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美しい日々

美しい日々

新国立劇場演劇研修所

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2025/02/11 (火) ~ 2025/02/16 (日)公演終了

実演鑑賞

新国立劇場の研修生の卒業公演という、いわばプロのための練習の打ち上げ上演だが、ガラガラで5割にも満たない関係者らしい観客も多い公演だった。しかし、一方ではちゃんと通常の料金を取っての公演である。
この劇場の研修公演では昨年だったか、ダンスに戯曲をかみ合わせて、終始全員で踊り続ける「ロメオとジュリエット」(演出・岡本健一)があった。こちらは新しさと面白さの意図が伝わった。研修生でなくプロだけでやったらもっと面白かったのにと思った。
なんかやってることがチグハグなのはいつもの新国立らしいが、芸術監督も替わることだし、是非、改めて欲しいことだ。かつては演目の選び方も演出者の起用も意外に冒険もあって、研修生もオオッツというのがいた。現に研修生の歩留まりは良い。
今回のチグハグについての疑問。
まず、この本をどういう意図で選んだのか解らない。調べてみたら97年の作品。時代色が濃い中途半端に古い作品をテキストとして選んだ意味がわからない。松田正隆には研修生が宮田慶子演出で確実に勉強になる「夏の砂の上」とか、「海と日傘」とか「坂の上の家」とか、研修生の年代(青春後期)にとって挑戦しがいのある奥の深い作品がある。しかしこの97年の「美しい日々」は、バブルが終わった時期を背景に、作者も作風の転換期で、作品の揺れが大きい。その時代を背景にして、都市と地方の成年期を描くと言うが、腰が定まっていない。今のこういうテーマなら昨年の加藤拓の「ドードーが落下する」がある。近過去の色合いが強く、研修生に難しい作品を選んだ理由がわからない。
若者の世相風俗や性の現実を松田作品は鮮明に取り込んでいるが、丁度世紀が変わり不景気の時代に替わる頃そこが大きく変わった。今このテキストで若者を描くと古くなってみえる。ドラマを、時代劇でやるか、現代劇でやるか、決めかねている。そのあやふやさは劇中、具体的に出てくる借金の額の50万円の意味の切実さが伝わらない。30年の年月は手強い。30年前は。中央線沿線の二階建て民間アパートが消え始めた時期である。
若い男女の性関係から結婚という社会性が切り離され始めた時期である。「神田川」が完全に懐メロになった時期と言おうか、そこに筋を通すには旧作では難しい。
風俗劇を研修生のテキストにするのもどうかと思うが、この辺にチグハグさの原点があると思う。

女性映画監督第一号

女性映画監督第一号

劇団印象-indian elephant-

吉祥寺シアター(東京都)

2025/02/08 (土) ~ 2025/02/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

何役もこなす熱演に、感動しました。

ネタバレBOX

男社会の中で奮闘する、女性映画監督第1号 坂根田鶴子…時代背景を含め、よく描かれていました。休憩無しの2時間超でしたが、引き込まれました。
おどる葉牡丹

おどる葉牡丹

JACROW

座・高円寺1(東京都)

2025/02/05 (水) ~ 2025/02/12 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

座・高円寺1は何度も行ったことがありますが、こんな作りの舞台は初めてでした。2方向に客席があり、しかも舞台は円形で椅子のような台があるだけ。そこへ出てきた議員の妻らしき人達は全員白い衣装です。みなさんカチコチのスーツを着ているのだろうと思って行ったのでとても意外な始まりでした。その後の別人になる時の衣装がえ?も面白かったです。
実際に議員の横に並ぶ奥様の図と言うのはお目にかかったことはないような気がするのですが、想像するだけでも大変そうで夫が立候補するなんて言い出したら断固反対します。
「おどる葉牡丹」と言うタイトルがもうひとつピンときませんが、議員の妻たちの建前やら本音やらが踊って、とても面白かったです。
事実に基づいたフィクションという角栄話は途中で離脱してしまいましたが、今回の舞台は取材を元にしたフィクションというところでしょうか。私としてはこちらのほうが安心?して見ていられました。

映像都市

映像都市

“STRAYDOG”

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/02/05 (水) ~ 2025/02/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

見せ方が絶妙にうまい!3つのストーリーが交錯 素晴らしい!

メモリーがいっぱい

メモリーがいっぱい

ラゾーナ川崎プラザソル

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2025/01/24 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2025/01/24 (金) 15:00

「川崎市市制100周年記念事業 若手演劇人によるプラザソル演劇公演」と冠がつく120分。2月2日までラゾーナ川崎プラザソル。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/02/post-e7af22.html

まともな星

まともな星

B子

イズモギャラリー(東京都)

2025/02/11 (火) ~ 2025/02/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

芝居を始めるとき漫才を始めるかのようなタイトルコールと、終演後に路上で裸足で見送るときのギャップがよい。

女性映画監督第一号

女性映画監督第一号

劇団印象-indian elephant-

吉祥寺シアター(東京都)

2025/02/08 (土) ~ 2025/02/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

圧倒的でリアルな舞台ですね。ハラスメントの中で戦った先駆者の側面だけでなく、無自覚の加害者の側面も描いている。色々と考えさせられます。

キロキロ

キロキロ

ストスパ

「劇」小劇場(東京都)

2025/02/12 (水) ~ 2025/02/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/02/12 (水) 14:00

座席1階

面白かった。とてもいい会話劇だ。役者の入りとはけをうまくさばいているので、客席の視線が途切れることがないスムーズな演出。一気にラストまで突っ走れる。

舞台はカラオケボックス。ここに勤めている男性が主人公だ。ここに結婚式後の流れで同級生男女がどっと来るのだが、主人公だけでなく登場人物それぞれのストーリーが組み合わさって展開されるのがとてもいい。
30代半ばという、未婚や既婚、家族や仕事などそれぞれ事情を抱えた年頃。同級生たちの生活と比べてしまうという微妙な感情も、うまく描かれている。
秀逸だったのは、結婚式の主役の状況だ。自分はあっと驚いてしまった。このような状況だったとは誰が想像しただろうか。
ラストに向けて前向きな結びで、なんだかあったかい気持ちになって劇場を出ることができる。
また、物販コーナーで、この舞台の登場人物のその後を読める冊子を売っているのもいいと思う。続編を見たいと思った人は多かったのではないか。

『幻書奇譚』

『幻書奇譚』

ロデオ★座★ヘヴン

新宿眼科画廊(東京都)

2025/01/23 (木) ~ 2025/01/28 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/01/28 (火) 15:00

世界最初の書物としての真偽を問われたが行方がわからなくなり12年、再び見つかったその書物について討論する博物館関係者とオブザーバー……な70分。2018年の再演を観ていたがほぼ忘れており(爆)改めて楽しむ。
いかにも柳井さんっぽい(私見)シニカルな内容はもちろん、劇中の台詞から察した劇中年の社会情勢や出来事に想いを馳せ本作の創作過程(?)に想像をめぐらすのもまた楽しからずや。
また「文書」と「器」の小道具(初演から使用とのこと)も見事。

女性映画監督第一号

女性映画監督第一号

劇団印象-indian elephant-

吉祥寺シアター(東京都)

2025/02/08 (土) ~ 2025/02/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/02/11 (火)

面白かった。
タイトルの「女性映画監督第一号」なるほど
彼女をとりまくあれやこれやが、国際的にも襲ってくるって
うなりました。

CHAiroiPLIN FES 2025

CHAiroiPLIN FES 2025

CHAiroiPLIN

本多劇場(東京都)

2025/02/06 (木) ~ 2025/02/16 (日)公演終了

実演鑑賞

太宰治作品をモチーフにした、おどる小説シリーズの『ERROR』の再演版。僕は初演も観ていて、おそらく初演時にも似た感想を抱いたと思うのですが、ダンス作品でありながら強くストーリー性を感じる一作でした。朗読した記録音声を「聴く小説」と称するように、今作は正に「おどる小説」だと思います。

ネタバレBOX

太宰治の『人間失格』と短編『失敗園』を土台に創作されたそうで、登場人物たちが野菜や植物などに置き換えられ、育成・成長などの「失敗の過程」を語ります。印象的なのは、舞台中央に吊るされた長いポール。劇が進行する度に登場する小道具などをポールに吊るしていき、その「バランス」こそが重要と語ります。生きていく過程で得た経験を自身に蓄積していき、それらの要素が複雑に絡み合い構成されていくのが人生だとすると、それを簡略化し視覚化したものと言えるのかも。踊るシーンも多くダンス作品であることは間違いないが、それ以上に「小説の舞台化」というイメージで観劇しました。
おどる葉牡丹

おどる葉牡丹

JACROW

座・高円寺1(東京都)

2025/02/05 (水) ~ 2025/02/12 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/02/10 (月)

女性たちの内側のバトルが面白く、怖く。
そして巻き込まれて図太くなっていく主人公!!
笑って、なんか応援したくもなりました。
座・高円寺でL字型舞台面白かった。

女性映画監督第一号

女性映画監督第一号

劇団印象-indian elephant-

吉祥寺シアター(東京都)

2025/02/08 (土) ~ 2025/02/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても良い作品でした。映画が好きでたまらない女性、一途にそのことを追いかけていましたね。ただ、時代が時代だけにそして場所がとても考えなくてはならないところでした。「好き」だけでは物事が進められない時代でもう少し周りとの温度差を考えれば違ったかと思います。女性映画監督第一号少しばかり時代に対し早かったのではないでしょうか。次回作も楽しみにしております。

ハイ・ライフ

ハイ・ライフ

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2025/02/07 (金) ~ 2025/02/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

流山児版を観劇。
役者さんたちが素晴らしかった。
とりわけ塩野谷正幸が素晴らしかった。
個人的にはもっと正面から老いと対峙した「Born to run」が聴きたかった。
あるいはジョニーキャッシュ版の「Hurt」のようなものが見たかった。

女性映画監督第一号

女性映画監督第一号

劇団印象-indian elephant-

吉祥寺シアター(東京都)

2025/02/08 (土) ~ 2025/02/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

出世作となったケストナー伝から、ずっと見ているが、今回はコミカルに笑えるところが多く、「蒲田行進曲」「青空」という、舞台で歌う音楽も多用して、表現の幅がまた広がった。しかも映画作りと女性の進出という柱のテーマが、ラストになって、満蒙開拓団の花嫁たちの悲劇にぐーっとシフトする。展開の意外さと複数のテーマを無理なくまとめた手腕はさすがである。

俳優たちも主役以外は、三役をやり、さらに劇中劇の黙劇の登場人物(名前はない)をいくつもやって、着替えに次ぐ着替えの大活躍である。9人の出演だが、十数人いるような誤解をしたくらいだ。主演の万里沙が数奇な運命に翻弄される板根を熱演。溝口健二の妻を演じた佐乃美千子がかわいい女の華やかさ、強さ、弱さを好演した。

ドイツの女学校の生徒たちを描いた「制服の処女」の内容を見せる黙劇は、白と黒の縞模様の制服で、面白い趣向だった。そのほか、人生の一場面一場面が書き割りにならずに生き生きしていて、楽しんでみられた。

ネタバレBOX

開拓団の女たちが映画撮影で使った「包丁」が、ソ連侵攻に立ち向かう「武器」になるところで、何の守りもなく放置されたことを象徴している。包丁を構えてずらっと並ぶ、悲壮な姿。知識としては知っている事柄を、舞台の上でスマートに見せたと思う。
教育

教育

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2025/02/07 (金) ~ 2025/02/15 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初演が'54年の作品だそうだが、田中千禾夫・作の舞台を観るのは多分初めて。セリフにはところどころ古さ故なのか違和感も。かといって現代口語訳にでもしてしまったら、舞台の雰囲気が崩れてしまいような気もするし、何とも不思議な読後感のような舞台。

教育

教育

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2025/02/07 (金) ~ 2025/02/15 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

マンスプレイニングを描いたような芝居。当時は、そんな言葉はなかったが、マン+エクスプレイニング(説明)の造語で、男が女に何かと説教をたれる性癖・構造を指す。若い娘のネリーに、最初は父が、次には、代わりに現れた上司の医師が、長々としゃべる。あまり対話はなく、とにかく男の台詞が長い。おんなのせりふといえば「…してあそばせ」などと、古くささが時折目立つ。上司が主人公にあれこれ言うところでは、谷崎潤一郎「痴人の愛」を連想した。若い娘を自分の子どものようにしようとして、逆に振り回されてしまう。

ネリーの出生の秘密をめぐっては、最後の第3場?で、母親エレーヌが、霊的妊娠の体験を語る。これが何を意味しているか。作者はカトリック作家だったなあと思い出した。

ネタバレBOX

ネリーは父の子なのか、父のなくなった親友の子なのか。父と母の言い分は対立するが、結論ははっきりしない。芝居にとっても、どちらでもいいような結末になる。母の言葉を信じるなら、死んだ恋人の霊によって妊娠した、のだが、主人公も観客も母の言葉そのままでは納得できない。考えられるのは、父の精子で妊娠したが、母の気持ちは亡き恋人にずっとあった。父はずっと疎外されてきて、娘を自分の子とは思えないということだろう。
女性映画監督第一号

女性映画監督第一号

劇団印象-indian elephant-

吉祥寺シアター(東京都)

2025/02/08 (土) ~ 2025/02/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても良い観劇体験でした。
大正~昭和に実在した人物が逆境を乗り越えて時代の先駆者になる類の話はとても好き。
その人について、時代背景やどんな困難、苦悩や葛藤が待ち受けているのかある程度知っていたり、比較できそうな同じ時代の別人物を扱った舞台やドラマ等を観た上で、単なる事実を並べたドキュメンタリーを観たいわけではなく、どう切り取ってどう描くのかが楽しみ。
今回は初の女性映画監督の話とあり、男中心の業界で認められなかったり苦労する話までは予想出来る。
でもその先がどうなるのか分かっていて、そこはどう描かれるのだろう、と思っていたら、ああそうなるんだと。
あと一週間公演があれば、知り合いにもお勧めしてたのですが、今日終わりで残念。

ネタバレBOX

前半男中心の映画制作業で不利な環境をはねのけて監督になるって話でリアルに丁寧に進んでいて、でもこのあと満州に行くんだよね、そろそろ後半、残りの上演時間でどうするんだろう、と上演中に気になりました。
満州に行ってから結構短い間に結構大切な話が急展開して終わった気がして、一旦人間関係も前半とは変わるし、欲を言えば休憩挟んで第二部としてゆっくり観てみたかった、けど、既に二時間を超える舞台でしたので無理ですね。
例えば中国人助監督の話も飲みながらのエピソードはあれ、最後台詞で心情を訴える感じでしたが、時間があればお芝居として何があったのか書けたかもしれないなとか。
最後埼玉村村民が訴えていたように、映画でも演劇でも朝ドラその他ドキュメンタリー映像でもいいので、その後も含めて後世に残せるようなかたちになったら是非観てみたいです。
きみはともだち

きみはともだち

果てとチーク

アトリエ春風舎(東京都)

2025/01/16 (木) ~ 2025/01/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自分は二回観て、ようやくわかりました。たぶん歳のせいなのと、最近は二回観てようやくわかることに慣れてしまったのかもしれないな。

もちろん一度観て『分かった!』と思ったけど、試しにもう一度観て、この前のは全然分かってなかったな、もう一度観て良かった、ということが多い。これは脚本買って読むのとはまた違う経験だ。

まず他の人も書いているけど、このタイトルのともだちって、誰なんかな、というのを思う。これは登場人物全部当てはまるし、場合によっては物語の舞台の上にはでてこないもう一人の人というのも思い浮かぶ(そっちのほうが素敵なのかもしれない)。舞台の上にでてこない人の傷を思って想像できる心の優しさを持てるのかどうか。それがともだちの概念なのかもしれない。会ったことはないけど、『きみ』が傷ついたのをみて傷ついた人を見、きみの心の傷が想像できたから、きみはもう『ともだち』だよ、と思えたなら、舞台の上の人たちすべてがその人の『ともだち』なのだ、とも思う。それは家族でも恋人でも、きょうはじめて会ったばかりの人でも、みんなが『きょうはあの人のこと会ったことはないけれど想像できたから、みんなともだちだったね』となるのだ、とも思う。

こんなこと書くと、何甘いこと言ってるんだよ、とか言われそうだけど、まさにそうなんだ。自分がこんな甘いことを平気でスラっと書けるのも、『ともだち』がいるからなのだ。

世の中には超攻撃で、恐怖に駆り立てられて暴走し続ける人たちもいる。そのような人たちには、会社のお金を使って、利用できる価値のある人間かどうかを見極めて酒の席などに人を頼って割って侵入して仲間を増やすことしか考えられない人たちというのも存在する。そして横領して虚偽の報告書を作って自爆してクビになる、そんな人たちを大勢みてきた。登場人物の男性は、ひょっとしたらそんな人たちに今も囲まれてるのかもしれない。だとしたら可哀想だな、とか思う。

このような人たちには『ともだち』はいない。タダ酒でいい気にさせて利用することしか考えていない人たち。そんなのを僕は山ほどみてきた。そういう気持ちの悪さに意識できるかどうか、拒否反応を示して、なんかこいつ違うっぽい、と思えるかどうか、が正念場だとも思う。

割と社会的信用のある人たちはそんな人たち山ほどみてるからすぐわかるけど、社会に出てすぐの若者たちは見慣れてないから、戸惑ってしまう。

そこらあたりで『ともだち』かどうかが分かれてくる。会社のお金に取り込まれてしまう人、優しさを失わずに嘘を見抜ける感じの人たち。…そんなに気にする必要はないよ、とも思うけど、繊細だと気持ちの悪くなる。そうしたことにも気づかえるのか、社会に出てもひょっとしてマイナスになることしかなさそうだけど、たぶん、そんな能力。モヘー氏かっこいい♪

でもみんな小芝居を続けて演じてるんだ。悪いことをしていなくても、しなければならない小芝居の連続が、人生、なのかもな。

権力も人生にも限りがある、から小芝居もときには必要。悪いことしてなくても。繊細じゃない人に使える優しさはも有限だしな。
(もう少し書きたす)

女性映画監督第一号

女性映画監督第一号

劇団印象-indian elephant-

吉祥寺シアター(東京都)

2025/02/08 (土) ~ 2025/02/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

千秋楽を拝見。直前に椿組「キネマの大地」を観たばかり。本作も映画を題材にし、しかも時代が重なる。史実上の日本の女性映画監督第一号、坂根田鶴子も満映に渡り、現地で「偽の国家」の矛盾と直面する筋書きである。先に観た芝居でも耳にした(意味的に同じ)台詞が、全く異なる芝居ながら「同じ場所と時代」の中で聞こえてくるのは不思議な感触だった(ただの偶然だけれど)。
吉祥寺シアターでの上演は劇団印象としては初めてだろうか、天井の高い劇場をうまく用い、視覚的効果が良かった。万里紗の胆力を以前もどの芝居かで観た記憶があるが、見上げたものであった。溝口健二役をやった内田健介を目にする機会が最近多い。俳優の力量を舞台を観ながら認識する事はあまりないが(大体芝居に集中するので)、その力は大きいと感じた所である。

史実や歴史上の人物を描く場合に課題となる「史実と虚構」のバランスが本作でも課題であったと思う。豊富にある訳でない素材を使って舞台を立ち上げる作業という点では、攻めた仕事をしていたが「何故今これか」のエクスキューズが十分表わされていない感触も残った。
結局は好みの話になりそうではあるが、私としては満州の場面ではその問題の性質上、可能な限りリアルな描写に挑んで良かったのではないか。テンポよく軽快に、身も蓋もない会話もさらりとやらせて先へと進む、歌踊りも織り込んだタッチが満州に来て写実主義の絵画のようなリアリズムの演技が展開する、そういうバランスが正解でなかったかな、と。
中国人女性役の「中国訛りの日本語」をもっと追求するのも一つかも知れぬし、脚本上で言えばその中国女性が坂根に反問する言葉(私はここにいるのですか?)が、彼女自身から出た言葉ではなく半分は坂根の脳内の(記憶から作り上げられた)彼女が想念の中で言った台詞にも聞こえた。だがここはリアルに「彼女が言っている」言葉=全くの他者からの言葉として聞こえたかった。それは「彼女自身の想念から出て来た」という事実によって免罪を生じさせるからであり、リアルな時間の中で坂根に突き付けられた満洲国の真実はそう簡単に打ちのめされ、改心されるには行かない難物なのであり、「人の住まない荒野に入植しただけ」との認識が「人を追い出して国を作った」認識に変わるプロセスの中に問題の困難さがあるような問題だからである。
「私はそこにいない」という詩的表現は今の日本社会の女性の地位を言い当てる場合にも使用可能だろう。現在の問題が相対的に軽いと言いたいわけではないが、人権蹂躙の規模が桁違いであるのは事実だ。そして坂根が「そこに彼女がいる」ような映画を撮ろうとはしなかったのなら、それは何故か、という具体的プロセスにも多くが籠められ得るだろう(それは端折られている。だから中国女性の場面は記憶を再構成したものに違いない、となる。挽回できない時点で振り返っているから)。
中国女性が体現できたかも知れない「リアル」感は、作品のテーマとして流れる(説明し得る)メッセージを超える濃密な何かを語り出すのではないか・・そういう場面を夢想するのである。

ネタバレBOX

先に観た芝居と共通の「満映」情報は、、
実に広大な土地に建設された撮影所であった事、様々な映画に対応できる六棟もの屋舎があり、本土の映画業界は戦況の悪化で逼迫しているのにこっちは規制も少なく資金も潤沢である事、満人(中国人)の社員が多数(4割方)おり、撮影スタッフにも起用して五族共和を映画製作の中で体現する社風がどことなく流れている事、そして特徴的エピソードとして、満州人の観客が初めて映画を見る時、最初はスクリーンではなく映写機から出る光の方を見ていた事。
満映に関する資料を両作家とも読み込んだのだろうと興味が湧く。

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