愛のルーシー 公演情報 愛のルーシー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-19件 / 19件中
  • 満足度★★★

    隔離空間のリアルを俳優の身体から感じたい
     擬似地球“バイオスフィア2”にて自給自足生活を送る8人の男女と、彼らを外部から観察する研究者たち。OFF OFFシアターの舞台上にある柱を活用して、上手側に研究室、柱を挟んで中央および下手にバイオスフィア内部を対置させた具象美術でした。茂った木々に実る作物も丁寧に作りこまれた美術は見ごたえあり。文字映像で上手壁に居住者たちの日記を表示し、人物の背景を伝えていました。

     スフィア内は農作物の収穫が少なく、海洋地区が汚染されて魚が取れないなどの食糧危機にあり、居住者は常に飢えていているはずなのですが、役者さんの演技は状態を説明する型どおりのもので、私には切迫感や恐怖、狂気、そして殺気などが感じられず。残念ながら、物語の起承転結が体を素通りしていくようでした。例えばシミュレーションゲーム「シムシティ」(古いですね)や冒険もののロール・プレイング・ゲーム等で、画面上の架空の街を攻略していくような手軽さに似てる気がしました。お好きな方もいらっしゃると思います。

     敢えてリアリティを求めない演出だったのだとすれば、一観客の個人的でわがままな願いではありますが、隔離された空間でのサバイバル以上に、意外だったりわくわくするものが欲しかったですね。
     北京蝶々の作品を観るのは初めてでした。作・演出の方は慎重に考えた末に題材や視点を選択されているようなので、また違った作品も観てみたいと思います。

    ネタバレBOX

     居住者たちは飢え続けて、身体的にも精神面でも限界に近づいていきますが、ある問題が解決したことで食べ物に困らなくなり、突然あっけなく平安が訪れます。でもそれまでにひっ迫した空気がなかったため、舞台上の人物と一緒にホっとしたり嬉しくなったりできませんでした。外部から白衣の研究員が入ってきた時は空間がゆがんだように感じて面白かったですが、その後にドラマが起こらなかったのも残念。

     噂話を広めて恋愛のドロ沼をよりひどいものにした女の「だって退屈だったんだもの」というセリフが痛快。
     酒と一緒に食すると毒になるきのこを、皆に食べさせた男のセリフに納得。
     「自分が食べるものなのに、他人の言うことを鵜呑みにして、勉強もしないで」
     それが私たち日本人ですよね。
  • 満足度★★★★★

    プロ根性!
    今回も”北京蝶々”らしい作品で面白かったです。 
     加えて役者さん達が飢餓状態を表すために合宿をして痩せたという。特に私の好きな帯金さんは顎がほっそりしていて 一目で痩せたのがわかった。短期間に6キロ落としたそうだ。 すごっ!

  • 満足度★★★

    客入れのBGMが納得
    閉鎖生態系実験施設で自給自足の生活を送る8人の男女(と彼らを観察する研究員2人)の物語、本来の成果が得られず苛立つ中、恋愛感情なども芽生え…という80分ほどのコンパクトな作品。けっこう笑えた上に、観ていて「なるほどそれで客入れのBGMがああいう選曲だったのね」と大いに納得。(ってかBGMで漠然と予想した内容に近かった?)
    それにしても初見であった前作といい本作といい、閉鎖空間での出来事であることに加えて地球規模での危機的状況を背景とした作品が続いたが、いつもこういうテーマなのかそれともここ2作が同系統になっただけか?

  • 満足度★★★★★

    予想外のラブストーリー
    と聞いて特にそれを北京蝶々に期待していないよと思っていたのですが、
    期待も予想もはるかに超えて面白かったです。
    派手でも押しつけがましくもない作品でしたが、まさにじわじわきいてくるという感じでした。観劇から数日経った今でも思い起こしてしまいます。

    特殊な設定なのに、素直に世界に入り込めたのは、脚本・役者の力。
    また、美術や照明・音響等スタッフワークも素晴らしく、総合力の高さとバランスの良さが観る側を丁寧に誘うのだと思います。
    役者ばかりが「今から面白いことやるぜ!」的な公演を見る機会が最近多かったので(嫌いじゃないですが、「面白さ」には好みがあるので)、舞台っていうのは、こういうものだなと感心。

    ここ数回は必ず観ているのですが、着実にレベルアップしていて、毎回の作品創りに対して真摯な印象を受けます。
    今後、将来が本当に楽しみな劇団です。

  • 満足度★★★★★

    毎回
    期待を裏切らない、素敵な劇団さん。とても楽しんで帰りました。

  • 満足度★★★★

    そんなに 「愛の理」でなくてもいいのに、
    とは思いつつ、情報盛り沢山な大塩哲史による脚本を楽しむ。きちんと整理されているし、いろんな方向に転がる可能性を秘めていた物語には求心力もあって、好内容♪ まあ、個人的には、キャラに多面性があったり、もっと混乱させられてしまうぐらいのほうが趣味ではあるのだけど、観客動員とか考えるとたぶんそうしないほうがいいと思う(笑)。

    ネタバレBOX

    「あいのり」的には、実験施設生活者の中でもっとも魅力を感じた、イナカ(帯金ゆかり)とテイヘン(本井博之/コマツ企画)がカップルになって、ちょっと嬉しかったりも♪

    あと、実験施設を監視するウエダ(石井由多加)がなにを考えながら視ているのか、なんてことを想像するのも楽しく。二列目観劇だったので、そっちばかり観てると、主舞台がおろそかになってしまうんだけど(笑)。
  • 満足度★★★★

    家族で楽しみました
    大学生の弟に連れられて観にいってから、たびたび足を運んでいるんですが、今回は母親を連れて行くという実験を行ってみました。結果として、三人で楽しむことができたので、安心して観にいける感じがありますね。映画とはまた違ったよさがあるんですよね~。

    ネタバレBOX

    さて、ネタバレについてですが、公演も確か今日で終わりだったと思うので、多少。全体的に笑いを取っていきつつも、緊張感も適度に織り交ぜて、ラストで崩壊しちゃって、さて、どうなる?という展開が得意な北京蝶々さん。
    今回は、これまでに見た作品と比べると、終わったあとの余韻はマイルドで、大崩壊、と言った感じではなく、お、続いていくんだなぁ、という感じ。さすがは循環型の設定。
    それはともかく、前半のコウボク君のキレ具合と、全体的にテイヘン君のボケ具合がまず、物語の雰囲気を作っていたかなという感じ。コウボクは怖かった・・・。中盤以降のテイヘンは味が出てきてよいなぁ、と感じましたね。
    フコウとアイの女性の対比は、ああ~、あるある、と思えたりしてなんだか少し寂しくなったり。
    少しわかりづらかったのは、ハイカンとタイガクかな?
    作家という人種が周りにいないと、ハイカンの精神性は、描かれている分では、ちょっと理解しづらいかも。ただ、あの環境を、自分の人生そのものに置き換えると、彼女のいっている言葉は、自分にとってはよくわかる。火種を捜している・・・わかります。
    タイガクは物語の重要な部分を担っていましたが、彼は結局、どうしたいのか、それがわからなかった・・・。たぶん、自分にもわからない、理想だけはあるけれど、手段がない人なのかな、という意味では、そのまま受け取っていいのかも。
    イナカは序盤のコミカルパートをガッツリカバーしてくれてましたが、酪農知識が思ったほど披露されなかったのは、残念かな? タイガクの知識活用ップリと比べると、ちょっと特性を活かすという意味では影が薄いのが残念。
    ケンチクは、おもしろい子でしたw 愛してるなぁ。ケンチクはあまり関係ないけどw
    研究者の二人は、説明キャラとしての側面が強かったように感じますが、先輩と後輩の役割が滲み出ていてとてもよかったです。ラストの先輩の心変わりが、なんだかスコシフシギな気もしますが、さて。

    物語的には、設定がまず面白かった。
    循環型施設、閉鎖空間、目標、生きること。
    キューブのような唐突感と、志願してきているという点、
    そして隔絶された外部と内部の、優越の逆転、というか崩壊、というか。
    唐突感はあったものの、おっ、なるほど、そうなりますか。
    という感じはあっておもしろかった。
    印象に残ったのはやはり、テイヘンの、最後の一羽を守るところ。繁殖できなくても、生きてるんですよ、みたいな・・・ああ、耳が痛い。
  • 満足度★★★★

    良い。
    次回公演も、次々回公演も観たいと思う。

  • 満足度★★★★

    なかなかの設定
    循環型の環境の実験施設という設定がよく出ていたと思います。
    何だかんだで人間というのは一筋縄ではいかないんだなぁと思いました。

  • 満足度★★★★

    閉塞感もきちんと
    舞台の裏側にあることになっているバイオスフィアの諸施設までが
    しっかりとイメージできるところに
    この劇団の表現力の精緻さを感じて・・・。

    ビターなラブストーリーとしても、環境のことについても、
    いつもの「北京蝶々」らしく
    いろんなことを感じさせたり考えさせる力を持った舞台でありました。


    ネタバレBOX

    バイオスフィアの内部を観察している研究員が
    なかに入っていくところでやわらかく深くぞくっときました。

    バイオスフィアの中の閉塞した現実ですら
    外側の環境の悪化の中では
    シェルターの役割を果たすことになるという近未来の設定が
    真綿で締め付けるような感触の恐怖にかわって・・・。

    現代の環境のマクロ的な視座のなかで集約化された人間模様を
    緻密に描いていく。このテイストは
    やはり北京蝶々ならではだと思うのです。

    でも、そんななかでも、男女間の普遍的な関係が
    逞しく動いていく姿が緻密に描かれていて、
    そちらもたっぷりと見ごたえがあって・・・。


    コマツ企画から客演の本井さん大好演。帯金、鈴木の安定した演技、岡安の演ずるキャラクターから垣間見えるある種の普遍性、さらには白井が絶妙に演じる周りの見えなさ・・・。森田の不思議な実存感・・・。などなど

    下世話さの風味をいかして地球規模の真理をさらっと切り取って・・・。、うまいなぁと思うのです。
  • 満足度★★★★

    設定が秀逸
    2回目の北京蝶々。

    前作が新型インフルエンザで大変な事になる話で、現実世界が今まさにそんな状況。
    まあ豚だったから良かったのだけど。

    そんな事もあって、北京蝶々の作る作品は決して現実から飛躍してない、という事が身に染みたため、今回の作品はどのようなものを提示してくれるのか、楽しみに見に行きました。

    結果、やはり期待は裏切らない作品だったと思います。

    ネタバレBOX

    宇宙空間での長期生活のサンプルとして実験される「バトルスフィア」という施設。
    アメリカ等は既にその研究を止めているが、未だに続けているのが唯一日本、というところがまず興味を引かれる題材でした。

    完全に隔離された施設で、その中では水も空気も食料も循環してひとつの生態系をなしている「バトルスフィアJ」という施設。
    その中には「楽園」を求めてやってきた男女が自給自足の生活を送っている。

    生活に精一杯で年頃の女性なのに髪も肌もボロボロの状態。
    でも、やはり恋心が芽生えればそんな中でも少しでもキレイに見せるために努力をするのが女性。
    男たちは生活してゆくための知識を豊富に持っている男から、軟派な男、明らかに駄目な男。
    こんな小さな世界にすら差別等は生まれる。
    そして恋愛も生まれる。
    そしてそんな人間関係を楽しみながら見ている女性。

    そんな箱庭を眺め、観察している研究者たち。
    箱庭の人々はやがてその小さな世界の生態系の破綻より前に、自分たちのエゴで自滅への近づいてゆく。
    そんな中に「救いを差し伸べる」という名目で介入してくる研究者たち。
    彼らもまた、その生態系の中に取り込まれてしまっているのだろう。


    突飛な舞台設定で科学的な裏打ちが沢山あるのだろう舞台なのに、以外に普通に人間関係の絡みに終始してしまったのは勿体なかった気がしました。
    あと、「密閉された極限空間の人間関係」というのが実は前作と被っていて、それも勿体なさを後押ししていた気がします。

    結局普通の人間関係の観察劇になってしまったのは、この題材にしては話のスケールを小さくしてしまったかな。

    題材はとても良いので、ここから一歩踏み込んで作家の新しい解釈を提示できるともっと良かったかと思います。


    役者さんは皆さん良かったです。
    特に「イナカ」さんは「判りやすい人」というのが丁寧に演じられていて、凄く好きでした。
    コマツ企画の本井さんは、本井さんらしい駄目っぷりの役で、見ていて愛らしい。
    舞台上の登場人物がどれも魅力的に見えたのは、役者さんがその役を愛してるからでしょう。

    次はまた全然趣きの異なる作品になるようなので、前作・今作の「密閉された空間での人間関係」とは違うものを見せてくれる事を期待します。


    帰りには過去公演のDVDを3本買ってしまったのでした。。。
  • 満足度★★★★

    愛ですね。
    人間の嫌な部分、特に恋愛時や閉鎖時に起きるエゴが取り上げられているにもかかわらず、不愉快さを感じない舞台でした。
    暴走も過激さも必要としない、安定した真摯な作品作りが、
    非常に心地良かったです。

    ネタバレBOX

    愛だな・・愛。
    と思わず観劇後に呟いてました。
  • 満足度★★★★

    設定がうまい。
    ほんと、
    いつもながら。

    前回もそうだったけど、今回もその設定でぐいぐい引き込まれた。

    うまいなぁ・・・。

    舞台の作りもすごく良かった。

    ネタバレBOX

    いや、ほんと、なんだろ。
    しっかりしたストーリー、設定の下、実力のある俳優さん達が演じるものだからすっかりその世界にひっぱりこまれた。

    実験を観察している側を置いたというのも良かった。

    ただ、最後だけ、なんだか盛り上がりに欠けたのが残念だった。
  • 満足度★★★

    ・・・?
    北京蝶々さんは多分3回目くらいですが、、、

    う~ん。

    ネタバレBOX

    割と予想通りの展開で、ちょっと肩透かし。
    つまらなかったわけではないけど、面白かったかと言われると。。。う~ん

    人の名前が、分かりやすいようでいて覚えにくく、
    それ(人の名前を覚えること)に必死になっているうちに、
    物語にのめりこめなくなっていた。。。という感じだったカモ

    全ては私がオバカなのがいけないのだと思います。。。
    (人の名前を覚えるのが苦手なんですスミマセン。。。)
  • 満足度★★★★

    わかりやすく、いいですよ
    意外にいい話にまとまってるんですなぁ、意外。

  • 満足度★★★★★

    恋愛と観察
    閉鎖空間での恋愛模様と、それを観察する人々。
    惚れた腫れただけの話になってしまいそうなところですが、
    そこはさすが北京蝶々。こうくるか!という感じで色々と考えさせられました。

    すごく突飛な人がいるわけでも誰かが突出して目立っているわけでもなく、
    一見淡々と進む会話が楽しめることに、役の描き方、役者の個性が魅力的に引き出されているなと感じました。

    ネタバレBOX

    観察していた2人がバイオスフィア内に入るラスト。
    神のようにただ観ていた2人が観られる側になり、
    それを観ているのが自分たち(観客)になるという構造に感服。
    近未来の人間臭いバイオロジック創世記という感じで楽しみました。
  • 満足度★★★★

    力作、意欲作、目の付け所の違い。
     最近日常を等身大に描く劇団が増えている中、北京蝶々はシチュエーションやドラマの設定を大事にする劇団である。

     まず、バイオスファイア2に目をつけ、これを元にドラマを作ろうと思ったことに作者の(演劇的)意識の高さを感じる。そしてこの難しいテーマを個性的な登場人物の設定で非常に見やすいものにした。

    ネタバレBOX

     バイオスファイア2とは実際にアメリカで行われた環境実験の名称。将来人類が宇宙に移住するとしたら、閉鎖された狭い空間で生活していけるのかとか、地球と同じ生態系を人工的に作り上げることが出来るのか、などを調査する研究だった。この研究は何百億円をかけたにも関わらず、たった2年で失敗に終わっている。原因は閉鎖空間での心理的ストレスや、それによる人間関係の崩壊によるものと言われている。

     環境問題に興味を持ち、バイオスファイア2の実験物語を知っている人と、そうでない人とでは面白さが全然違ってくる。そこら辺がこの作品への評価が分かれるところだろう。舞台上で繰り広げられる愛憎劇や裏切りなども、それが閉ざされた空間の中での心理的ストレスの中で引き起こされていることだということをしっかりと認識して見なければ間違ってしまう。

     作者が秀逸なのは、閉ざされた空間で暮らす人と、それを観察する人の対比の部分。それはあたかも神と人間のような関係だ。しかし、最後に観察する側の人間がルールを破って、閉ざされた空間の中に入ってくる。ここで物語は大きく動く。地球は滅びるのかはたして再生するのか?神はいるのか?救いはあるのか?救世主はいるのか?そういった様々なテーマを考えさせながら、壮大なドラマが幕を閉じる。

     役者はそれぞれ個性的で魅力的だが、特にイナカを演じた帯金ゆかりの存在感は群を抜いていた。また森林をうまく表した舞台装置、それぞれの場所を美しく照らし出した照明など、スタッフワークにおいても随所で光ところがあった。上演時間は90分。
  • 満足度★★★★

    内容と空間がマッチ!
    初日に観せていただきました。
    北京蝶々さん初体験でしたが、さすが、CoRich舞台芸術まつり2009春 最終選考作品。役者さん同士の台詞や動きの表現の間合いがしっかりと相手の呼吸をとらえていて、自然に物語に集中できました。
    作品によっては、物語の進行とは乖離して、まずは登場人物の紹介をすべく説明的な流れで始まって、観客側に「早く解れよ」という押し付けを感じてしまい、かえって人物の個性や関係がなかなか掴めないものもありますが、この作品は、きちんと物語の進行に沿って各人物の個性が徐々にかつ絶妙に浮かび上がって、興味をそがれませんでした。

    以下、ネタバレにて。

    ネタバレBOX

    それぞれの事情や性格で社会に溶けこめずに背を向け、この計画に参加してきた男性4人女性4人の被験者たちと、それを観察する2人の研究員。
    しかし、人が人と関わりを持って生きていく以上、そこはやはり彼らが以前に所属していた社会の「縮図」であり、自給自足の厳しい毎日のさなかで、お互いの間に生まれる喜怒哀楽の感情が、ほんの少しずつ熱を帯びていく。
    常に環境の劣化を防ぐことに神経をはらわねばならず、空腹感に苛まれ続け、心が乾燥してついむき出しの感情をぶつけてしまったり…逆に、相手の思いがけない言動や自然がもたらす恵みに心が潤って笑顔になったり。

    満腹に食べられない日々が続いて皆痩せてきていて、女性は肌荒れを気にしたり、なのが、リアル。決して大きな声で発声する訳ではなく、力が抜けた声での会話が続くのに、きっちりと台詞が会話として聞き取れるのは、役者陣の実力が安定し拮抗しているからでしょう。
    とはいえ、これ以上大きな劇場であれば観客席全体に声を届かせるのは厳しいでしょうが、OFFOFFシアターという濃密な空間が選ばれたことで、少ない人数で構成された「社会の縮図」の閉塞感を絶妙に醸し出し、が、座席はゆったりめで詰め込まれた感じがなく、集中しやすかった。
    こちらもいつしか研究員のふたりと同じように、彼らの日々の変化をじっくり見守るような感覚になっていき…なので、本来は影響を及ぼさずにただ「観察」するべき立場なふたりが、ついに禁を破り彼らの社会に足を踏み入れていく終盤の流れは、納得。

    …彼らふたりが被験者側に加わったことで、10人を観察する別の研究員が配され、その研究員もいつしか被験者側に加わり、だんだん人数が増え、あげくは現代社会そのものになっていく…?などど、帰り道に想像力を刺激されたのも、面白い体験でした。
  • 満足度★★★

    案外、暗い。
    勝手にもっと明るい物語なのかと。
    「バイオスフィアJ」の中で息づく8人の男女の人間関係。

    以下はネタバレBOXにて。。

    ネタバレBOX

    地球の環境を再現させようと「バイオスフィアJ」という施設を作った研究者たちが、実験的に8人の男女を住ませて、自給自足の生活を開始させるのだが、現実の社会と同様、そこには恋愛や人間関係の煩わしさが発生する。

    彼らの間では「楽園」と呼ばれる、この施設では自給自足の生活が思った以上に辛く飢えていた。中でも若い男女の事だから、三角関係の恋愛沙汰に発展し、それを面白おかしくかき回す輩も出てくる。

    小さなコロニーで同じ人間とのみしか触れ合って生きることしかできない状況で、そこには閉鎖されたストレスや屈折した精神までが宿る。少しずつ全員が病んでいく環境の中、この8人を監視してるだけが使命の研究員たちは、やがて干渉しはじめ、そして自分達もそこに住み着くようになってしまう。つまり、監視しているうちに、二人の研究員はそれぞれ好きな相手ができてしまった。というオチ。

    病んだ人間関係や閉塞感やどこかねじれた精神の描写が上手い。
    役者もキャラが濃く見応えはあるが、あまり好みの芝居ではなかった。
    どうしようもなく暗く不条理な感情だけが芽生えて、カラッとした夏のイメージが沸かない。
    この物語は好き嫌いに割れるのではないかなぁ・・。

    要するに、そんなちまちました人間関係や、惚れたハレタの三角関係はどーでもよくて、もっと大作を期待していたんだよね。
    だって、CoRich舞台芸術まつり!2009春 最終選考作品!なんでしょ?


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