ハッシャ・バイ
虚構の劇団
座・高円寺1(東京都)
2009/08/07 (金) ~ 2009/08/23 (日)公演終了
満足度★★★★
お気に入りの劇団です。応援してます。初・座・高円寺です。
鴻上さん主宰の「虚構の劇団」第3回公演です。
1,2回公演作は、ともに小劇団にまつわる話でしたが、
今回はガラッと変わって、第三舞台の再演作。
1/3から半分くらいは書きなおしたという、
初演は23年前、28歳のときの作品といいます。
話自体は、最初と最後のワンカットで
いろいろな解釈も成り立ちそうで深い話。
確かに題材としては、探偵、精神病院、超能力者、
夢…という、結構いろいろなところで見たような
感じはしますが…。
さて、お気に入りの劇団の俳優さんたちについて。
これまでは鴻上さんがこの劇団のために書き下ろし
ていて、「あて書きに近いような」ところもあり、
すべての役に目配せがされていて、
比較的等身大に近い役でした。
そして内容も、今、時代を直接反映していました。
しかし、今回は本も昔のもので、再演もの。
これまでとは明らかに違う。
役者と登場人物の一体感があまり感じられない。
この両者の距離感のようなものが、
そのまま「実力」といえるのかもしれません。
そう考えると、本作はみんなが、次のステップに
進むために鴻上さんが選んだ作品であるように
思います。
それでもより一層次が観たくなる、応援したく
なるのは、劇団みんなが魅力的だからです。
…と素人考えで、もっともらしく書いて、
すみません。
でもますます今後も楽しみです。
※ちなみに今回は、小名木美里さんが欠席。
劇団研修生大杉さほりさんが出演しています。
リボルバー
劇団M.O.P.
紀伊國屋ホール(東京都)
2009/07/29 (水) ~ 2009/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
M.O.P.ラス前公演来年最終1回で解散。明治初期のホテル青猫亭に行き交う人々の人生をノスタルジー一杯に。
この次の1公演で劇団解散を宣言した劇団M.O.P.の
「ピスケン」の再演、リメイクというか
ほぼ書き直しに近かったようです。
明治初期、ホテル青猫亭に行き交う人々の波乱の人生を、
ノスタルジー一杯に描きます。
マキノさんがパンフレットで言ってたように、
三船敏郎主演のテレビ時代劇「無法街の素浪人」の
テイスト。
どおりで、宿主が女性(マダム)、
三上さんが三船敏郎そっくりのキャラクター。
どちらも回転式拳銃(リボルバー)が登場する。
客演は、まずは、北村有起哉さんがさすがの存在感。
生き生きとした演技に、舞台が狭く感じます。
そして、演劇集団キャラメルボックスの岡田達也さんは
自由民権運動派の若者を変わらぬ素朴さ純粋さで表現。
最後は劇団恒例の客演も含み全員でのバンド演奏。
これがいつもとっても楽しくて。
劇団公演のあったかい良さを感じます。
でも、これもあと1回しか聴けないと思うとさびしい。
カテコでマキノさんは来年の今頃と言ってました。
BLACKBIRD ブラックバード
ホリプロ
世田谷パブリックシアター(東京都)
2009/07/17 (金) ~ 2009/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
現代の孤独な愛。終盤のショッキングな展開に息をのむ。これはおススメです。
夜遅く、ある会社の広いロッカールーム、
中年男を訪ねてきた若い女の目的とは…。
世田谷パブリックシアターの広い舞台に男女二人だけの2時間。
冷たい蛍光灯の光の中で、二人の会話からだけで再現される
辛い過去に、ぐいぐい引き込まれながらも痛々しい。
孤独な二人の危ない愛の関係を、二人だけの微妙な
感情の動きでうまく表現しています。
終盤に突如訪れるショッキングな展開に、少し大袈裟ですが、
心臓をわしづかみされたように硬直してしまいました。
これは凄いと。
扱っている現代的なテーマに、嫌悪感がなければ
絶対おすすめの1本です。
地方公演はこれからなので、機会があればぜひ観てください。
風を継ぐ者
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2009/07/11 (土) ~ 2009/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★
新撰組の活躍する幕末を舞台に,時代を駆け抜けた人々の想いを描く!
演劇集団キャラメルボックスの描く幕末ものの一本、再々演。
キャラメルの新撰組は、生臭い部分よりも
(近藤勇は出てこない)、
若々しい純粋さを前面に、剣術よりもただ
足が速く「走ること」を武器に活躍した剣士を
中心にしていてすがすがしい。
それでいてクライマックスの殺陣は
本格派で、殺陣の振りも細かく非常に
凝っていて、エキサイティングで
観入ってしまいました。
爽やかさ、特にラストシーンが良くて、
観た後は、風が駆け抜けたようです。
お祝い
ラックシステム
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/07/29 (水) ~ 2009/08/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
あったかい雰囲気で大好きな劇団。関西弁で関西が舞台,笑って泣けるいい芝居。
妹が初潮をからかわれて道に飛び出し、
交通事故で亡くなったのを機に、布団屋をたたみ、
生理への偏見を無くすため、生理用品の開発販売と、
性教育の普及活動を手がける会社をおこした男の物語。
今回もコング桑田さんの威勢のいい声に迎えられて入場。
場所がスズナリでもサンシャインでも、コングさんの声
で迎えられると劇団リリパッドアーミーIIのあったかい
雰囲気を思い出します。
大好きな劇団です。
この劇団の特長は、関西弁で関西が舞台。
そして、ノスタルジックで笑えて泣けるお話です。
特に生理用品の話というのも、よく舞台化したものだ。
起業時から、第二次大戦、戦後直後と、社会の偏見の
様子が描かれています。
話も冒頭と結末がうまくまとめられています。
役者さんたちはみんな自然な関西弁。
主役夫婦の上田宏さんの熱心さ、
谷川未佳さんの朴とつさ・一途さ、
丁稚トリオの献身ぶりも気持ちいい。
コング桑田さんの存在感は別格です。
cover
ペンギンプルペイルパイルズ
本多劇場(東京都)
2009/07/17 (金) ~ 2009/07/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
複雑なシチュエーション、暗くい過去、重い運命、でもディテールはコミカル。個性的な内容が「劇団公演」ならでは。鈴木砂羽さんの漂う感じがいい。
まずは、冒頭の夜の山道でのカー・チェイス!
映像を一切使わずに、
ガードレールと飛び散る火花や鹿まで再現。
もう、ちょっとチープでも、結構うまく表現されていて、
面白い!
そこから始まる、なくなった姉を持つ兄弟と、
山奥のツタに覆われた離れに住む三兄弟の
風船のメッセージをめぐる奇妙な話。
これに、風船の手紙を持ったタコを釣った男、
家政婦として働く元愛人がからみます。
徐々に明かされる物語の背景、
複雑なシチュエーション、
よく考えると非常に悲惨でシリアス、
なのにそれぞれのしぐさや場面では笑ってしまう。
この個性的な内容が「劇団公演」ならでは。
鈴木砂羽さん演じる姉の悲しい運命が、
ずしっと重い。
砂羽さんは本当に独特の雰囲気がある人で
話の重さを中和させる、
漂うような「アンニュイな感じ」を醸し出しています。
ぼくもとさんは、今回は物語には直接関係しない
(他の人に比べれば)普通の人。
(パンフによると何も背負わない役というご本人のリクエスト)
そろそろキツイ役を期待します。
気になったのは、12才の子供の役。
大人が演じると、常に怒鳴って怒っている、
わがままな子供のやかましさ、うるささが、
本当にわずらわしくて参りました。
終わって、題名の「cover」って何?と思いましたが、
倉持さんの話をパンフ(1000円で内容充実!)で読むと、最初に浮かんだ題材が、何十年後に見つかった「風船のメッセージ」と、ツタに覆われた大木が枯れて木の形だけ残る「からっぽの木」だったそうです。
それで、仮チラシの仮題が「覆われる・・・」だったわけで、そこから「cover」になったのですね。
納得。
PPPPの初、本多劇場。
そして今回は地方公演を組んでいないので、
ホンダ特有のものが見えたでしょうか。
そして、次回は来年3月ザ・スズナリ!!!
だそうです。
奇ッ怪
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2009/07/03 (金) ~ 2009/07/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
夏はやっぱりこわ~い話."牡丹灯籠"小泉八雲"怪談"を前川流に巧みに再構築.少し切ない.
舞台も夏はやっぱり、こわ~い話。
小泉八雲の再話(伝承民話を書きなおした話)「怪談」
からの5編、「常識」「破られた約束」「茶碗の中」
「お貞の話」そして「宿世の恋」は「牡丹灯籠」を
巧みに再構築。
山奥の旅館で「怪談話」を始める3人の男と仲居さん。
語られるその話と、現在起きていた事件が、いつしか
クロスオーバーしながら同時に進行していき、
クライマックスを迎える展開が見事で引き込まれます。
作・演出は、現代に起きる不思議な話が特色の
「劇団イキウメ」の前川さん。
そして脇を固める四名の役者さんもイキウメメンバー。
伊勢佳世さんもメンバーになったんですね。
劇団外のベテラン俳優の方々を迎え、新鮮な雰囲気。
全体は怖い話でも途中までは結構笑いを交えてあり、
池田さんは余裕のアドリブ、応える仲村さん、小松さん
もおかしい。
イキウメの良さも残しつつ、
いつものイキウメ劇団公演とは違う豊かさ、
余裕や深みがでて、また、シアタートラムの
小さいながらも横に広く、見下ろされる舞台の
良さも感じました。
役者さんたちの演技のやり取りを楽しみつつ、
笑いながら徐々に怖く、しかし切ない、
面白いお芝居でした。
ひみつのアッコちゃん
劇団ガソリーナ
【閉館】江古田ストアハウス(東京都)
2009/07/08 (水) ~ 2009/07/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
テクマクマヤコン…あのマンガの舞台化は変化球。前向きな親子関係を描く。さよなら、江古田ストアハウス。
【面白かった!】
あの「ひみつのアッコちゃん」の舞台化!?
「ひみつのアッコちゃん」の実写映画化という設定で、
主役のアッコちゃんのオーディションの話。
てっきり佐藤寛子さんがアッコ役で主演して、
その映画撮影でのドタバタを描くのか…と思いましたが、
実際は、佐藤寛子さんは海外で評価を得た、新進女流映画監督役。
全国12万人のオーディションから選ばれ最終選考に残った5人の女の子。
舞台は、その親の最終面談オーディションを描く。
友達のような母親、
クォータで美形子役の母親、
離婚した父親、
子供時代のアニーの夢を子供に託す母親(このパートが圧倒的)、
全校生徒から推薦された不思議な子の両親…。
5人の親の面接を通して、
映画製作体制の舞台裏もからめながら、
さまざまな親子の関係、いじめ、夢、離婚などが浮き彫りにされる。
さて、アッコ役は誰に?
今の小学生がコンパクトで変身したいのは何なのか?
すべての親子関係が良好でいい意味でなかなか決められない
とか、映画アッコちゃんのストーリーもとってもヒューマン
だとか、すべて前向きな内容であるのが非常に好感が持てます。
【こういう舞台、好きです。】
役者さんでは、主演の佐藤寛子さんが、新進女流映画監督役、
これまでと違うイメージに挑戦。
他にはやはり「アニー」のトゥモローで一気に客席全員を
さらっていった、窪田あつこさんが強烈!さすがです。
その圧倒的な迫力に、泣きそうになりました。
あと、不思議(はてな)ちゃんの母親役の鴻上久美子さん。
やはり少し不思議な演技と、独特の声が印象的で気になりました。
異人たちとの夏
東宝
シアタークリエ(東京都)
2009/07/04 (土) ~ 2009/07/25 (土)公演終了
満足度★★★★★
他人に思われているからこそ自分は生きている 亡くなった人を思う気持ちがあれば、その人は生き続ける。
原作は、ドラマ脚本で有名な山田太一。
20年前に、監督:大林宣彦、脚本:市川森一という最強タッグで映画化された作品の舞台化です。
さて、スズカツさんの舞台での決まりごと、お客入れの時間には、ジョン・レノンのスタンド・バイ・ミーがかかり・・・最初のアパートのシーン。
ストーリーを知っているから、もうすでに泣きそうになります。
都会の孤独。
他人に思われているからこそ自分は生きている
亡くなった人を思う気持ちがあれば、その人は生き続ける。
毎回、両親は、舞台上でストップモーションのように止まっている姿で登場し、主人公に会ったとたんに動き出す。
彼の思いがあってこそ、生きたように動くのだと。
そしてケイも、主人公に『二度目に会ってから』は見違えるように明るく幸福そうな表情を見せます。
途中、舞台上では父子でキャッチ・ボールが始まります。
同じスズカツさん演出・椎名さん主演の「レインマン」でもサッカーボールでのやり取りのシーンがあり、一発勝負のボールの行方に、観客も目が離せません。
客席に飛んだことは無かったのでしょうか?是非見たかった。
椎名桔平さんは、両親やケイと会っているときなど、表情の演技がうまい。
甲本雅裕さんはイメージどおりの下町の親父。
今回は特に、池脇千鶴さんが見せた、母親の包容力のある包み込むような優しさ、かわいらしさ、が新しい発見でした。
ダンス・オブ・ヴァンパイア
東宝
帝国劇場(東京都)
2009/07/05 (日) ~ 2009/08/26 (水)公演終了
満足度★★★★
原作ロマン・ポランスキー,音楽「フットルース」のスタインマン!踊るヴァンパイア!
暑い夏には、ヴァンパイア。
原作は、1967年のロマン・ポランスキー監督映画
「ロマン・ポランスキーの吸血鬼」。
先日の「死霊のはらわたミュージカル」といい、
ゲゲゲの鬼太郎の主題歌といい、
ゾンビも妖怪もヴァンパイアも、時として、
恐怖の対象でありながらも、ルールに縛られない
自由の象徴として、歌ったり踊ったり…。
人は、ゾンビや妖怪の自由な生活にあこがれているようです。
第一幕はオーソドックスな古典ミュージカルの
雰囲気でしたが、第二幕の特に終わりにかけて
ヴァンパイアたちが踊り出すと、
ステージは一転して生き生きし出し、盛り上がります。
それにしてもどこかで聞いたメロディ、フレーズ。
「フットルース」か「フラッシュダンス」?
と思っていたら、まさか、ラストが
「Tonight! What I Mean To Be Young」とは!
「今夜は青春」とは!
知りませんでした。
後でパンフレットを見ると、音楽のジム・スタインマンは
「フットルース」の「ヒーロー」、
「ストリート・オブ・ファイア」の「今夜は青春」を
作った人。どおりで。
役者さんでは、
山口祐一郎さん歌声が好きですが意外と出番少なく、
知念里奈さんは安定した歌声でお風呂とスポンジが好きで
村の外の世界にあこがれるヒロインを好演。
この単純なキャラがかえって可愛らしい。
浦井健治さんはコミカルなヒーロー役、声が特長、
石川禅さんの教授は一番活躍しているのでは?
歌でも見せ場が多い得な役、
シルビア・グラブさんパンフレットを見るまで
気づきませんでした、ごめんなさい。
でももちろん歌とダンスの見せ場があります。
ヘッダ・ガブラー
メジャーリーグ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/07/08 (水) ~ 2009/07/14 (火)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい!面白い!100年以上前の作品と思えない!主演:小沢真珠イメージの役で、他人の人生を弄ぶ危険な女性。
小沢真珠さんがドラマで演じたような役柄、
危険を求めていながらも、そうなってしまったら
対処できなくなる、危なっかしさにどきどきしてしまう。
かたや、町田マリーのエルヴステード夫人も
何不自由ない平凡な毎日に嫌気が差して思い切った行動をとる。
この劇の女性たちは2人とも非常に行動的。
女性が抑圧されていた時代、よくもイプセンはこういう内容の
劇をの書けたものだと驚きます。
この狭い空間で6人の役者だけで、その時代その場所各人の人生を、
役者の演技とそれを観る観客の想像力で形にする、
客に観られて想像されることによって完成する・・・演劇は面白いですね。
EVIL DEAD THE MUSICAL~死霊のはらわた~
アミューズ
サンシャイン劇場(東京都)
2009/06/25 (木) ~ 2009/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
あのホラー映画をミュージカル化!怖くて笑えるノリを舞台に再現。
サム・ライミ監督の伝説のゾンビ映画「死霊のはらわた」「死霊のはらわた2」を舞台化、しかもミュージカル!
オフ・ブロードウェイで大ヒット、韓国でも上演されたB級問題作の日本初演です。
例によって若者グループが山の別荘でバカンス。
ゾンビに襲われて、一人ずつ犠牲になる若者たち…。
…を歌って踊る! チープな小道具やメイク、
みんなのテンションがおかしく、全く怖くない。
そして諸星くんは、あの「自分の手首との戦い」の一人芝居まで演じてて、ホントに笑ってしまう。
それをしかも…何度も言いますが…ミュージカルでやってるところが面白い。
中には、ぐだぐだの展開やあからさまな楽屋落ちも随所にあるのですが、なぜかノリで許せてしまう感じがイイです。
クライマックスでは、期待通り全員でゾンビダンス。
マイケルの「スリラー」以来、両手を左右にかざすポーズが、ゾンビダンスの定番になっちゃいましたね。
諸星くんはノリノリでおばかヒーローを演じ、あの大和田美帆さんは普段言えないような言葉で歌い、
瀬戸カトリーヌさんは正反対の二役、高橋由美子さんは女子大生役で活躍、さすがの歌唱力を披露。
(でもカーテンコールではかなりお疲れのようでした)
そして、ここにも森本亮治さんが出演。
セリフをことごとくかぶせられて、まともにしゃべらせてもらえないという脇役というキャラクターがおかしい。
それにしても、最近、森本さんは立て続けに舞台に出演していて、出ている芝居を結構観てる気がします。
どうせなら、他の国の公演のように、血糊が客席に飛ぶくらいのほうが、思いっきり楽しめたかも。
日本では無理だろうなぁ…。
前から2列目までには、使い捨て雨ガッパが配られました。
添えられた紙に、
公演中、場合によって役者の汗や少量の血糊が客席に飛ぶ可能性があります。
必要な方は雨合羽をご使用ください。
※お帰りの際にはロビーにてご返却下さい。
…と書いてあったので、結構期待したのですが、やはり大げさだったようです。
でも確かに、諸星くんの顔からは滝のように汗が流れていましたね。
星の大地に降る涙
地球ゴージャス
赤坂ACTシアター(東京都)
2009/06/20 (土) ~ 2009/07/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
反戦、侵略、民族同士の争いを真正面からとらえた力作
戦いを捨てた平和な理想郷といえる民族「タバラ族」
に迫る、他国の侵略の影、その結末は…。
今も決して無くならない「戦争」について、
真正面から挑んだ野心作です。
争いはなく、笑顔の絶えない、愛と踊りの国。
太陽の笑顔を持つ民族「タバラ族」は架空の国
とはいえ、
こんなに素敵な国の存在も許さない「世界」とは、
いったい何なんだろうか、と考えさせられる。
寓話として描かれつつも、
これはまさしく実在した歴史であり、
今も繰り返される戦争の事実であるという悲しさ。
岸谷・寺脇のコンビによるコメディ部分は
結構見飽きたような、使い古されたネタが多く、
かなり辛いのですが
(相手のマネを永遠とするとか)、
それでも締めるところは締めているのがいい。
それにしても、木村佳乃さんの優しさが光っていて、
ほかの女優陣もたくましい。
炎の人
天王洲 銀河劇場
天王洲 銀河劇場(東京都)
2009/06/12 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
市村正親渾身の演技。まさに炎のように激しいゴッホの人生。
あの狂気の画家ゴッホの生涯。
絵のことを際限なく話し続ける、
まさに常に絵のことしか考えられなかったゴッホに、
常に芝居のことだけを考えているような市村正親さん
姿が、そのまま重なり合って見える、渾身の演技です。
飾りのない兄弟愛を感じさせる弟テオ役の今井朋彦さん、
悪態をつきながらもゴッホを愛する娼婦シィヌの荻野目慶子さん、
終盤の重要な語り部である中嶋しゅうさん
(責任重大!プレッシャー!)、
俳優陣の、まっすぐで重い演技が見どころでした。
舞台版「心霊探偵八雲 魂のささやき」
オフィス・REN
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2009/06/19 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了
満足度★★★
怪奇ミステリー・ライトノベルシリーズの舞台化第2弾。前作が好きでしたが…
怪奇ミステリー・人気ライトノベルシリーズの舞台化第2弾。
前作の青山円形劇場から、サザンシアターに舞台を変え、
今回は屋敷を舞台にした幽霊殺人事件の謎に挑む。
今回も同じ原作者による脚本、同じ演出家と作曲家による音楽。
出演陣では、主役が中村誠治郎さんに交代。
今回のほうが若く静かな印象で、いい。
続投は、ヒロイン晴香の岡あゆみさんと、
若手の石井刑事役の佐野大樹さん。
特に、何をやってもドジで叩かれて、必ず転ぶ、
何度も転ぶキャラの佐野さんがとても好演、
観ていて楽しいです。
桜姫 ー現代劇
松竹/Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2009/06/07 (日) ~ 2009/06/30 (火)公演終了
満足度★★★
目の前で繰り広げられる豪華キャストの面々の迫力の演技が圧巻! 話は・・・?
舞台左横ベンチシートで確か3、4列目だったので、
目の前で繰り広げられる豪華キャストの面々の
迫力の演技が、なにより圧巻です!!
役柄もみな、かなりアクの強い、濃いキャラクター
が揃っていて、かなりの満腹感は得られました。
特に、大竹しのぶさんの変幻自在ぶりは、
とっても魅力的です!!改めて感心しました。
古田新太さんの余裕、ふてぶてしさは相変わらずで、
今回は座長でないぶん、遊んでいて楽しそう。
そして、中村勘三郎さんは、登場時には誰かと思う
ほど意外な外見で、面白い。
白井晃さんは、やはり生真面目な役柄。
秋山菜津子さんはコミカルな面も楽しい。
笹野高史さんも多くの役をこなし、
その飄々としながらもさすがの存在感。
さて、ストーリーは歌舞伎の現代劇化。
突然人物が変わったりと不条理劇のようなことが、
部分部分で発生します。
難解な話だとは思ってましたが、
パンフレットには原作のあらすじが。
ざっと読んでみましたら、
元のほうが面白いではありませんか・・・。
もっとストレートに現代に置き換えるか、
そのまま普通の時代劇にしたほうが
よかったかもしれません。
でも、それでは普通すぎてクリエイターの
人にとっては創作意欲が沸かないのかも。
原作は、コクーン歌舞伎として7月に上演されますが、
普通の「歌舞伎」はちょっと苦手です。
ボス・イン・ザ・スカイ
ヨーロッパ企画
青山円形劇場(東京都)
2009/06/17 (水) ~ 2009/06/28 (日)公演終了
満足度★★★
ドラゴン退治に明け暮れる「光の戦士」の日常。ゆる~い笑い。舞台装置が圧巻!
「サマータイムマシンブルース」のヨーロッパ企画の作品。
結成11年目を迎えているとのことですが、良い意味で
その部活の日常のような雰囲気が劇団の味でもあります。
劇団初の円形劇場・囲み舞台。この劇団のお芝居では、
いつも、常に10人くらいが舞台上にいるので、
人物が重ならないように考えた結果、なんと舞台に
鉄骨の足場で3階建ての「塔」を作り、
この3層で会話や演技が交わされる構成になりました。
当初、上へ上へ上っていく話だったそうですが、
結局塔の最上部に居座っているドラゴン(動かない)を
クリスタルの光によって転送、処理する仕事の
人たちの話に。
昔は脚光を浴びていたこの人たちも、今は徐々に
忘れられつつある存在。
しかも、このドラゴンも動かない種類のもので、
メンバーたちもいっこうに盛り上がらず、単なる
ルーチンワーク化している・・・。
この「ドラゴン退治」を職業とするたちの
ゆるやかで、まったりとした仕事振りが展開します。
劇的な何かがあるわけではない、緩やかで、
ちょっとだけ不思議な、でも普通な人々の日常が
とってもユーモラス、ゆる~い気分に浸ります。
終演後は、出演者と作者によるトークショーが30分
くらいあって、これも満足でした。
女信長
RUP
青山劇場(東京都)
2009/06/05 (金) ~ 2009/06/21 (日)公演終了
満足度★★★★
主演:黒木メイサがイイ 「・・・であるか?」結構まじめに男女について考えさせられました。
信長は女だったという奇想天外な話を舞台化。
最初は、まさかという感じでしたが、言われてれば、
それまでの伝統に捕らわれない斬新な発想、
エキセントリックな性格は、
女性がいきなり天下を取ったと考えると合点がいく
かもしれない。
本作の脚本は、北区つかこうへい劇団7期生の
渡辺和徳さんが担当。
その、つかこうへい作品には「沖田総司が女だった」
という『幕末純情伝』がありました。
演出の岡村俊一さんもつか作品のプロデューサー
だったり、主演の黒木メイサさんは、2004年の
舞台『熱海殺人事件~』でデビュー。
本作でも、中森明菜の歌で踊ったり、急にブリッコ
演技で甘えたりという、つか作品のテイストに
満ちた作品でありました。
それにしても、黒木メイサさんは絵になるなぁと。
この存在感は凄い。
もっともっと濃い役柄、演技が観てみたいと思いました。
ゼブラ
東宝
シアタークリエ(東京都)
2009/06/09 (火) ~ 2009/06/29 (月)公演終了
満足度★★★★★
金麦の檀れいさん降板。しかしさすが星野真里さん。実質、主役じゃないですか!
ONEOR8の田村孝裕さん、金麦の檀れいさん、斉藤由貴さんを目当てに購入
…しましたら、突然の檀れいさん降板。
しかし代役の星野真里さんも、あの天然の素のキャラクターと
演じている役のギャップが好きだったので、結果的にはラッキー。
上から斉藤由貴(42),星野真里(27),山崎静代(30),大沢あかね(23)
の四姉妹と母親の物語。
檀れいさんは(37)だったので歳も配役通りの順序だったのですが、
星野さんはそれより10歳年下、しかもしずちゃんはあの背丈
だから大丈夫だろうかと思ってましたが、さすが星野さん。
しっかり、勝ち気な性格の次女になっていました。
しかも実質主役です。
向田邦子さんの小説「阿修羅のごとく」とはストーリーは違って、
モチーフにしただけとのこと。
向田さんを前面に出し過ぎているのは、宣伝の都合でしょうか。
「阿修羅…」はテレビしか知りませんが、情念のこもっていた
テレビ版と比べてもシリアスさが全然違って、
本作は、ほとんどコメディのようです。
それでも「ゼブラ」のエピソードは泣けます。
ですから本作は、四姉妹と優しい母親の想い出の話として
良かったです。
楽屋
シス・カンパニー
シアタートラム(東京都)
2009/05/10 (日) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
人気女優4人が小劇場で競演!生瀬演出。蒼井優の新たな一面も見所!
人気女優4人の競演!しかも小劇場なので、休日のチケットが取れず、平日ソワレで。
しかし、平日の18時30分開演って仕事帰りには無理。主演時間の都合かと思いきや、1時間20分程度で「20時前」には終わるので、やはり19時開演にしてほしかった。
それはともかく、まさか「ネタばれ」系のものとは思いませんでした。
てっきり、シリアス一辺倒なのかと・・・。
パンフレットで生瀬さんが言っていた通り、コミカルな部分を前面に押し出されていて、とっても笑える内容になっていました。
それにしても、この4人の配役が決まった時点で、かなりの割合で成功が約束され、出来上がりも予測できたでしょう。
この4人を演出するのは、普通ならかなりのプレッシャーだと思いますが、気負いは一切感じられず、非常に自然な雰囲気でした。
一番良かったと思ったのは、蒼井優さん。
時にかわいく、時に凄みあり、普段は見れない彼女の別の面が見れた気がしてとっても良かったです。
そして、村岡希美さん。一番まともな女優の役。
全てを犠牲にして女優をやってきた、という気概がありながらも翻弄されて、自問自答する。
1人でじたばたと叫び発散する様が、勢いがあって気持ちいい。
キョンキョンは、今回は至って控えめな印象。
もっぱら受けの役目のようで、そういう意味では、力んでいない自然な感じもいい。
渡辺えりさんはもう存在感だけで有無を言わせない感じ。
役そのもの。
ある意味、ここで語られる女優像は、少し前の時代のものに感じられますが、女優というのは、男優とは「意味あい」がまったく違うと言うことを改めて考えます。
また、パンフレットの座談会で女優さんたちが言っていた「女を母性で語っていないのがいい」という話が印象的でした。まさにその通りです。