マルグリット
TBS
日生劇場(東京都)
2009/03/12 (木) ~ 2009/03/29 (日)公演終了
満足度★★★
作曲:ミシェル・ルグラン!!美しいメロディにのせて、ドイツ占領下のフランスに咲いた椿姫。
「レミゼ」「サイゴン」の作詞・作曲者二人と、映画「シェルブールの雨傘」の音楽家ミシェル・ルグランによる本邦初演、新作ミュージカル!
と聞けば、観ないわけにはいきません。
第二次大戦中、ドイツ占領下のフランスを舞台に描かれる、椿姫をベースにした悲恋物語。
「コラボ」と呼ばれるフランス人の中のドイツ軍協力者たちは、戦時中にもかかわらずドイツ軍に取り入り、贅沢な生活をし、夜毎パーティーに明け暮れている。マルグリットもその一人だった。
やがて、ユダヤ人らの虐待が始まるが、占領から4年、フランスは解放。
フランス人のドイツ軍協力者には制裁を受ける者と、うまく世を渡り免れる者がいた。
この動乱の4年間に物語の焦点を持ってくる発想、悲恋とともにこの点に関心が行きました。
ミシェル・ルグランのメロディは美しい。
パンフレットに「映画音楽はもういいから舞台をやりたい」とありました。
確かに、最近聴かなかったのはそのためですね。
他の舞台作品も観たい、聴きたいです。
春野寿美礼さんのマルグリットは、あまりにもはかなく、悲しい。
パンフレットの稽古場写真や海外訪問の写真を見ると、寿美礼さんは素顔のほうがお美しいです。
そして、寺脇康文さんは自身のキャラクターが反映されて、ナチスの将軍にもかかわらず優しく感じられ、物語の最初では、彼を利用しようとするフランス人のほうがあさましく、寺脇さんのほうに同情してしまう。
ただ、歌はさすがに厳しかったですねぇ…。
2階席の下に2台の大型液晶モニターが設置されていて、何に使われてるのかと思い、上演中に振り返ってみると、指揮者が映ってました。
なるほと、オーケストラピットが舞台前に無いので、モニタを見て歌っていたのですね。
今回、オーケストラは直接見れないところで演奏していたようで、ちょっと残念。
ACTシアターなら舞台前下にオーケストラピットがあったから見れたのか。
幕に映ってた寿美礼さんの超特大顔写真は、一定時間おきにCGで”瞬き”していましたけれど、どういう意図が…。
まあ、面白いですが、作品のカラーには合わない、余計な趣向だったかもしれません。
お弔い
ラックシステム
ザ・スズナリ(東京都)
2009/03/18 (水) ~ 2009/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★
わかぎゑふ さんのラックシステムやリリパットアーミーIIのお芝居は、どれもノスタルジックで笑って泣いて楽しい。
わかぎゑふ さん(パンフにサインもらいました)のラックシステムやリリパットアーミーIIのお芝居は、どれもノスタルジックで笑って泣いて楽しい。
特に毎回、コング桑田さんのパワーとキャラクターには圧倒されっぱなし。
劇中はもとよりロビーや前説、カーテンコールでもオーラ全開で、客席から出演者までみんなを楽しくさせてくれます。
もう尊敬してしまいます。
さて、”ラックシステム”の位置づけは、庶民の人情劇、大阪弁にこだわったユニット、
激動の時代の日本をくぐり抜けてきた大阪の人にスポットを当てていると、パンフでわかぎゑふ さんが説明しているとおり、
全編、関西ノリ、せりふも味があってイイです。
(関西拠点なので、東京では観れないお芝居もあるのが悔しい)
終戦からもう10年、まだ10年の日本。
ある女性が交通事故でなくなった後の物語。
つきなみですが、笑いあり涙あり。
そして、戦後日本人の年代によって違う感情なども端々に織り込み、ノスタルジーと関西弁を目いっぱいに詰め込んだ一作です。
『すべての風景の中にあなたがいます』『光の帝国』
演劇集団キャラメルボックス
新宿FACE(東京都)
2009/03/05 (木) ~ 2009/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★
もちろん期待どおり!2本ともまたまた泣けます。
演劇集団キャラメルボックス 2009 ハーフタイムシアターです。
1時間2本立ての短編演劇とはいえ、1時間とは思えない密度と完成度。
そして、毎回期待を裏切らないキャラメルボックス。
今回もまた期待どおりです。
1本目の『すべての風景の中にあなたがいます』は、梶尾真治原作のタイムトラベル・ラブストーリー。
白鳥山で出会った一目ぼれの彼女は、未来の女性だった。
震災で亡くなったという彼女の両親を救えるのか。
そして、彼女に会うことはできるのか。
「時を超えた愛」というキャラメル得意の題材です。
時代を行き来しながら盛り上がっていくストーリーに引き込まれます。
しいていえば、クライマックスが少しあっさりしていたこと。
もっと思いっきり盛り上げてほしかった!とは思います。
休憩後2本目『光の帝国』は、恩田陸の原作。
超能力者の一族である「トコノ」をめぐる少年の冒険物語。
よく考えると結構シリアスな話でしたが、友達になった老医師の人生を振り返る(「しまう」)シーンなどが感動的で、救われます。
ちなみにこの日は、カーテンコールで大内さんがカミカミだったのが笑えました。
通し券で鑑賞しましたので、「すべて」終了後「光」開演まで1時間あるのですが、加藤さんの後説?とキャラメルボックスのこれまでのすべての公演を振り返るビデオ上映で、あっという間に過ぎました。
今回会場になったのは、新宿歌舞伎町映画街のど真ん中にある「新宿FACE」。
ライブとイベントのスペースみたいで、その手作り感のある会場の雰囲気が、それはそれで楽しいのですが、パイプ椅子に3時間は痛いです。
シアターアプルがなくなったので、その代りの場所です。
ハーフタイムシアターは気軽に見れるように、駅から10分以内の場所にしているそうです。
昔の女 (ドイツ)
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2009/03/12 (木) ~ 2009/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★
いやぁー怖かった。時間軸が前後するサイコ・サスペンス。ショッキング描写も凝ってます。
ドイツの本だそうですが、演出の倉持裕(劇団「ペンギンプルペイルパイルズ」主宰)さんの作品世界にとっても似てます。
PPPの倉持さんと西田尚美さん(白い巨塔、秘密の花園)、ちすんさん(一度聞いたら絶対忘れられない名前です。超星神グランセイザー、何日君再来?イツノヒカキミカエル?)が好きで観ることにしました。
引っ越し前日の夫婦のもとに、突如、夫の24年前の恋人ロミー・フォークトレンダーが訪れた。
あの日の約束「永遠の愛の誓い」を信じて。
そして、このときから、平凡な夫婦と息子、その恋人に「恐怖」が降りかかった…。
数分前、数分後、数時間前、数時間後、と畳み掛けるように時間が前後する展開が興味深い。
映画と違って、その場で役者が瞬時にして感情を入れ替えて演じる様が、役者さんには難しいでしょうが、観ていて面白い。
繰り返し演じられる場面も、繰り返されていることも念頭においたうえで、違って演じられたりします。
最初から中盤までは普通の流れなのですが・・・
夜の来訪者
シス・カンパニー
紀伊國屋ホール(東京都)
2009/02/14 (土) ~ 2009/03/15 (日)公演終了
満足度★★★★
段田安則さんの初演出。ある家族の一夜のミステリー。特に坂井真紀さんの演技をとっても楽しみました。
ある晩、自殺した女のことで訪れた警官が、その家族一人一人が犯した罪を暴き出すミステリー。
以前、俳優座で観た覚えはあるのですが、ほとんど忘れていて、今回も新鮮に観ることができました。
そして、今回は段田安則さんの初演出。
最初は皆さん多少オーバーアクト気味で、昭和の雰囲気を感じさせ、
芸達者な方揃いで、皆さんのやり取りを十分堪能できます。
その中でも注目は、最近、数多くの舞台で活躍している坂井真紀さんでした。
最初の典型的なお嬢様風から、だんだんと罪の意識に目覚め、変わっていく様子をとっても楽しませてもらいました。
自作にも期待してます。
吸血鬼
グリング
青山円形劇場(東京都)
2009/03/05 (木) ~ 2009/03/11 (水)公演終了
満足度★★★★★
都会の孤独、心の闇を描く、心理ミステリー。高橋理恵子、杉山文雄の二人が切ない。
あの、ある意味ショッキングなピンクのチラシに、このタイトル…。
ドラキュラやヴァンパイアが出ては来ないだろうとは思っていましたが。
いつかの帰り道、あのとき彼女を部屋にあげていたら、その後の人生は変わっていたかもしれない…。
どこにでもある安アパート。
都会の孤独。
人は、人とつながりが持てることで、かえって孤独を感じてしまう。
人と人が関わりあい、求めあい、傷つけあう。
心が病むと、他人の暗い部分だけが勝手に増幅していく怖さ…。
高橋理恵子(演劇集団 円)の目まぐるしくもそのたびに微妙に変わる感情、
そして、同級生の杉山文雄が演じる心の闇。
時間が過去と現在を行き来しつつ描かれる、二人の感情の揺れ動きが切ないです。
また、心理的なミステリーでもあり、クライマックスでは、どんでん返しもある!というのも、とっても意外で面白かったです。
流れ姉妹 たつことかつこ ~獣たちの夜~
真心一座 身も心も
道新ホール(北海道)
2009/02/26 (木) ~ 2009/02/28 (土)公演終了
満足度★★★★★
濃い!笑えて泣ける「70年代ピンキーバイオレンス」風大衆演劇!特に【木野花さん】がすごい。
小劇場の大衆演劇を!と旗揚げされた「真心一座身も心も」
の「流れ姉妹 たつことかつこ」第3章です。
母親殺しの果てに、日本中をさすらう姉妹たつことかつこ、
謎の元ヤクザの保護監察官末次ちゃん、
北海道の刑務所の看守を辞めてかつこを追い回す
谷村たちの物語。
2年ほど前に第2章を観劇、他では観たことのない、
その昭和風の雰囲気の濃さ、インパクトの強さ、
爆笑の連続となぜか泣かせる内容に一気にファンになりました。
2章はバスタオル1枚の「かつこ対ワニの死闘」にぶっ飛びました!
今回のポスターのような、
まさに「70年代東映ピンキーバイオレンス」風軽演劇!
自分でやりたいことがやりたくて集まった、
劇団4人の俳優さんたち・・・
千葉雅子さん(本)の男気あふれる荒々しさ、
村岡希美さん(座長)の昭和の色気と薄幸感、
河原雅彦さん(演出)のとっぽい感じ、
毎回挫折感いっぱいの坂田聡さん(にぎやかし)も
いいのですが、それ以外にその他の脇役を何役もこなす、
レギュラー出演の「ガヤ四人衆」が賑やかで、
早変わりも楽しい。
特に、谷村と悲恋におちる信川清順さんが泣かせます。
今回は、何といっても特別枠「ゲストマザー」の
【木野花さん】がすごい。
パイパー
NODA・MAP
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2009/01/04 (日) ~ 2009/02/28 (土)公演終了
満足度★★★★★
松・宮沢二人のリズミカルで流れるような”長ぜりふ”に感動、泣けた!
ポスターのイメージからもテクノ調?と思ってましたが、本格SFストーリーでした。
人類の火星移住、謎の生物パイパー、幸福の数値化=パイパー値の誕生、そして金星移住…。
アンサンブルも加えた大人数による、火星移民のシーンではSF映画のような感動を味わえました。
パイパーの存在も、不思議である時は子供のように楽しかったり、その反面純粋なところが恐ろしかったりして、非常にSF的で面白い。
そして、松たか子の純真さ、宮沢りえの逞しさ、橋爪功の老獪な狡猾さ、大倉孝二!!時折見える子供らしさ、北村有起哉の粗暴ぶり、とぼけた野田秀樹の理想を追い求める科学者の想い、豪華な競演も楽しい。
松・宮沢二人によるリズミカルで流れるような”長ぜりふ”は、本当に感動的で、何よりも聴いていて心地良かった!
泣けてきました!
ちなみに、B5判パンフレットは、オールカラーで1000円という安さ!
ちなみに写真満載、野田さんの対談もあって、読みでがあります。
ページ左下には、振り付け・コンドルズ近藤良平さんによる「火星パラパラ体操」が、パラパラ写真マンガで付いてます。芸コマ!
宮沢りえさんは、13日に妊娠6か月を発表。
本公演は、安定期なので問題ないとのことで、全然気になりませんでしたが、
そのため6月の舞台をキャンセルしたとのことで、誰の座長公演だったのかのほうが気になります。
GOD NO NAME
タカハ劇団
駅前劇場(東京都)
2009/02/12 (木) ~ 2009/02/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
良かった! 主演:初音映莉子さん目当て。 富士樹海近くの村、自殺を取り巻く問題をからめた、サイコ・ミステリー!!だったのか。
チラシをみても当日配られた紙にも全くストーリーやコピーがなく、本当に予備知識なしで観ました。
昨年から引き続き精力的にいろいろな舞台に出ている初音映莉子さん目当てです。
そして、ちいさな駅前劇場、最前列だったので役者にぶつかりそうになるくらいで迫力満点、しかし舞台は低いので、足元は後ろからはぜんぜん見えないでしょうね。
お尻も痛かったです。
また、いろいろな小劇場所属俳優さんたちの出演というのも、興味がわいて、実際、演技は確かでした。
観てみたらチラシのビジュアルイメージからは全く予想できない内容。
富士の樹海周辺にある村の、自殺防止センターを中心に巻き起こる、命と差別とサイコ・ミステリー。
地方・田舎の人間関係などの問題を扱いながらも、クライマックスはサスペンスになっていくところが面白かった!
主演の初音映莉子さんは、昨年もいろんな舞台に続けて出ていて、注目してます。
いつもは端正な顔立ちから、謎の美人役、冷たい役、などが多いイメージがありますが、
今回も元自殺志願者。素直な態度で不思議系。
しかし服装は、学校の体操着(ジャージ、名前縫いつけ)の上下にはんてん、
メイクと髪型も田舎っぽくかまわないずぼらな感じ。
美人は得で、これがまたかわいらしい。
ちっちゃなエイヨルフ
メジャーリーグ
あうるすぽっと(東京都)
2009/02/04 (水) ~ 2009/02/15 (日)公演終了
満足度★★★
静かで地味,人間の表裏,心の葛藤を描く。馬渕英俚可さん、めあてで。
あの「人形の家」のイプセン作だからではなくて、好きな馬渕英俚可さん、カッチャンこと勝村政信さん出演なので鑑賞。
夫婦と妹の3人については、常に裏がありそうな油断ならない展開。
終始、ほんとうに次々に会話だけで進行し、会話している間にその流れの中でいつの間にか考えが変わっていく。
夫の帰宅という滑り出しからは、とっても以外な結論に至ります。
やはり、社会的な格差・階級についての話だったのでしょうか。
カッチャンの澱みなく滑らかな演技は、最初は善良で、しかし次第にかすかな冷たさ異常さを感じさせていくうまさ。
とよた真帆さん、馬渕英俚可さんも時々見せる内面が怖い。
そしてお二人とも、なまめかしい美しさ。
一番のインパクトは、もちろん?鼠ばあさんのマメ山田さんでしょう。
非常に重要な役でありながら、妙な気負いや感情は一切なく冷静な態度。
すっごく静かで地味ながら、いずれも一筋縄ではいかない登場人物たちの会話のぶつかり合い、内面の葛藤が面白い作品でした。
その夜明け、嘘。
TBS
青山円形劇場(東京都)
2009/02/07 (土) ~ 2009/02/22 (日)公演終了
満足度★★★★
宮崎あおい のストレートな演技、吉本菜穂子は芸達者、六角精児の存在感。逃げるほうが大変だ!
あの宮崎あおいが、小劇場・青山円形劇場(約376席)で主演!間近で見れる!
そして、「ゴンゾウ」備品係ルミ子だった吉本菜穂子、映画「相棒」第2弾主演の六角精児との3人芝居。
何週かの円形状に並んだ座席の中央には、円形の囲み舞台、そこに自転車と信号、標識、街灯がならぶ。
締切りの夜、自転車で環状7号線を逃げる女性漫画家とそのアシスタント、追う編集者。
環7で寄ったファミレス"バーミア"の店長と店員と外人女性客、
劇中漫画の登場人物である男シドことカズ、女ナンシーこと葉子、カズの父親、カズの職場仲間、
編集者の妻と、急激に成長した1歳の子供、
数々の登場人物が、目まぐるしく入れ替わりながら3人が演じ分けて進む展開が面白い。
特に私のお気に入りは、ちょっと切ない「シド&ナンシー」ですが…結局どうなったの?
宮崎あおい さんは屈託なくストレートな演技で、本来いやな感じになりそうな主役の女漫画家先生すら、愛すべきキャラクターになってました。
もっともっとはじけた役を観たい!と思わせます。
吉本さんは落ち着いた感じで芸達者。
六角さんは舞台でよく見る方ですが、見た目のインパクトと存在感はダントツです。
しとやかな獣
オリガト・プラスティコ
紀伊國屋ホール(東京都)
2009/01/29 (木) ~ 2009/02/08 (日)公演終了
満足度★★★★
ゴーゴー音楽に乗って軽快に疾走するシャープでブラックな感覚。
映画版はまだ未見ですが2007年8月、THEATRE1010でやった高平哲郎演出版は観ました。
ケラ版は、明らかに映画をリスペクト。
ゴーゴー音楽に乗って軽快に疾走するシャープでブラックな悪の感覚。
家族のみんなは悪いことをしているのに、全然悪く感じさせない、妙に前向きな感じ。
何といっても、緒川たまきさんの幸枝が光ってました!!
男たちを翻弄しながら大金を巻き上げて、ちゃんと旅館を開設、
子供を育て、
しかも男たちに金を貢がせながらも、そのそれぞれの関係は
その時々では真面目に関係していただろうと感じさせる
かわいさ、ある意味での誠実さが伝わってくる
おっとりとしてチャーミングで、したたかという
キャラクターを見事に作り出しています。
先生の大河内浩さんも物腰の柔らかさや困った感じがとっても良くて
関西弁もぴったり。いつもの刑事ややくざの強硬な体育会系
の男っぽくて「攻める」雰囲気よりも、
こういう文系の弱い役のほうが何倍も面白くて、
良く合っていると思います。
税務署員のペンギンプルペイルパイルズ(pppp)所属、玉置孝匡さんは本当に出番が短くて大変だったのでは?
pppp公演とそれ以外でもなぜか観る機会の多い玉置さんですが、
追い詰められてあせる役が最高です。
浅野さんの鋭利なまじめさ、
広岡さんのその場に溶け込んでいるような自然な立たづまい
(杉村春子さんのようにみえることも)、
近藤さんも幸恵には真剣に尽くしているし
(普段に比べれば結構普通の役だったりする)、
さんも貢がせてはいても、作家先生のもとにいそいそと戻ったり・・・
みんな悪いことをしているのに、それぞれ、ある意味「まじめに」
やっていると感じるのが不思議。
「まじめ」の定義もわからなくなってきます。
この世界にはない音楽
むーとぴあ
新宿シアターモリエール(東京都)
2009/02/04 (水) ~ 2009/02/10 (火)公演終了
満足度★★★★
武藤晃子さん主宰「むーとぴあ」旗揚げ公演。音楽をテーマに、やさしくおかしくホロっとします。
やっときました、新宿シアターモリエール初観劇。
ずいぶん前から、劇場前を通り過ぎていた気がします。
180席程度のパイプ椅子、前のほうは傾斜が無くて床が体育館のよう。
この規模、新宿ど真ん中というロケーションもいいです。
そう『新宿昭和館』があったところの近くです!
チラシを見て、「キャラメルボックスの西川浩幸さんを
小劇場で観れる!」というきっかけで観ることにしました。
『この世界にはない音楽』は、武藤晃子さん主宰の演劇ユニット
「むーとぴあ」の旗揚げ公演だそうです。
今夜中に”契約”をとってこないと左遷すると
上司から言い渡された落ちこぼれ悪魔が、
自殺しようとしていた作曲家を捕まえて
何とか契約にこぎつけようとする一晩の物語。
音楽をテーマに、やさしくおかしく、最後はホロっと泣ける
あたたかい物語で好感が持てます。
(ただ、この「甘さ」が受け付けない人も居るかもしれません。^^;)
死ぬ前にその人間の「願い」をかなえなくてはいけないという
ルールに忠実なあまり、願いをかなえた人間は生きる自信を
取り戻してしまい、なかなか契約が取れないという
気のいいおかしい悪魔役の武藤晃子さんが出色。
彼女の優しさが前面に出ていて、作品全体を包んでます。
西川さんの揺るがないしっかりした存在に支えられて、
自由に明るく弾けていた彼女が、とっても楽しくて良かったです。
最近良く見かける、役者さん自身がやりたい芝居を自分で
プロデュースする公演です。
また引き続き応援したくなる役者さんが増えました。
ちなみに、武藤晃子さん澤田育子さんは、5月公演の
鴻上尚史さんの「僕たちの好きだった革命」に出演予定です。