愛のルーシー 公演情報 北京蝶々「愛のルーシー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    内容と空間がマッチ!
    初日に観せていただきました。
    北京蝶々さん初体験でしたが、さすが、CoRich舞台芸術まつり2009春 最終選考作品。役者さん同士の台詞や動きの表現の間合いがしっかりと相手の呼吸をとらえていて、自然に物語に集中できました。
    作品によっては、物語の進行とは乖離して、まずは登場人物の紹介をすべく説明的な流れで始まって、観客側に「早く解れよ」という押し付けを感じてしまい、かえって人物の個性や関係がなかなか掴めないものもありますが、この作品は、きちんと物語の進行に沿って各人物の個性が徐々にかつ絶妙に浮かび上がって、興味をそがれませんでした。

    以下、ネタバレにて。

    ネタバレBOX

    それぞれの事情や性格で社会に溶けこめずに背を向け、この計画に参加してきた男性4人女性4人の被験者たちと、それを観察する2人の研究員。
    しかし、人が人と関わりを持って生きていく以上、そこはやはり彼らが以前に所属していた社会の「縮図」であり、自給自足の厳しい毎日のさなかで、お互いの間に生まれる喜怒哀楽の感情が、ほんの少しずつ熱を帯びていく。
    常に環境の劣化を防ぐことに神経をはらわねばならず、空腹感に苛まれ続け、心が乾燥してついむき出しの感情をぶつけてしまったり…逆に、相手の思いがけない言動や自然がもたらす恵みに心が潤って笑顔になったり。

    満腹に食べられない日々が続いて皆痩せてきていて、女性は肌荒れを気にしたり、なのが、リアル。決して大きな声で発声する訳ではなく、力が抜けた声での会話が続くのに、きっちりと台詞が会話として聞き取れるのは、役者陣の実力が安定し拮抗しているからでしょう。
    とはいえ、これ以上大きな劇場であれば観客席全体に声を届かせるのは厳しいでしょうが、OFFOFFシアターという濃密な空間が選ばれたことで、少ない人数で構成された「社会の縮図」の閉塞感を絶妙に醸し出し、が、座席はゆったりめで詰め込まれた感じがなく、集中しやすかった。
    こちらもいつしか研究員のふたりと同じように、彼らの日々の変化をじっくり見守るような感覚になっていき…なので、本来は影響を及ぼさずにただ「観察」するべき立場なふたりが、ついに禁を破り彼らの社会に足を踏み入れていく終盤の流れは、納得。

    …彼らふたりが被験者側に加わったことで、10人を観察する別の研究員が配され、その研究員もいつしか被験者側に加わり、だんだん人数が増え、あげくは現代社会そのものになっていく…?などど、帰り道に想像力を刺激されたのも、面白い体験でした。

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    2009/05/22 19:21

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