満足度★★★★★
複雑なシチュエーション、暗くい過去、重い運命、でもディテールはコミカル。個性的な内容が「劇団公演」ならでは。鈴木砂羽さんの漂う感じがいい。
まずは、冒頭の夜の山道でのカー・チェイス!
映像を一切使わずに、
ガードレールと飛び散る火花や鹿まで再現。
もう、ちょっとチープでも、結構うまく表現されていて、
面白い!
そこから始まる、なくなった姉を持つ兄弟と、
山奥のツタに覆われた離れに住む三兄弟の
風船のメッセージをめぐる奇妙な話。
これに、風船の手紙を持ったタコを釣った男、
家政婦として働く元愛人がからみます。
徐々に明かされる物語の背景、
複雑なシチュエーション、
よく考えると非常に悲惨でシリアス、
なのにそれぞれのしぐさや場面では笑ってしまう。
この個性的な内容が「劇団公演」ならでは。
鈴木砂羽さん演じる姉の悲しい運命が、
ずしっと重い。
砂羽さんは本当に独特の雰囲気がある人で
話の重さを中和させる、
漂うような「アンニュイな感じ」を醸し出しています。
ぼくもとさんは、今回は物語には直接関係しない
(他の人に比べれば)普通の人。
(パンフによると何も背負わない役というご本人のリクエスト)
そろそろキツイ役を期待します。
気になったのは、12才の子供の役。
大人が演じると、常に怒鳴って怒っている、
わがままな子供のやかましさ、うるささが、
本当にわずらわしくて参りました。
終わって、題名の「cover」って何?と思いましたが、
倉持さんの話をパンフ(1000円で内容充実!)で読むと、最初に浮かんだ題材が、何十年後に見つかった「風船のメッセージ」と、ツタに覆われた大木が枯れて木の形だけ残る「からっぽの木」だったそうです。
それで、仮チラシの仮題が「覆われる・・・」だったわけで、そこから「cover」になったのですね。
納得。
PPPPの初、本多劇場。
そして今回は地方公演を組んでいないので、
ホンダ特有のものが見えたでしょうか。
そして、次回は来年3月ザ・スズナリ!!!
だそうです。