素も絡まり、観念的、哲学的な劇でなかなか面白くて、その独特な世界観に引き込まれた。
小西、中山、大野の三人はトリオでお笑いコンビを組んでいるが、目指す方向性や目標、将来像が違う。劇が進むに従って、小西は研究所でアルバイトを始めると宇宙人とひょんなことから出会い、大野は昼は骨董屋で夜はBARという明らかに胡散臭くて怪しげなBARのマスターに勧められるがままに飲んだお酒の効果によってか不思議と幽霊が普通に見えるようになった。
そして劇の最初のほうで小西、中山、大野がシェアハウスを始めたアパートの中で見つけたアンドロイドるりを造った技術者を探そうとただの優しさから捜索を始めた中山が、アンドロイドるりと一緒に過ごすうちに、59日でるりとの現在の記憶が全て消えると分かっていながらも、本気でるりに恋をしていった。
劇の途中から、るりが実はある豪雨の日に研究所所長が運転する車に乗った家族諸とも崖から海に落ち、海難事故で所長のみ助かり、娘のるりは遺体で見つかったが、人間として生かせないと知った所長はアンドロイドとして娘のるりを蘇らせ、今の技術では永久に生かせる程の高性能なアンドロイドは無理だと断念しつつ、現在の技術ではこれが最大限といった限界レベルでアンドロイドの命を持たせるといったような、アンドロイドるりを造った研究所所長や所員たちの思惑や、過去、所長の娘や妻に対する未練や後悔が滲み出ていて、アンドロイドるりの新事実や秘密が次々に暴かれていき、驚き、感動した。
そして、終盤アンドロイドるりに対して純粋な愛を感じるようになっていた中山は新事実や秘密を次々と知り、とうとう耐えられなくなってるりと車で逃避行する。そういった状況の時に、小西が宇宙人との交流のことや大野の幽霊の話が全然違って進行していたようで、ここに来て仲間の中山とアンドロイドるりを探そうと、街の人たちも巻込み、一致団結し、繋がってきて、大変興味深く、良い意味でこれぞ混沌(カオス)だと感じた。
何気に宇宙人や幽霊、アンドロイドやゴーストバスターズが街の景色に溶け込み、街の人たちに紛れ込んでいるのがさも普通といった感じに描いているのが、藤子不二雄のSF(少し不思議)な感じで緩く描いているのが、ある種の究極の多様性であり、何かじんわりと不思議な暖かさを感じた。
ただし、純愛的なのは良いが、最終的に中山だけ蛹になることで、アンドロイドるりとの出来事を覚え続け、忘れないようにしようとするのは違うと感じた。それは、観念的、哲学的な終わり方としては良いかもしれない。
しかし、アンドロイドるりとの想い出を引きずって諦めたか思考停止しているようにしか見えない蛹になるという結末よりか個人的には、娘と妻を海難事故で失って、娘をアンドロイドとして蘇らせ、妻の幽体をアンドロイドるりに移植せんとする研究所所長がアンドロイドるりの本当の持主で、元所長の娘だとしても、アンドロイドるりを真に愛しているのならば、中山が研究所から奪還し、きつく抱きしめ、涙が止めどなく溢れると、何かの拍子にアンドロイドるりが自らの意思を持ち、記憶が停止していたのが一気に蘇る軌跡が起き、ハッピーエンドというほうが良いと感じた。
また、今回の劇は、ファンタジーでSFで、混沌(カオス)としていて、哲学的なのは良いが、闇陣営が出てこないのが物足りなく感じた。学生演劇にしては、プロとしての才覚があり、学生演劇に特にありがちな、内輪乗りもなく、大いに笑えて、感動もでき、とても良くできているだけに、残念だった。
起承転結もしっかりと出来ていたが、惜しいと感じたのは、やはり闇陣営が出てきて、闇陣営によるリンチ(爪を剥がす。無論本物ではない。眼を刳りとる。本物でない墓石で叩く。鞭打ち。緊縛。本物でない指を叩っ切る)により息も絶え絶えの状況に追い込まれる等、残酷な場面、瀕死の場面、今まで信頼してた筈の仲間に裏切られたり、宇宙人の仲間の宇宙タイムパトロールに追い掛け回されたりと言った、激的だったり、緩急の激しい場面を入れ込むと、より劇に振り幅があって、完成度が高まると感じ、これからも劇作家の人には、プロの劇団を立ち上げて、書き続けてほしい。期待しています。
R老人の終末の御予定
ポップンマッシュルームチキン野郎
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/03/06 (木) ~ 2025/03/11 (火)公演終了
女歌舞伎「新雪之丞変化」
Project Nyx
ザ・スズナリ(東京都)
2025/03/04 (火) ~ 2025/03/13 (木)公演終了
プシュケーの蛹
中央大学第二演劇研究会
シアター風姿花伝(東京都)
2025/03/06 (木) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
プシュケーは、古代ギリシアの言葉で、息(いき、呼吸)を意味しており、転じて心や魂を意味するようになった言葉です。不慮の事故で亡くなった研究者の娘をアンドロイドにして肉体を蘇らせ、擬似的な形でも魂を生成しようと試みる話。話の中に、家族、友人、AIの時代、そして生や死についても考えさせられました。キャラクターも個性的でかつ多彩で面白かったです。
大学生の役者さん達は元気で、一生懸命で、真摯に演劇に向き合って作った卒業記念作品だと感じました。
良い舞台を見させていただきました。終了してから席を立つときに舞台から全員に挨拶いただいて嬉しかったです。ご招待いただき、本当にありがとうございました。
屋上のペーパームーン
ハネモノNo.4
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2025/03/07 (金) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初日拝見
大竹野氏の名作とのことで、期待十分で
この題目は初見カモな〜と思いながら…
時代背景が学生運動や三億円事件などまだ生まれていないので、理解不足では有るが、比較的解りやすかった
混乱の時代には、正義が悪に変わったり何でもありだが、最後に決めるのは自分自身の何物デモないとの思いが伝わって来たのは僕だけかな…
ノートルダム・ド・パリ ストレートプレイ
GROUP THEATRE
浅草九劇(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/10 (月)公演終了
『BORDER〜罪の道〜』
五反田タイガー
六行会ホール(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
洗脳(正確にはマインド・コントロール)の秋田知里と死刑囚の星波が特に魅力的。光ってました。
秋田さんは小悪魔的なルックス。ダンスがピカ1。演技も上手い。
星波さんは抜群のルックスの良さ。存在感が際立ってました。
金曜日から
排気口
千本桜ホール(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
クール。
ウェス・アンダーソンの映画のようなシックで乾燥した世界観と
演劇ならではの湿度感が奇跡的に両立した舞台。
(続きはネタバレに。)
血の婚礼
劇団俳小
駅前劇場(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/10 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
作曲家の上田亨氏が下手で生演奏。フラメンコ・ギターの音色をキーボードで見事に鳴らす。驚いた。劇中の歌は印象的でいい出来。黒衣の女達がコロスとして詩を朗唱し合唱す。子守唄が余韻に。
母親は早野ゆかりさん。息子である花婿は左京翔也氏。花嫁は小池のぞみさん。彼女の元彼レオナルドは加藤和将氏。彼の現在の妻は新上貴美さん。“月”は福島梓さん。“死”は大久保たかひろ氏。
個人的に女中の西本さおりさんが大活躍のイメージ。実はレオナルドの妻が今作のキーだと思っているので新上貴美さんの薄幸そうな佇まいも好き。
いろいろと工夫が見えて面白い『血の婚礼』。
是非観に行って頂きたい。
ジョバズナ鼠の二枚舌
おぼんろ
新宿シアターモリエール(東京都)
2025/03/04 (火) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
コロナ禍以前の 本来の おぼんろスタイルの公演が戻ってきた。劇場全体を劇中空間とした360度舞台。上演前から俳優陣(語り部)が観客(参加者)を場内へ案内し、そのまま談笑したりする。そして開演時間が近くなると、参加者とじゃんけんをしたり、参加者の1人に 劇中での小道具の渡しを依頼する。客席は桟敷や椅子で、参加者は好きな場所に座って観劇する。本作は劇団員(4人)だけの公演だが、場内(客席の横など)を縦横無尽に走り回る。いつの間にか 参加者は おぼんろ(脚本・演出 末原拓馬 氏)の世界へ誘われ、その雰囲気に陶酔していく。この没入感が、おぼんろ の魅力。
物語は、とある都会の片隅にある研究所で、ネズミたちは生体実験を受けていた。仲間たちの死を背負いながら、必死に生きるネズミたちだったが、或る日 研究所の閉鎖が決まりネズミたちの処分が……。今まで生きてきたのは、世界の役に立っているという自負。無駄死にしたくないため研究所の外へ逃げる。44匹が脱出したが、今では4匹になってしまった。外という未知の世界での冒険が始まる。
(上演時間2時間 休憩なし)
『BORDER〜罪の道〜』
五反田タイガー
六行会ホール(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/09 (日)公演終了