夜も昼も -Night and Day- 公演情報 文月堂「夜も昼も -Night and Day-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    リアルな風景と妄想の混雑!笑
    好みの作風だ。どうやら脚本家自身の自虐ネタらしいと感じさせる作風だからだ。しかし実際はどうかは知らない。むしろ知らなくてもいいのだ。台本を舞台に乗せた時点で一つの物語としてポジションが確立され、ワタクシたちを楽しませてくれれば、何でもOKなのだ。
    物語は主人公、長岡義人の幼少のころから始まる。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    義人はちっさなころ、よくカエルを苛めていた。育った家庭環境がちょっと複雑で、じいちゃんに育てられた義人は高校を卒業した後、母親が居ない隙を狙って家出した。後年、じいちゃんが死んで母親からは勘当するとの手紙が届いた。

    東京に来たものの、義人は何をやってもなんだか中途半端で、劇団まほろばの座長を務めながらもパッとしない毎日の生活のために「ネイチャーカンパニー」のオペレーターのバイトをしている。「ネイチャーカンパニー」は増毛の為のケア製品を売る会社だ。

    働くシフトを組むのに夜も昼も朝ちょっと寝て昼も夜も・・・とこなしてるうちに自分でも寝てるのか起きてるのか境がなくなり働いていても睡魔に襲われる。どこでも寝てしまう。

    この時点でこの物語が妄想の世界を描写してるのか、はたまた現実なのか、観ているコッチも妄想と現実の境がなくなり幻想的でさえある。笑
    舞台を二階建てに見せて、物語を上下で進行させる部分は解りやすくて素敵だ。

    物語は。「ネイチャーカンパニー」と「劇団まほろば」での情景と交差させながら雑多な人間関係を描く。なかでも座付作家や劇団員が劇団を離れ、やむなく劇団自体が消滅していくさまは、劇団を運営する者の悩みどころだろうと思う。リアルな描写だ。しかし、決して陰鬱な情景ではなく、失笑!な視点で魅せるところは流石だ。カンパニー内の情景も可笑しい!

    更に長年付き合っていた彼女に「結婚が決まったから。」と振られ、泣きっ面に蜂の状態の義人だったが、それでも、彼女に振られるような人生を送ってきたことだけは確かだ。彼女の別れる理由が「優先順位」と主張していたけれど、この「優先順位」は義人がいつも彼女を二の次にして他を優先させてたことに起因する。

    どうやら男女の仲というのは傍にいれば居るほど、そして長くいれば居るほど、相手をぞんざいに扱ってしまうのかもしれない。身勝手だけれど、義人は彼女を母親としてのポジションに置いてしまっていたのだ。

    一方、職場では社長の趣味で育てているカエルの世話を頼まれ、「いったい自分は何をやってるんだろうか?東京には何かある!と期待に胸膨らませて上京したのに・・。」と今更ながらに考えてしまう。それでも、弁護士を目指し挫折し帰郷することになった先輩の恵圭一は「今、思うとね東京に来た意味はあったよ。長い年月がかかったけれど、やっと宮崎に帰る決心がついた。」と言う。

    物語はそれぞれの生きざまを織り込みながら社長が飼っていた8匹のヒキガエルをパラシュートと一緒に屋上から放つシーンで終わる。ちゃーんと行きたい所へ行くんだよ。と義人がつぶやきながら・・。

    現役者たちがこの物語を観るとジーーン!!としちゃうのではないかと思う。そういう物語だ。やれるだけやってダメだったら帰ればいいと思う。30歳が人生の節目だろうけれど、好きなことをする為に生きる人生もいいではないか。と心からそう思う。



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    2010/08/16 21:51

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