そのいのち
関西テレビ放送
世田谷パブリックシアター(東京都)
2024/11/09 (土) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
静かに地味に始まり、最初は佐藤二朗の「メタボ」を使ったギャグや、大げさな振る舞いが笑いをよぶ。ところが…それは水面下の憎悪と醜悪を隠した、偽りの静かさだった。…ということが最後に突き付けられる。衝撃的な舞台である。佐藤二朗の脚本だが、こんなすごい本を書くとは驚いた。
が軸。「その日の、2日前の午後4時〇分」とはじまる。「その日」とは何か。花の容体が急変?などと思う。ほかにもなぜ山田さんは薬剤師をやめたのか、夫は昔少年刑務所に入っていたが、それはなぜ?と、いくつかの疑問がでるが答えは不明のまな。
花の「賠償金(何の賠償か不明)」で家を建て、生活していることがわかる。夫は賠償金目当て?かと思うと、「愛しているからだよ」と臆面もなくいう。「その日の前日」に、花の「何ふぇち?」という変な突込みから、障害者の性の問題が浮かんできて、かなりきわどい場面も展開する。賠償金をめぐる確執がドラマになるのか、障害者問題が軸なのか、と思うと、「その日」に全く予想外の展開が待っていた。「障害者の性」は、思ってもいない形で、最後の悲劇のひきがねともなる。「その日」衝撃的事実が明らかになって、それまでの穏やかなリビングは一変してしまう。
光の中のアリス
小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク
シアタートラム(東京都)
2024/11/01 (金) ~ 2024/11/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
あまりに鮮烈な身体と言葉の端々を間に受けて、私は今どうにかもう一度本作を観劇できないものか考えあぐねている。凄まじく受け取るものが多かった。だからこそ、拙い私の一度きりの感度では正直追いつけないところがあった。
そのままにして余韻に任せることが観劇のスタンダードな在り方かもしれない。だけど、私はあの身体、言葉、あの瞬間にもう一度会わなくてはならない気がしている。焦燥に近い。そのままにはしておけない。
この作品のことをもっと分かりたい。あの身体を、言葉をもっと分かりたい。見つめたい。
"思い出"が一人で持ちきれないそのことと同じ様に、一度では持ち帰れないものがあった。
"思い出"が決してなぞれないのと同じ様に、二度観たところで最深部まで辿り着けるかなんてわからない。
だけど、それでも、まだ"思い出でない私"は今それを求めている。
光の眩しさが翻って残酷さになることをまざまざと握らせられながら、また、影の寂しさにやがて光のきらめきを思い知らされるように、生と死や動と静が、消えゆき生まれゆくあらゆるものが目の前で縁取られ、そして呆気なく溶けていった。その質量に、重量に私の心身は一度で耐えうることができなかった。
そういうことなのだろうか。わからない。わからないけど、本当はそれが全てなのかもしれない。
記憶する限り、辺りが真っ暗闇に包まれる暗転や、そこから分かりやすく晴れるような明転はこの舞台にはなかった。なのに、ここまで光が差し、翳り、失われていく瞬間が私には刻まれている。
そのことが私の中には何より深く残った。その残像がいつまでもくすぶって、あの光と闇の狭間から発せられた声が何度も私の中をリフレインする。そうだ、身体や言葉は元より、「声」が鮮烈な舞台であった。
一人の俳優から放たれる、温度も湿度も強度も違ういくつもの声、声、声。
ある時は身体をうんと伸ばしながら声をぎゅっとひそめ、またある時は身体を縮めながら声をひろげてゆく。
4名の俳優、そして2人の演出家の操る身体の所業の大きさに感嘆する他なかった。その波及をもっと見つめ、掬い上げられるだけの余裕が欲しかった。
人間のことも、世界のことも、まだ知った気ではいられない。
この作品はそんなことを私に強く伝えた。
私はこの作品をもう一度観ることができるだろうか。あの光の外から、その中の眩しいまでの残酷と切実に再び立ち向かうことができるだろうか。俳優も凄まじくエネルギーを要するが、観客もまたそれを要する。死に向かって生きるということは等しく凄まじい。そういうことをやり抜く作品なのだと思った。抜きん出た俳優の技と業に拍手をまだ送り足りない。
追記。
近親に耳が聞こえづらい人がいて、とくにこの1年一緒に過ごすことが多く色々なことを知った。音楽がとても好きな人だからもう少し先になりそうだけど、一緒に舞台を観る日もきっとくると思う。田中結夏さんの舞台手話通訳の回に観劇できてよかった。
おかえり未来の子
D地区
王子小劇場(東京都)
2024/11/02 (土) ~ 2024/11/04 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
一言では言い尽くせない余韻に導く意欲作。
関西での上演が中心とのことで初の観劇でしたが、緻密で丁寧な会話劇とそれを縁取り、時に取り残すような音や光の使い方も含めた演出も冴え渡り、戯曲も演出も俳優のお芝居も素晴らしい作品でした。
主題は宗教二世とその家族。実家から逃げるように上京した兄と実家に残された妹を巡る物語。
環境や出自からの「逃れられなさ」を描くとともに、兄から妹に向けられる父性のような愛情や愛着を掬いあげることによって、より人物やその関係の解像度が上がり、そのことによってさりげないセリフに仕組まれた奥行きにも気づくことができるようになっていて、デザインとしても巧みな戯曲であると感じました。
「宗教二世めが僭越ながら申し上げます。あなた方は、それを、お分かりにならない」
キャッチコピーにもあるように、その実態を知った気でいる観客に、より深淵を覗き込ませるような作品でした。
最も素晴らしいと思ったのは、誰か一人を悪者にするわけではなく、かといって過度に情をひけらかすでもなく、短い上演時間の間にも一人一人にそれぞれ生きてきた背景が浮かび、それに裏打ちされた人物像を演じていたこと。そのことによって、どのシーンを切り取っても重層的なドラマを感じることができました。
自分の知らないとこですごい戯曲や演劇がこうして生まれているんだと痛感。
今後の作品も楽しみです。
いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した
チャミチャム
水性(東京都)
2024/10/29 (火) ~ 2024/11/02 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
瑞々しく、芯の強い3人の俳優の瞳の輝きと揺らぎに照らされ続けた1時間。校庭も部室も屋上も渡り廊下も全部が見えた。恋も失恋も友情も、放課後の賑わいも、一人になった時の静けさも全部があった。
劇中歌であるハイロウズの『青春』の歌詞に擬えるなら「時間が本当にもう本当に止まればいいのな」と、思わず願う程に見渡す限り全てが世界だった、それだけで目一杯だった"あの頃"があった。多分どこかに私もいた。
誰かのしたためた言葉や歌の中にふと自分を見つけるとき、それは救いであり、祈りであるように思う。町を映す透明のガラスの上をすべるクレヨンの文字を眺めながらつくづくそう思った。
水性はやはり、その瞬間にしか味わえない刹那的かつ詩的な反応を生む場所だし、それをしっかりと気づかせる演劇もまた素晴らしい。ロロの三浦さんの紡ぐセリフの豊かさに改めて気づく観劇でもあり、その魅力が最前世代を生きる俳優と演出家によって瑞々しく新たに彩られる意義も感じた観劇でもあった。
若手の俳優陣によるこういった企画はとても貴重。
作品が時間を越え、世代を越え、幾重にも拡がっていく可能性をも秘めた企画だと思います。次回にも期待!
動物園が消える日
劇団唐組
雑司ヶ谷鬼子母神(東京都)
2024/10/26 (土) ~ 2024/11/04 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鬼子母神にて、10歳の娘と二人で観劇。
(『透明人間』以降娘の推し劇団でもあり、もはや推し活と化しています…!)
閉園された動物園を巡って動物の行方ひいては魂の行方を逡巡する人々。毎度ながら経年の滲む美術や装置に感嘆。
中央に聳え立つ旧式エレベーターが最後の一瞬まで物語とともに昇降/抑揚を重ね、劇におけるフィジカル面メンタル面いずれもの"屋台骨"として代替のきかぬ役割を果たしていた。
頭上から溢れ出る水は潤いよりむしろ渇き、灰牙の表情にたしかな消失と喪失をともに見る。
藤井由紀さん演じるオリゴの後ろ姿が導く情感と余韻よ…。
これまで観てきた唐組の中で、笑いの配分が最も多いようにも感じました。
若手の俳優さん達の言葉の解像度や浸透力がめきめきあがっていて今後が楽しみになる公演でもありました。
4回目の唐組となった10歳の感想は「今までで一番お話が読み込めた」とのこと。
ラストの感動冷めやらず、「ふじいっ!」と初の大向こうまで(ギリギリまで"さん"付けるか迷っていた!私もまだやったことないのに先越された気分!)充実の推し活になった様子でした。
部活から羽ばたけ!Campus☆idols
藍星良Produce
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初めての「藍星良produce」公演だろうか。面白い。若い女性の等身大の姿を描いた青春群像劇。
タイトル「部活から羽ばたけ!Campus ☆ Idols」から緩いアイドルドラマかと思っていたが、けっこうシビアな現実を突きつける。或る小説にある人生の七味唐辛子…恨み・辛み・妬み・嫉み・嫌み・僻み・やっかみ、を思い出した。人生の 七味唐辛子は、人生の大事なスパイスで、たくさんの七味唐辛子を浴びせかけられて、人生に深みがでて豊かになるという。物語もそんな成長譚が描かれている。
大学 学園祭でアイドル部の活動発表をしようと…その回想として物語は展開していく。アイドルとしての意識や捉え方は、一人ひとり違い 大学の部活(趣味の範囲)から芸能活動(職業)を目指す、といった大きな隔たりがある。アイドル部として自分の居場所があれば楽しい、しかしグループで活動していくうちに将来どうするか。卒業後の進路、アイドル活動の継続、芸能活動全般といった将来を見据えた設定。さらに昨今の芸能事務所の暗部(パワハラ・セクハラ等)という話題性を取り込んだ着眼点が妙。
芸能事務所のプロデューサーが現れ、アイドル部へアプローチしたことで グループ内は揺れ亀裂が生じる。女の子の賞味期限(若さという魅力)は限られている、今しか出来ないことをしよう。夢を叶えるような甘美な響き、しかし その甘言には自分自身を見失う心の縛り、そんな危険が潜んでいる。
公演は、アイドルドラマらしい サイリウムを使った応援や手拍子等、お約束のイベントらしい演出があり、舞台と客席が一体となって盛り上げる。若い女の子が、そんなこと や あんなことで悩み苦しんでいるんだ、そんなリアル感情が物語を牽引していく。台詞の言い直しなど、拙いと思えるようなところもあるが、それが感情の迸りで言葉が詰まったようなリアリティを感じさせる。それだけ迫真/臨場感がある。
ちなみに登場する女性の多くはアイドルっぽい衣装だが、ラスト 藍星良さんは役柄もあろうが、キッチリとしたスーツ姿。そこに引き締まった思いを見るようだ。
(上演時間2時間 休憩なし) 【LOVEチーム】
ジゼル、またはわたしたちについて-Giselle or about us- 2024 TOKYO Remix
waqu:iraz
スタジオ空洞(東京都)
2024/11/12 (火) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/11/14 (木) 15:00
ロマンティック・バレエの代表作!「ジゼル」をベースにしたパフォーマンス
恰好いい面白く考えさせられる!一言でいうとこうだった。
描いているのは性差、個のこと、男性社会、社会的格差。
去年12月 STスポットでの上演を拝見して「もう少し余裕を持てる、あと2、3倍のスペースでの上演を見てみたいと思った」と述べていたが、昨日、少なくともパフォーマーがひしめき合うことはない、余裕のある舞台設定となったスタジオ空洞での公演を拝見できた。
去年の横浜公演からより 6人の俳優の個々の関係性が明確に浮かび上がった気がした。
5年半前に waqu:irazの『サラバサヨナラヨカナーン』の稽古を二度拝見した。今思えばあれがディバイジングを使った創造の過程だったのだと昨日気付いたのだけど、それ故にということだと思うが、今回、この公演での 6人の在り姿が滲み出ていて、それがそれぞれの個の在り様から来ているのだと改めて思った。その意味でも面白い体験になった。客演のお三方、宮﨑悠理/金川周平/若尾颯太、waqu:irazのメンバー、小林真梨恵/関森絵美/武井希未の個性が透けて見える面白さ。
天號星【10月4日~10月9日公演中止】
劇団☆新感線
THEATER MILANO-Za(東京都)
2023/09/14 (木) ~ 2023/10/21 (土)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★★
2024年11月14日18時30分 ブルク13 ゲキシネで観劇
凱旋上映、今回も楽しかったです!!
ゲキシネに目覚めた私は、4月の初鑑賞のあと26本コンプしました。
なので「天號星」の後も何回も早乙女君を見ることになるわけですが、どれもカッコよくて素敵だったので「天號星」の入れ替わった早乙女半兵衛をすっかり忘れていました。
もう!めちゃカッコ悪くて情けなくてずっと笑ってしまいましたが、偽物の、そして義理の娘に対する愛情に泣けました。古田銀次も迫力があって良かったです。
また上映があれば見に行きます。
つきかげ
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/11/07 (木) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
緒方氏の斎藤茂吉を観て味わう芝居ではあるが、音無美紀子は見事にその役にはまっているし、チョコレートケーキの3人もコミカルに脇を固めている。特に事件や一騒動があるわけではなく、斎藤茂吉の最晩年を描いた落ち着いたストーリーで、実力派の役者たちの演技で安心して観ていられる。
栗原課長の秘密基地
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ここ最近はすべて、多分10作品以上拝見していますが、本当に内容も良くできていて、とにかく役者さんのレベルが高い。ほんと外れありません。今回も皆さんの演技は最高でした。後半の会話、特別賞作家のあいさつグッと来ますね。とてもいい作品、いいお芝居でした。楽しかったです。
試験管ベビーのあいやしばらく!【名古屋公演】
試験管ベビー
メニコン シアターAoi(愛知県)
2024/11/09 (土) ~ 2024/11/10 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2024/11/09 (土) 18:00
感想が遅くなってしまい申し訳ございません。
面白かったですが、
正直、今回歌舞伎の講釈がしたかったのか
現代風にアレンジしたかったのかよくわからなかったです。
しかも突拍子もなくいきなり
セーラームーンやゴレンジャーが現れ
舞台におひねりが飛びかい桜吹雪が舞う展開に
何が何だか訳が分からず
ちょっとついていけない自分がいました。
栗原課長の秘密基地
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2019年の公演も観ているが、今回も充実の面白さ。同じ展開のはずなのに、あのときよりも何だかグサッと刺さるシーンが多かったように感じたのは、今回の方が栗原課長に共感しながら観ていたということなのかも。
ミラーガール
演劇女子部
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2024/11/08 (金) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
線引き~死者に囲まれる夜~
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2024/11/14 (木) ~ 2024/11/21 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/11/14 (木) 19:00
価格5,200円
舞台ならではの「演出」「効果」を存分に楽しめた。何の先入観もなく、役者さんたちに引き込まれていった。
私個人はスタンディングオーベーション。役者さんたちは、揺るぎない自信で、明日以降も舞台に立ってほしいと心から思いました。
Day Dream Dance D.C.
空想実現集団TOY'sBOX
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
Day Dream Dance D.C.
空想実現集団TOY'sBOX
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ダンスメインの舞台いいですね。邦ロックとダンスの相性のよさに気づかせてもらいました。最後にシメというかキメのダンスがあるかな…と思ったらなかったですね。キャスト全員で最後1曲(なんなら関白宣言のユーロビートヴァージョンでw)ダンスしてほしかったです^^ あと、演出と脚本を手掛けられた方のMCに驚嘆です。あれだけうまいMCというか前説ははじめてです。今日一番の感動は前説かもしれませんw
第一回蒸気展覧会
蒸気倶楽部
Paperback Studio(東京都)
2024/11/02 (土) ~ 2024/11/04 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/03 (日) 13:00
日本のラジオ・屋代主宰が立ち上げたコントユニット(?)の旗揚げ公演。
現実の「あること」に対してシニカルなもの、観客の選択によるマルチエンディングなもの、シュールなもの、あの童話とその童話を「あんな形」で結び付けたものなど多彩だがやはり「屋代さんらしさ(私見)」が貫かれていてニヤニヤ。
早くも「第二回博覧会」が楽しみ♪
ジゼル、またはわたしたちについて-Giselle or about us- 2024 TOKYO Remix
waqu:iraz
スタジオ空洞(東京都)
2024/11/12 (火) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
栗原課長の秘密基地
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
説明にある「栗原課長の初仕事は、伝統ある『きつつき賞』の授賞式、15分で終わる予定の式が次から次へと…」の通りであるが、秘密基地がいかにも児童文学絡みで ラストシーンは秀逸。次々に判明する事実、その対処に追われる編集部と審査員の荒唐無稽とも思える会話と行動が、なぜかリアルに思えてしまう。脚本の面白さもあるが、やはり演出が巧い。大勢いる慌ただしい場面から 急に2人だけの静かな場面へ、多くを語らず 何気なく照明を諧調させ、しみじみとした情景を描き出す。心憎い心象付である。
(上演時間2時間 休憩なし)
栗原課長の秘密基地
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
華5つ☆、必見! 脚本、演出、演技何れも素晴らしい。流石にSpiral Moonの作品だ。殊に要を得た脚本が、役者が脚本に書かれた役を演技するというより、演技者に憑依するような脚本と感じる程脚本、演者の表現が素晴らしい。ネタバレ部分は、取り敢えずのネタバレ迄、余り詳しく書き過ぎるとこれから観る人の興を削ぎかねないから。