ジョバズナ鼠の二枚舌 公演情報 おぼんろ「ジョバズナ鼠の二枚舌」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    コロナ禍以前の 本来の おぼんろスタイルの公演が戻ってきた。劇場全体を劇中空間とした360度舞台。上演前から俳優陣(語り部)が観客(参加者)を場内へ案内し、そのまま談笑したりする。そして開演時間が近くなると、参加者とじゃんけんをしたり、参加者の1人に 劇中での小道具の渡しを依頼する。客席は桟敷や椅子で、参加者は好きな場所に座って観劇する。本作は劇団員(4人)だけの公演だが、場内(客席の横など)を縦横無尽に走り回る。いつの間にか 参加者は おぼんろ(脚本・演出 末原拓馬 氏)の世界へ誘われ、その雰囲気に陶酔していく。この没入感が、おぼんろ の魅力。

    物語は、とある都会の片隅にある研究所で、ネズミたちは生体実験を受けていた。仲間たちの死を背負いながら、必死に生きるネズミたちだったが、或る日 研究所の閉鎖が決まりネズミたちの処分が……。今まで生きてきたのは、世界の役に立っているという自負。無駄死にしたくないため研究所の外へ逃げる。44匹が脱出したが、今では4匹になってしまった。外という未知の世界での冒険が始まる。
    (上演時間2時間 休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は 形容しがたい雑多な装置、布・紐・裸電球等が吊されている。そして どちらが舞台正面か判然としない。ただ入り口の右手に櫓上への階段、そこに張り付けたような変形球体状(そう思える)のオブジェが見える。最後に分かったが、その球体が赤く点滅し、同時に語り部(ネズミ)たちがポリタンクを叩き響かせる。それは心臓の鼓動を表しているようだ。最近は、2.5次元舞台などは最新技術を駆使するが、このアナログさが、逆に生きているといった息遣いを感じさせる。

    物語は、外の世界に出て 研究所のドクトル・マーサを早く探さなくては、と思うところから始まる。4匹の旅は、世界の役に立つこと、それは最後の1匹になるまで続く。それが自分の価値であり 誇りとしているからである。そして生き甲斐でもある。
    それは、未知のウイルス対策の治験薬開発に役立つこと。しかし外の世界は 紛争・戦争で混乱している。そして治験薬開発と思っていたことが、実は細菌兵器開発の実験だったという衝撃。世界の役に立つ=命を助ける薬が、実は人殺しの武器になろうとは。外に出て初めて知る事実、それは人間同士が殺し合い、他の動植物を巻き込む不条理な世界。

    今起きている時事的な出来事を絡め、命とは 生き甲斐とは を考えさせる。さらに物語に隠された衝撃の真事実、そこにタイトルにある二枚舌の意味が…。本作では それをネズミという人間から嫌われているモノの視点から描いた心優しき寓話。

    おぼんろ らしい観(魅)せ方、一人ひとりの面白いパフォーマンスを始め 歌やダンスで魅了する。単に演劇というよりは、楽しませる要素をふんだんに盛り込んだエンターテインメント公演。観客も一緒に冒険しているような刺激的な一体感、そして没入感が興奮させる。歌に合わせて自然にクラップも起こる。語り部も激しく動き回るが、小物(旗布or柄シーツ)も天井へ吊り上げるなどダイナミックだ。このワクワク ドキドキ感が堪らなく好きだ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/03/07 16:29

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