実演鑑賞
満足度★★★
マンスプレイニングを描いたような芝居。当時は、そんな言葉はなかったが、マン+エクスプレイニング(説明)の造語で、男が女に何かと説教をたれる性癖・構造を指す。若い娘のネリーに、最初は父が、次には、代わりに現れた上司の医師が、長々としゃべる。あまり対話はなく、とにかく男の台詞が長い。おんなのせりふといえば「…してあそばせ」などと、古くささが時折目立つ。上司が主人公にあれこれ言うところでは、谷崎潤一郎「痴人の愛」を連想した。若い娘を自分の子どものようにしようとして、逆に振り回されてしまう。
ネリーの出生の秘密をめぐっては、最後の第3場?で、母親エレーヌが、霊的妊娠の体験を語る。これが何を意味しているか。作者はカトリック作家だったなあと思い出した。