実演鑑賞
満足度★★★★
説明には「能楽『一角仙人』を題材に、神や鬼が跳梁跋扈する時代劇ファンタジー」とある。さらに当日パンフによれば「インドの『マーハーバーラタ』、今昔物語の『天竺編』、歌舞伎の『鳴神上人』そして能楽までアレンジした金の蜥蜴流平安神話ミュージカル」と記してある。長々と引用したのは、これら 取っ付きにくそうな芸能を独自の観(魅)せる公演として仕上げ、楽しませるところが巧くて好い。
また能楽作品を分かり易くとの配慮から用語解説もあり、例えば、三か月も雨が降っていなかったため、雨乞山へ向かった。この山、物語上は架空だが作品のイメージとしての地理的な場所や一角仙人が住む仙境ー御在所山など丁寧な説明がある。もっとも観劇に際しては、その前知識がなくても理解できるよう工夫されている。
時は平安、まだ神と人、あの世とこの世の境目が曖昧で同じ所で暮らしていた時代 という設定。能楽としての能面や装束ではなく、時代劇としての衣裳、そして言葉遣いも現代風で身構えることなく楽しめる。勿論、音響・音楽(音源)は、小鼓・能管・篠笛・龍笛といった和楽器、照明は鮮やかな文様や暖色を照射する美しさ。その舞台技術は、場転換などで効果的な役割を果たしていた。そしてラストは…。
(上演時間2時間 休憩なし)