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ヨゴレピンク

ヨゴレピンク

スラステslatstick

駅前劇場(東京都)

2025/02/19 (水) ~ 2025/02/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

松本哲也作品は久々になる。行間に語らせる戯曲を書く特徴はあったけれど、今回はまた独特な世界。不思議な世界。特徴ある役者たち共々に、好物であった。
熟年縛りの婚活パーティの参加者男二人女二人、無対象で手前側にも参加者がいる設定のようで俳優らが正面を向いて椅子に腰掛けて並ぶ。右端の男は他が自己紹介する度に小さなカメラで構え、向かい側に気を遣いながら写真を撮る。後で彼は「カメラマン」だと紹介される。司会であるコーディネーター合わせて6人の芝居。無対象の人々がいる、という事もあるが、舞台上の余白、時間的空白で妙な間が生まれのがいい。思い切った場面の省略も、場転で流れるMが惚けていてこれがまた良い。

地上最後の冗談

地上最後の冗談

銀プロ

OFF OFFシアター(東京都)

2025/02/18 (火) ~ 2025/02/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

韓国演劇界、注目の喜劇作家オ・セヒョク。みょんふぁさん一推しで今作の翻訳も担当。ブラックな笑いを売りにしているらしい。舞台は捕虜収容所。台詞は関西弁、九州弁を多用してニュアンスが日本人にもよく伝わってくる。駄洒落などかなりテキレジしているのだろう。
順に処刑される事が決まっている捕虜達は死の恐怖に怯えている。端の部屋の五人は足音と銃声のサイクルから、自分達が殺される迄の時間を想定する。

効果音と演奏を担う藤崎卓也氏が下手に座る。ブリキ缶のようなカホンに跨りパーカッションとしてリズムを刻む。口笛。赤い太いホースを吹いて銃声に。鏧(きん)を叩く。棒ざさらの音。

捕虜収容所の端の部屋の五人。
佐藤B作氏は次長課長河本の「おめえに食わせるタンメンはねぇ!」の声質に似た作り声が漫画チックでよく通る。この中で一番目上だと威張っている老兵。
長橋遼也氏はフジモンみたいで心根があったかい奴。
清田智彦氏は笑いのセンスが残念ながら兎に角ない奴。
佐藤銀平氏は熱血漢。
宮地大介氏はコミカルなリアクション。

逃れられない死が間違いなく順番に訪れる。とても受け入れ難い恐怖。更にそこに予期せぬ新入りが放り込まれる。しかも少年兵。年端もいかぬ子供を徴兵し戦地に送り込む国家の非道さ。もう銃殺まで数十分しかないのだ。

少年兵は宏菜さん。やっぱ凄い天性の勘。甲高い笑い声が「ケケケケケ」と飛び出て皆ゾッとする。
有馬自由氏は敵兵、銃殺の執行役。香港功夫映画に出てきそうなユーモラスなヒールできっちり決めてみせる。

上質な役者陣の醸し出す緊張感。超満員の観客が押し寄せた。佐藤B作氏の集客力か?生と死の極限状況で人間が出来ることとは?サルトルの『壁』のフリー・ジャズ。
是非観に行って頂きたい。
この豪華全キャストのサイン入りポスターが何と1000円!!

ネタバレBOX

済州島(チェジュド)四・三事件という内戦がモデルだそうだ。韓国の南にある火山島、済州島。1948年アメリカ支配下の韓国で共産主義的な思想を持つと見做された島民への大虐殺が行われる。3万人以上が殺され、島にある村の7割が焼き尽くされた。

中盤、宏菜さんの髪が帽子から全部出てしまい、「実は女だったのか!」となるのかと思ったら皆無視。何事もなかったように進行。ミスなのかと思ったらクライマックス、自ら帽子を叩き付けるシーンもある。演出の技の一つなのだろう。

佐藤銀平氏VS宮地大介氏の小噺合戦位から停滞感。やっぱ笑いの狙いがちょっと違う。笑いには厳しくあって欲しい。

宏菜さんVS佐藤B作氏も見もの。ラストの佐藤B作氏の長い独白はシェイクスピア劇みたいだった。

死とは何なのか?ある種の救いなのか?“死”を許すことか?
楽屋 ~流れ去るものはやがてなつかしき〜

楽屋 ~流れ去るものはやがてなつかしき〜

ルサンチカ

アトリエ春風舎(東京都)

2025/02/15 (土) ~ 2025/02/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/02/19 (水) 19:30

最初、なぜ『楽屋』をやるのかよくわからなかった。

だけど実際に舞台を観てみたら非常によくわかった。わりとメジャーな脚本と言う印象だけど、個性と歴史観と女優の魅力が非常によく出る舞台だった。

ちなみに、いつも思うのだけど、近代演劇とは果たしてモダニズムなのだろうか?とれともプリミティブなのか?

…それは日本では、戦前と戦後と言ってもいいのかもしれない。戦前と言っても、昭和14年ころを境に全く違う。それまではジャズなどアメリカ文化が盛んだった華やかな時代、それ以降は戦中。戦後はナショナリズムのモダニズムの夢敗れた自由な時代。つまりプリミティブ。

日本は戦争の前後で割と自由な時代を二回経験した。その自由な数十年間は、なんだか個人的には日本の文化のなかでは宝のような期間で、その豊穣の時代があったから日本の文化的豊かさがあったんじゃないかな、とも思う、今はないけど。


その合わせ鏡のような自由を映しながら二人の女優が舞う。髪型も似ていてお互いをディスりあうが、観客として見るなら正直、そこまで違うのかな、とも思う。それが原作者の意図なのかは知らないが、舞台の上で観測するなら極めて近似した二人の女優である。違うのは二人の年だけ。ただ戦前は豊かだったためか少しアメリカ的、戦後は同じく戦争でめちゃくちゃになって貧しかったフランス的のようにも映る。それは感情移入なのかは知らないが。映画という分野で言うなら逆かもしれないが、演劇という分野では少なくともそうだっと自分には見える。貧しくて自由な時代は、人目を憚らずに内省的になれるから、貴重である。それはあるいは政治家が内省的になるからかもしれない。…そんなことを、まさに不景気で内省的だっ90年〜00代に父親が総理大臣をしていた高校の同級生のことを考えながら思う。なんだかそんな感じだ、と。ただ、そうした雰囲気も舞台上では女優の色によって自由に演出され、そういう意味では歴史的でありながら余白に演出家や俳優の色がにじみ出る非常によくできた脚本と言っても良いのかもしれない。

モダニズムとプリミティブを感じるのは女優の元々の印象ゆえか。

ここにアニメの影響の強かった原作の時代以降の80年代〜の影響が見れなかったのは少し淋しいかもしれない。あるいはここが演出家の腕の見せどころだったのかもしれないと舞台を観ながらふと思う。

(ネタバレに続く)

ネタバレBOX

精神病院か墓場から抜け出たような女優が出現するが、これは1900年代近辺の芸術作品によく出る類型と言っても良い。その時代は多くの作品で精神病者をネタ元にした。ただし当時の芸術作品は精神分析のいまの進歩に及んでいない気がする。そもそも表現形態からして相性が悪いように自分には見える。多少は道化の要素を含み、当時だから許された類型の一つとして現在では慎重に扱ったほうが良い型のような気もする。そもそも現代には文学の歴史を知らない人も多いから、注意が必要かも。

ちなみに舞台上の鏡はその精神病のメタファーである、と言い切れるように思う。

ここでようやく、ここに出る役者たちはひょっとしたら一人の女優のプリズムのような内面の多面性を表してるのかもな、とも思う。
語弊があるとあれだけど、精神病によって女性性を表現しようとしていると言っても良いように思う。この女性の多面性は、内面の多様性であるとともに観客に向ける女優の多面性でもある。気のせいかこの多面性が豊かなほど女優として優れていると見なされることが多い気がする。これは男優と違うところだと思う。

ここで舞台上の女優たちの視線が気になってくる。そういえば始まったときから、ずっと客席をみていた。鏡越しでも、直接でも。

男性と女性の多面性は違うと思う。

男性は垂直的というか、権力に対しては嘘を振り撒き、横では密談し、下には隠して蹴り飛ばす。そういう多面性。僕は今までそういう虚言癖の人間の屑を役所で嫌と言うほどよく見てきた。女性も多少はあるかもしれないが、どちらかと言うと360度に対して合わせ鏡のように相手の夢を映し出せることを至高の喜びと思ってるのではないかと思ったりもする、僕はだけど。

女優たちは観客を夢見ている。

それが病なのかは知らないが、渇望しているのが観客からはわかる。鏡は女優の観客の視線を増殖させる良い装置でもある。観客の渇望を病的と言うならば悲しすぎるから、喜劇であると同時に悲劇。

最後にラフマニノフとかではなくバッハにしたのが一種の答えなのかもしれない。

ラフマニノフは分析的で重層的で無比。多くの作曲家に影響を与えたが近づくものはいない。バッハは川の流れのようで神聖。オルガンといえばバッハ。

楽屋を読むにはラフマニノフかな、と思ったらバッハ。今まで夢見て乾いたまま死んだ魂へのレクイエムだからバッハなのか。

途中から狂おしいくらいの悲しみが、戯曲を蘇らせてくれて良いなと思う。

もうちょっと書き足します
ハイ・ライフ

ハイ・ライフ

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2025/02/07 (金) ~ 2025/02/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

両バージョン鑑賞

「余裕あり。ふらりとどうぞ」「余裕あり。今すぐ予約!」
朝に夕に流れてくる流山児主宰の気迫のFacebookに、大楽の1本だけ観るつもりがどうしても両方観たくなって、無理矢理予定をこじ開けて両バージョンを拝見した。

しかし、肉体的にも精神的にも、ここまで激しくぶつかり合う芝居ってまずお目にかかれない。
「悪の美学」なんてかっこいいものではなく「どうしてそうなるんだよ」「何考えてるんだよ」とツッコミながら観ているのに、それでいて、このブザマな4人の男たちが幸せになってほしいと祈ってしまうのはなんだったんだろう。

まず西沢バージョンを拝見して、塚原ディックの膨大な台詞からあふれる説得力にこちらまで納得させられそうになり、バグ、ドニー、ビリーそれぞれのジャンキーたちにあり得ない感情移入をしてしまい、やっぱりこちらも観てよかったと興奮気味に思ったのが先週のこと。

その後に流山児バージョンの千穐楽。
そこでもう一段、腰が抜けた。
これだけの役者さんの、これだけの真剣勝負が観られるってどんだけ贅沢なんだ!
ここまですごい芝居が観られるとは思わなかった。単純に、いや、もう、とにかく面白かった。理屈じゃない。
ストーリーは先にわかっていながら、金縛りにあったような状態で口を開けっぱなして観ていたと思う。
この日この時間に自分がこの場に居てこの作品が観られたことに、とてつもない幸せを感じた。
これが区民割引で4000円!安すぎる!

蘭獄姉妹の異様な妄想

蘭獄姉妹の異様な妄想

悦楽歌謡シアター

遊空間がざびぃ(東京都)

2025/02/12 (水) ~ 2025/02/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/02/15 (土) 19:00

観ていて少しずつ浮遊していた。
終わってからもあの曲が脳内再生され
そうだ、歌謡シアター!!音楽なのだ!シャウトなのだ!!
ふふふ

おっさんずセブン

おっさんずセブン

WITHYOU

ザ・ポケット(東京都)

2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/02/02 (日) 12:00

現代のパっとしない「おっさん」7人がタイムスリップして……という「七人の侍」に「TIMESLIP黄金丸」を掛け合わせたようなアクションコメディ。
ベタと言えばベタだが、それで観客を楽しませようとする意気やよし。
そしておっさん役の役者が事実おっさんなので(笑)クライマックスの対決場面で息を切らせているのは演技かガチか?みたいな(爆)。
こういう「娯楽演劇」ど真ん中なのもイイよね♪

ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE

ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2025/02/15 (土) ~ 2025/03/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

英国現代演劇の作家の同じキャストで二作連続公演。共に群衆劇でロンドンの今を描いている。舞台は「ポルノグラフィー」が2005年のロンドンオリンピック反対運動でテロが起きた日、「レイジ」は2015年暮れ。新年を迎えるまで。長い。計3時間20分。
前者が市民が混乱する中、個人とその周囲の数少ない人間関係が描かれ、後者は大晦日の風景の中での社会関係の花果の人々が描かれている。イギリス経験が豊富とは言えないが、いかにもイギリスの市民風景の中でヨーロッパに住む人々の現代の心情風景が多角的に描かれていて、始めて見る作家ながら、うまいものだと、感心させられる。まずは作家の旨さ。
前半の作品のスジはテロで犠牲になった56名の死者を呼び起こすようなスケッチだが、軸にセックスを置いて、そこへ現代社会のいらだちを反映させている。エプロンステージのような凹型の裸ステージを置いて、そこで出演者が次々と主に「語る」。一つのエピソードの出演は一人か二人解きに4人になることもあるが、それぞれ話は独立している。語るヒトの生活も違う。そこをつなぐのはロンドン地下鉄、トラムで、ロンドンの主要駅が次々に出てきて、そこでロンドンの生活感を担保するあたり上手い。まさかそれで日本の上演を世田谷線のホーム続きにあるトラムにしたわけでもないだろうが、そんなしゃれっ気もありそうな気がしてしまう。
演出は桐山知也。始めて見る若い演出家だが、前編をノーセットの閉鎖的な舞台に、後半は劇場中幕を上げて高さのある天井を生かして階段セットを4階まで作り、さらに客席までも使って市街劇の感じを上手く出している。後半のスジを運ぶのは中年のタキシー運転手と、酔っ払って車内でゲロを吐いた客の女。酒場で暴れて警官三人に抑えこまれる若い男。それを見ている孤独な初老の女。その騒ぎが起きる広場には穴があって、そこは未来に通じているらしい。こういうありがちな話の閉め方もうまいものでリアリティを崩さない。この演出家、前編、後編をきっちり分けてみせる手数も若いに似合わず上手い。これからか、ちょっと次も見て見たい。俳優はそれぞれいろいろな役柄を演じることになるが、半分以上は若手の芸達者がでているので長丁場も安心して見ていられる。
スタッフでは、音響が良かった。音楽がない分現実感を抽象音を巧みに選んで作品のリズムも作っていた。まぁこの劇場もよくできていると言うこともあるのだが。
イギリス演劇の底力がよく出た作品だ。

キネマの大地―さよならなんて、僕は言わないー

キネマの大地―さよならなんて、僕は言わないー

椿組

新宿シアタートップス(東京都)

2025/02/10 (月) ~ 2025/02/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

中止になり、観劇出来ないかと心配しましたが観れて良かったです。些か長いのかなと思ったのですがあれで良かったと思います。ラスト、良かったと思います。また、観たい劇団です。

まよゐさんち

まよゐさんち

劇団五〇鬼

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2025/02/13 (木) ~ 2025/02/16 (日)公演終了

実演鑑賞

おやじべさんが関わっているのか、と。
面白かったですよ。
久々の新生館

花と龍

花と龍

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2025/02/08 (土) ~ 2025/02/22 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2025/02/16 (日) 14:00

明治時代、北九州の荷船への運び人夫、ゴンゾ。
このゴンゾの玉井金吾とその妻アンの人生譚。
開演前には舞台上に屋台があり、それを客席で食べれる。
私は焼きそば2つ(1000円)とラムネ(200円)購入。
みなとみらい付近のお店が出店しているようだ。
焼き鳥とお好み焼きもあったようだが(日)で客が多かったせいかそうそうに完売。全部並ばないと買えなかった。

ネタバレBOX

唐組稲荷氏が港の顔役大旦那を演じたが、圧力、演技力に圧倒される。
唐組では若手のエースを長年やられていた印象だが、言ってみれば大ボス、侠客達の象徴的存在で好演も好演だった。
他の方も触れるだろうが舞台中央の船のような建造物が盆の如く360度回る回る。大規模劇場ならではの手法。なおこの建造物の回りでも開場中に食事が出来、この舞台面が演劇空間になる、というのも、売りなのだと思う。
休憩15分ありの3時間の大作。
熱海殺人事件

熱海殺人事件

カガミ想馬プロデュース

サンモールスタジオ(東京都)

2025/02/05 (水) ~ 2025/02/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

売春捜査官を観劇 観たい役者さんがやってくれるだけでありがたい演目であるので観られただけで満足ではある

ネタバレBOX

伝兵衛の怒鳴るセリフが喉に詰まったような音になっていて聴いていて辛かった。千秋楽だったからなのか?
市原佐都子/Q『キティ』

市原佐都子/Q『キティ』

ロームシアター京都

ロームシアター京都ノースホール(京都府)

2025/02/17 (月) ~ 2025/02/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

前回が面白かったとの情報を得て観劇
チャン語 ハングル 日本語が入り乱れ、字幕には、英語が… アート系の演劇で、大道具小道具にはこだわりを感じたものの、図画工作が毎回2の僕には…
映像も多用化され演劇感は全くかんじられず、表現も下衆さが目立ち、ゲンナリ 隣の夫婦が最後に発した前回は良かったのにが全てを表している作品
食べ物を粗末にしていたのも、許せないカモ…
おすすめはできないな〜

八月の鯨

八月の鯨

劇団民藝

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2025/02/08 (土) ~ 2025/02/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/02/17 (月) 13:30

座席1階

民藝が20余年を超えて再演した舞台。元々は1980年に書かれた作品だったという。前回は奈良岡朋子が演じた姉リビーの役を、樫山文枝が演じた。

舞台は米国のリゾート地の別荘で、毎年姉妹が夏を過ごす。ここでは鯨が姿を見せるという楽しみもあった。姉リビーは視力が低下し、日色ともゑ演じる妹サラの手を借りないと生活できない状況。サラは献身的にサポートしているが、妹に対する複雑な思いもあってますます気むずかしくなっている。
姉を施設に預けて自分の人生を生きてはどうか、という幼なじみの女性の提案や、ロシアの亡命貴族と微妙な心の交流を交わすなど、サラの胸の内にさざ波が立つ。

こうした微妙な波風を、とても丁寧に描いている。さして大きな出来事が起きるわけではないが、第2次大戦が終わって平和が訪れたひとときだからこそか、とても温かな空気が流れているのが心地よい。
民藝を引っ張る役割となった日色が長ぜりふをきっちりこなしているところに、ほかのベテラン俳優ではとても追いつけないように思える安定感がある。台本でチェックしなければならないかもしれないが、日色のせりふにほかの俳優のせりふがかぶってしまう場面が複数あったが、日色のミスではないと思う。そのほかにも、声の通りやしぐさなど、リスペクトしたい俳優の姿だ。
もう1人、亡命貴族役を演じた篠田三郎はすばらしかった。存在感は絶大で、同性から見てもほれぼれするようなかっこよさがあった。

民藝の名作の引き継ぎというような感じの再演だったが、仮にまた、20年後に再演されるとしたら、どんな舞台になるのだろうか。

トウカク

トウカク

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/02/14 (金) ~ 2025/02/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

(A)
奨励会からプロ棋士になれずに脱落した男(渡辺あつし氏)、書いた将棋小説が話題を呼びTVで特集される。共に番組に出演するのは奨励会同期で名人戦に挑戦するまでになったプロ棋士(三浦勝之氏)、陽気なアナウンサー(江崎香澄さん)。

小説の主人公は天野宗歩(そうほ)。江戸末期、世襲制だった名人位にはなれずとも実力最強の棋士として名を残す。殆ど彼についての文献は残っていない。残るのは棋譜のみ。読み込んだ棋譜から彼の生き様を類推する作品。

TV番組の公開収録の設定でありつつ、江戸時代の空間にタイムトリップした3人が天野宗歩の生涯を観察していく形。まずは天野宗歩の死後に廃墟となった住家。彼は刃物で目茶苦茶に斬り刻まれて殺されていたという。余程の怨恨か?そして床にばら撒かれていた将棋の駒。一つだけ足りない。

不潔でだらしなく酒に溺れ将棋以外何の取り柄もない天野宗歩(大川内延公氏)。
義理の父である大橋本家十一代大橋宗桂(井保三兎氏)。
その息子、宗珉(宇田川佳寿記氏)〈史実では大橋分家の八代当主〉。
家元出身以外で初の名人位となった十二世名人・小野五平(東野裕〈ゆたか〉氏)の若き日。
江戸時代の将棋家元三家は大橋本家、大橋分家、伊藤家。
伊東家の当主伊藤看寿(野崎保氏)、詰将棋の天才作家として名を残す一族。
実在した盲人棋客・石本検校(松沢英明氏)。
賭け将棋の胴元・剛吉(西川智宏氏)。
女郎屋の女将お時(柴田時江さん)。
労咳持ちの遊女・お龍(満〈みちる〉さん)。
その妹、お菊(花田咲子さん)。

西川智宏氏がMVP。内田健介氏と存在感がだぶる。物語を回すのはこういう粋な人物。
柴田時江さんも作品の文鎮。きっちり場を押さえてみせる声。もう一つの役も観客を興奮させた。
満さんと花田咲子さん姉妹も配役の妙があった。

ネタバレBOX

ヒールの剛吉がお菊を使っての賭け将棋。別室の伊藤看寿と石本検校が指し手を決め、通し(サイン)でお菊に伝える。出演陣が少なく限られている為、狭い世界で回している感覚になってしまうのが残念。伊藤看寿がこんなことをやるべきではない。

お菊の話をもっと膨らませて歴史には残らなかった天才女流棋士の物語を絡ませても良かった。
渡辺あつし氏が小説を書きつつ天野宗歩の棋譜の謎に躓く方法論もあった。「何故こんな将棋を指したのか?」をテーマに納得いく仮説を立てていく。そこで天野宗歩は死んでいない結論に辿り着く。棋譜版『ダ・ヴィンチ・コード』。

語り口は面白いがテンポが悪い。話が賭け将棋の単調な繰り返しばかりで盛り上がらない。登場人物達が自由に生きていない。ただ、無から力尽くで棋士の生き様を創造する作家の苦しみは察するに余りある。作家の過渡期の生みの苦しみなのだろう。

『トウカク』の意味は解らない。「頭角」(天才)に角を打つ意味を込めて「投角」のダブルミーニングか?
シャイシャイマンションシャンソンショー

シャイシャイマンションシャンソンショー

劇団美辞女

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/12 (木) 20:00

過去と現在を行ったり来たりしながら話は展開し、最後は一緒にシャンソンを歌いたくなる…そんな舞台でした。

今回観て感じた事は、演劇というかミュージカルを観た様な錯覚に陥りました(良い意味で)。

これまでミュージカル要素の強い作品は観て来なかったし、ミュージカルが好きになれるとも思わなかった…

けれど、この作品は歌うシーンがストーリー上必要な場面なので、違和感がなかった。

結果、今回の様な流れなら歌ありきの演劇も楽しめるのだと感じた。

だからといって、ミュージカルを観に行こうとはならないと思う…
なぜなら、この作品が特別で…歌と笑いの融和性が高い作品だから。

尾﨑優人ベストセレクション一人芝居 ボンバイエ

尾﨑優人ベストセレクション一人芝居 ボンバイエ

優しい劇団

ニュー・サンナイ(東京都)

2025/01/25 (土) ~ 2025/01/25 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/01/25 (土) 16:00

何百年後かに、この一人芝居の様に宇宙で演劇をしているのでは?と思いを馳せたくなる…
そんな作品だった

尾﨑さんの演劇には夢がある
そして人を集める力がある

カリギュラ

カリギュラ

カリギュラ・ワークス

サブテレニアン(東京都)

2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

オフィス再生の「正義の人びと」でも作家役で登場していた長堀氏がタイプライターの前で語り始め、そう言えば・・と。題名だけは大昔から(カミュ作でお馴染みの文庫版もあったし)耳馴染みのある「カリギュラ」の内容は全く知らなかった。女優が扮したカリギュラの独白が、権力者の孤独、人間の真実、哲学的難問の領域に踏み込んだ事を台詞の端に滲ませる。「カラマーゾフの兄弟」(未読だが)で問われる「全てが許されるとしたら、人間は・・」という仮想の問いを実地検証できる絶対権力者は、何を選択するのか・・この問題設定をストーリーから汲み取るまでにやや時間を要した。大量の書物が置かれたサブテレニアンの黒い空間、紗幕の使用等、演出が勝ったステージであったが、この劇場の客席の最上段(一列目、二列目、三列目まで急峻な傾斜がある)に座ると、俯瞰の目線となり、趣向が「見えてしまう」ので少々戸惑った。
今少し低い目線で役者や物たちを水平に眺める想定で、演出が施されたのでは、と推量した。立体的な視覚情報が、役者の台詞への集中を幾度も途切れさせたような。(単純に自分の身体条件によるのかもだが..) 
その点が見終えて惜しく思った部分だが、最後には高揚をもたらしていた。そして(例によって)原作を読みたくなった。

『APOFES2025』

『APOFES2025』

APOCシアター

APOCシアター(東京都)

2025/01/18 (土) ~ 2025/02/09 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

一回のみのステージ「田実陽子×オノマリコ」を配信鑑賞。注目のオノマリコ脚本、秀作だった。東日本震災のあった日の都内、小さな飲食店を営む主婦が、帰宅困難者が集って活気付いた店内を眺め、安否を気にした夫から帰宅が遅くなる旨のメールを感慨深く受け取り、その時感じ、考えていた事を今振り返って語る。彼女の独白は、この日は皆が「良い人」だった事を改めてとしみじみ噛み締め、その夜を懐かしむささやかな本心を吐露する。遠くで起きた悲惨な現実への言及は独白の中には無い。想像の余白に、人間の真実が忍び込む。

残念だった(と思っただろう)のは、終盤の大事な場面で音響オペのミスだろう、終演後のアナウンスがチラッと流れてしまった。芝居は何とか持ち堪えていたが、一度切りのステージ。オペの方は土下座して謝罪した事だろう(でなきゃ許さん)。。

コルバタ友池組 「画素数の低い愛」

コルバタ友池組 「画素数の低い愛」

コルバタ

シアターブラッツ(東京都)

2025/02/13 (木) ~ 2025/02/27 (木)公演終了

実演鑑賞

良かった。
とても良かった。
ジンと来ました。

ネタバレBOX

何者にか成りたい、成れない男女二人を軸に、いくつかの愛が展開されていきます。
特にラスト近く主人公の家族にはジンときたなあ。
一角仙人

一角仙人

演劇ユニット 金の蜥蜴

ブディストホール(東京都)

2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/01/31 (金) 14:00

能楽には、というより金の蜥蜴が取り上げる題材は怨念などによる「ドロドロ系」が多いような印象(偏見?)だが、本作は原典がインドであるためか「カラッとした」感覚。
で、クライマックスが「宴」なので唐突に昭和30年代の「駅前シリーズ」「社長シリーズ」などの喜劇映画も思い出す。5年前の初演時にはそんなことはなかったが、どこか違ったのだろうか?(笑)
あと、装置はシンプルだが衣装が凝っていて説得力があるのはいつもながらお見事。

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