ペーター・ヴェルツ+ウィリアム・フォーサイス 舞台映像インスタレーション 『whenever on on on nohow on | airdrawing』
あいちトリエンナーレ2013
愛知県美術館(愛知県)
2013/08/10 (土) ~ 2013/10/27 (日)公演終了
満足度★★★★
ペーター・ヴェルツ+ウィリアム・フォーサイス 舞台映像インスタレーション 「whenever on on on nohow on | airdrawing」観ました
あいちトリエンナーレ2013、閉幕が押し迫ってきてやっと、拠点・愛知県美術館の展示を観ました。
私のイチオシはなんといってもこの作品。世界的ダンサーの動きを五方向から撮影した映像を、同時に上映しているインスタレーション。
動きはベケットの散文に由来しているそうだけど、もちろんそんな事は観ていて全く分かりません(爆)
床に腰を下ろして20分は観続けていました。これだけで三杯は飯が食える。(笑)
ARICA+金氏徹平『しあわせな日々』 (新訳初演)
ARICA
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2013/10/12 (土) ~ 2013/10/14 (月)公演終了
満足度★★★
ARICA+金氏徹平「しあわせな日々」観ました
(YKOカンパニー「Wonderful Days」から続く)
七ツ寺共同スタジオでベケット「しあわせな日々」にインスパイアされたダンス作品を観た翌日、今度は、あいちトリエンナーレ2013のパフォーミングアーツで、同じ戯曲によるパフォーマンスを観ました。
ダンス・演劇の領域を超越して定評の高い団体が、注目の美術家とタッグを組んだ舞台。
美術家によるコンセプトが明瞭なセット。
技量の高い女優から正しくはっきり発される台詞。
演出家の意図通りに舞台が操作される演出。
「…で、それから?…」
観ている最中、「今その場で感性に引っかかる点」が一つも見つからなかった…。
他のトリエンナーレ参加作品では、理解できなくても気になったり、会場から出ても考え続けた(「あれは何だったのだろう?」)要素があったのだけれど…
アフタートークで理屈は理解した(女優の声中心のクリエイト、美術全体=楽器のイメージ、ベケットは音楽劇、ゴミ屋敷?)が、とにかく観ている間が退屈過ぎて、今さら…という印象。
不条理のベケットだから、というのでなく、全てが明瞭な舞台にはむしろ魅力が足りなく感じてしまう自分を再確認。
観客が何かを想像する余地がある、というのは、特にアート寄りの舞台には重要な要素だと、個人的に思う。
(何だか分からないけどありがたがる、というのでもなく、持ち帰るものが欲しい)
あえてこの作品に理解を示せば、主題からいって女性の方が何がしかを感じやすい作品だったのだろうか?
前日に観た作品が魅力的だっただけに、自分としては残念な結果となってしまいました。もちろん個人の志向なので、あまり参考にはならないかもしれませんが。
とにかく、これからも好き嫌いを越えて舞台を観続けたい。(損はしたくないなあ)
Wonderful Days
七ツ寺共同スタジオ
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2013/10/12 (土) ~ 2013/10/14 (月)公演終了
満足度★★★★
YKOカンパニー「Wonderful Days」観ました
七ツ寺共同スタジオが、あいちトリエンナーレ2013並行企画事業として、パフォーミングアーツの裏テーマであるサミュエル・ベケットの戯曲を扱う「COOL GAIA」シリーズの第一弾。
舞台美術として、現代美術作家・渡辺英司の、図鑑を切り抜いたインスタレーション作品「名称の庭」が常設展示されている舞台を使用。
(これに続く、「ゴドーを待ちながら」(演出・寂光根隅的父)、「Krapp‘s Last Tape(演出・田辺剛)も、同じ条件)
「しあわせな日々」をもとに、個々のダンサーの身体が内包する動きを尊重するダンスカンパニーが構成したダンス公演。
(リーディング企画「古典戯曲を読む会@名古屋」でゴドーを扱った際に、主宰の鈴村さんと出演の杉町さんが参加されて、四苦八苦していました(笑)。
今までの、符牒を共有した上で動きを個々の判断に大きく任せ全体のうねりを作るという、カオスな作風とはとまるで印象の違う、かっちりした構成。
もちろん即興性は持っているのだけれど、全体の流れも追いやすく、ダンス公演を見慣れてない人でも観やすい舞台に。
まず戯曲・美術ありき、の制限がいい効果を生んだか(「真夜中の弥次さん喜多さん」の天野天街さんにも言えるような…王者舘では自由奔放過ぎる。。。)。
非常に個人的な観方として、私は五人のダンサーに、多重に人格を抱えたウィニー&ウィリーの二人を、さらに別視点から見つめているベケットの立ち姿を想像しました。
(かなり特殊な観方ではありますが。言われた鈴村さんもびっくりしてたw)。
ラストで生まれる生命の木、そして青空。
全体と個、戯曲と美術がうまくかみ合った、すてきな総合芸術。
12月には、京都でも「COOL GAIA」三作品公演がありますので、ぜひご覧頂きたいです!
さて、私はこの翌日に、あいちトリエンナーレ2013パフォーミングアーツで、ARICA+金氏徹平「しあわせな日々」@愛知県芸術劇場小ホールを観るのですが…
(そちらの「観てきた!」に続く)
このしたやみ「紙風船」
まちげき企画とんぼだま
ナンジャーレ(愛知県)
2013/10/07 (月) ~ 2013/10/08 (火)公演終了
満足度★★★★
まちげき企画とんぼだま ・このしたやみ「紙風船」観ました
京都・このしたやみの定番演目を、愛知の有志が招いて各地で公演する企画。
非常にコンパクトなセットが、二人芝居の空間をピンポイントで強調。
夫婦の小宇宙。
岸田國士の古びることのない代表的な戯曲が、このしたやみの手で緩急激しい夫婦掛け合い漫才のような舞台に。(個人的にはオイスターズの舞台を想起 汗)
声、足、紙…けだるく繋がる夫婦間の空気の壁をいろいろに見せる。(あんなに具象的な心の声w ) 押しても引いても断絶しても、結局繋がっている。「永遠に続く男女の遊び」と評した知人も。
クールな広田さんと一生懸命な二口さん、男女役者のコントラストも眩しい。二口大学さんの汗。。。;(;Д;);
上演時間40分、ちょっとトランクに収めて、汽車で各地へ持ち運べる感じの公演。
これからまだ、名古屋や岡崎のお寺でも公演が行われます。機会ある方はお気軽にぜひ!
※10/19(土)の公演@西区長善寺(15:00)は、私が出演する【パズル星団第3回公演 『白夜、そして約束の朝』『贋作山月記』二本立て公演】@ナンジャーレ(19:00)とハシゴできますよー(笑)
→ http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_main_id=38903
ash children(アッシュ・チルドレン=灰の子供たち)
星の女子さん
ユースクエア(名古屋市青少年交流プラザ)(愛知県)
2013/10/04 (金) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★★★
SLOFT/N&星の女子さん「ash children(アッシュ・チルドレン=灰の子供たち)」観ました
会場に入るとまず、セットがシンプルかつ美しい。アナログな組みでデジタルなイメージ。
劇場の構造を生かしたOPの入りでワクワク。ちょっと流山児事務所か、つかこうへいチック(後者は観た事ないけど) 壮大だーw
(これは、SLOFT/Nとも星の女子さんとも違うテイストの舞台が始まるな…)、と予感。
北村想による、もはや意味やメッセージを考える必要を感じさせない、およそ演劇らしくないテキスト(文献をそのまま載せたかのよう)。
こちらが気を回すこざかしさなどとは無縁なのか、あのお方は。。。
それ以上に、台詞の出所となる役者の身体、所作に注目。
役者の動かないパワー、気持ちの置き方、演出が構築しようとする世界観の共有力が重要。
役者の体表からにじみ出る声が、舞台から観客席へゆるやかに流れて届く。
名古屋ではあまり観ないタイプの舞台。
観客の賛否が大きく割れる結果に(「最近観た芝居で上位に入る出来映え」という声もあれば「「観る価値ない」との声も)
私がしいて言うなら、shelfに近いイメージの舞台。
(出演者は、ちょっとクセのある女の子だらけ。かわいいshelf?笑)
分かりにくいけれど目指す地点が高いところにあるのが分かる、意欲的な公演でした。
星の女子さんは、これからどう変わっていくのか…(想さんは変わらないだろうけどw)
君の名は 【復路ツアー】
劇団どくんご
城山八幡宮(名古屋市千種区)(愛知県)
2013/09/26 (木) ~ 2013/09/27 (金)公演終了
満足度★★★★
劇団どくんご「君の名は」観ました
怪しい見世物小屋のようなテント芝居が、今年も、名古屋・城山八幡宮の境内にやってきた!(私は今年で三回目)
暗がりの中、虫の音を聞きつつ石段を何十段も登って行くと…その先の境内に、縁日のような灯。
どくんごおなじみの、すだれの壁、スナックの軒先のような光る看板。
テントに入ると、満席の客席も役者が準備・物販をしている舞台上も、まるでごった煮状態。
カーテンに描いた絵を人力で引っ張るローテクで次から次へと変わる、安っぽくも(笑)濃厚な世界のオンパレード。
しまいには、背景を取っ払ってテント外の夜闇へも飛び出す!
個々の役者のキレキレの身体と迫力ある声、役者全員のあちらの方向へふっきれてはじけた演技が練り上げる、泥臭い異界も独特(えっ、いま昭和何年!?)
寝る前に変な本でも読んだように(笑)怪しい夢を見ているような、あちらこちらへ時空・物語を超越する舞台は、ふだん劇場で観る演劇と全く違う概念。
演技舞台の後ろや脇、同じ空間で出場でない役者が淡々と進めるスタッフワークも印象的。
ゲスト出演の名古屋のクラウンカンパニー・プレジャーBによるジャグリングも、雰囲気が合いつつ違いがあってよかった。(まさかの知り合い出演w)
仮設テントならではの、風通しよくも温もる空気。
野外劇団楽市楽座、札幌ハムプロジェクトと共に、これからも応援したい旅公演一座の魅力を味わいました。
アルチュール・ノジシエル『L’IMAGE』
Arthur Nauzyciel(アルチュール・ノジシエル)
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2013/09/22 (日) ~ 2013/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★
アルチュール・ノジシエル「L'IMAGE」観ました
あいちトリエンナーレ・プロモーション動画で、舞台上に敷き詰められた天然芝を噛みつつ動物のように動き回るダンサーを観て、期待(笑)
たまたま時間が取れたので、当日券で観ました。
期待通り、ダンサー、ダミアン・ジャレの動きが、とにかく好み。人間離れした、型にはまらない有様が、とても他人とは思えない。いきなり倒れる、四つんばい、ねそべって跳ねる、柴を噛む、なんでもあり。
ただし、アクロバットを見せるのではなく、あくまでも舞台表現として演者の感性と繋がっている。
劇場の舞台上に劇場外の風景、それから受ける刺激(触・視・聴・嗅 ひょっとしたら味も)から生まれる動き。
静と動、ふたりのダンサー(正確にはダンサーと朗読家)が並び立つ姿の対比に、音や声が別の位相で重なる。
ダンス・朗読・音楽…舞台表現のインスタレーションのようなたたずまいの構成が、妙に合理性を感じる。
アフタートークで、ノジシエル氏やジャレ氏とお話できたのも、なんだか幸せな体験。(通訳を介してだけど、お2人とアイコンタクトしながらだったので♪)
うわああああああ、あんなダンス公演やってみてえ。
まずはC.T.T試演会で試すべきか…
※私、次回出演する所属劇団の舞台でも、そんな規格外テイストで動きます(ああいうふうにしかしか動けない私。。。)
【あいちトリエンナーレ2013・菅原朋香『まぼろし喫茶』昭和歌謡ライブMC、
フェスティバルFUKUSHIMA・橋本知久『イシノオト』ストーンウェルズ
玉川裕士出演】
パズル星団第三回公演「 『白夜、そして約束の朝』『贋作山月記』二本立て公演」2013.10/18(金)~20(日)@ナンジャーレ(名古屋駅から徒歩10分)→
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=49837
無限遠点
虚構オメガ
名古屋盲人情報文化センター(愛知県)
2013/09/15 (日) ~ 2013/09/22 (日)公演終了
満足度★★★★
虚構オメガ「無限遠点」観ました
名古屋盲人情報センター内での、「視覚を廃した音のみの公演」だけあって、通常の劇場では見られない客層。白杖を持った人が多い(着物姿の上品そうなご婦人も)
室内を十字に区切る通路が演技スペース、観客は四方に仕切られた客席でアイマスクをつけ、公演に臨む。
袖摺り合うも他生の縁、風のように微妙な手触り(+α)の世界が、受け手に生まれる戯曲。
声だけの演技がクリア、観客自身から想像を引き出す。
OPは音のダンス的。声と手拍子のうねりが心地よい。これだけでも未知の感覚を体験した気分に。
あとはもっと、「音」のみの必然性があると、作品としての強度が増すかも。今後も試してほしい。
演劇公演としては異例の、新聞等各種メディアでも話題になったこの公演。「声による表現」を追及している送り手の表現と、演劇外の社会性が合致した、他に類を見ない企画となりました。
虚構オメガ、次は何を試すのか楽しみ。
真夜中の弥次さん喜多さん
KUDAN Project
三重県文化会館(三重県)
2013/09/21 (土) ~ 2013/09/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
KUDAN Project「真夜中の弥次さん喜多さん」観ました
二年前に名古屋・七ツ寺で観た時は、なんだかよく分からない事が多かった弥次喜多。
今回は、土曜もある仕事を早退して、愛知から津へ片道二時間半。18:00開演はキツ過ぎる…
90分の上演を見終わった直後の感想。
ただとにかく、「よかった!」の一言。
リアル-フィクション(マンガ、演劇、映像)、現実-妄想、生ー死、様々な位相を様々なベクトルで三次元四次元に掘り進め、自在に行き来する、メタ構造の旅路。
舞台や舞台外のあちこちから仕掛けいっぱい、「8時だよ!全員集合」公開収録を彷彿w おもちゃ箱のように楽しみが詰まった舞台。
場所もよかった。
三重県文の空間が七ツ寺以上にハマった!小ホールの縦長の空間が芝居世界を拡げる。
客席には、中部・関西から集まった演劇通もいれば、「県文で面白い事やってるんだって」とやってきた、地元の面白い事好きや親子連れも。
様々な客層が純粋な反応。どんな客層も楽しめる、生きた舞台。
客席も芝居の一部だと感じさせられる会場だった…。
二年前にはまだ受け止め切れなかったその凄みを、今回いろいろ認識できて、劇場に足を運ぶ幸せも再認識できました。
東京公演、観れる方にはぜひオススメします!
しかし、お伊勢さん手前の津から、江戸(東京)へ戻る今回の公演…まさに「振り出しに戻る」 深いなあ…
※ネタバレボックスには、どうでもいいことが書いてあります。事前情報が絶対欲しくないという方以外は、呼んでも別に害はないと思います。(キリッ)
失禁リア王
柿喰う客
吉祥寺シアター(東京都)
2013/09/05 (木) ~ 2013/09/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
柿喰う客「失禁リア王」観ました
地元でも観る機会を逃していた女体シェイクスピアを、芸劇eyesの女性作演オンリー企画「GSQ」と併せて観る、期せずしてこの取り合わせの妙…
大作古典戯曲を90分で上演する手腕に、まず脱帽。これをシリーズで続けているとは…すぐまた脱帽。
もう今さら書く必要ない気もするけれど、役者も演出も全てがド迫力。
謳って踊って演技して殺陣もやって、スタミナ消耗度は想像もつかない…息つく暇もないジェットコースター演劇のエンジン。
そんな中、七味さんのエドガーが、最初から最後まで七味さんならではの味で変わり続けたのが印象的。
「リア王」では、コーディリアの不可解な言動はよく言及されるけど(今回もw)、エドガーの劇中での存在のあり方に注目させられた。
カラン役の加藤紗希さんの、凛としたボディラインも印象的。決めがいちいちキレイ。あとでダンスユニット・ビルヂングの人と知って納得。
メインキャストにほとんど無言で寄り添う姿に、ちょっとメフィストフェレスを連想(ガタガタ)
劇中で死んだ役の役者が、その後も歌やダンスで出ずっぱりなのが、舞台の虚構性を見せつけて、むしろ気持ちいい。
宝塚や歌舞伎を連想させる、ケレンも不条理も抱えた娯楽作。もはやすでに伝統芸能だ。。。
God save the Queen
東京芸術劇場
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2013/09/12 (木) ~ 2013/09/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
芸劇eyes番外編「God save the Queen」観ました
(※評価の星五つは、企画に対してです。各団体への評価は下記)
二年前の「20年安泰。」が、参加五劇団(当時は一つも知らなかった…)全て大当たりという奇跡の後の、第二弾。
(今回は、Q関連のみ、名古屋AAFで市原佐都子作・にへいたかひろ演出「虫」を観ました。えげつなく素敵だった)
送り手も参加団体も受け手も、プレッシャーが高い…
今回は、各団体の出来のバラつきが激しく感じました。
以下、それぞれの感想です。
[ うさぎストライプ「メトロ」 (作・演出 大池容子) ]
ぱっと見て、ままごと「わが星」かマームとジプシーの練習風景にしか見えない…。内容は深いらしいが、私には全く残らず。
【評価 ☆☆】
[ タカハ劇団「クイズ君、最後の二日間」 (作・演出 高羽彩) ]
拾ってきたネタを頭でいじったような戯曲・演出。役者もぎこちなく、美術の使い方も感覚に訴えず。
【評価 ☆☆】
[ 鳥公園「蒸発」 (作・演出 西尾佳織) ]
女性二人の共有するえげつなさとj叙情性を、丁寧な演技で見せる。特に役者力が光った(相当距離が離れてるのに同じ空気を呼吸している二人…)
【評価 ☆☆☆☆】
[ ワワフラミンゴ「どこ立ってる」 (作・演出 鳥山フキ) ]
ゆるふわな語り口でぬけぬけと不条理。観客を混乱へ招く、唯一無二の持ち味。
ほとんどの観客がふつうに笑っていたけれど、じつはとんでもない事が20分間、舞台上で継続していた。。。(しかし、かわええのうw)
【評価 ☆☆☆☆☆】
[Q「しーすーQ」 (作・演出 市原佐都子) ]
訳わからんわwww 破壊力と表現への切実さがピカイチ。
役者も妙にハマっている(エイ娘ステキww)共通理解が行き届いている。
特に好き嫌いが分かれそう。
【評価 ☆☆☆☆】
うさぎストライプ、タカハ劇団はノレず。
鳥公園、ワワフラミンゴ、Qが秀悦。
上演時間20分間・共通の舞台美術などの括りで、救われた団体・真価を発揮できなかった団体もあるかもしれませんが、全て、本公演を観たくなりました。(徳永京子さんへの信頼が理由の大半ですが)
このシリーズ、ぜひまたやってほしいなあ(地方在住者にはありがたい限り)。
イリ・キリアン『East Shadow』
Jiří Kylián(イリ・キリアン)
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2013/09/14 (土) ~ 2013/09/16 (月)公演終了
満足度★★★★
イリ・キリアン「EAST SHADOW」 観ました
あいちトリエンナーレ2013パフォーミングアーツの中でも、最大の話題作である、イリ・キリアンの世界初演となるダンス作品。
一つの舞台上に、時間の流れも存在の厚みも違う、映像(過去)と実体(現在)が並立する。
せわしなく動く映像と、止め絵や短時間でポーズを見せる、老夫婦。
そんな空間を淡々と見守る生演奏のピアノの音が消え、大写しになる波の映像を見て、死のイメージをはらむ事に気づく。
全てがコンパクトに収められながら、舞台外や未来に向けて広がりのある、ぎゅっと詰まった覗きからくりのような舞台。
ただ、やはり身体表現好きとしては、実体の二人をもっと見たかった。
この作品の総合的な完成度や真価を、私の感性では、まだ受け止めきれていないのかも…
建てましにつぐ建てましポルカ
ヨーロッパ企画
アートピアホール(愛知県)
2013/09/13 (金) ~ 2013/09/13 (金)公演終了
満足度★★★★★
ヨーロッパ企画「建てましにつぐ建てましポルカ」観ました
開演前から異常にワクワクさせられる、使い方の可能性を考え抜いて設計されたセット(ちょっとエッシャーっぽい)を、さまざまなベクトルから縦横無尽に出入りする、パワフルな役者陣から目が離せない舞台。
情報のエスカレート、飽和のさせ方が巧み。
最初はちょっとテンポがのろいかなあ、と思ってたら、みるみるうちにはずみ車が激しく回る。
度肝を抜かれたネタが、しばらくしてまた出た時には、「…そういえばあんなのもありましたなあ」w
主人公も観客も同じペースで、どんどん状況を持て余していく共感性。
ラストはもう、ほとんど「8時だよ!全員集合!」ノリ。
プライド高く、都合の悪い情報を次第に切り捨てていき、大局からも目を逸らしていく主人公らは、現代日本の私たちの姿かも。(風刺だw)
安定のヨーロッパ企画。
前回「月とスイートスポット」と、さまざまな点で対照的。(叙情性ーナンセンス、一本の筋書きーバラエティ、時間ー空間)
一日とはいえ名古屋公演があってよかったなあ。
前向き!タイモン
ミクニヤナイハラプロジェクト
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2013/09/07 (土) ~ 2013/09/08 (日)公演終了
満足度★★★★
ミクニヤナイハラプロジェクト「前向き!タイモン」観ました
「3年2組」名古屋公演以来のミクニヤナイハラ観劇です。
(ちなみに、知り合いにディープなファンが。独特の言語感覚を持つオイスターズ(名古屋)・平塚さんの戯曲をやらせてみたいとw)
役者のテンションや切り替え、演出のキレキレ感や丁寧さは、予想通りのクオリティの高さ。映像も精度が高い使い方。「3年2組」とは違う領域へ。
序盤は世界に入りにくいけど、10分位してから急に(オッ?、オ?)と、自分の感覚がノッてくる。
観ているうちになんとなく、マームトジプシーを思い出した…(岸田を、藤田さんと同時受賞でしたね)
しかし、とにかく戯曲が???だらけ。そこが、頭でどうしてもノレず眠気をもよおす…。
成立に謎を感じる戯曲。
アフタートークで矢内原さんに、その辺を質問。
「なぜ、リンゴ農家からリンゴを買い占める話なんですか?」(←スゲエ単純ww)
その回答を頂いて、予想外にかなり解消。
宗教、金銭、人生感…作家自身の生い立ちから生まれた感覚的な執筆。
(願わくば、事前にそれが分かっていた方が、むしろ気にせずに舞台を観られたのかも…)
感想が割れるのも納得。
フィクション性の高い世界でありながら、自身のドキュメントを基にした創作。
後から考えて、自分自身の舞台への取り組み方に根本からじわじわ影響が来そうな、舞台人が観る意義のある舞台でした。
※アフタートークでいただいた矢内原さんの回答は、ネタバレボックスに簡単に書きました。釈然としない思いを大切にしたい人は読まないでくださいw
ディオニュソス
SCOT
利賀大山房(富山県)
2013/08/25 (日) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
SCOTサマーシーズン2013総括
会場となる富山・利賀芸術公園は、とにかく想像を絶する山の奥の谷間。
コンビニどころか、基幹道に街灯すらない有様。(夜は真暗。車で来た人は夜帰る時にビビる 汗)
他によけいな物がない分、自分の感覚を舞台や周囲の環境に集中できます(特に野外劇場は、劇場の外まで感覚がつながる)。
日常を過ごすのと明らかに違う場所で、高水準の舞台をまとめて観られる体験は、まさに演劇合宿。
特に、出演も演出も外国人のインターナショナルSCOTは、国内にいながら外国へ観劇に行った気分に(笑)
そんな場所で、地元でふだん会う人や、遠くのめったに会わない人と、ばったり出会って語るのもまた、なかなか乙な体験。
この人が来てる!あの人もSCOTに興味あったのか!と、人を見る目も変わるかも。
今回から、観劇料は「ご随意」。
基本無料、いくら出すかは観客の裁量。懐具合によっては出さなくても可。他人事ながら心配…(私は去年と同額出しました)
さすがに交通費は自前だけど、名古屋との直通バス(週末二日間で往復、片道4時間・1000円)もあるので、東京などからも乗り継げば、かなりのコストカット。
ちなみに今年は、利賀夏祭りと合流。土地のそばや鮎も味わいました。
これだけ盛りだくさんの興味深い要素を持って、国際水準ともいえる舞台が観られる利賀・SCOTサマーシーズン、スズキメソッドに興味がなくても、一度は体験する事をぜひオススメします!
ディオニュソス
SCOT
利賀大山房(富山県)
2013/08/25 (日) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
SCOT「ディオニソス」観ました
(SCOT「禿の女歌手」から続く)
利賀・SCOTサマーシーズン2013も、いよいよ大詰め。
最終日・最後の演目は、SCOTが世界に誇る名作「ディオニュソス」!
すでに利賀山房で観た事があるけど、今年は新劇場・利賀大山房での上演。一見、体育館にしか見えないw(補助金申請の都合上、改装前と同じ体育館扱いにしているそうです。。)
「神に逆らった人間への罰」という超自然的な素材を元に、人為を超えた悲劇に直面しながらも、耐え抜き生きる人間の姿に焦点(震災も連想した…)。
盲目の神官や幕を引きずる神女らが、日常とは別の法則に乗っ取った身体で舞台上を動く様子は、人ではなく神の気のよう…
空間が大きくなったのが効を奏したスケール感、役者の立ち位置が変わるだけで局面が変わっていくように見える照明、限界に挑む身体、異質な音楽や所作の統合。
全てがまさに、ワールドプレミアム。
大きくなった空間が、確実に世界を広げて見せた。普遍的な出来事に感じられた。
「劇場が変わると芝居が変わって見える」というのを、シンプルな劇場空間同士でこれほど顕著に見せられるとは…
これだけを観に行っても満足できる、凝縮された満足の舞台でした!
後ほど、SCOTサマーシーズン2013全体の感想も、この「ディオニュソス」
欄に書きます。
禿の女歌手(6カ国語版)
SCOT
利賀芸術公園 利賀山房(富山県)
2013/08/31 (土) ~ 2013/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★
SCOT「禿の女歌手」観ました
(SCOT「世界の果てからこんにちは」から続く)
「果てこん」後のテント泊から一夜明け、利賀二日目は二演目を観劇。
まずは、「禿の女歌手」。
字幕が機能を諦めたような多国籍言語舞台。「リア王」や「トゥーランドット」で経験済みだけど、今回は字幕も最低限に。
観客は物語を追うことをやめ、ひたすら役者を観る。
声、目、手、重心、物腰、立ち位置、関係性…。物語や意味は理解できなくても(汗)、全体の流れや役者の全身パワフルなあり方を楽しめる。
大胆な動きが、人形劇のようにも見えた。
事前にイヨネスコの戯曲を読んでた方が楽しめたかも(結局、禿の女歌手とは何なのだろう。。)
外国へ観劇に行った気分になりました(笑)
ちなみに、鈴木忠志さんは、自分なき後は彼らにスズキメソッドの将来を託すようです。
この後はいよいよ、あの名作「ディオニソス」へ!
(SCOT「ディオニソス」へ続く」
世界の果てからこんにちは
SCOT
利賀芸術公園 野外劇場(富山県)
2013/08/31 (土) ~ 2013/08/31 (土)公演終了
満足度★★★★★
SCOT「世界の果てからこんにちは」観ました
今年も利賀・SCOTサマーシーズンへ行ってまいりました。
感想を書こうと検索したら、おお、それぞれの演目が!(笑)
まずは到着した夜に観た、毎度おなじみ「果てこん」から。
開演少し前から雨が降り出す。野外劇場での雨は二回目の経験。SCOT支給のカッパと座布団を装備して客席に。今年も通路に人が座る大入り。
バカバカしく美しく、何度観ても見飽きぬ歌謡舞台。長年のファンにおなじみの定番舞台からの名シーンセレクト集なのだけど、そういう予備知識がなくても、とにかく見せ物として圧巻。圧巻。
台詞も身体も歌も、民族性を内包する濃さ。
恒例の花火も、毎回なにか違う。今年は上空連爆から一呼吸おいて、ステージすぐ後ろで爆裂が!
雨で寒い野外劇場…しかし、この状況でしか見れない光景も。
濡れたリノに反転して映る役者、水を吸って重くなった衣装のさばき、車椅子の列が池に落ちないかといつも以上に不安、花火の前にはなんと雷まで!(゚Д゚)
観客席はるつぼのよう、まさに野外冥利につきる。
夜空、山、池を借景に、ここでしか観られない舞台でした。
しかし、現実の日本もどんどん「お亡くなり」になってるなあ…
定番なのに、毎回「いま」を考えさせられる…
この晩は交流館そばでテント泊(一泊1000円・朝食付き)。翌日の2演目に向けておやすみなさい(→SCOT「禿の女歌手」へ続く)
ゼロ・アワー
やなぎみわ 演劇 プロジェクト
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2013/08/30 (金) ~ 2013/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★
やなぎみわ「ゼロ・アワー」観ました
アート作家として知られるやなぎみわが、どんな舞台をつくるか、まずはやはりそこに注目が。
「そこにいない相手との対話」
物語も演出も、それに尽きる。
メディア、声、手紙、ひとり芝居…さまざまな場面で感覚、想像力を刺激。
声を聞かせる作りがいい(特に、いちばん最初が一番ワクワク)。
ラジオとイヤホンは、終盤の五人の声をじっくり聞く場面でしか効果的でなかった気が。
(私は片耳が聞こえないので、舞台の声を聞くため外した状態で、時々「ここだ!」と思った場面でイヤホンをつけていました)
案内嬢と東京ローズのコピペ性を重ねた衣装や、白基調の美術は美しいが、「案内嬢シリーズ等の作家・やなぎみわ」の予備知識がないと?か
(これを観に来る人は大抵分かってるのかもしれないけど、あいちトリエンナーレは、ふだんアートに興味ない人も来るので)。
聴覚としての存在「東京ローズ」 案内嬢の制服が、視覚としての存在か…(役者・役柄はそれぞれ別人として立ってたし)
あと、ブースの向こう側には、もっと別規範の世界性が欲しかった。
物語自体は、とくにひっくり返る展開もなくゆったりと終わる。 (劇中で謎を追う人物は、結局真相に迫れない)
チラシなどで提示された「6人目の正体」の謎も、特に謎でなくドキュメンタリー的に取り扱われているので、観客としてはすべてを俯瞰している気分で、それほど揺さぶられない。
燐光群を彷彿とさせる、オーソドックスな社会派舞台という印象でした。
眠れる夜のバカ
妄烈キネマレコード
ナンジャーレ(愛知県)
2013/08/22 (木) ~ 2013/08/26 (月)公演終了
満足度★★★★
妄烈キネマレコード「眠れる夜のバカ」観ました
名古屋の熱量高い若手劇団が、今までと少し違う方向を目指しての試行。場内に入ると、劇場・ナンジャーレとシンクロしているようなセットが早くも印象に。
今回も、群像のバランスに気を配った楽しいドタバタ劇。設定が現実から少し離れる。何人かのキャラが、存在の「ズレ」を内包した展開。
テンポが小気味よくて笑えるが、もう少し、「間」がほしい場面がチラホラ。
キャラや世界の設定や物語にも、あと一押しほしい。あの新人が、なにかありそうに見えたのだけど…。
私には、ドアが一番受けた(タイミングばっちり、一瞬であの状況での意味が理解できるギャグw)
そして、あおきりみかんからの客演・カズ祥さんが、杉原邦生(京都)にしか見えないというww
一時間半楽しんで、さっぱりした後味。若い演劇ファンなら充分楽しめる娯楽作でした。