みさの観てきた!クチコミ一覧

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キセキの人

キセキの人

スーパーグラップラー

時事通信ホール(東京都)

2010/08/18 (水) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鬼~のパンツは強いぞー、強いぞ-♪
「キセキの人」というタイトルからすると、主役は酒天童子なのだが、主役が何人もいるような錯覚に囚われるのは、やはり、個々のキャストらの存在感だと思う。舞台のセットが美しく、あの世とこの世の狭間のような・・。

もののけとか、妖怪とか、アヤカシの世界。どちらかというとアニメチックなキャラクターの宝庫で、メープルフィギアも登場させ、好みの芝居だった。

笑は失笑・苦笑!の種類。笑)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

一条天皇(帝)の2人の婚約者が妖怪にさらわれた事件で源頼光以下、4人は妖怪を捕まえる為の特殊部隊を組まされる。この時代はもののけやら、妖怪やら鬼やらが頻繁に現われる物騒な時代でもあった。

彼らはゴーストバスターじゃあないけれど、妖怪らを退治するために、いざ、大江山(天狗島)の鬼のところに向かうのだが・・。

一方で天狗島では人として未完成のままの酒天童子が現われる。彼は閻魔によって、魂だけが浮遊していた酒天童子を、とりあえず、と未完成の体にその魂を吹き込んで出来上がったのだった。だから死んでも居ない、生きても居ない魂だったのだ。

彼は未完成の身体を完成させるために、死んだ身体や死にそうな身体から必要な部分だけを奪って自分の身体の一部に加えてしまうと言うおぞましい力も持っていた。鬼の頂点に位置する天狗は鬼の長・茨木から、新たな長としての称号を与えられるも、彼はその茨木の身体さえも欲しがるようになる。

物語は4人の部隊と鬼、酒天童子の本当の両親のいくえを絡めながら、戦いとなるも、酒天童子の両親が源頼光と道子とわかると、安心して浄化するという奇跡の物語。

親子の絆を謳った物語りで人間の原点を見つめ直した美しい物語だった。茨木の鍛えられた二の腕が萌え!
コーラス・ガール

コーラス・ガール

劇団ING進行形

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/08/20 (金) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白い!その一言に尽きる。
古典と現代と未来が入り混じったような香りのある舞台。その世界観は陽気で楽しく賑やかなディズニーランドのような雰囲気ではなく、民家の裏路地に迷い込むと鬱蒼とした神社があって、その先には得体の知れないブラックネバーランドが手招きして舞ってるような感覚。一度そこに迷い込むと尻尾を掴まれ逃げられないような・・、不思議な異次元の世界。

以下はネタばれBOXにて。

ネタバレBOX

カマ風味の男と妻のいる男の絡みがあったかと思うと、いきなりカルメンの黒いドレスを纏った女が登場し、オカマをナジル。笑)  この黒いドレスがコーラスガールかと勘違いするほど妖艶で奔放な感じがする。しかし、彼女は男の妻で、夫が会社の金を使い込んだのがバレて困っている。ニコライ・パトラビッチを出せ。と言い張る。

しかしオカマ、こちらが実はコーラスガールなのだが(笑)、彼はここに居ないとオカマは逃れるも、今度は妻に「夫が貴女に与えた物を返せ。」といわれる。浮気した張本人が不在のもと、立場上優位な妻と、いわゆる泥棒猫のオカマの会話はコミカルにしかし尖りながら続く。この情景が可笑しい。

しかも妻の言動に重なり合うように闇のショっカーのような輩3人が奇怪な動きをするのだから、コメディなんだか、シリアスなんだか・・・、あ、ナンセンスだ!笑

そして妻の激情が頂点に達すると、黒いおパンツが見えてもなんのその、横回転なんかしちゃって、更に白い太股も民衆に惜しげもなくさらしたかと思いきや、今度はデジタルダンスを繰り広げちゃうのだから、楽しいったらありゃしない。

ワタクシは一点も見逃すまいと目を皿のように充血させながら右往左往、キョロキョロしながら見ていると、今度は妻は騎馬戦のてっぺんに乗っかって、女王陛下のように見下ろすのだった。これが勇士のごとくな有様で、フラッグを掲げたなら、更に完璧!笑
旬の観たいもの展2010

旬の観たいもの展2010

旬の観たいもの展

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/08/17 (火) ~ 2010/08/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

楽園王+プロデュース「日射し」
じべ。さんがUPしてくださったので、そちらに移動しました。


http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=76565

メリッサのゆりかご ジルの監獄

メリッサのゆりかご ジルの監獄

メガバックスコレクション

あうるすぽっと(東京都)

2010/08/19 (木) ~ 2010/08/23 (月)公演終了

満足度★★★

子供向けミュージカル
セットも衣装も素晴らしい。キャストに子供が多かったせいか、全員での歌やセリフにズレが生じてよく聞き取れない。今回は、子供の指導に時間が費やされた為か本が単調でした。幕引きの20分前までは大きなうねりはなく、ただただ島での彼らの様子のみが描写される。
だから、ちょっと飽きてしまうも終盤の20分で大きなうねりがやっと訪れる。こんな情景から、子供向けと感じ、また公演も休憩を15分間挟んでの長丁場でした。
今回のヒットはジルこと雪乃さずきの歌が抜群だったこと。劇団四季にでも居たのだろうか?と思わせる歌いっぷりだった。会場いっぱいに通る歌唱力はお見事!更にキャストの人数も多かったしセットの豪華さも相成って舞台は華やかでした。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は海賊船のキャプテン・メリッサと島の港にある食堂の女主人を軸に舞台を回す。二人は姉妹という設定だ。

ミナリー島に帰ってきた海賊達は争奪したお宝以外にニーナという西の島から来た少女を連れてきてしまっていた。ジルは驚き怒るも、もう島にきてしまったのだから仕方がないと諦める。ここからは島の中の人間模様なので、詳細に説明するほどでもないありきたりの風景だ。

終盤20分頃から、物語は動き出す。ちょっと遅いのだが・・。
やがて、海賊のボージが熱病に冒され、これが伝染病だとドクターから言い渡される。このままだと島全体がこの伝染病にかかり、やがて島には人っ子一人居なくなってしまうと。慌てた島の住民らは大騒ぎになり、そんな騒ぎに驚いたニーナは、秘密裏にしていた自分がここにやってきた理由を話し始める。

ニーナは西の島でこの伝染病にかかり感染する理由から地下室に閉じ込められていた。そんな折、海賊船が寄航したのでこれ幸いと、大人達に船に乗せられたのだと言う。これを聞いたメリッサは島を感染から守るために、ニーナとボージ、海賊らを連れて薬草があるという東の国に向かって出航することを決断する。

物語はこの出航で幕を降ろすのだが、感動するまでの2時間以上もの内容が実に浅いのだ。だから途中で飽きる。無駄な部分はかなりあって短縮できたのではないか、と思うと満点は付けられない内容だった。
ぼくの好きな先生

ぼくの好きな先生

enji

小劇場 楽園(東京都)

2010/08/18 (水) ~ 2010/08/24 (火)公演終了

満足度★★★★

好きは好きでもフライヤーに出てるような先生ではない。笑
主人公・河合の中学時代の回想と妄想を具現化し現在の状況と交差さながらの悔悛物語。
ここで登場する河合の好きな先生は、尊敬する先生らでこれらの登場人物たちが実に面白い。今回のenjiはコメディ公演かと勘違いしたほど。だけれど後半はがらりと模様をかえてジーンとして泣ける。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

34歳になった河合は現在、教師をしながらかつての同級生だった玲子と結婚し、彼女には新たな命が宿っている。こんな風に順調に人生を歩んできた河合には、同じく中学の同級生で、苛めを苦に自殺した馬場が今でも心に重くのしかかっていた。

当時の事を回想するとあのころの馬場を助けられなかったという後悔が、罪の意識となって河合を苦しめる。だから今でも馬場は中学生のままで河合にまとわりついて離れない。それが現在の河合が見る妄想の中で河合の尊敬する小説の中の先生らと一緒に「いじめ」について議論し、自らの欝を消化しようと試行錯誤を繰り返すのだ。

ここで登場する先生らはヤヌシュ・コルチャック先生、宮沢賢治、ジョン・キーティング、坊ちゃんらだ。これらの先生方は小説どおりのキャラクターだから、実に可笑しく楽しい!笑

しかも彼らのような著名人な大人たちが結構バカバカしく、しょもない議論でもって「いじめ」について語り合うのだから裸の大将のさまなのだ。笑
とにかく坊ちゃん先生のキャラクターが愉快だった。

彼らは馬場を中心に「いじめ」についてとことん話し合いながら、その情景で河合の罪を消化させていくかのようだった。河合の頭の中の馬場は河合の感情によって服装やキャラクターが変化するので、河合の心の揺らぎも想像することができる。

学校と友達が人生の全てだったあの頃、多勢に無勢ではないけれどいじめられている馬場を避け離れてしまった自分、想像もしなかった馬場の自殺。それらを背負った罪は河合の20年後に馬場の父が昨日届いたという馬場の「14才の手紙」を持参し河合家に訪れることでようやく消化される。

手紙には「20年後の自分」というタイトルで自殺した前の日に書かれたものだった。そこには将来の夢を書いた手紙があった。そして馬場の34歳の自画像と河合の34歳の自画像も含まれていた。

馬場の父のセリフ「恨んではいないけれど許すことはない。どうか翔太を忘れないでほしい。これは重いかもしれないけれど、これからも重くあってほしい・・。」と言う。

セットが素晴らしい。本棚が扉になってここでキャストらが出入りする。温かな気持ちになれる舞台だった。



W〜ダブル

W〜ダブル

キューブ

ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)

2010/08/17 (火) ~ 2010/08/29 (日)公演終了

満足度★★★★

どんでん返しの返し!
流石に大きな舞台だけあって、セットは流石。しかし物語りはよくある展開でベタといえばベタ。だけれど、そこそこ笑える部分もあって、楽しめる。けれども、公演時間が長すぎ!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

パリ郊外にある豪邸での愛憎劇。
フランソワーズ(中越典子)は夫・リシャール(橋本さとし)の酒と賭博と暴力の日々にすっかり疲れ果て、離婚を決意する。そんな折、家政婦のルイーズ(堀内敬子)の恋人が、リシャールと瓜二つの弟ミシェル(橋本の二役)が居たことから、彼を利用することを思いつく。

夫の留守中に、弁護士サルトーニ(山西惇)の目の前で弟ミシェルに兄リシャールを演じさせ、離婚の手続きをすませてしまおうというのである。ところが、その最中にリシャールが帰ってきてしまったから事態は急変。

しかし、物語は最初からフランソワーズの財産を手に入れるためにサルトーニとリシャール、ルイーズが仕組んだことで、まんまと3人の詐欺師の筋書き通りに動かされてしまったフランソワーズは罠にはまり、やがてやってきた警察署長(コング桑田)に精神病者と断定されてしまう。

が、ここで物語りは終わらない。舞台は反転し、罠にはまったと思わせていたフランソワーズは実は刑事で3人の犯罪を暴く為に一芝居うっていたというお芝居。

精霊流し

精霊流し

(公財)可児市文化芸術振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2010/08/13 (金) ~ 2010/08/18 (水)公演終了

満足度★★★

女の情念を表す二人芝居
セットの関係だろうか?二人芝居でも広く感じさせないのは、キャストの風格ではなく、舞台セットだと思う。おばばと女の会話劇のみで大きな動きはないぶん、脚本でもうちょっと工夫して欲しかった。普段、上質で度肝を抜かれるような小劇団の芝居を見慣れてるだけに、ちょっと物足りなかったのは事実。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

女は不倫した挙句、男を自分のものに出来ない寂しさから、男の自宅に電話をかけてしまう。電話の向こうから聞こえてくる賑やかで温かな風景を楽しむ声は女の心を突き刺してしまう。投げやりになった女は誰でもいい別の男とも関係し、自分の寂しさの穴を埋めようとするも、その空洞は埋まらない。

埋まらないどころか、ずるずると二人の男との関係を続けてしまう。そんな折、本命の男が女の部屋にやってきて、女を抱き、昨日の男との情事の残り香に感づいてしまう。女は両方の男に嘘の上塗りをしてきたが、ここでバレてしまたものの男は「俺がお前を放っておいたからいけなかったんだな。・・・許す。」とのたまう。

ここでワタクシは、自分も妻が居る身で「許す!」ってなんだよ!(・・)つーて思った。

こうして女は男の居る職場を退職し、更に女には子が宿り自殺しようとしてふるさとの松山に戻りおばばに助けられる。ここでおばばが生きて来た経緯や情念が語られ、女はおばばの励ましによって生きてみようと思い直すという筋。

女が終盤に語る「私はいっぱいの男に想われたいの。私の浮気は許せてもあの人の浮気は許せない。」のセリフは人間の業を思わせて、男をひたむきに想う女とはうらはらに般若の顔が浮んだ。

脚本にもうちょっと動きがあったほうが好みだった。
『CHORIKO』 チョリ子

『CHORIKO』 チョリ子

anarchy film

新宿アシベ会館B1(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

アングラカラーの強い作風
唐十郎の作品かと勘違いしたくらい作風が似てる。まさにアングラ。キャバレー跡らしい客席と舞台を上手く利用しており、作風にこの箱が妙にマッチして情景を醸し出していた。構造上、舞台が長方形に長いのをまた、見事にセット化し中央に座ると物凄く楽しめる。主役は障害者という設定だが、脚本家のメッセージには障害者を失敗とみている健常者のほうに実は問題がある。という意図があり、その問題意識に感動して泣けた。

素晴らしい舞台だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

オヤジ狩りのシーンから始まる舞台は秩序のない暴力化した地域でのお話。ここに息づく彼らは自らの世界観を作り上げている。

不思議な能力を持った韓 倁代李(ハン チヨリ)と韓 樹奈子(ハン ジュナコ)。しかし彼女らの母は家族を置いて出て行ってしまう。しばらく3人で暮らしながら「ハン チヨリの名前に子がついてないと女の子みたくないから子をつけてあげて。」とのジュナコの訴えに「チヨリ子」とチヨリの背中に刻んだ父。そして父も同じく二人を置いて出て行ってしまう。「ここで父を待っていろ。」との言葉を残して。

だから二人は運転手だった父、韓 颯馬が残していったトラックの荷台で生活する。二人が住んでる場所はなんだか韓国タウンのスラム街のような湿った匂いのある風景だ。そうして住んでる人たちは異人も異人、特殊な人たちだ。そうして障害者やイッチャッテルような面々も居る。そんな欝な場所を隠すかのように地図に載ってない場所でもある。

ここを舞台に男の借金の為にフーゾクで働く貴子、その貴子を毎晩のように抱くフーゾクのオーナー青木、そしてこの青木がチヨリ子と ジュナコ父、韓 颯馬であった。この物語はチヨリ子の生きてきた記憶を基に、作家になりたい青年、星乃 琥太郎が書き写したものを描いてるようだ。

この地域では一般の法なんて成立しない。独自の法則で独特の治安が守られてるなか、ここで暮らす人々は「理想の世界」を夢見る。その「理想の世界」とは誰もが差別をされない幸せに暮らせる理想郷だ。しかし、ひとたび人が暮らせば多少のもめごとはつきもので、ここでもいざこざが起きて内乱によって発砲騒ぎになってしまう。

これを聞きつけた当局は異常地域の全員を囲い込み射殺という戦乱のさまとなるが、チヨリ子は千尋と一緒に他者から守られて生き延びる。

この物語で透けて見えたのは排他的な扱いを受ける異常地域、つまり異常者と健常者の関係だ。だから、説明の最後の苦言、「 …はぁ…我々の事を健常者だとか異常者だとか 判断するー中略ー… だからっ! キサマらが失敗なんだよっ!」となるのだろう。

だから、ただのアングラやアナーキーだけではない、真面目で真摯なメッセージ性を感じ、う~ん。。と唸ってしまったのだ。
この最後のメッセージで、なんだか幽霊屋敷を観ているような物語だったのがひっくり返って、壮大な物語になるのだから、舞台って面白いじゃないか!



夜も昼も -Night and Day-

夜も昼も -Night and Day-

文月堂

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/08/14 (土) ~ 2010/08/17 (火)公演終了

満足度★★★★

リアルな風景と妄想の混雑!笑
好みの作風だ。どうやら脚本家自身の自虐ネタらしいと感じさせる作風だからだ。しかし実際はどうかは知らない。むしろ知らなくてもいいのだ。台本を舞台に乗せた時点で一つの物語としてポジションが確立され、ワタクシたちを楽しませてくれれば、何でもOKなのだ。
物語は主人公、長岡義人の幼少のころから始まる。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

義人はちっさなころ、よくカエルを苛めていた。育った家庭環境がちょっと複雑で、じいちゃんに育てられた義人は高校を卒業した後、母親が居ない隙を狙って家出した。後年、じいちゃんが死んで母親からは勘当するとの手紙が届いた。

東京に来たものの、義人は何をやってもなんだか中途半端で、劇団まほろばの座長を務めながらもパッとしない毎日の生活のために「ネイチャーカンパニー」のオペレーターのバイトをしている。「ネイチャーカンパニー」は増毛の為のケア製品を売る会社だ。

働くシフトを組むのに夜も昼も朝ちょっと寝て昼も夜も・・・とこなしてるうちに自分でも寝てるのか起きてるのか境がなくなり働いていても睡魔に襲われる。どこでも寝てしまう。

この時点でこの物語が妄想の世界を描写してるのか、はたまた現実なのか、観ているコッチも妄想と現実の境がなくなり幻想的でさえある。笑
舞台を二階建てに見せて、物語を上下で進行させる部分は解りやすくて素敵だ。

物語は。「ネイチャーカンパニー」と「劇団まほろば」での情景と交差させながら雑多な人間関係を描く。なかでも座付作家や劇団員が劇団を離れ、やむなく劇団自体が消滅していくさまは、劇団を運営する者の悩みどころだろうと思う。リアルな描写だ。しかし、決して陰鬱な情景ではなく、失笑!な視点で魅せるところは流石だ。カンパニー内の情景も可笑しい!

更に長年付き合っていた彼女に「結婚が決まったから。」と振られ、泣きっ面に蜂の状態の義人だったが、それでも、彼女に振られるような人生を送ってきたことだけは確かだ。彼女の別れる理由が「優先順位」と主張していたけれど、この「優先順位」は義人がいつも彼女を二の次にして他を優先させてたことに起因する。

どうやら男女の仲というのは傍にいれば居るほど、そして長くいれば居るほど、相手をぞんざいに扱ってしまうのかもしれない。身勝手だけれど、義人は彼女を母親としてのポジションに置いてしまっていたのだ。

一方、職場では社長の趣味で育てているカエルの世話を頼まれ、「いったい自分は何をやってるんだろうか?東京には何かある!と期待に胸膨らませて上京したのに・・。」と今更ながらに考えてしまう。それでも、弁護士を目指し挫折し帰郷することになった先輩の恵圭一は「今、思うとね東京に来た意味はあったよ。長い年月がかかったけれど、やっと宮崎に帰る決心がついた。」と言う。

物語はそれぞれの生きざまを織り込みながら社長が飼っていた8匹のヒキガエルをパラシュートと一緒に屋上から放つシーンで終わる。ちゃーんと行きたい所へ行くんだよ。と義人がつぶやきながら・・。

現役者たちがこの物語を観るとジーーン!!としちゃうのではないかと思う。そういう物語だ。やれるだけやってダメだったら帰ればいいと思う。30歳が人生の節目だろうけれど、好きなことをする為に生きる人生もいいではないか。と心からそう思う。



ラヴァ※演目中止。無料のガムランコンサートを開催

ラヴァ※演目中止。無料のガムランコンサートを開催

TACT/FEST

東京芸術劇場アトリウム前 特設テント(東京都)

2010/08/10 (火) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★

「ガムランコンサート」を観た!
アトリウム (芸術劇場の入り口付近)で開催されたインドバイオリンとジャワの歌の民族音楽のコンサート。無料のミニコンサートだったので拝観。過去にガムランを聞いたのはバリに行ったとき。なんか懐かしい。。

全員がインドネシア系の方たちの演奏なのかと思いきや、日本人が3人いらしてちょっと違和感はあったものの、音楽はやはり亜熱帯の音を響かせ土着的で楽しめた。


01272125★たくさんのご来場ありがとうございました。★

01272125★たくさんのご来場ありがとうございました。★

ソテツトンネル

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

様々な対人関係が織り成す鬱の描写が上手い!
菊地奈緒(elePHANTMoon)が出演されてるからではないが、物語の紡ぎ方がelePHANTMoonのソレと似ている。それぞれの離れられない人間関係の深さの捕らえ方が絶妙だった舞台。個人的には河本家の模様が面白い。キャストらのポジションの取り方も素敵だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

恋人にDVを繰り返す弱い精神の三島。殴られて鼓膜が破れても彼を捕らえて離さない愛美。

河本順姫は実子の小学生・まやを連れて再婚し河本になった韓国人。まやの愛想のない言動に対して「私たち親子の幸せの為には多少の愛想ぐらいつきなさいよ、減るもんじゃないんだから。」とのたまり、再婚相手とその息子に愛情のかけらも示さない順姫。そのまやの義理の兄になった剛。

かつて剛に苛められ今でも剛のポストからDMを抜きとる茨木栄子。彼女の陰鬱とした仕返しの描写が上手い。

皆から嫌われ者の栄子を利用するかのように友達を演じていい人ぶる藤川素子。素子は学生の頃から男子や先生からの人気を独り占めして自分を特別だと信じ込み、また、自分を特別扱いしてくれる友人をはべらかしたい性質。その素子の彼・茂。

その素子を学生の頃から好きな阿南。阿南は癌にかかっていて、あと3ヶ月くらいしかもたない。命の限りを知って素子に告白するも、あっさりとフラレル。その阿南と親友の原。

これらの15年前に同級生だった人たちの進行役を担う神林。そしてモスクワのテロに巻き込まれて帰れない富山先生。


それぞれのキャラクターが絶妙に繋がりながら離れたくても離れられない強い輪廻のようなものを感じさせる舞台だった。彼らが30歳になって思うこと。感じることの映しが巧みで、尚且つ、内に秘めた本当の自分と建前の自分との対比の描写が実に巧妙で、観ていてドキッ!!としたほど。

特に藤川素子の自分を「もっと特別だと思っていた」と感じるところや、素子が阿南に吐く本音のセリフが凄まじい。つまりは素子にとって阿南は自分の下の存在だったのだ。

15年前の虐めを根に持つ栄子やその15年前の事柄をいちいち覚えていない同級生ら。数式の「ママコダテ」を織り交ぜながら、キャラクターに吐かせるセリフがいちいち面白いんだよね~。結局、数字は電話番号だったわけだけれど、最終的に素子がはく「人に嫌われていたとしても大丈夫だわ、茂がいるから。」という強い側面が素敵だった。

今回は一人も脇役は居ない。どのキャストも演技力で魅せた。好みの舞台だった。素晴らしい。

Spicy, Sour, and Sweet

Spicy, Sour, and Sweet

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/08/13 (金) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★

流石にハチャメチャ度高し!笑
まあ、ハッピーオーラ集団「快快」と称されるくらいだから、本人たちはハッピーなんだろうけれど、んじゃ、観客はこれを観てどう?なんて聞かれたら、必ずしもハッピーではないから困ったものだ。むしろ、この間観劇したばかりの「富獄三十六系」を彷彿とさせるナリ。

そんなだから、本公演より、アフタートークでの中継中のタイから篠田に質問されたシビアな意見の方が余程面白かったのだった。アフタートークでのやりとりで本公演の演出が理解出来るという有様は演出家としてどうなのだろうか?

舞台は対面で設置された客席の間に舞台が挟まれた格好だが、客席の段差に高さが余りないため、舞台は観づらい。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

一部はタイ演劇「B-Floor」から。空港で乗客をチェックするシーンから始るも、その後から何を表現したいのかが理解不能。リラクゼーションとか言い出して観客に呼吸法を促しては一緒に軽く体操をさせて、挙句、タイランドは素敵なところで海は綺麗です!なんつーて自国の観光業者のように紹介してた。苦笑!
いあいあ、海が綺麗なのは一部だけで、タイランドは過去に4度渡航したけれど、プーケットは汚い。ホアヒンは綺麗だったけれど・・。つまり日本の海と似たようなもので美しいところも汚いところもある。

二部の「快快」X「B-Floor」コラボ。ピンク色のどこでもドア」が出てきたかと思うと、何処に行きたいか?などとありきたりの情景をかもし出し、更にタイランド名物の売り子が、事前に20バーツを渡されていた観客を相手に売り歩くのだが、時間の制限があった為か、10人くらいの観客を相手にしただけ。だから終演後、観客の殆どは使うことなく20バーツを出口で戻す格好。

終演後、アフタートークで明かされた謎、「味の素」を羅列したセリフだが、篠田曰く、「これはワークショップのときに出てきた言葉だが、観客には解らなくてもいいだろう。という着地点に至った。」とご本人が吐露してた。料金を支払って観に来ている観客に対して、随分ゾンザイナ言い草だった。苦笑!

タイ側の中継での質問から、メディアは政府によってコントロールされているという側面がタイにはあること。このコラボは構造的な問題があって、コラボといいながら、「快快」が演出上、上に居て「B-Floor」は下にあったのではないか、という指摘。更にカメラのポジションとかプロジェクトの設営に問題があったのではないか。「B-Floor」の作品はタイの政治的な問題を扱っていたが、二つ目の「快快」の作品は個人の生き方を扱っていたところにスタイルの違いがあり、コラボそのものにリスクが伴い、食い違いがあったのではないか。そういう意味ではこの作品は未完成だったと思う。もっとカッチリしたスタイルを魅せて欲しかった。

以上がアフタートークでのタイ側の意見と質問だった。素晴らしい質問で度肝を抜かれた。今まで様々なアフタートークを拝見してきたが、これほどの質問と意見はついぞ聞いたことがなかったからだ。
「ロビンソン&クルーソー」 Robinson & Crusoe

「ロビンソン&クルーソー」 Robinson & Crusoe

TACT/FEST

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/08/13 (金) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

舞台への登場の仕方がオツ!
二人とも違った国の軍服を着て登場する。だからどちらも軍人らしい。屋根の上の二人を浮き上がらせる照明と音楽が素敵。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

序盤、英語圏の男がジェラルミンの箱に乗って屋根の上に辿り着く。この登場の仕方が中々いい。セットは長屋を思わせるような古びた屋根のみ。男は屋根からつたって部屋に忍び込み、ランタンやらブランケットやらを物色していると・・・

そこへ、もう一人のロシア人のような男が屋根に辿り着く。異国の二人は戦い、ロシア人のような男が囚われの身となって煙突に縛られてしまうのだが、夜になると、ウガッ!ガウー、ガガッ!!みたいな野獣の叫び声があったかと思うと、次の朝には反対に英語圏の男が煙突に繋がれていた。笑

また、その夜・・、前日と同じように獣が戦う声が聞こえ、今度は朝まで戦い続けた二人はお互いに疲れて休戦する。やがて彼らは身振り手振りでお互いの母国語で話しながら、どーにかこーにか会話らしい情景を醸し出すのだった。ここでのロシア人風男が吐くのはチャイニーズのような言葉だ。その意外性に笑う。

そうして彼らは屋根の上で一緒に暮らしているうちに友情のようなものが芽生え始める。無人島に男女一人ずつしか居なかったなら、必ずくっついてしまうように・・。笑
二人は部屋から木材を運んで来ては船をコツコツと作り始める。やがて、船出の時。二人の帰る方向は真逆だ。二人は別れのときを惜しみつつ抱き合いながら、進むべき方向に向かって船出するのだ。

物語はコミカルに流れ、演出とキャストが放つ雰囲気で、まるで観客まるごと、デンマークのどこかに漂流したような感覚に囚われる。異国情緒溢れる芝居だった。素晴らしいと思う。


express

express

PLAT-formance

王子小劇場(東京都)

2010/08/13 (金) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★

笑う箇所もさまざま。
物語の粗筋はhell-seeさんの感想の中で実に明瞭に描かれているのでそちらを観てください。これ以上の詳細な説明をされる方は居ないかと。笑)
今回ほど、観客によって笑うツボが違うことを思い知らされた。だって一斉に笑う場面というのがあまりなく、客席のあちらこちらで、まるで犬の遠吠えのようにちょっとずつ、ずれながら笑いが起こっていた。苦笑!)

初日の為か、噛みが目立ち滑りも悪かった。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語が少しずつ繋がっているショートコント。しかし、過去に観た「 i r r e g u l a r 」ほどの工夫はない。あの時はセットというセットはなく箱を一つ使用しただけのコントだったが、度肝を抜かれるような斬新さがあったのだが・・。

今回はコントの中に、キリストがゴルゴダの丘で処刑されるまでの経緯や、マリーアントワネットの名言、銀河鉄道の夜などを盛り込みながら、「知る人ぞ知る」高度な内容にしていた。コントというよりもダークコメディを匂わせるような。

個人的に好みだったのは鉄道マニアと自称する鉄ちゃんが実はニワカ鉄ちゃんであまり熟知していない事柄に居合せた隣の客(窓際に座っていたのを鉄ちゃんが無理にどかせてしまうのだけれど・・)が突っ込みを入れるコント。ヲタ特有のリュックサックにメガネがポイント高い。

また、駅に住みついている浮浪者が妄想の中で妻を回想するシーンが面白い。結局薬局、そいつはチカンの常習犯だったのだけれど。
墨を塗りつつ

墨を塗りつつ

風雷紡

サンモールスタジオ(東京都)

2010/08/11 (水) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

真相
序盤から物語にどっぷり引き込まれ技量の高いキャスト陣らと脚本のサスペンスとミステリーのどんでん返しに魅了された舞台だった。素晴らしいと思う。鬼の心を受け継いだ真犯人の真意がうごめくハラハラドキドキの展開で一瞬たりとも目が離せない芝居だ。更に過去に遡って記憶を弄る演出に音響でもって区切る技はあたりいったいに幼女たちの荘厳合唱の歌声が噴水のようにはしゃいでいて、やはり素晴らしいのであった。照明も活きている。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語の序盤は説明通り。それにしても・・藤森雅彦の妻・繭美役で登場してきた蒻崎今日子の強かな悪女っぷりが素晴らしい。まだセリフは発してない段階でもその立ち姿に身体全体から底知れぬ妖気が立ちのぼっていた。

今回は蒻崎は勿論のこと、滝こと小鷹未菜は女中という目立たないようにわきまえたワキに徹する演技が見事に光り、修治こと谷仲恵輔も相変わらずの存在感で寡黙ながら全てを見通しているような演技力で魅了し、藤森雅彦の弟・龍彦役こと及川健は気がフレタ展開から少しずつ記憶を取り戻し、結果、苦悩し決断するまでの表情は息を飲むほど素晴らしかった。

そして龍彦の妻・真澄こと吉水恭子、小口刑事役の祥野獣一(これって本名なのか?)、最後のキーを握る奈津こと望月亜希子、そしてちょっとくだけた役の女中・八重こと大高奈津美、そして雅彦と繭美の娘・絹代役の吉水雪乃のすっかり子役としてお馴染だが、セリフの数も増えて堂々とした演技力だった。

それぞれのキャラクターの立ち位置をきっちり守りきり、熟練されたキャストらが演じるのだから、文句の付けようはなく、終焉後、とにかく「流石はJACROW!」(違っ!)と、大満足してウキウキしながら帰宅したのだった。

さて粗筋だが、繭美は「じじに薬を飲ませるように。」と絹代に言い付け、毒薬入りの薬を飲ませることで大旦那を殺害する。全ては家督相続の争いからだったがそんな繭美の秘密を知っていた奈津は言葉を発せないという障害からか、登場人物の誰もが彼女に関心を示すことはない。云わば家族の闇を背負った存在だ。

だから、その後の殺人事件でも奈津を疑う人は誰一人も居なかったのだった。その後、繭美も青酸カリで服毒死し、これらの水を運んだのが絹代だったことから、刑事も家族らも真犯人は絹代と信じて疑わなかった。

一方で龍彦は戦犯の疑いがかけられていて追われていた。同時に、龍彦は戦中に己がしたことへの罪の意識に苛まれもがき苦しんでいた。戦犯者として戦争責任は免れないことを知り、真犯人は絹代と信じて疑わなかった龍彦は絹代の身代わりとなって自主し、龍彦の親友であり現在、刑事の小口はこれらを知りながら、身代わりとなった龍彦を真犯人として受理してしまう。

しかし、終盤、物語は反転し、絹代に毒入りの水を待たせ、裏で糸をひいていたのは奈津だったことが明らかにされるも、家族や刑事らは気付かないという深層心理を追求したミステリーだった。いつの世も目立たない、存在の薄い人物の犯罪は気付かないものだ。

これらの物語をまるで絹代が犯人のごとく描写しながら進むものだから、観客はすっかり騙されるも、終盤の大きな反転とうねりは「お見事!」と思わず、叫びたいほどだった。素晴らしい舞台を観て至福の時を過ごしました。

ああ、これだから舞台って素敵!
ミュージカルホンク!ジュニア版-みにくいアヒルの子-

ミュージカルホンク!ジュニア版-みにくいアヒルの子-

PureMarry

江東区文化センター(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/25 (水)公演終了

満足度★★★★

えまおゆうがキュート
たまにはこういったミュージカルも素敵!と思わせるような舞台。

ネタバレBOX

「ほーーんく!」と雄叫びをあげて生まれてきた醜いアヒルの子がみんなと違うという理由から苛められ、家族とはぐれて迷子になって、沢山の危機や受難に遭いながらもやがてアイーダママに再会出来るというお話。

アイーダことえまおゆうがキュートで美しい。当たり前だけれど、キャストらの歌で魅せる。ちょっとコメディタッチで物語りは進み、ポップで楽しい舞台だった。動物たちは着ぐるみで登場するのかと思いきや、そうでなかった。笑

アイーダが迷子になったアグリィを何ヶ月も捜し歩くさまは、やはりうるうる(;;)しちゃうよね。セットも美しく楽しい生き物が登場し、一人ぼっちのアグリィと関わっていく。猫の求愛ダンスもコミカルで楽しかった。

大まかな筋しか覚えていなかったけれど、あの頃、確かに生きる力をもらったんだった。
「ひつじ」 Les moutons

「ひつじ」 Les moutons

TACT/FEST

東京芸術劇場ロワー広場(東京都)

2010/08/11 (水) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

マジでおもろい!
とにもかくにも緩くて楽しい!羊は全部で4匹。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

そのうちの一匹オスが勝手にエスカレーターに乗ったり、観客にちょっかい出したりする。一方であまり動きのない黒羊メスが天使のようにキュートなんだよね。

その綺麗な女羊ちゃんがジョーー!!なんつって長すぎる放尿なんかしちゃったり、はたまた交尾なんかしちゃったりするのだから、いあいあ人間も羊も解りませんわ。

要は眠れない夜に羊がいっぴき、羊がにひき、羊がさんびき、なんつーてのどかに夢見心地にうとうとしてる場合やありませんぜ。というコミカルな見世物。羊飼いのイケメンが主婦らの人気を集めてました。笑
富獄三十六系

富獄三十六系

尼崎ロマンポルノ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/08/11 (水) ~ 2010/08/12 (木)公演終了

満足度

だらだらと2時間
会場はクーラーを止めてしまっているのか蒸し風呂状態。しかも舞台は序盤がちゃがちゃ。中盤だらだら。終盤意味不明。そんなだから、暑いわ、つまんないわ、出たいわで苦痛の2時間だった。これから観られる方は出口近くに座るべし。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は多額の借金を残して死んでしまった弟の保証人になった女がジャイアント金融から借金返済をする代わりに壁画を書くという条件を飲んだことから始る。

同じく借金を抱えた輩もうらぶれた駅舎に軟禁されながらも壁画を描くことを強要され最終的にはめでたく描きあげるのだが、中盤ではかつて自衛隊に居た頃、ゲイに間違われていた男が毎晩毎晩、自衛隊員らに抱かれていた状況も盛り込みながらのはちゃめちゃな芝居だった。

全体的に物語の軸がいったい何処にあるか解らず、かといって散らかり放題のカケラだけで楽しめる舞台では到底なく、下品でしょもない芝居だった。
アゴラで途中退場した観客は始って以来ではなかろうか?総勢3人が退出し、当然ワタクシも出たかったが、中に入ってしまって出るに出られず。苦痛の2時間だった。


女とカバンと喫茶店

女とカバンと喫茶店

演劇集団Nの2乗

「劇」小劇場(東京都)

2010/08/10 (火) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★

戻れる場所と聞いてくれるひと
ハァ、映画もねぇ、バーもねぇ、ショップもねぇ!
おら、こんな村いやだー、おらこんな村いやだー♪

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

働く場所といったら、病院か役場しかない片田舎に嫌気がさして兄の反対を振り切って逃げるように出て行ったトモコは東京で過ごした5年間の間に様々なことを経験した。男と同棲し妊娠した挙句に男に逃げられ、堕胎したトモコは明日の希望を失い、自殺を試みる。

そこに須藤きぬえというトモコの祖母と同じ名前をもった女性があの世から時間軸を超えてトモコを助け「死の猶予」という死ぬ手前の「考える時間」を授ける。現実で起こった知人らの死と自分の死に様を遭遇させて、トモコが感じる自分とは、家族とは、愛とは、世の中とは、人生とはを再度、見つめなおす物語。

どうやら、きぬえはトモコを見守る存在らしいが、物語全体にあまりインパクトはなく、尖った何かも突き抜ける展開もない。ただただ、身近な人の死に対して自殺を試みたトモコが、一度は出たこの僻地の住人たちや家族が暖かくトモコにとって最も癒される存在だったということが身にしみて解る。

人は孤独では生きられないという状況と、誰かに話を聞いてもらうというだけで心がやすまるという当たり前だけれど大切なものを描写していた。

きっと東京で孤独と戦っている輩にはずしん!とくる内容だったかもしれないが、割に真新しさはない。本にもうちょっと練が必要だったかも。そんな感じの舞台だった。

「名無しのエリーゼ」 Niemand heißt Elise

「名無しのエリーゼ」 Niemand heißt Elise

TACT/FEST

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/08/10 (火) ~ 2010/08/12 (木)公演終了

満足度★★★★

美しい情景
物語前半は説明どおり。エリーゼのおばあちゃんも「エリーゼ」という名前で舞台は「名無しのエリーゼ」ことおばあちゃんの日記の内容を演じます。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

戦争の為、国を去らなければならなかったエリーゼは、ひとけのない駅にたどり着きました。そこには駅長で信号係のルーカスがいましたが、この駅には戦争がおきてからというもの、駅に列車が来ることはなくなっていました。

エリーゼは列車を待つ間、なんと一年もの間、住み着いてしまいましたが、その間、楽天家で陽気なエリーゼと生真面目なルーカスの仲は親友のような感情が芽生えていたのです。

しかし、エリーゼが駅にまだ住んでいると聞いたルーカスの上司はエリーゼを戦争が起きている故郷に送り返そうと駅に列車を送ります。エリーゼを助けるためにルーカスは線路を剥がし駅をぶっ壊してしまいます。

そうして二人は何処かへ逃げて、今、ルーカスは孫のエリーゼと一緒に暮らしてるという物語。

ロマンだなー。「小さな恋の物語」のトロッコのシーンを思い出して、舞台の情景と重なり美しい画でした。オルゴールの「エリーゼの為に」の導入音楽があったなら、それは壮大なロマンだっただろうに・・。

それでも二人芝居としては秀逸で楽しい舞台でした。

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