最新の観てきた!クチコミ一覧

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トリオ

トリオ

NonoNote.

シアター711(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

昭和感満載の舞台。
前説?も楽しく、かしましい女三人のすったもんだが「あ~こんな時代のこんな場所では日常茶飯事だったんだろうな」と思わせる。
そしていつの時代も乙女心をもてあそぶヤツ、ろくでもないのに、乙女心はコロっといっちゃうのね。

としみちゃんの姉御肌、りっちゃんの天真爛漫さ、おりえちゃんの猪突猛進具合が面白い。
そしてトリオのへなちょこさもまたいい味出してた!

世界の果てからこんにちはⅢ

世界の果てからこんにちはⅢ

SCOT

吉祥寺シアター(東京都)

2024/12/13 (金) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

勝手な先入観から糞つまらない演劇との偏見を持ち、吉田喜重、実相寺昭雄的なものを想像していた。観念だけで中身空っぽの評論家向けのお遊びを。自分でモノを考えられない連中は保証書付きのブランドに群がる。ステータスと肩書とに。だがそれはある意味とても健全なことだ。世界には秩序が必要。どれだけ自分でモノを考えなくていいかを競っているような世の中だ。それはそれでとても正しいことなのだろう。

そんな気分でいざ観てみるとピスタチオの漫才のようなシュールなコント。金屏風をバックに下半身だけ下着姿(上半身と下半身とが別人格の表現)の登場人物達が車椅子で登場。真剣に日本論日本人論を語り合う。各自自らの足で車椅子を移動させるのだが舞台を踏みしめる足音に拘りを感じた。口を左側に歪めて伝統芸能(狂言)のような低い声色で全員が会話。「にっぽんJIN」とジンの部分に強いアクセント。どうやら近未来の日本は巨大な病院となっているらしい。

平野雄一郎氏は中村獅童を老けさせた感じ。
長渕剛っぽい人もいたが名前が判らない。

女性6人組ダンサー・グループ「パンプキン」が大活躍。病院に慰問に来たような設定で見事な踊りを披露。女性の顔がプリントされた謎のうちわを右手に持ち、女版『純烈』のよう。ロリータ・ファッションの熟女達という出で立ちは現代日本への皮肉か?一番上手の女性が気になった。彼女達二曲のダンス場面が鮮烈。

凄く高尚に下らないことをやっている。
SCOT=Suzuki Company of Toga
1976年、鈴木忠志氏率いる劇団「早稲田小劇場」は富山県東礪波(ひがしとなみ)郡利賀(とが)村に移住。(現在は合併して南砺〈なんと〉市利賀村に)。山間の過疎村に建てられた劇場、稽古場、宿舎は後に「演劇の聖地」として世界中の演劇人が訪れる巡礼の地となる。来年で50周年。俳優訓練法「スズキ・トレーニング・メソッド」は世界的評価を受ける。
「利賀」と聞くと「三里塚」みたいに左翼の小難しい口うるさい老人のイメージを連想していたのだがどうやら全くの誤解だったようだ。
勿論居眠り客は沢山いた。結構熱心そうなファン程眠りに就くのは永遠の謎。
「これで吉祥寺で演るのはラストになるかも知れない」と鈴木忠志氏85歳。観るなら今回しかないかも。

ネタバレBOX

病院の院長は中国人で日本人に家賃を要求する。公共の病院で家賃なんて払うものかと反発する患者達。だが日本自体、中国に売り払われてしまったそうだ。由比正雪のようなドクトルが抵抗運動の組織化を熱弁する。凄く為になる空論だがそれを聞いたところで誰も何も出来やしない。ただぼんやりと日本は滅んでいく。

60分の作品の後、休憩を挟んで鈴木忠志氏のトーク・ショー。45分くらい?こちらの方がお目当てだった人が多そう。話の取っ掛かりに観客からの質問を求める鈴木忠志氏。一人の観客が「今作は演出の表記しかないが作は鈴木忠志氏と考えていいのか?」と質問。そこから今作の作劇方法の開陳が始まる。冒頭の会話はチェーホフで、あそこはイプセンで・・・と自分の記憶からの引用から生まれたと。美空ひばりの「芸道一代」、平野國臣が桜島を詠んだ「わが胸の 燃ゆる思いに くらぶれば 煙はうすし 桜島山」は島村抱月と松井須磨子の取っ組み合いの喧嘩のもとともなった・・・などなど。
面白かったのは彼が一番重要視している「偶然性」のことについて。利賀に移住した切っ掛けは東宝で舞台稽古をしていた際、終了の時間が来る。だがここでもう2、3時間詰めた方が絶対良い芝居になる。そこで劇場管理者と揉める。東宝のトップとも揉める。「偶然性」こそが芸術を自由足らしめる根幹なのにそれはシステムとして排除されていく。突発的偶然的なもの、管理出来ないものを忌み嫌う社会。この「偶然性」を許容する環境を自ら創る為に移住を決意。当初は奇妙な演劇集団が山奥で自給自足の生活を送っていることに連合赤軍のイメージを持たれ、公安がついて回ったそうだ。演劇を隠れ蓑にテロリストの武装訓練を行なっているのではないかと。
もう今回だけで今後観る気はなかったが、彼のトークが非常に面白かったのでまた観たいなと思った。
荒野に咲け

荒野に咲け

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/12/15 (日) ~ 2024/12/24 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

激しく心を揺さぶられました。前回公演からの観劇者で、今回は舞台装置が予想外にシンプル(実はそうではなかった)、伝承の世界は出てこないようで物語性はどうかななどと開演前は内心思いましたが、見事に裏切られ、東憲司さんと劇団員16名が放つ緊迫感、熱量あふれる劇的空間に2時間弱、目と心が釘付けになりました。

12人の怒れるひとびと!

12人の怒れるひとびと!

OuBaiTo-Ri

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/12/18 (水) 14:30

OuBaiTo-Ri 版も3度目となるが毎回出演者/配役が異なり別の味がある。そして今回は特に6号と7号が印象的。(詳細はネタバレboxへ)
「十二人の怒れる男」を知らなければ当然楽しめるし、存じている方も男女混成に潤色したことで「あの役をこの役者が!?」と驚くもちゃんと辻褄を合わせる脚本の妙や先を知っているからこその役者の演技に注目したりで楽しめると思う。オススメ!

ネタバレBOX

今までに(16回)観た6号は基本的に物静かで優しい人物像だったので3号と対峙した時の恫喝じみた言葉に違和感があったが今回は納得(笑)。
また、今までの7号は「ヤな奴」ではあったがそれ止まりだったのに対して今回は発言の度に憎たらしく、こんなの初めて!
そして9号は「11人での2度目の採決」前後の演技が(毎度ながら)白眉。
あと、8号があのナイフを出した後のストップモーション的な演出にノーマン・ジュイソン監督「ジーザス・クライスト・スーパースター」(1973年) の「最後の晩餐」場面を想起。構図こそ違うが「場面の印象」がソックリ。
平和によるうしろめたさの為の

平和によるうしろめたさの為の

城山羊の会

小劇場B1(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/17 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/12/11 (水) 14:00

いやーーーほんと疲れた!ほんと酷い男と女の3組、酷くて、笑い疲れた!
3組の男女、父と娘も居るのだが、6人の俳優が絶妙なバランスで、展開も絶妙。
どうしょうもなく酷い話だった!いやーーー、そしてとてつもなく良かった!

穏やかな人と機

穏やかな人と機

劇団青年座

新宿シアタートップス(東京都)

2024/12/12 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

「人と機」は「ひととき」と読む。それが一時なのか、人間と機械という意味なのか解らない。まぁ解らないままで良いと思ってるのだろうが、そういうところが困った作品である。昨年、「悼めば尊し」(コンビニ店員の飯田さん・公演)を見た池内風の青年座の書き下ろし作である。作品をたくさん見たわけではないし、この劇の素材と狙いが劇団と作者の間でどのように合意されていったかは知らない。だが一つの舞台をそういう訳のわからない韜晦趣味で「穏やかに」乗り切れると思っているところが致命的欠陥になっている。
内容は企業ドラマである。中小企業の介護用品製作会社を舞台にして、製品の制作部から製品検品に異動させられた中年のリーダーを主な主人公に、ホットな話題のAI機能の採否、から現代の会社・業界内部の組織経営の話題まで広く織り込んでドラマにしている。
現代の企業に生きる人間たちを描くのは、現代演劇に残された大きな素材領域で、最近でも、中津留、中村ノブアキ、横山と若い人たちもよく素材に選ぶ。みなだんだん上手くなってきた。この池内作品は、とにかく台詞頼み、ほとんど全編登場人物が言葉で説明していく。台詞のテンポは速く、さすがの青年座でも台詞を噛む俳優も少なくない。それでも人物設定が極めて類型的なので話はわかる。そこで何も観客が?と人間的にひかかることがないところが困ったところである。休憩なしの2時間。
前作の「悼めば尊し」は現代の青春物として新鮮だった。ここでは?が現代の若い人たちの心情を見せる糸口になっていた。この新作には見るべき発見がない。次頑張って欲しい。


トリオ

トリオ

NonoNote.

シアター711(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

杏仁豆腐のココロ

杏仁豆腐のココロ

ヒトハダ

浅草九劇(東京都)

2024/12/12 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

個人的には尾上寛之さんを見ているとあばれる君を思い出してしょうがないのだが、この芝居では尾上氏のそういう風貌が実に合っていると思われた。別のチームのほうは観ていないが、どんな感じなのだろう。チェーホフの引用はなかなか巧い。

トリオ

トリオ

NonoNote.

シアター711(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

女優さん達の演技はハイテンションで、オーバーリアクションでした。女優さん達の表情は、私には不気味で怖くなりました。

昭和歌謡コメディVol.20

昭和歌謡コメディVol.20

昭和歌謡コメディ事務局

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです。昭和50年代以降の雰囲気を私は懐かしく感じました。コントのようなコメディショーで、しょうもなくて笑いました。ソーラン節も良かったです。

「祝みぃ子.mp4」

「祝みぃ子.mp4」

人間嫌い

駅前劇場(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても好きでした。

フェイス

フェイス

リーディングドラマ『フェイス』製作委員会

よみうり大手町ホール(東京都)

2024/12/16 (月) ~ 2024/12/18 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ランズベリー・アーサー&坂元健児の回を観劇
大劇場仕様のリーディング公演は大体クオリティーが安定しているので、楽しめるか否かは脚本にかかっている…というイメージ
二人芝居でありながら二人芝居じゃあない
引き出しの多さや瞬発力を遺憾なく発揮できる内容なので役者さんもやりがいがありそう
今時のリーディング公演は単なる朗読ではなく、動きのある(演じる)見せ方、客席に迫ってくる様な迫力まであって充実しているなぁと思う

昭和歌謡コメディVol.20

昭和歌謡コメディVol.20

昭和歌謡コメディ事務局

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「江藤博利プロデュース『昭和歌謡コメディVol.20』笑い続けて丸10年!遂に最終回」…観てきた。いつも通り 1部は芝居、2部は歌謡ショーという二部構成で、最終回だからと言って気負うところはない。観(魅)せて笑わせる いつものスタイルにホッとする。

これも いつもの光景であるが、コアなファンが熱心に応援している。お揃いの法被もしくはTシャツを着込んで 声援を送り、紙テープを投げ サイリウムライトスティックを振る。自分も2014年3月の旗揚げ公演から断続的(今回含め12公演)に観ており、ずいぶんと楽しませてもらい 癒されたものである。理屈ではなく 如何に楽しむか、そして演者と観客が一体となって会場を盛り上げる。そんな公演が見納めになるとは残念だ。
感謝を込めて★5つ。

(上演時間2時間20分 途中休憩15分含む) 

ネタバレBOX

1部(芝居)の舞台美術は、上手/下手に白壁を思わせる衝立、舞台が 築地の老舗すし店「ひろ寿司」という設定であるから、カウンターとテーブル席、そして新聞があるだけのシンプルなもの。

今回はレギュラーキャストの山下若菜さんが脚本を担当。物語は、ひろ寿司二代目のヒロトシ(江藤博利サン)と妹まるみ(白石まるみサン)の兄妹喧嘩から始まる。ヒロトシと妻ゆみこ(田中由美子サン)は結婚35年、それを祝って何かサプライズがあるのか。ヒロトシは、ゆみこを始め 娘みゆ(小松みゆサン) や まるみといった家族、そして近所の人たちからも煩がられている。そんな彼をさり気なくサポートしてきたのが妻である。その彼女を蔑ろにするヒロトシを まるみは許せない。そこで一計を案じ、ゆみこが急逝したと。そして巻き起こる騒動を笑いと滋味をもって描く。勿論 奇想天外ながら大団円である。ラストの歌「蒲田行進曲」が実に印象的だ。

2部の昭和歌謡ショーは、入り口で配布された多色彩のサイリウムライトスティックが美しく輝き出演者を応援する。また紙テープが乱舞するように空を飛ぶ。昭和歌謡を始め、アイドル歌謡、アニソン、演歌など多彩な曲目。コントやパロディ、客弄りをしながらのモノマネ、バルーンアート等で笑わせる。隣席の人は口遊むように一緒に歌っていた。本当に残念だ!
BACK FIRE WARS

BACK FIRE WARS

KOTH

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

12月15日観劇。

ネタバレBOX

隣のおじさんが開演して間もなく寝はじめて、私は面白くなるまで頑張るぞと思ってたんだけど、ずっと我慢できず、きっと凄く面白かっただろうところを見逃してしまった。ごめんなさい。
イヨネスコ『授業』

イヨネスコ『授業』

楽園王

サブテレニアン(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/21 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 元々20年前に利賀演出家コンクールで優秀演出家賞を受賞したメンバーでの再演。

ネタバレBOX

 今作、不条理劇の代表的作品の一つとして名高いこともあり実に多くの演出家が独自の解釈で自分なりの捻りを加え随分印象の異なる作品に仕上げて舞台化してきた作品だから舞台を実際に観た人は多かろう。然し利賀演出家コンクールの規定で戯曲自体(今回作は翻訳)を基本的に変更できない、という縛りがある為、今作では教授の狂気を可成りストレートに表現している点が逆に極めて新鮮に映った。然し大きな工夫は無論ある。起承転結を入れ替え転結を前半で演じ、起承を後半で演じるということをして惨劇が永遠に続くことを示唆しているのだ。而も被害を受ける女生徒たちは何れも手錠を長めの鎖で繋いだ手枷をはめられているのである。この辺り何を象徴させているか? を考えさせ、多様な解釈を観客に任せている点が実に上手い。更に教室の壁には3つも掛け時計が掛かっており、それぞれ示す時刻が異なっている。このことの意味を考えるのも面白かろう。教室入口脇には書籍が詰まった書棚が二つ。如何にも全博士課程を修了した教授という実績を物語っている。近在の人々の間で極めて著名な教授であるが、実際に行っていることは殺人でありそれも大量の連続殺人であるのに、訪れる生徒たちが絶えないことも不条理だが、それはおいても登場する人物5人の中で何度も教授に危険だと忠告することで唯一正常な人間であると思わせる家政婦のマリーが、とりわけ危険な数学の授業だと分かり切っているにも関わらず教授の凶器であるナイフをテーブル上に置くのは、目立たぬ様で正常らしき人の持つ性質の悪い狂気を現わしている点で最も怖い。
穏やかな人と機

穏やかな人と機

劇団青年座

新宿シアタートップス(東京都)

2024/12/12 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/12/17 (火) 19:00

小劇場系の作家の戯曲を青年座が上演。シビアな内容の、企業モノと呼ぶべき作品。120分。
 介護用品会社を舞台に、開発と営業の狭間で悩む男と取り巻く人々…、の物語。劇団「かわいいコンビニ店員飯田さん」の主宰・作・演出の池内風が書いたのだけれど、青年座が新たなものを求めているのだと思うと、面白い。事象を淡々と、膨大なセリフで提示するスタイルで、独特の感触を生み出してはいる。ちょっと過剰に見えるし、エンディングにはいろいろ意見があるとは思うが(私はアリだと思うが)、これも池内のスタイルということか。役者陣の巧さは流石、だが、セリフを噛む場面がいくつかあったのは残念。

桜の園

桜の園

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2024/12/08 (日) ~ 2024/12/27 (金)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★★

チケットの抽選に次々と落選。最後に立ち見席に辛うじて当選。85分、休憩15分、75分。計3時間の立ち見の「桜の園」である。
世の中の動きに目を瞑り、異郷の大都市で放埒に生きてきた女性が、一族共々時代の流れの中で故郷から放逐されるふるさと物語り。19世紀から20世紀にかけて世界の各地でさまざまな形で起きた近代から現代への社会変動を背景にした20世紀演劇で最も広く上演された作品の一つだ。だが、その「桜の園」も随分変わった。それが如実に現われたのがラネーフスカヤを演じる女優の年齢である。今は東山千栄子のラネーフスカヤを実際に見た人は少なくなっているだろうが、見た世代では、この女主人公は60才過ぎの老人としてすり込まれている。かつて新劇の代表作とされたこの作品の女主人公を演じた名優たち、細川ちか子、杉村春子も老年になってからの主役であった。
昨年パルコ劇場での上演では原田美枝子(演出はイギリス人)、今回は天海祐希。ちょっと昔になるが、2003年の蜷川演出では麻美れい。一つ。いのちある俳優によってしか表現できない演劇では、俳優も又同時代の顔になる。観客も又共に時代を生きなければならない。
今回の演出はケラリーノサンドロヴィッチ。彼の舞台としては静かな舞台だが、今の時代と併走する円熟の舞台だった。ケラも歳をとる。コロナで上演寸前に上演中止になってから5年。多作のKERAの作品のなかでもあまり本をいじらず「演出」の代表作のひとつだ。
ラネーフスカヤを演じる女優が若くなったのに従って、戯曲の読み方が大きく変わった。
二つ。没落貴族の哀切のドラマから、新時代を拓く若者の解放のドラマへ。戯曲の中で重点の置き方が創る側でも見る側でもほとんど180度変わった。それが、ドラマの構造から各登場人物のキャラ作りにも及んでいる。KERAの演出は細部にまで細かく手がはいっている。中止になった舞台からはキャストが替わった役もあるが、みな過去に見なかった役の演じ方をしている。しかも、理に落ちた芝居をしていない。荒川良々、山崎一、緒川たまき、さらに藤田秀世(ピーシチク)、鈴木浩介。だからこそ、役者たちもラストの名台詞も生きている、ケラはかつて「若者は常に正しい」と言い切ったことがある。ここが三つ。
故郷へ帰る汽車の汽笛から始まり、全く意外にも軽かった幕切れの時代が変わる音で締めた音響設計。さらに保守的だがまとまりの良い美術をも良かった。ここが四つ。
年末に「ヴェニス」と共に「桜」も本年屈指の作品だった。





BACK FIRE WARS

BACK FIRE WARS

KOTH

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

リフレクション

リフレクション

レイジーボーンズ

小劇場 楽園(東京都)

2024/12/03 (火) ~ 2024/12/11 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/12/10 (火) 14:00

【内容に具体的に触れています】
劇作家と演出家の「道学兄弟」とあらすじにあるドラマ脚本家と原作小説家の話が併走して入れ子構造かと思うがどちらが本筋でどちらが劇中劇か尻尾を掴ませないのは胡蝶の夢かウロボロスの二匹版か?
そうしてしばらく経って思い当たったのはM.C.エッシャーの作品群。エッシャーがお好きな方はこれもお気に召すのでは?
さらにメタ部分もありまさに「迷宮演劇」?(笑) タマラン!

ガラ版 エデンの花

ガラ版 エデンの花

ガラ劇

シアター風姿花伝(東京都)

2024/12/11 (水) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

Aチーム観劇
火の鳥はよく知らないけど、3つの世界が自然に繋がり1つの世界観を構築していく展開に美しさを感じた。
素舞台、小道具は傘のみ、役者の演技だけで情景を変化させるところが凄い。
これからも注目していきたい団体。
面白かった!

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