暴くな
INUTOKUSHI
早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)
2010/05/15 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
(不知火チーム)面白さは変わらず!
雲龍チーム、不知火チームを観て、面白さに差があるかと思ったがどちらも引けをとらなかった。強いて言えば、雲龍チームの方がややベテランが多く、安心して観られる感じ。不知火チームはやや若手が多く、パワーを感じた。
配役が違う以外は、基本は両バージョン同じストーリー。ただし細部がそれぞれ違う。その違うところが面白かった。もしどちらかを観て、面白いと感じた人は両バージョン観るといいだろう。
暴くな
INUTOKUSHI
早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)
2010/05/15 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
(雲龍チーム)突き抜けた面白さ。
犬と串は結成以来の独自の笑いを追求してきたが、いよいよ完成に近づいた気がする。他にどこにもないここにしかない笑いをたっぷりと見せてくれた。
2バージョンあるので、1つは短めかと思ったら、たっぷり2時間ある。犬と串の世界を堪能出来る。すべてを笑いでぶっ飛ばすパワーとエネルギーのある作品。ともかく面白い。
初日の若干のドタバタ感がありながら、それでも圧倒的面白さ、回数を重ねていくとどこまで面白くなるのか怖いくらいだ。さて、これから不知火バージョンを観る。
Do!太宰
ブルドッキングヘッドロック
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2010/05/14 (金) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
ブルドッキングヘッドロックの集大成が見える!
劇団創立10周年記念公演。破天荒に生き、破天荒に死んでいった太宰治の人生と作品をを下地に、舞台上のフィクショナルな登場人物と、劇団員の青春像が絡み合い、多重構造を作っている。
全体から伝わってくるのは彼らの演劇に対する熱い想い。
初日ゆえの固さはあるものの、作品のエネルギーはものすごい。2時間半という大作を全員で駆け抜けたドラマ。見終わった後、爽快感のある舞台である。
バイ・バイ・ブラックバード
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2010/05/13 (木) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白いのにたっぷり泣ける!
前夜祭公演を観た。前夜祭を二日やった後に初日を開けるのだそうだ。しかし、さすが、キャラメルボックスくらいの劇団になると、プレビュー公演からしっかりと仕上げている。主役の大内厚雄はいうまでもなくかっこいいが、ヒロインの實川貴美子が素敵だった。声がなんとも言えず魅力的だ。そして客演の有馬自由が相変わらずいい仕事をしていた。
笑って泣いて幸せな気分になる。今回もキャラメルボックスの王道を行く芝居だった。満足。
ザ・パワー・オブ・イエス
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2010/05/10 (月) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
経済に興味がなくても観たほうがいい。
もちろん、金融関係に興味がある方、経済を勉強したい方は必見である。2008年に起こった世界金融危機がなぜ起こったかを、関係者にインタビューして構成したもの。発言のひとつひとつが生々しい。
おりしもギリシアの金融破たんから、危機の再燃が懸念されている現在、語られている内容がリアリティを一段とましている。面白い。2時間のドラマがあっという間に感じられた。
ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶
チェルフィッチュ
ラフォーレミュージアム 原宿(東京都)
2010/05/07 (金) ~ 2010/05/19 (水)公演終了
満足度★★★★
不思議な魅力にとりつかれる。
若者の日常会話をデフォルメしたような台詞が音楽に乗って繰り返される。そして、えも言われぬダンス(と言っていいのか?)風の体の動き。全てが斬新で刺激的。また観たいと思わせる魅力あり。
ココロ
ココロ舞台化計画
シアターサンモール(東京都)
2010/05/08 (土) ~ 2010/05/09 (日)公演終了
満足度★★★★
純粋に演劇として良くできていた。
アニメとかオタクとか言うと、一部のマニア向けのものと誤解されるが、今回の作品はしっかりと演劇になっていた
。
ココロを持ったロボットと人間との愛のドラマ。それは愛とは何か、人間とは何かと言ったことを逆に考えさせられるものだった。
6番シードの矢口愛奈さんが活躍していたのもうれしかった。公演数が少ないのが残念。
日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『老花夜想』
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2010/05/07 (金) ~ 2010/05/09 (日)公演終了
満足度★★★★
難しい作品を見事に演出!
太田省吾という、リーディングとはもっとも離れたところにいる作家の作品を与えられ、中屋敷法仁がどう料理するのかと楽しみにしていたが、今回のリーディング三作品の中ではもっとも演出されている気がした。あらゆる箇所で演出家が指示した内容がわかり、限られた時間の中で、しっかりとこだわりを見せていると感じた。
公演が立て込んでいるにもかかわらず、手抜きが感じられないところがうれしかった。
日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『ポンコツ車と五人の紳士』
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2010/05/06 (木) ~ 2010/05/08 (土)公演終了
満足度★★★
会場は大爆笑!
開演前から舞台上に柴幸男が陣取り、パソコンを観たり、台本を見たり、準備体操をしたりしている。思わず、あれ、柴幸男も出るのか?と想ったりした。
舞台脇に椅子に座って役者たちがくつろいでいる。スタッフも舞台上でオペをしている。試みとして、ゲネプロを公開しているような感じ。いかにもざっくばらんな雰囲気を作った。そこが柴幸男が一番演出したところかもしれない。
そのために会場と舞台が非常にいい関係になり、楽しく開演に持ち込めた。その結果、大爆笑の別役ドラマとなった。こんなに受けている別役劇を観たことがない。役者のひとことひとことに会場から笑いが起こった。
ちょっと受けすぎな感じがして、若干私などは引いた部分もあるが、あれだけ観客を巻き込んだのは成功に違いない。
旅、旅旅
ロロ
王子小劇場(東京都)
2010/05/06 (木) ~ 2010/05/09 (日)公演終了
満足度★★★
シュール、ただただシュール!
まるで抽象画のように、色々な要素が舞台のうえにあたかも意味がないように提示される。言葉の飛躍、シーンの飛躍、物語の飛躍、見ている方としてはとても危なっかしく見えるのだが、それを崖の一歩手前で踏みとどまってみせて劇的なものに昇華してしまう。ロロの凄さだ。
もう脱帽するしかない。一生懸命意味づけを考えている自分が途中でばからしくなった。意味ではなく感覚で受け止めなければいけないのだ。正直に言う。ストーリー自体はさっぱりわからなかった。しかし、面白かったことも事実である。これからも三浦直之を追いかけていきたい。
北と東の狭間
JACROW
サンモールスタジオ(東京都)
2010/05/07 (金) ~ 2010/05/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
JACROWが贈る美しい純愛ドラマ!
いつもながら舞台装置の隅々にまでリアリティを感じる。JACROWの芝居はリアリティが売りだ。そして店の奥が窓のように切り取られており、そこから店の外が見える。ここら辺の演出が憎い。
偽装結婚をテーマにしているが、見終わった後の感じは純愛ドラマ。そしてラストシーンがとても美しかった。これは外伝も見ずにはいられない。
スーパーリア充マジカル惑惑αSco
劇団てあとろ50’
早稲田大学学生会館(東京都)
2010/05/06 (木) ~ 2010/05/09 (日)公演終了
満足度★★★
面白いが未完成!
ツボにはまる大爆笑のシーンとちょっと白けるシーン、完成度の高いシーンと間延びするシーン、それらが入り交じる。役者の中にも上手い役者と、やや劣る役者がいる。また同じ役者でもいいシーンとどうしようもないシーンの差がある。
しかし、そういった全体の混沌の中で、より高いもの、より面白いものを追求しようという演出家の志しはしっかりと感じられた。だから面白いシーンは本当に面白い。小さくまとまることを拒否し、既成学生演劇から脱却しようとする挑戦姿勢がすがすがしい。
初日ゆえの堅さが取れれば見違える芝居になる可能性あり。スタッフワークが素晴らしく、特に幻想的な照明は学生劇団ではトップランクか。一見の価値あり。
日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『熱帯樹』
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2010/05/05 (水) ~ 2010/05/08 (土)公演終了
満足度★★★★
本物志向!
将来有望な若手演出家の競演ということで、リーディングとはいえ、それぞれどんな策略を巡らせてくるのかと思ったが、谷賢一はあくまで正攻法で三島由紀夫に対峙した。
三島の戯曲の持つ言葉のリズムをとても大切にした演出。2時間半という長丁場だったが、素敵な音楽を聴いているような気分だった。
シュシュが見た最後の夢
メガバックスコレクション
荻窪メガバックスシアター(東京都)
2010/05/05 (水) ~ 2010/05/09 (日)公演終了
満足度★★★★
心洗われる感動ドラマ。
初見の劇団。初日のステージを拝見した。とても素敵で感動的な物語。オリジナル作品だそうだが、今すぐにでも世界名作童話のひとつに数えられそうなよく練られたストーリーだ。
主人公シュシュを演じた子役の女の子がかわいい上に演技がうまく、あんな子に好演されると周りがいくら頑張ってもおいしいところを全部持って行かれてしまう。
シュシュの父親ペンネを演じた中野優一はジャニーズ系のイケメン。かっこいい上に演技が達者で子供に対する愛情と悲しみを見事に演じていた。その他の役者も持ち味をうまく出してそれぞれ魅力的だった。
ラストシーン、会場のあちこちですすり泣きが聞こえた。
メリーゴーラウンド☆トーキョー5
遊々団ブランシャ☆ルージュ
SPACE107(東京都)
2010/05/02 (日) ~ 2010/05/05 (水)公演終了
満足度★★★★★
最高のエンターテイメントショー。
演劇の中に歌や踊りを取り込んでいる劇団は多いが、こちらは歌やダンスの中に演劇的要素を取り入れているという感じ。しかし、ジャンルなんてどうでもいい。エンターテイメントショーとして、とても楽しかった。
まず、圧倒的に歌とダンスがうまい。そして芝居も十分できそうだ。こういう人たちにどんどん演劇界に進出してもらいたいくらいだ。時に、アイドルのコンサート風であり、時に宝塚風であり、時にド演歌だったり、ムーディなナイトクラブのショー仕立てだったり、さまざま変化しながら、素敵な歌と踊りを見せてくれる。
1回見ただけで、何人かのフアンになってしまった。次回は来年だそうだ。それが残念でならない。
パラデソ
タカハ劇団
小劇場 楽園(東京都)
2010/05/02 (日) ~ 2010/05/11 (火)公演終了
満足度★★★★★
初日から完成度高く、見応えあり。
劇場入りした瞬間から劇の世界に連れて行かれる見事な舞台美術。そしてその中で達者な役者達が絶妙の間合いで台詞を戦わせている。
高羽彩の魅力は、独特の世界感とナイーブな表現手法。その切れ味が今回も全開で、見ていて気持ちがいい。
内田亜希子が働き者の居酒屋の娘を好演。瓜生和成が空気の読めない男を見事に演じ、愛敬たっぷりの駄目男を創り上げた。ルーマニアからこの芝居に出演するために帰国した古木知彦の目力に恐れ入る。違う芝居も見てみたい。
一人一人の役者が全員いきいきしているので、芝居がだれない。欠点は唯一、劇中おいしそうな食べ物がたくさん出てきて、お腹がとても減ることくらいか。
アンポテンツ
劇団チャリT企画
王子小劇場(東京都)
2010/04/28 (水) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★
深いテーマを軽やかに!
「安保」だとか、こちらとあちらをわける「壁(門)」だとか、重いテーマを取り扱っているのに、描き方は軽やか。漫画を楽しむように笑いながら、でもふと気づくと背筋が寒くなるような作りの深さを感じる。ここら辺見事。
劇中にゴドーを待ちながらのようなシーンが出てきたり、遊び心満載で、あっという間に時間が過ぎた。
アンハッピーパラダイス☆エクスプロージョン
劇団森
早稲田大学学生会館(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/01 (土)公演終了
満足度★★★★
エンタメ色満載の楽しい作品
劇団森が従来のイメージをがらっと変えて、エンターテイメントを前面に打ち出した作品を上演した。高校を卒業し浪人生となった主人公達が、それでも高校時代の部活を続け、部室と想い出の桜の木を守ろうとする。それは実は・・・。
シリアスなシーンの途中で突然ミュージカルになったり大喜利になったり、作演の籔博晶はあらゆる方法で観客を楽しませようと仕掛けてくる。その中にはすべったものや、メインストーリーを弱めてしまうものもなくはなかったが、しかしその徹底したサービス精神に好感が持てた。
その籔博晶が松岡修三役で出てくる。最初登場したときは、必然性のなさに違和感を感じたが、何度も登場してくるうちに、今回の作品のいい潤滑油になっていることに気がついた。
演出面では舞台の奥行きをたっぷりとって、花びら散る想い出の桜の木に照明が当たるシーンが幻想的で美しい。また客席横に仮設舞台を作り、そこから主人公がその思い出の桜の木に矢をを射るシーンがある。すごく劇場を広く使った見事な演出だ。場面転換でばたばたしたり、ちぐはぐな面もたくさんあったが、さまざまなことをやろうとしている志しが感じられ、全体としては評価出来る。
役者では久藤放役の松田隼斗と桜紗玖役の田中香にさわやかな魅力を感じた。
15 Minutes Made Volume8
Mrs.fictions
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
恐れ入った。
15分をなめていた。たぶん予告編のようなステージだと思っていた。ところが15分でたっぷり楽しめる。感動も本公演とそん色ない感動が味わえる。しかも6劇団だ。これはお得だ。すばらしい企画だと思った。この企画を推進しているMrs.fictionsにただただ感謝!
アメリカン家族
ゴジゲン
吉祥寺シアター(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
初日から完成度が高い!
200席以上ある吉祥寺シアターで2階席まで満席。勢いのある劇団の勝負を賭けた公演はやはり違う。初日から完成度は高く、練習が行き届いていることがわかる。役者同士の間合いも絶妙だ。
次男の誕生日を題材に、母親が家出をして崩壊しつつある家族の、なんとか崩壊を防ごうとする涙ぐましい努力と、どんなに取り繕ってもぼろぼろと崩れていく様子を少しデフォルメしながら切なく描いている。
客演陣にさまざまな劇団から味のある役者を揃え、登場人物一人一人がそれぞれ違ったタイプながら全員破滅型という、その役の設定が作品を面白くしている。
役者では長女役の安藤聖が気の強い長女役を好演、素敵だった。また父親役の島田曜蔵が、芝居を支える。この人がいなかったらこの芝居は成立しなかっただろう。