最新の観てきた!クチコミ一覧

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~喜楽に落語~ ハルカス寄席

~喜楽に落語~ ハルカス寄席

近鉄アート館

SPACE9(大阪府)

2025/03/04 (火) ~ 2025/03/27 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

楽しい落語を有難うございました\(^o^)/

短編集『滴』

短編集『滴』

幾何学おばけ

イズモギャラリー(東京都)

2025/03/21 (金) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ホラーテイストの短編集。思わせぶりな設定も、その後の展開やオチは物足りない。まぁ、好みの問題でしょうけど。

ルミエールの冒険

ルミエールの冒険

壱劇屋

門真市民文化会館ルミエールホール・大ホール(大阪府)

2025/03/20 (木) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

壱劇屋のこのシリーズは本当に楽しい♪普段観るお芝居とは違う体験型演劇☆「とにかく楽しい🎵」しかないテーマパーク演劇や〜✨️今回はデュエル対決などゲーム要素が増えた印象★個人的には頭に包丁突き刺さる小道具付けて挑んだ過去のエンタメ冒険も好きやったな〜🎶このシリーズもう6回目になるんや‼️毎回参加して改めて思うのは「コレ作るのどれだけ大変やねん‼️」て事★色んな所で起こるイベントを楽しませながら尚且時間配分も計算せなアカンとか大熊さんの才能恐るべしやしそれを計算通り進行しながらお客様を楽しませる役者陣もブラボー過ぎるって!!7回目の冒険も楽しみにしてます✋

おかえりなさせませんなさい

おかえりなさせませんなさい

コトリ会議

なみきスクエア 大練習室(福岡県)

2025/03/14 (金) ~ 2025/03/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「追い詰められた家族の選択」

 「CoRich舞台芸術まつり!2024春」で準グランプリを獲得した連作短篇上演『雨降りのヌエ』から間もなく、2024年12月にAI・HALLで初演された新作長篇の福岡公演である。

ネタバレBOX

 舞台は幾度かの世界大戦を経て空襲警報が流れるような日々を送る近未来の日本である。山生家の行きつけの純喫茶「トノモト」で父の三好(大石丈太郎)と母の水(花屋敷鴨)、長男の椋尾(吉田凪詐)は、長女の飛代(三ヶ日晩)から、自分と夫は人間とツバメの合成生物「ヒューマンツバメ」になると告げられる。無限に近い寿命と硬い皮膚を持つヒューマンツバメは生き物の理想形だが、人間だった頃の記憶の7割を失うことになってしまうのだ。驚きを隠せない家族3人が飛代に意見するところへやってきた夫の一永遠(山本正典)は、ヒューマンツバメになれば徴兵を拒否することもできるうえ、自分に原因があるため子どもができない一永遠にとってせめてもの罪滅ぼしになる、これから可能性のある飛代には人間のままでいてほしいのだと苦しい胸の内を明かす。市役所でヒューマンツバメの登録用紙を受け取った一永遠を尾けてきた白石礼(原竹志)は、ヒューマンツバメになった立場からいかに人間のままでいることが危険であるかと語り、徴兵拒否が目的であれば妻帯者である一永遠が独身の椋尾に委任すればすべて済む話だと告げるのだった。

 ようやくやってきた末妹の愛実(川端真奈)は、ほかの家族がいなくなったところを見計らい子どもの頃からの度が過ぎる愛情を椋尾に示すが、すでにヒューマンツバメになっていた彼女は人間だった頃の記憶に関わる行動を控えるようにと白石にたしなめられる。ことの発端は愛実による仕業と露見すると、彼女の行動は次第にエスカレートして……入口にかかっている巣のなかでツバメの家族が狩ってきたトンボを餌と分け合い、時折「神田川」の替え歌が空襲警報として流れるなか、思い出の喫茶店で山生家の人々は選択を迫られる。

 これまで私が観てきたこの劇団の作品と同様に、コミカルながら狂気をはらんだ登場人物たちによる予測できない展開を大いに堪能した。本作ではそこに越冬し帰巣するツバメの旅情や昭和歌謡、管理社会の恐怖や戦争などさまざまな要素が加わったことで、より一層台詞のイメージの飛躍が激しくめまぐるしい。しかしブレることなく統一感を出した作劇と劇団のチームワークは特筆に値する。非常時に益にならない人間はキメラのように改造して差し支えない国策が推奨される設定に触れて、かつて高齢者の集団自決論を説いた経済学者の発言や、「LGBTQには生産性がない」とある政治家が雑誌に寄稿し問題化した出来事を思い出した。またジョージ・オーウェルが『1984年』に描いた世界が現実化している現代の世界情勢をも想起した。

 ヒューマンツバメとなった登場人物たちはクチバシと耳を付け、両手に翼を模した衣装と太陽の意匠を半分に割ったような赤い首掛けを下げて舞台中を駆け回る。その動きは鳥のそれというよりはだいぶ人間に近いものであり、いい意味での安っぽさが面白い点でもあるが、戯曲を読んだときに抱いた空恐ろしさや、物理的かつイメージとしても飛翔する言葉の印象は薄まっているように見えた。むしろ私は冒頭の水と愛実による「思い出」を巡る対話や山生きょうだい間のゆがんだ愛憎、椋尾が一永遠に向ける嫉妬といった生々しい感情の発露の方に目が向いたため、戯曲の言葉と演出が齟齬を起こしているように思えた。古ぼけた思い出の喫茶店での家族の愛憎劇は、時折挟み込まれるツバメの親子のやり取りと重なり深いドラマに感じられたため残念である。
ハッピーケーキ・イン・ザ・スカイ

ハッピーケーキ・イン・ザ・スカイ

あまい洋々

王子小劇場(東京都)

2025/03/13 (木) ~ 2025/03/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「さまざまな『暴力性』を総括する群像劇」

ネタバレBOX

 「今ね、秘密の部屋を作ってる/その部屋ではなんでもできるの、誰にも邪魔されない、誰にも脅かされない。私だけのとっておきの場所なの」

 父親から虐待を受け児童養護施設に入っている七原千波(結城真央)は、近い境遇にあった同級生の新田仁子(チカナガチサト)にこう打ち明けていた。このあと千波は行方不明となり、8年後に彼女の白骨死体が見つかる。虐待を受けた女子高生はなぜ死ななければならなかったのか。千波を取り巻く人々の邂逅が、誰しも持ち得る「暴力性」の是非を我々観客に突きつける。

 千波の事件を追うルポライターの高務(櫻井竜)は、現在は荻窪のキャバクラ「パライソ」のキャストとして働く仁子や黒服の音弥(平林和樹)らに接触し、インターネット上にセンセーショナルな記事を投稿している。他方で千波の元同級生のひとりで駆け出しの映像作家の乙倉(松村ひらり)は、事件を題材に映画を作ろうとして元同級生たちに連絡を取り始めていた。千波と友人関係にあり現在は児童養護施設で働く綾瀬敦(松﨑義邦)は、乙倉から取材を申し込まれ戸惑いを隠せない。元同級生たちの間に広がった波紋は少しずつ重なり、やがて千波が好きだったアイドル「レモンキャンディ(前田晴香)」に結びつくことになる。

 事件の真相を追い世に出す高務と、千波を弔うために事件を映画化しようともがく乙倉を見ていると、マスメディアの公共性や表現が持つ暴力的な側面を考え直さざるを得ない。自身の体験をもとに創作活動をしている作者本人が己を総括しようとするこの真摯な主題に、私はまず心を打たれた。寝た子を起こす行動が他者の古傷をえぐることになりかねないことはもとより、千波の元同級生たちのなかには、思いやりのつもりでかけた言葉が千波を傷つけることに繋がったのではないかと悩む者たちがいた。ジャーナリスティックな視点に加えコミュニケーションなど社会心理学的な視座を感じさせる意欲的な作劇である。高務のライターとしての苦悩や、職員の視点から感じた児童養護施設の生活を敦に語らせるなど、主要人物の心のうちを独白させることで多面性を出そうとしていたことにも好感を持った。ただし作者の主張が明確すぎるため、考え方の異なる登場人物による対話のズレよりも合致地点へ収束していく過程が見えすいてしまい、図式的になってしまった感があったことは指摘しておきたい。

 作者自身が手掛けたケーキを模した台の舞台美術をうまく使い、家、キャバクラ、ライブ会場、児童養護施設などテンポよく転換する鮮やかな手つきも本作の魅力である。前田晴香による実物のアイドルさながらのパフォーマンスや、唯一の部外者であるパライソのキャストのタルト(百音)による夜の店の悪ノリなどが、ややもすれば観続けることがしんどくなりそうな場面で息を抜く役割を担っていた。

 当事者の取材や関連資料を相当に読み込んだうえで創作した形跡が伺える一方で、児童養護施設の仕組みや日本の福祉の問題点を台詞で説明してしまうなど、学んだことをそのまま出してしまっている箇所が散見していた点は残念である。そして登場人物が多くその一人ひとりが雄弁であるため、作者の明確な主張の方向へ進んだ結果やや説教臭くなってしまった感もあった。パライソに全員が集結し千波の事件について対話するくだりでも十分な重量があったが、そのあとに後日談がついたことで感興が削がれてしまった。作者が書きたいことを詰め込んだ結果だとは思うが、もう少し削ることもできたのではなかったか。
 
 些末な点ではあるが、高校時代の千波が児童養護施設の職員に作ってもらったと喜んで開けた弁当箱をひっくり返してもなんの反応もしなかったり、終盤のパライソの場面で音弥がシャンパンコールを切り出すくだりでフッと緊張が抜けるなど、役の性根とズレたアクシデントが目についた。いずれも初日ゆえのことだったと思いたい。
業界~恥ずかしながら、ボクらがこの世をダメにしてます~

業界~恥ずかしながら、ボクらがこの世をダメにしてます~

Tom's collection(808株式会社)

駅前劇場(東京都)

2025/02/28 (金) ~ 2025/03/02 (日)公演終了

実演鑑賞

コロナ禍で知られるようになったノーミーツ主宰による新作。110分。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/03/post-e235b6.html

XXXX(王国を脅かした悪霊の名前)

XXXX(王国を脅かした悪霊の名前)

お布団

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2025/03/08 (土) ~ 2025/03/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/03/14 (金) 14:00

名家の令嬢の立居振舞について母から説教されるヒロイン……な場面(後半で出るジェンダー論の前振り?)から始まるのは「あのマクベス」のパラレルワールドの…(ネタバレBOXへ)…といういわば「マクベスジークアクス」(!)にして事前情報通り沙翁作品本歌取りがいつの間にか真犯人が明らかになる法廷ものノリに転じており「騙し絵」ならぬ「騙し芝居」みたいな?(笑)
さらにジェンダー論も加えていかにも「イマの芝居」。
沙翁作品を追究しているしている方や王政などに詳しい方からは批判があるようだが「一応マクベス(の内容)は知っている」レベルのσ(^-^) には面白かった。

ネタバレBOX

まさか原典の千年後(現代じゃねーか!)の物語とは……。いわば「マクベス・ミレニアム」?(笑)
しかしその期間で十代目とは計算が合わないのでは?(笑)
そして原典と似たような事態となるのはまさに「歴史は繰り返す」でニヤリ。
また、「マクベスが王となる」という言葉に囚われるという設定、そしてそこから「マクベスの名を譲れ」とは見事な発想で脱帽。
たびたび

たびたび

明治大学演劇研究部

アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)

2025/03/21 (金) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 演劇研究部2024年度卒業公演である。自分が大学生活を送った時代と余りにかけ離れた世界、世界観に衝撃を受けた。

ネタバレBOX

 出演者総数15名の比較的近場への旅行の話だが、登場人物各々のキャラは自分が大学生であった頃とは、当に隔世の感。最も異なるのは人間関係の在り様だ。我々が大学生活を送っていたのは所謂学生運動の盛んな時代であったから個々人は理論武装し互いに対峙し合っていた。当然の事乍ら戦争(当時はベトナム戦争)を巡る日本の在り様や、知的階層に属す予備軍たる自らの社会的位置と同世代で社会人となった者たちとの偏差や出身階層の差、未だ人生経験の乏しい自分達が世界を知る為に海外一人旅をすることへの憧れ、生きていることの意味を考える或いは生き続けていることに意味があるのか否かを問う、といったことが当たり前の時空に生き、大人世代と戦っていた。経験が足りない以上、理論武装する他無いから哲学書も可成り読んだしそうして覚えた論理で互いに戦った。どちらかというと時代は沸騰していた。
 これに対し、今作で描かれる登場人物たちは、日常生活の細部や個々人間の空気を互いに乱すまい、と思惟し行動しているように見えた。我々の時代とは対照的に互いの心象領域に立ち入ること、立ち入らないことを決定すること自体が大問題で中心を為しているように取れるのだ。その結果、基本は自らを規定し得ない一人称世界をベースにせいぜいがそのようなアモルフな己を社会全体が演じている気遣いの内側に置き、せいぜいが二人称の世界迄で構成されることになる。即ちどれだけ多くの人々が集うことになろうと現実的なこれらの集団はエパーブに過ぎないことになる。これが現代日本の真の姿であるとしたら慄然とする他ない。
 以上のような思考に導いてくれた点で極めてインパクトの強い作品であった。
「溟海と卍編」「精霊と焔編」

「溟海と卍編」「精霊と焔編」

劇団ココア

萬劇場(東京都)

2025/03/18 (火) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2025/03/21 (金) 19:30

価格4,500円

「溟海と卍編」観劇。エルザ役の小森香乃さんが堂々としていたのが良かった。
そして全体的に思ったより殺陣が多かった

ネタバレBOX

主人公のはずなのにエステリーゼの影が薄いのがかわいそう。周りのキャラが濃い
怪人二十面相

怪人二十面相

J-ROCK

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/03/18 (火) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

二十面相が天寿光希、明智が横⼭統威の回。乱歩を読むきっかけになったのは虫プロが制作した「少年探偵団」のアニメ版を見たことだったから、こういう試みもこれはこれで楽しめた。

ネタバレBOX

でも、このチケ代(定価)を考えると、これでいいのか?とも言いたくなる。
劇団狼少年『嘘つきたちのアモーレ』

劇団狼少年『嘘つきたちのアモーレ』

Raven Company

「劇」小劇場(東京都)

2025/03/19 (水) ~ 2025/03/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/03/21 (金) 19:00

座席1階

劇団狼少年結成十周年公演。メガヒットを飛ばし紅白にも出たが、その1曲だけで表舞台から消えた女性歌手の半生を描いた。メガヒットの曲を母親から何度も聞かされて育った若い女性が書いた戯曲を、崩壊寸前の劇団が上演するという物語をもう一つの軸に展開する。舞台後半は感動の連続。客席のすすり泣きが続いた。

この女性歌手の子ども時代の物語が秀逸だ。詳しくは舞台で見てほしいが、現実でも十分あるだろうと思われるリアリティーを感じた。そこで登場する周囲の大人たち、家族の群像劇もよかった。細部まで綿密に練られた台本であるのだろう。
タイトルは、この女性歌手が出したたった一つのヒット曲名だ。最後の最後で披露されるのだが、この曲自体、誰か有名歌手が歌って世に出したらヒットするのではないかと思われる完成度の高さだった。こうした数々の見どころに驚かざるを得ない。
場面転換の切れ目を感じさせない演出もよかった。2時間という長さだが、舞台から目を離すことができない工夫がされていた。劇中に登場するのは昭和の歌だけでなく、今はやっている曲も盛り込まれるなど、世代を超えて舞台に没頭できる。

少しだけ盛り込まれているギャグにはすべったものもあったが、舞台の面白さには何の影響もない。次回作は本多劇場に進出ということで、内容が明らかにされてないのにチケットの前売りをしているのには少し笑った。

人間ドラマが好きな人にはたまらない、いい作品だった。これは見ないと損するぞ。

春のお花見桃祭り

春のお花見桃祭り

桃尻犬

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「友達たち」 
「友達に戻れたことなんてない」 
「披露宴」 
 
リアルが立ち上がり、細波がたつが、それでも人生は続いていく。
作り込んでいないかのように、さらりと、流れるように作り込んである。
わずかな重さはあり、しっかり手応えを感じるが、重すぎない。
ドラマでは、この加減がとても難しいが、
笑いを交えながら軽やかに越えていく作風は花見の公演に相応しく、とても心地よい。
演技力も見事の一言。人間っていいな、と思わせる力は本物で文学そのもの。
昼なのでソフトドリンクにしたが、
とってもビールが飲みたくなった。これも、計算されたリアル。
久々にモーパッサンの短編が読みたくなって、新潮文庫を買って帰った。

ふりむかないで

ふりむかないで

ゆめいろちょうちょ

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2025/03/15 (土) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

#ゆめいろちょうちょ
#舞台ふりむかないで
恋愛 いや不倫狂騒といった告白劇。フライヤーからも分かるが、1人の男性を囲んで7人の女性が寄り添っている? 少しネタバレするが、この男性は既婚者で多くの女性と…実はこの7人以外に一夜を共にした女性が何人もいるが、その人数は覚えていない。以前、言葉狩りで「不倫は文化だ」といった言葉(噂)が一人歩きしたが、今の時代はその風評が命取り。

さて、妻への嘘があっても不倫している女性には いつも真(誠)実。結婚したら もう恋愛は出来ないのか。人を好きになることは美しいはずなのに、それが罪になってしまうのが現実。ここに登場する男性と女性の関係は不適切だが、一方 妻は…。不倫となる一線とは、そして不倫相手になった女性の言い分と一線を越えるようになった状況とは を男性の語りを中心に展開していく。その告白を強要(余儀なく)される状況が面白可笑しい。

人と人、特に 男と女の出会いは運命的で、そのタイミングが重要だ。タイミングとは結婚しているか否か、独身ならば許されることも既婚となれば卑猥で不道徳となる。恋愛はまさに天国になるのか地獄への始まりなのか。一人ひとりとの出会いと別れを描きながら、恋愛という甘美な潤いと辛苦な渇きを上手く描いている。

同時に 女性の側が男性と親密になる、その現実味ある状況(年齢・職業や手練手管など)を巧みに設定しているところが妙。この会場(パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』)をリアルな修羅場/愁嘆場として覗き見るような感覚。公演は8人の確かな演技とバランスの良さ、そして生演奏が効果的・印象的だ。他人の不幸は蜜の味というが、この男性が味わう ラストが実に…。ぜひ劇場で。
(上演時間1時間15分 休憩なし) 3.24追記

ネタバレBOX

舞台美術は、この会場にあるBARカウンターそのものを使用し、セットとしてあるのは壁際に椅子7つ。そして高価そうな1つは、睥睨するような感じで別場所に置かれている。ほぼ素舞台で、中央は大きなスペースを確保している。

登場人物は、真瀬温と史緒里 夫妻と 夫の浮気相手6人。妻に浮気がバレて、この店で問い詰められるところから始まる。当事者が一堂に会し、夫の温が告白するような一人語りで進む。どのようにして出会ったのか 回想するように説明していく。そして何故浮気をするようになったのか。
まず BARで働いている女 棚田穂波から誘惑される。以降、職場の独身先輩 利重牧子、会社近くの食堂のバイト 川東菜穂、就活中の大学生 古沢啓代、キャバクラ嬢 市井佐希、そして出会い系サイトで知り合った主婦 片寄純香 と様々な女性と肉体関係を持つ。妻は仕事が忙しくセックスレス状態、今は子供がほしくない。この悶々とした気持ち、その憂さを晴らすことが浮気の遠因。その心底には自分(夫)を見てくれないといった不満/真情が隠されている。 

この2人(夫婦)は 高校時代の同級生、久しぶりの同窓会で出会い 付き合いだして半年で結婚。そして今 新婚2年目。妻が浮気相手を調べ上げ 夫を追い詰めるが、その激怒ぶりが心底怖い。妻 史緒里を演じるのが主宰の神崎ゆい さん、やはり演技は上手い。実は史緒里は職場の上司を慕っている。仕事の遣り甲斐は、上司に認めてほしい そんな気持ちを秘めている。浮気とは、肉体関係という一線を越えたら、それとも心が夫以外に ときめいたら…。刷り込みのある、妻は上半身で考え、夫は下半身で行動するといった 女と男の本性/本能を浮き彫りにするようだ。

会場を上手く使い 臨場感ある場面を紡ぐ。至近距離にあるアクティングスペース、そこで浮気現場を濃密に描き出す。その場景は、甘美というよりは滑稽といった笑いを誘うもの。狼狽え、言い訳、謝罪の言葉(台詞)が何故か面白く思えてしまう。同じ浮気でも映画「黒い十人の女」のようなサスペンス?ものではなく、どちらかと言えばコメディ。
夫婦喧嘩と浮気相手への対応、その奇妙な光景を間近から覗き見る可笑しみ。色々(下世話)な場景を印象深くさせるギターの生演奏、実に効果的で良かった。
次回公演も楽しみにしております。
ハッピーケーキ・イン・ザ・スカイ

ハッピーケーキ・イン・ザ・スカイ

あまい洋々

王子小劇場(東京都)

2025/03/13 (木) ~ 2025/03/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2025/03/13 (木) 19:00

価格3,800円

noteの感想にも書いたが、鬼気迫るリアリティが断片的にセリフなどに出てくるが、その間のつながりに違和感を感じてしまう。
「タイポグリセミア現象」のようにとりあえず筋が通っていれば一応物語として成立するし、そもそも違和感のない演劇なんてあるのか?と言われれば全くその通りだし、気にしたら負けといえばそうなのだが、この「違和感」をわざと現出させている可能性もあるので、何とも言えない。
あの物語上のアイドルの歌唱とパフォーマンスははたして必要だったのか?印象としては「これって必要なの?」と思わせることが狙い、とも思えなくもない。少なくとも「虚構」の物語であることを強調する効果は確かにあった。

『フォルモサ ! 』

『フォルモサ ! 』

Pカンパニー

吉祥寺シアター(東京都)

2025/03/13 (木) ~ 2025/03/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

日本統治時代の台湾の植民地経営が素材である。先にノモンハンを旧新劇の東演が上演していたが、この時代の日本が行った対植民地経営には知られていないことも多い。
今は形を変えているが、帝国主義全盛の時代には世界中で頻発していた事件が素材である。日清戦争で奪った台湾の経営は日本の初めての外地領土経営で、それ以前の中国時代の政権も手がつけられなかった先住民との対立に手を焼く。ドラマは台北からも離れた出先機関の一室が舞台、登場人物は植民地経営の科学的アプローチを求められた人類学者と、経営を司るべく送り込まれた官僚とその家族。原住民の宣撫対策を廻っての対立が、辺地出先機関の二重性を暴露し、関係家族を巻き込んでいく。最近はあまり観ない構造だが、観ている内にこれは「火山灰地」(久保栄)が元ネタだな、ト読めた。
内容は全く違うが、人物配置や進行、テーマが最後に明確にと見えてくるところなど。旧新劇のスタイルを懐かしく思いだした。上演したpカンパニーも、もとは木山事務所が原型だから納得した。木山事務所は新劇外縁の独特の強情派・別役実、山崎正和、末木利文が柱になった制作会社で、今となっては、何でこの三人で組もうとしたのか、ワケ分からんと、言うところだが、アングラ全盛期のウラでずっと活動を続けてきた。先人たちが亡くなってからは化石化していた福田善之を引っ張り込んだりして、ますますワケ分からないが、いまも旧新劇の色合いは残っている。。強情恐るべし。
しかし、この「フォルマサ!」の作家、演出家とは、もう年代は完全に違うから、直接の影響は受けていないだろう。
今は、木山事務所時代の、「世界が消滅する危機意識」から回帰して、先の大戦以前のようなささやかな「領土」問題がクローズアップされている。最後に舞台に出演者が並んで天井に向かって頑張ろーと肩組んで叫んで終り、という劇はさすがに作れないが、問題は山積している
この作品は植民地問題だが、今は男女差別、官民格差、中央地方の乖離、人種問題、と、手堅く細かい今ウケの情報はいくらでもある。作者はそういう問題も巧みに混ぜて見せていく技術に長けている。演出家は舞台の上の人物処理ばかりに腐心していて、上達の跡は見えるが、作者も演出家もこれから向かう方向はあいまいだ。なんとなく、大きな作品が来たときのリハーサルという感じだが、こういう機会で場数を踏めるのは何よりだ
俳優はキャラを上手く出している。主役の人類学者の林次樹、その妻須藤沙耶、青年座から借りてきた松田周、現地の課長、内田龍磨、その妻水野優、皆はまっていて、熱演だが、そこがいかにも五十年前の民藝、文化座で古い。演出が若いからそこは仕方が無いかも知れない。休憩十五分で2時間15分。客席はほぼ4分の1.
それは、本のせいか、演出のせいか、役者のせいか。新劇で刷り込まれた「リアル」な演技は奥が深い。


COUNT10 〜十離詩・夢十夜〜

COUNT10 〜十離詩・夢十夜〜

街の星座

王子スタジオ1(東京都)

2025/03/20 (木) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

薛濤という人の人生と詩作をいくつかネットで調べて見て、『おそらくこうだろう』的な流れのイメージはあった。

舞台を観ていて、実際、構造としては上記に近いフォームというか形態のようだったのだけど、ただ観ていてどこかでそこだけではくくりきれないというか、溢れ出す何か、というのか、何かに似ているというか、引っかかる感じがしていたのだけれども…それが何だろうか?と、舞台に出てきた小道具とか、流れだとかをいろいろとを思い返して…それが何か?喉につっかえて思い出せないが、ただそれを思いついたら、きっとそのイメージに全て持っていかれそうな、それは何なのか?むしろ思い出さないほうが良いのではないかなどと思いながらぼんやりと歩いていた。

…いつもは電車でまっすぐ帰るのだけど、明日は休みだしバスに乗ったりして少し長めにゆったりと行こうと、街ゆくあしたは土曜日休みだし華金な雰囲気のほころんだ人々の顔を眺めながら、気付いた。気付いてしまった。それで文字通り全てが予想通り持っていかれてしまった(苦笑)…ただ、それをここで書くとみる前の人たちに先入観を植え付けるかもしれないので、ネタバレに書きます。ネタバレと言って良いほどのものかは知らないけれど…

ネタバレBOX

十の転落の人生。詩作。繁栄のただ中の長安で。これは何かに似ている。何だろう?と思ったら、思い出してきた。

2018年、まだコロナもなく、アベノミクスの勢いもあった、ウクライナの戦争もなかった平和な時代、まだ十代のビリー・アイリッシュを幕張の100人くらいしかいないステージで観た感じというのか、そのリリックを見ても不穏で不遜、そして真っ逆さまに奈落に落ちそうな不穏で不安な不思議なステージ…今考えるならそこには能天気な時代が目の前で一瞬で闇になり、不穏と不安が支配し始める不安定な時代の始まりを確実に予言していた。今みたいな派手なステージとかじゃなく、当時は必要最低限のセットだった。

そんなビリー(・アイリッシュ)…薛濤は長安のビリーだったんだ。若い女性たちにパワーワードを与えて申し訳ない(苦笑)。

繁栄のただ中で転落し、じきに戦乱の萌芽を感じつつ、金満の宴で詩を詠む。金持ちの玩具なのだから、指先一つでどこの気持ち悪いオッサンのところに飛ばされるか分からないが、とりあえず自分が気に入らなければ破滅しようが時の権力者に唾を吐きかける不遜さはあった(という伝説)。そういえば長安は当時の唐の西部に位置し、現代のアメリカで言うならL・Aのような場所だ。

今まで長安というと、自分のイメージとしては最先端の仏教を西域から輸入する最前線宗教都市兼権威@唐代というイメージだった。でも、こういう作品を観ると、今まで渋谷だと思っていた長安は実はL・Aだったんじやないかという気がしてきた。

僕はオッサンやオタクの欲望を具現化したようなアニメ声の女優より、世の中は全員敵みたいな不遜で不敵な女優のほうがはるかにエネルギーがあって素晴らしいと思うタイプなので(アニメ声も苦手ではないです、オッサンなので(苦笑))、素直に素晴らしく感傷的な詩作(裏に悲しみや反骨心を感じる)を使いつつ、素晴らしい詩人の人生を語り、また実人生ではアル中を憎みつつ自分もアル中ロードに片足を突っ込みかけて藻掻く等身大(自分はアルコールを飲まないが(苦笑))のヒップホップ的な物語(実話ではないと思うが)を語る、優しさや癒しの要素のあまりない気がする一人芝居を素直に素晴らしいと思った。

そういえば俳優の女性の髪型もなんか当時のビリーに似ている。当時は目の前の少女が、一瞬でブルーノ・マーズと肩を並べるビッグネームになるとは想像もできなかった。

でも、薛濤って人、考えれば考えるほど、ビリーだよ。日本でこんな感じの女性作家がいる?いやなんか、たぶん普通に文章で読むだけなら全くそんな頭に残らなかった。目の前でビリーっぽい髪型の女優が髪振り乱してアル中と薛濤の酔っ払ったんか知らんが当時めっちゃ権力あった男に酒宴でモノ投げつけた(事実なら酒宴は凍りついたろう)伝説を繰り返し語る一人芝居見てなんか、今の自分たちの等身大のストーリーなんだと、ようやく気付いた。帰り道だけど。

なんか夢十夜あんまり書けなくてすみません。
白い輪、あるいは祈り

白い輪、あるいは祈り

東京演劇アンサンブル

俳優座劇場(東京都)

2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

育ての親vs産みの親は主題ではないのね。所謂、戦争の被害者は市民や兵士って奴。ベタベタな面白は好みではないが、客層がかなり高齢なのでアレぐらいがちょうどいいのかしら。で、多分、俺はこれが最後の俳優座劇場。

リセット

リセット

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2025/03/11 (火) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ひと言でいうと、とある危うさをはらんだ家庭を舞台とした「不条理演劇」。

本作の特徴は、主要な登場人物が「軽い認知症の気がある祖母」「アルコール依存症気味な家父長にして母」
「正体がつかめない息子と名乗る男」と、全員が信頼性に欠ける“語り手”という点で、誰をどのくらい
信用するかで受け取り方も結構大きく変わってくるかなと思います。

ネタバレBOX

家の屋根も壁も大きく傷み修繕を要するほど古い家屋に老いた母と2人暮らす家父長の女性。

夫の存在は最初から全く言及されず(リビングには写真すらない)、彼女の頭を占めているのは
20年前に台風が襲った日から姿をみせなくなった息子で、失踪宣告こそ出たものの、どこかで
生きていることを信じてやまない。

そんな女性の元を1人の「息子」と名乗る男が訪ねてくる。祖母は男を孫と認めたものの、肝心の
女性はどうしても息子と思うことができず、両者の間には消せない亀裂が生じる。

家の中のことを徐々に我がもので切り回していく男に危機感を覚えつつ、出ていかせることもできない
女性のもとを、今度は「息子の妻」と名乗る女が訪ねてきて……。

先にネタバレすると、女性の息子は台風の日に亡くなっており、女性は発見したその遺体を自室の地下深くに
埋め、息子がどこかで生きているのだという念に至った(地下の遺体はDNA鑑定の結果、息子のものと断定
されたとのこと)。

女性が修理工や何かと思っていたのは、精神病院のスタッフで、息子を名乗る男性は実は病院の医師だった。
そう、女性はいつの時期かは判然としないものの、病棟の患者だったのだ……。

……と物語を単線で追っていくとこんな感じなのですが、ネタ明かしされた範囲のことしか分からないため、
どこまでが女性の妄想で、どこまでが実際にあったことなのか、ほとんどのことが実は闇の中なのだという
事に気づかされます。

ただ、これが新しいなあと思ったのは、すでにこの作品と比較されている安部公房「闖入者」だと、平穏な
日常が闖入者の理不尽な乱入によってかき乱され、最後は破滅を招いていくという結果に至るんですけど、

この話って闖入者が入り込んでかき乱すところまでは一緒(=不条理演劇のお約束なフォーマットに乗っかって
いる)なんですけど、女性のいる日常が袋小路でがんじがらめになってにっちもさっちもいかない、一見平穏ながら
実際は真綿で首を絞められている状況で、闖入者の乱入はある意味「破滅」どころか「救済」を招いていんですよね。

母親の面倒を十分に見ることができず、支え合うはずの存在である夫は不在(夫が最初からいないのさりげないながら
大きな意味を持っていると思っています)、親から継いで幼少からの記憶が根付いている家はもはやボロボロで対応を
求められている。

いわば古いものを両肩にしょい込んで動けなくなっているのが今で、「息子」の到来は物語を通じて見ていくと荒療治
ながら状況を動かしたという意味で「救い」にはなっていたのかなと。そういうことって舞台を離れたところでもたくさん
あるというか、そういうことだらけですよね……。
白い輪、あるいは祈り

白い輪、あるいは祈り

東京演劇アンサンブル

俳優座劇場(東京都)

2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/03/21 (金) 14:00

座席1階

ブレヒトの「コーカサスの白墨の輪」を題材に劇作家鄭義信が創作・演出。「焼き肉ドラゴン」などの作品群にいたく感動した自分としては、どんな作品かと期待して閉館間近の俳優座劇場に出かけた。

ミュージカル仕立て。劇団の若手とベテランが息の合ったダンス・歌唱を聴かせた。このあたりはさすがに鍛えられていて、見ていてとても楽しい。
裁判官のアツダクが狂言回しのような役割を担っていて興味深い。討たれた領主の男の赤ん坊を拾って戦乱の中を逃げ延びて育てたグルシェを演じた主役の永野愛理は、クルクル回るような視線での演技など、細かいところまで秀逸だった。
原作があるので無理は言えないかもしれないが、人情味があふれ、権力を持つ者への鋭い批判の目が或る戯曲を書く鄭義信らしさがあふれていたかというと、そうではない。ラストシーンはとても印象的で、ここが鄭義信らしいところだとは思ったものの、基本的には客席を楽しませる仕掛けを重視したつくりだった。期待する部分が違っていたのかもしれない。

歴史ある俳優座劇場の終幕にかける戯曲として、東京演劇アンサンブルのブレヒトというのはふさわしいものだったと思う。外部の劇作家に書き下ろしてもらうより、これまでのアンサンブル作品のようにブレヒトに真正面から挑んでいくのもありだったか。

怪人二十面相

怪人二十面相

J-ROCK

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/03/18 (火) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

耽美性やおどろおどろしさはなくて、ライトウェイトですかね。時代を現代に置き換えると、こうなっちゃうのかな。それでもなかなかに楽しめた朗読劇でした。

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