BUG 【美保純が降板⇒代役は西山水木】
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2009/09/18 (金) ~ 2009/09/30 (水)公演終了
満足度★★★★
鬼気迫る舞台。
アメリカのオフブロードウェイの話題作を坂手さんが翻訳して上演してくれた。もちろん、演出その他は違うのだろうけど、アメリカの現代演劇に触れる機会が少ない我々にとっては大変刺激になる。
美保純さんは好きな女優なので、病気降板は残念だったが、西山水木さんの熱演が見られたので満足。こういうアクシデントがあると、かえって他のメンバーはそのアクシデントを吹き飛ばそうと団結するものだが、そういったエネルギーが全ていい方に出ている気がした。
物語はいかにもアメリカらしい話。日本ではなかなか発想出来ないストーリーだが、それだからこそ、見る価値がある。(以下ネタバレで)
白雪姫と七人のム・フ・フ・・・
SPPTテエイパーズハウス
あうるすぽっと(東京都)
2009/09/25 (金) ~ 2009/09/27 (日)公演終了
満足度★★★★
上質なハートフルコメディ!
昨年の池袋演劇祭グランプリ受賞作品。スケールを一段大きくして、今回の公演となった。踊りあり笑いあり、素敵なエンターテイメントショーに仕上がっている。
若手とベテランのバランスがよく、2時間10分たっぷりと楽しませてもらった。
TorinGi(トリンギ)「捨てる。」
feblaboプロデュース
エビス駅前バー(東京都)
2009/09/19 (土) ~ 2009/09/22 (火)公演終了
満足度★★★★
芝居好きにはたまらない。
狭いバーの最前列で芝居を観させていただいた。役者までの距離1メートル弱、手を伸ばせば届くところに役者がいて、台詞の合間の息づかいまで聞こえてくる。芝居好きにはたまらない環境だ。
三つのショートストーリーから成るが、オムニバスという形ではなく、バーに訪れた三組の客という設定で、三話目で活躍する細井里佳が最初から出ずっぱりという面白い構成。
三話とも面白かったが、二話目の漫画家と姉の物語が中村貴子と福原冠の絶妙のトークバトルで、一番面白かった。それぞれのストーリーは救いようのない喪失の物語だが、最後の最後で、別れから将来の再会への希望が暗示され、素敵な幕切れとなった。
ただ、カーテンコール(というほどではないが)に三話目のメンバーしか参加せず、一話目二話目の役者には拍手が送れなかった。これはとても残念。
三作にからんだ細井里佳がキュートでとても素敵だった。
こんな劇場に、豪華なキャスト陣を集めて、小粋な芝居を繰り広げるプロデューサー池田智哉、今回は演出も手掛けたがなかなかのやり手である。
マレビト
早稲田大学劇団木霊
早稲田大学大隈講堂裏劇団木霊アトリエ(東京都)
2009/09/18 (金) ~ 2009/09/21 (月)公演終了
満足度★★★
新人らしさがあふれる芝居
新人らしく全力投球で演じているのがはっきりとわかり、演技的には稚拙ながらもとても好感が持てた。ストーリー自体はわかりやすいストーリーで劇にすぐに感情移入できた。シンプルで素敵な物語だ。
役者としてはカリンの父親で刀鍛冶を演じた役者が鍛えられた体と動きで、将来性を感じた。
ただ、ほとんどの役者がはりきりすぎたためか、声が枯れていたりして台詞が聞き取りにくいところがあったのが残念。しかし、芝居が終わって客出しに至るまで、まるで体育会系のようにびっくりするような大きな声で「ありがとうございました。」と観客のひとりひとりに役者たちがお礼をしていた。とてもすがすがしい。この気持ちだけはいつまでも失わないでほしい。
そして演劇に対する真摯な姿勢が劇作りの色々な箇所から感じられ、そこにも好感が持てた。
100年目の眠り姫
劇団SAKURA前戦
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2009/09/18 (金) ~ 2009/09/22 (火)公演終了
満足度★★★
素敵なSFファンタジー
福岡を拠点の劇団が、劇団10周年の節目として福岡東京連続公演を実施しているとのこと。最近色々なところで名前を耳にするので観に行ったが、とても素敵なお芝居だった。
東京公演はこれで二回目だそうだが、毎年来てほしいもの。
地方でも頑張っている劇団があるということは、東京組にも刺激になる。そして東京で頑張っている劇団にも地方へ進出してもらいたい。
中心的な役者は上手く、照明や音響も凝っていて、福岡で人気があるということが頷ける作品だった。
わりと自由
早稲田大学演劇倶楽部
早稲田大学学生会館(東京都)
2009/09/19 (土) ~ 2009/09/20 (日)公演終了
満足度★★★★
それぞれの個性を光らせる演出が見事!
プロレスを野蛮なスポーツとして取り締まる政府の組織と、最後に残った学生プロレス連盟との戦いのドラマ。最後は双方がプロレスで戦い、プロレスを通じて友情や愛情をはぐくむというベタなストーリーだが、役者全員が全力でやっているので、観ていてすがすがしい。不思議な感動にあふれる舞台だった。
役者は皆、(先輩に比べると非力だが、)個性のあるメンバーが揃っていて将来が楽しみ。その中でも学生演劇連盟の代表権藤明年を演じた内田明伸が、表情が豊かで、また体が鍛えられていて動きにキレがあり、今後が楽しみだと思った。その他の役者も個性的で魅力的だが、まだ発声と体が出来上がっておらず、これからだと思われた。
「極み唄」
LIVES(ライヴズ)
タイニイアリス(東京都)
2009/09/15 (火) ~ 2009/09/20 (日)公演終了
満足度★★★★
大浜直樹ショー!
芸達者な役者たちによるちょっぴり風刺の効いたコント風の芝居。どのシーンも面白かったが、それ以上にそれぞれのシーンで大浜直樹が見せる演技の幅の広さに感動。
大浜直樹、雑賀克郎、山田古馬、この三人の芝居には、笑いの向こう側に人間性が浮かび出る。だから、どの芝居も奥が深い。
ラジオ番組からそれぞれのシーンが始まるなど、センスの良さ、そして全体を通してかっこ良さ、それがこの劇団の特徴である。
『轟きの山脈』(公演写真を掲載中!「写真」をクリック◎→→次は6月中野ポケット☆★)
舞台芸術集団 地下空港
劇場MOMO(東京都)
2009/09/11 (金) ~ 2009/09/20 (日)公演終了
満足度★★★★
壮大なロマン!
物語は壮大。それでいてとてもロマンティック。
どこか神話か何かにある物語のようだ。
BGMとして使っているクラシックが見事に芝居と合い、物語を大河ドラマに仕上げている。装置の使い方も秀逸。特に立体的に使い、空間処理が素晴らしかった。
神様はいない(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)
MU
新宿シアターモリエール(東京都)
2009/09/10 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了
満足度★★★★
正攻法でしっかりと。
宗教とテロを題材にして、「神様はいない」という挑戦的なタイトル。これだけでもとても挑戦的なので、どんなラジカルな芝居になるのかとはらはらとしていたが、あくまで正攻法で、宗教問題ではなくて作家のあり方に重点を置いて描きたかったんだということがわかった。
重くなりそうな題材を、決して笑いに逃げることなく真面目に取り組んで、ストーリーと文体で80分、観客を引き込む。大したものだ。
悪趣味
柿喰う客
シアタートラム(東京都)
2009/09/04 (金) ~ 2009/09/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
異世界感と二重構造の面白さ!
楽にぎりぎり間に合い、観させていただいたが後悔した。この芝居はまず初日に観なければいけなかった。多分初日に観ていたら、三回くらは見に来ていただろう。脚本・演出・役者・スタッフと、三拍子も四拍子も揃った名作だ。
最近等身大の芝居をする劇団が多い中で、この劇団ははっきりと異形の世界を描いている。その描く世界観がとても魅力的だ。そしてこの劇団の凄さはその異形の世界を描きながら、ところどころで現実世界に戻り、これはお芝居ですよということを観客に認識させる。
その二重構造が作品をさらに混沌とさせ、魅力的なものにしている。お見事だ。
片想い撲滅倶楽部(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)
MU
新宿シアターモリエール(東京都)
2009/09/10 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了
満足度★★★★
前回とは違ったMUを楽しめた。
前回渋谷のLEDECOで観たときとイメージが全然違って驚いた。しゃれた音楽をうまく入れて、明るくポップな舞台だ。小さいところでやるときは小ささを生かし、そこそこ広いところでやるときは、それなりにと、演出力の幅広さを感じる。
そして女優佐々木なふみさんの凄さを感じた。前回は魔性の女を演じ、今回はどこか憎めないふわっとした女性をたくみに演じた。どちらも不自然さを感じさせないところに確かな演技力を感じた。
今回、新宿モリエールで、2作品を交互に上演するという企画である。しかもその2作品のタイプが全然違う二作品だそうだ。MUという劇団は常に挑戦する劇団である。その挑戦の仕方が魅力的だ。
twelve
劇団6番シード
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2009/09/12 (土) ~ 2009/09/21 (月)公演終了
満足度★★★★★
哀しくもかっこいい!
登場人物30人を超え、2時間半に及ぶミステリー大作。原作があるのかと思ったら全部松本陽一のオリジナルだそうである。これだけの骨太の物語が書けるだけでも松本陽一の力量は大したものだ。
ミステリーとしても完成度が高い上に、12の扉を使った演出が実に見事だ。そして6番シードの特徴だが、決めのシーンがとてもかっこいいのである。
哀しくてかっこいい、とても不思議な気持ちを今回の舞台は感じさせてくれた。笑いのあるシーンは少ない。それで2時間半もたせるのだから、大したものだ。
極めて美しいお世辞
箱庭円舞曲
OFF OFFシアター(東京都)
2009/09/11 (金) ~ 2009/09/22 (火)公演終了
満足度★★★★
演劇にとって美とは何かを考えさせられた。
ストーリーは現実に美容師の現場で起こっているような出来事を、若干デフォルメしながらもストレートに表現している。感情移入しやすく、また演劇の現場でも常にある葛藤だと思った。
会話が面白く、また人間と人間の気持ちのぶつかり合いが見事に表現され、常に独特の緊張感があるドラマだ。途中でだれることなく、最後まで集中して楽しめた。
ハッピーエンドクラッシャー
ゴジゲン
シアターブラッツ(東京都)
2009/09/09 (水) ~ 2009/09/15 (火)公演終了
満足度★★★★
切ない、切なすぎる!
私のゴジゲンに対する見方が変わった芝居だ。私はゴジゲンのことをコメディを基本にした劇団だと思っていた。もちろん前回の公演もとても切ない芝居だったが、全編たっぷりと笑わせてもらった。しかし、今回の芝居はスタートからずっと切なかった。
あちこちに笑い声がきこえ、私自身も何度も笑ったが、笑うたびに胸が締め付けられる、そんな笑いだった。面白くなかったわけではない。のめりこみ、感情移入し、自分の青春時代を想い出していた。
にぎやかフラワー
春の日ボタン
「劇」小劇場(東京都)
2009/09/09 (水) ~ 2009/09/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
いや、面白い。前作を超える完成度だ。
明るくてポップで、メルヘンチックでファンタジーで、と、まさにチラシの印象どおりの芝居だ。千野ありさの作風は、いくつかのシーンが独立したオムニバスのような構成で進行し、それでいて途中からどんどんそれらがからんできて、最終的にとてもドラマチックなラストシーンを迎えるという多重構造の面白さ。その千野ワールドが磨きに磨かれたのが今回の作品。
一人で見るのはもったいない。恋人か、家族連れで観に行くことをお奨めする。
It's A Beautiful Day
劇団森
早稲田大学学生会館(東京都)
2009/09/04 (金) ~ 2009/09/06 (日)公演終了
満足度★★★
重いテーマをしなやかに描く。
インターネットを通して、疑似家族になる人たちの物語。彼らはリストカッターの集まりであり、「出血でつながっている家族」と称している。たった1時間のドラマであるが、その中で語られていることは多い。家族のこと、ネットのこと、自傷行為のこと、etc.・・・。
アクリル板のパソコンが照明に映えて美しく、舞台装置もシンプルでしゃれていた。(ただ、真ん中の紗幕の中にいる登場人物の後ろから煙が出てくる演出は少しおどろおどろすぎる。)
役者としてはお姉さん役とお父さん役を演じたふたりの女性が声が美しく、ラストシーンで全員で台詞をしゃべるシーンが素敵だった。脚本家は美しい台詞のかける人だと思う。これからが楽しみだ。
トラベリング・オン・ザ・シャーレ
カムヰヤッセン
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2009/09/02 (水) ~ 2009/09/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
完成度の高い脚本と、センスある演出!
懲りに凝った台本であるにも関わらず、中心を流れるものは奇をてらったものではなく、あくまで王道。脚本の完成度の高さをまず高く評価したい。SFというと、荒唐無稽な展開になりやすいのだが、それを脚本の力でそちらに走らず、本筋である女医大坪の研究者としてのハートとヒューマニズムをしっかりと描いた。
はらはらどきどきと面白いだけでなく、医療の現場の問題とその中で働く過酷さをしっかりと描き、しかし、その中で医師達が懸命に患者のために闘っている姿をしっかりと描いた。(もちろんそうでない医師もいるが。)
まるで花が咲くように
劇団てあとろ50’
早稲田大学学生会館(東京都)
2009/09/04 (金) ~ 2009/09/06 (日)公演終了
満足度★★★★
荒削りな中に才能のきらめきを見た。
早稲田大学の学生劇団てあとろ50’の新人試演会。登場するのは全員今年入部した大学1年生、そして演出はこれが2回目の2年生というフレッシュな顔ぶれ。
非常に有望な新人がたくさん入ったということで期待して観に行った。結論から言うと期待以上の出来だった。
アイドル~失われたキミを求めて~
劇団スパイスガーデン
ザ・ポケット(東京都)
2009/09/01 (火) ~ 2009/09/06 (日)公演終了
満足度★★★
アイドルのコンサートを観ているように・・・
歌と踊りに酔いしれているうちに、あっという間に公演が終わってしまった。
ミュージカルではなく、新しい形のコンサートと演劇の融合。とても楽しめた。
パフュームをまねた女三人組の歌うシーンが特に魅力的だった。
池袋でやるやつ2009夏【シアターグリーン学生芸術祭vol.3 最優秀賞受賞!】
ろりえ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2009/08/27 (木) ~ 2009/08/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
どこまでも突っ走れ!
ひとつひとつの物語のつながり方だとか、説明が足りない部分だとか、様々な欠陥を抱えながらも、それを補ってあまりある才能のきらめきに拍手を贈りたい。むしろ小さくまとまることを拒否し、荒削りな中にろりえとしての強力なドラマトゥルギーを確立しつつあることに感動さえ覚える。
「スタッフからの誘導・指示が出た場合にはお従い下さい。お従いいただけなかった場合、安全の保障はしかねますのでご了承ください。」ろりえの公演では上演前にたっぷりと脅される。演出家は観客に、お前らは傍観者じゃないんだ。客席は安全だと思ったら大間違いだと宣言をしている。我々は始まる前からとんでもないところに来たと緊張感を強いられる。それこそ演劇の持つひとつの魅力なのではないだろうか?
ラストシーンの大がかりな演出は、いつものことながらお見事である。これだけ観客を巻き込み驚かせる演出をいつまで継続出来るのか逆に楽しみになってきた。
徳橋みのり、梅舟惟永、志水衿子、美人揃いの女優陣だが、その女優達がそれぞれ個性的であり、独特の世界を持っていることにも感心する。