学芸員 鎌目志万とダ・ヴィンチ・ノート
『学芸員 鎌目志万とダ・ヴィンチ・ノート』製作委員会
サンシャイン劇場(東京都)
2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
逆VUCAより愛をこめて
劇団スポーツ
駅前劇場(東京都)
2025/01/31 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初日にあたる、プレビュー公演を観劇。
すんごい面白かったです。
初めは、ファミレスを舞台にした典型的なシットコムかしら?
前説からキレキレでして。
ファミレスで、3人の芸人トリオの解散話と、有能バイトのヘッドハンティング話。
この2つが、えええ!?そういうふうになっていくの!?って重なっていくんですが。
演劇的に、この重ね方は面白いなって。
はちゃめちゃなシーンやそれ言っちゃうのってメタネタもぶん投げてくるし。
笑いの絶えないなか、刺さる部分も芯にあって。
ほんと面白かったです。
一角仙人
演劇ユニット 金の蜥蜴
ブディストホール(東京都)
2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
説明には「能楽『一角仙人』を題材に、神や鬼が跳梁跋扈する時代劇ファンタジー」とある。さらに当日パンフによれば「インドの『マーハーバーラタ』、今昔物語の『天竺編』、歌舞伎の『鳴神上人』そして能楽までアレンジした金の蜥蜴流平安神話ミュージカル」と記してある。長々と引用したのは、これら 取っ付きにくそうな芸能を独自の観(魅)せる公演として仕上げ、楽しませるところが巧くて好い。
また能楽作品を分かり易くとの配慮から用語解説もあり、例えば、三か月も雨が降っていなかったため、雨乞山へ向かった。この山、物語上は架空だが作品のイメージとしての地理的な場所や一角仙人が住む仙境ー御在所山など丁寧な説明がある。もっとも観劇に際しては、その前知識がなくても理解できるよう工夫されている。
時は平安、まだ神と人、あの世とこの世の境目が曖昧で同じ所で暮らしていた時代 という設定。能楽としての能面や装束ではなく、時代劇としての衣裳、そして言葉遣いも現代風で身構えることなく楽しめる。勿論、音響・音楽(音源)は、小鼓・能管・篠笛・龍笛といった和楽器、照明は鮮やかな文様や暖色を照射する美しさ。その舞台技術は、場転換などで効果的な役割を果たしていた。そしてラストは…。
(上演時間2時間 休憩なし)
バンバン学校裁判BANG!
FREE(S)
ウッディシアター中目黒(東京都)
2025/01/16 (木) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/01/18 (土) 13:00
観劇のだいぶ前に、CoRichであらすじを読んだ感じだと、とあるド田舎の小中一貫校では生徒間が対立しまくっていた。そこで教師と親たちは、全員の問題に白黒つける為に学校裁判を開く!思いつくままに告訴が乱発し、その矢は大人にまで飛び火していき、混乱がヒートアップしていき、カオスになっていく学校裁判劇ということだった。学校と裁判劇の組合せが異例ながら、生徒たちと先生たちの問題に裁判で白黒つけようということで、社会問題化している先生による性暴力、親による性暴力、虐め問題、虐待、暴力教師、引き籠もり問題、貧困問題、極端なスクールカースト問題、外国人やハーフの子の差別問題等に裁判劇という形式を用いて鋭く切り込みつつ、徹底したエンターテイメント性のあるコメディ劇になっているのかと感じて大いに期待していた。
しかし、実際に観劇してみると、思っていたのとは良い意味で違っていた。
具体的には、劇中の裁判では小中一貫校ということで、小学2年が学校内で飼っていた豚を逃した疑惑で中2のギャルを訴えたりと思っていたより、社会問題も多少は扱っていたものの、その殆どは所詮小中高生が訴える内容で、つまりあまりにもくだらなくしょうもない、中には結論が出ないような訴えもあったりと小中高生中心ならではの裁判で、期待していたものとはだいぶ違ったがなかなか面白かった。
裁判なのに自分が馬鹿にされると本物ではないが、モデルガンを撃ちまくり、映画や漫画等のネタバレを使用ものなら本物の拳銃を撃とうとするまるで赤塚不二夫の漫画に出てきそうな大人気ないどころか極端な駐在が、そもそも実際の裁判では傍聴席にいるのさえ駄目なはずなのにいたりとハチャメチャで、裁判の法廷も学校内の上、裁判官役検察役、弁護士役が生徒によって時に小6の生徒を指名したり、時に先生、時に存在感が薄い事務員が指名されたりと、ころころ変わる所がメチャクチャであり、リアリティーのある裁判劇というよりかは、殆どが茶番劇であり、小学生、中学生らしい視点で話が展開し、時に感情論や強引な結論、友達が弁護士役をになったりとぜんぜん公平性には欠けるが、子供っぽく裁判というより裁判ごっこが進行していく展開、明らかに30代位のオジサンなのにおバカな小学3年を演じたりしている無理ある感じもなかなか大いに笑えた。
最後のほうで中3が暴走しそうになったり、最後に産休教師の南名弥が子供が産まれそうになって、それまでいがみ合っていた生徒たち、微妙にズレた先生たちが協力して産ませてあげようとする様が、予想不可能な展開になってゆく上に、なんとはなしに劇が終わる頃には自然といい感じに感動していた。
さらに、全体通して大いに笑え、日々のストレスも吹き飛ばすことができて良かった。
不正に集めたベルマークで
ドアとドアノブとドアノブカヴァー
OFF OFFシアター(東京都)
2025/01/31 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー!!
爍綽と
浅草九劇(東京都)
2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
メモリーがいっぱい
ラゾーナ川崎プラザソル
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2025/01/24 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
浴室
ジェイ.クリップ
サンモールスタジオ(東京都)
2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
〈Aチーム〉
山﨑薫劇場。
やっぱこの人は凄いわ。圧倒された。ひれ伏す。名取事務所が手掛けるような重厚なテイスト。メチャクチャ鬱でシリアスな人間劇。内面を徹底的に凝視した人物造形。山﨑薫さんのファンならずともこれを見逃してはならない。
作品に流れる血は『愛を乞うひと』だろう。病的なまでに実の母親から虐待を受けて育った女性が主人公。家を逃げ出して今は一人の娘の母親になっている。ずっと今まで目を背けてきた母親との関係と到頭対峙しようと決める映画。
虐待されて育つと自分の子供に虐待をするようになるという虐待の連鎖。幼児期の家族とのアタッチメント(愛着)の形成こそが人間の心の立ち位置の基準となる。安心で安全な信頼関係を感じることが自分という存在の土台、基礎に。それが欠落して育つと愛着障害と呼ばれる心の病を抱えることが多い。人間不信、低い自己肯定感、各種の依存症、不安神経症···など負の連鎖。
誰もが無意識に自分で自分を治す方法を探っている。今作の主人公(山﨑薫さん)も母親に虐待されたトラウマから棄てた筈の香川の実家に帰郷する。結婚し妊娠したことを夫(寺内淳志氏)と報告する為に。実家の母親(西山水木さん)はいつの間にか再婚していて初対面の義理の父(蒲田哲氏)。
主人公はルポライター見習いで初めて自分が主筆で担当する仕事を与えられる。それは目黒女児虐待事件。5歳の幼女を実の母親と再婚した継父が教育に見せ掛けて虐め殺した事件。そのおぞましさに世間を震撼させた。
拘置所で母親(大井川皐月さん)と面会、取材が始まる。
浴室に閉じ込められ泣き叫ぶ幼女の書いたノートの文章に自分のトラウマが甦る。
『もうおねがい、ゆるして。ゆるしてください、おねがいします。ほんとうにもう、おなじことはしません。ゆるして。』
他の誰の話でもない。
「これは私の話だ。」
憎んでも憎んでもまだ余りある家族の正体とは、最早自分自身なのかも知れない。
是非観に行って頂きたい。
一角仙人
演劇ユニット 金の蜥蜴
ブディストホール(東京都)
2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
カンテン「The Foundations」Final.
カンテン事務局(Antikame?)
座・高円寺1(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
【<Select B:集>つなぐ】
6つの団体を二組ずつ組み合わせた3プログラム、Select B はSF系な2編。
架空畳「Φ(ファイ)をこころに、一、二と数えよ」は近未来、娘につながる鍵を探す父の話に「Φ=空集合」も絡めて「未来系」かつ「理数系」SF? な感じ。
劇団だるめしあん「バイトの面接に遅刻しそうだったが、どうやら遅刻していたのは世界の方だったらしい」は「異世界転移系」とでも言おうか、男女の役割/立場の異なる並行世界に飛ばされてしまう人物たちがそこで異性の立場を経験するといういかにもイマな「社会派(?)」。SFでは定番の設定でこれを描くか!なな発想に唸る。
また、それぞれの「並行世界」をその都度囲む合成樹脂フィルム/テープと照明の色で分けたのも素舞台ならではのアイデアと感心。
一角仙人
演劇ユニット 金の蜥蜴
ブディストホール(東京都)
2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
大本のネタはインドの叙事詩「マハーバーラタ」第3巻に収められた作品であるが、日本では「今昔物語」中の天竺編に所収され、また能の同名作品として、歌舞伎では「鳴神」としても脚色・翻案され上演され続けてきた作品の系譜であるが、今作はこの系譜に矢張り能の演目の1つである「岩船」をも加え祝詞の如き用い方をして物語を膨らませている。学問的系譜の詳細は興味のある方に詳細を追って頂くこととして、今作の噺に移る。
消失
キューブ
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2025/01/18 (土) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今までの楽しい時間がサッと無くなる感じ、消失のタイトルの通りで後味が悪く重いけど、作品としては素晴らしいです。舞台美術の作りも凝っている。2階の窓の見せ方は舞台ならではの演出でとってもよかったです。
きみはともだち
果てとチーク
アトリエ春風舎(東京都)
2025/01/16 (木) ~ 2025/01/19 (日)公演終了
実演鑑賞
観終わったあと、祈るように、刻むようにタイトルをなぞった。
「きみ」と「わたし」がちがったままともだちでいられる方法を、世界を、誰でもないきみとわたしでつくらなくてはならない。互いを損なわず、すり減らさず、手を取り合うこと。その果てしなさに目眩を覚えるけれど、本当にそれしかないのだと思う。
分かりやすいジョーカーをつくるのではなく、異なる立場や属性、対岸に立つ人間の苦しみや怒りをも描き、いくつもの角度と視座から「間違い」ではなく「違い」を照射するこの演劇は、真摯に何度もそのことを伝えていたように思う。いや、果てとチークの演劇はいつだってそうなのだと改めて痛感する。つたわらない/わかりあえない/通じ合えないかもしれない恐怖を背負いながら、舞台と客席を横断して辛抱強く対話を試みている。
しかし当然ながらその辛抱を誰かだけに背負わせてはならない。わたしにはなにができるだろうか。
悪者を一人つくって、そこを叩くことによって「正しさ」を叫ぶことの方がきっとずっと簡単で、安心もできる。それは社会にも演劇にも言えることだけど、その果てにホープはあるだろうか。そう問われている気がした。
後半ずっと涙を流しながら観たのだけど、その涙には確実に無自覚さや独り善がりやその他さまざまな自分の暴力性も配合されていて、それを知らされる演劇であるにも関わらず安全な居場所で泣いている自分にそれこそ冷や水をかけたくなったりもした。全ての人物に少しずつ自分がいた。感情が昂る度にそのことにはたと気付かされた。それは情けなくもとても大きな気づきだった。
升味さんの劇作はさることながら俳優も本当に素晴らしい。
川村さんの明るさの中で揺れる怒りと祈り、モヘーさんの戸惑いながらもなんとか言葉にして伝えようとする時のリアリティ、横手さんの有害な男らしさを遠ざけながら一体となってしまう絶望の佇まい、そして、諦めから踵を返して叫ぶ升味さんの瞳。さらに、このような喫緊のシリアスな題材でも、いやだからこそ、演劇的な仕掛けや人々のユーモアや可笑しみ、親しみある言葉づかいによって舞台上の空気を緩和させたり、温度をあげたりすることを同時に成し遂げていることの凄さ。演劇に不慣れな人も飽きずに見届けられる風景に変換することは技量であり同時に寄り添いなのだと痛感する。そして、寄り添わせてばかりいてはならない、ともやはり痛感する。
だからやっぱり「きみ」と「わたし」がちがったままともだちでいられる方法を世界をわたしたちでつくっていくしかない。ちがったまま手をのばし、取り合うというホープをなんとか信じて。
(この喫緊の題材と作品から得たものの体感と「満足の度合いをつける」という行為が自分の中で折り合いがつけられないので、満足度は空きとさせていただきますが、演劇の持つ力、観られてよかったと心の底から思う気持ちの点では迷うことのない星5です。)
終点 まさゆめ
岡山芸術創造劇場ハレノワ
彩の国さいたま芸術劇場 小ホール(埼玉県)
2025/01/11 (土) ~ 2025/01/13 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
10歳娘(推しは唐組)とともに観劇。
「全員で話し合って決める」という民主的解決、に潜む「その中から一人(それもコミュニティから除外する者)を選ぶ」という暴挙。生死を分かつ議題であるからこそ如実にその非道さが(可笑しくも)際立つけれど、類似した手法は社会でも様々な形でとられていて、その接続を思うと背中が冷える。
と同時にSFの物語の中にもそういったことが感じさせられる劇作に演劇として胸を打たれた。
俳優が繰り広げる議会は毎回台本がなくアドリブらしく、その日ごとに会話の展開も違って一人ひとりの個性と魅力が試されるのだけど、みなさん素晴らしかった。初日もっとも客席から笑いが溢れた(と私が感じた)のはかき養殖を生業としてきた石川さんの「産地偽装」という悪事のカミングアウト。言葉のチョイスもだけど、なんといっても佇まいと間が素晴らしくて、「静」の状態であっても機敏であり続ける俳優さんの姿に感動をしました。
セリフがなかろうとも、俳優がそこに存在するだけで生まれるものの雄弁さが通底している作品だった。唐組ファンの娘とはやはりハマり役の久保井さん海賊に大盛り上がり。終演後には紅テントの役者紹介になぞらえて「宇宙船を襲撃する海賊を演じました久保井研っ」と言い合う遊戯をしました(笑)
荒木さんや篠崎さんが伝えた若者の諦観や絶望もこの作品にとても必要なものに感じ、素晴らしかったです。"自分"という物語の終点、つまり死に様≒生き様を選ぶことと選べないことの狭間で揺らぐさまざまをしかと握らされる舞台でした。松井さんと菅原さんのタッグならではの世界観。埼玉まで行ってよかった!
マルコとグリーンの海
ヒコ・カンパニー
ブックカフェ二十世紀(東京都)
2025/01/10 (金) ~ 2025/01/13 (月)公演終了
実演鑑賞
絶対観たくてチラシもとってたのに気づけば完売...でも運良くキャンセル分に滑り込めました。観れてよかった。
二人芝居だけど、"二人"にとどまらないいくつもの視座、から見るこの世界は、闇は、夜は、本当にどうしようもなくて越えるのを諦めたくなる。
けれど、加害と被害の可能性を等しく持ち合わせている人間が、なるべく沢山の私たち人間がそれを自覚するところからしか夜明けは始まらない。自分の経験したことのある怒りや哀しみや虚しさ。登場人物の中を揺蕩うその感情に吸い寄せられながら、果たして自分はその経験を誰かに乱反射していないか、と身につまされた。
私の場合は大いに心当たりがあった。ハラスメントの裁判をしていた時、自分がされて深く傷ついた言動をそのまま家族に放ったこと。友人に上司からの圧迫の悩みを打ち明けられた時に自分が傷ついている時にはされたくない、もはや励ましとは言えない励まし方をしてしまったこと...。
多分まだまだある。気づいてないことも含めたら途方に暮れそうなほどある。
「加害者」「被害者」という言葉のみには収まりきらない、あるいは収めてはならない様々をあらゆる角度から照射していた作品だった。つくるのにも、演じるのにも、観るのにもエネルギーのいる作品だった。苦しかったし、痛かったし、そんな風に他者を苦しめ、痛みつけることが自分にもできてしまうことを痛感した。「今この瞬間も映画や演劇の世界で実際に起きている暴力」がテーマとして通底している物語だったけど、映画や演劇の現場に限定されない問題であること、人が二人存在すれば起き得る生活や人生への脅威、私たちの誰もが日常的にそれを手にしているということ。とてもこわかった。
だけど、絶対に観られてよかった。
言葉を発している時だけでなく、相手が話している時にみるみる歪んだり、緩んだりしていくその表情がとても雄弁で、二人の俳優の表現力に舌を巻きながら、同時に、この表現をただ消費してはならないとも強く思った。
昨年観た演劇で「加害者の再生がドラマティックに描かれた作品」としか私には受け取れず大変くらったものがあった。一方的に割り振られた闇と光に目眩がしてその経験からこういった題材を遠ざけていた節もあった。それでも私がこの演劇をどうしても観たかったのは、かねてより業界で起きている暴力に声をあげていらした港岳彦さんや桜木梨奈さんに共感し敬意を抱いていたからです。
この題材を扱う限り誰も傷つけないことは難しい(しそう思うこと自体危険だ)けれど、この方々が恐らく様々なことを覚悟して表現されるのだから絶対観なくてはと思った。ということを明確にしたいと改めて感じた。演劇について書くことのあるいち文筆家として。そして、被害と加害どちらの経験も、可能性も持つ者として。
夜が長すぎて途方に暮れるけれど、このお話も今起きていることもここで終わりというわけではない。
だからこそ観る意味がある演劇でした。
(こういった題材と体感から「満足の度合い」をつけることが自分の中でそぐわないため、満足度は空きとさせていただきますが、観ることができ本当によかったという点では星5です。)
流れる涙は嫌でも止めない
キムライヅミ企画
高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)
2024/12/21 (土) ~ 2024/12/21 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ヤバイ芝居presentsヤバイ芝居こと 『流れる涙は嫌でも止めない』高円寺K'sスタジオにて。
シアターゴーアーの猛者、遂にステージへ。インプットを武器にしたアウトプット。俳優への愛とリスペクト、演劇への思慕と憧憬、そして偏愛と疑いを詰めし40分。清水邦夫の『楽屋』をそういう形でオマージュ、そういう角度で照射するのか、という驚きもありました。俳優4名の瞳がそれぞればちばち、ぎんぎらにキマってかっこよかったです。
ファジー「yours」
TeXi’s
北千住BUoY(東京都)
2024/12/21 (土) ~ 2024/12/23 (月)公演終了
実演鑑賞
TeXi's『ファジー』最終作『yours』千秋楽を見届けました。
1年をかけて男女二元論が生み出してしまっている「加害性」について考える。
とんでもない精神力と胆力を要するこのプロジェクトを完遂したテヅカさん、そして参加した全ての俳優さんやスタッフさんにまずは敬意を。しんどかったと思います。やるせなかったこと、わからないこともあったと思います。劇評執筆をした私もしんどく、やるせなく、わからないこともありました。それでも舞台芸術界において、いや社会においてこのプロジェクトが存在したこと、観客も含め多くの人が参加したことはとても大きい。集大成を見届けて改めてそう思います。
『theirs』『ours』に続き『yours』も劇評をお寄せする予定です。
演劇に携わる一人の文筆家としてもこんな風にプロジェクトを通して作品を見つめ、筆を執ることはなかなか得られない機会でした。また男児と女児を育てる親としても多くの気づきをもたらしてくれました。終わりのない課題だとも思います。(※ゆえに満足度は空きとさせていただきます)
て
ハイバイ
本多劇場(東京都)
2024/12/19 (木) ~ 2024/12/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
この後どうなるか全部わかってるのにどうしてこんなにも心が震え、乱されるのか。
風景としては描かれてない時間、例えばお兄ちゃんが幼い頃おばあちゃんと過ごした時間とかそういう時が心身に傾れ込んでくる様で拭っても拭っても涙が止まらなかった。家族はなんて煩わしいのだろう。
大倉孝二さん演じる兄が背負う渇ききった諦観、だけどその端にひとさじのさびしさがあって、それがちょっとした仕草、何気ない言葉から溢れ落ちるようで目が離せなかった。瞬きひとつの瞬間に時をまたいでいく川上友里さん、その母性の滲む眼差しに涙腺が決壊。あと、なんといっても岡本昌也さん。どこ切り取っても居心地の悪さや戸惑いや焦りを繊細に表現されていて、身体や瞳、振る舞いの雄弁さを痛感。アウトサイダーとしてある家族の軋轢のど真ん中に立ち会わざるをえなくなった状況が伝播してくるようで、彼と同じ地平から家族を見つめていました。
ずっと忘れられない、さいごの『て』。
アンナの銀河
演劇集団nohup
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/27 (月)公演終了
一角仙人
演劇ユニット 金の蜥蜴
ブディストホール(東京都)
2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了