jokermanの観てきた!クチコミ一覧

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パンセク♡

パンセク♡

カミナリフラッシュバックス

千本桜ホール(東京都)

2018/10/31 (水) ~ 2018/11/04 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/11/02 (金) 19:30

 ニシオカ脚本の作品を観たことはあるが、本劇団は初見。何かいい芝居だった。パンセクという言葉は知らなかったが、LGBTを真剣に扱って、笑いあり、ちょっと泣かせる流れあり、の巧い作劇になっている。LGBTの扱い方については異論のある人もいるだろうが、ある立場に立たねば書けないだろうし、ややご都合主義的展開もコメディということで許せる範囲だと思う。役者陣も丁寧な演技である。

七本の色鉛筆【劇 えうれか】

七本の色鉛筆【劇 えうれか】

劇 えうれか

SPACE EDGE(東京都)

2018/11/01 (木) ~ 2018/11/04 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/11/01 (木) 19:00

 矢代静一が1972年に書いた戯曲だが、何回も上演されているらしい。田園調布に住む大学教授とその娘たち7人を軸とした作品だが、7人がそれぞれのキャラクターを演じて、それなりの物語を描く。だが、たとえば末娘が修道女になる、というのが、ごく自然に受け入れられる家庭というのはどういう家庭か、と考えてみると、現実を描くというより、ファンタジーに近い感触の戯曲と観るべきではないかと思った。終盤は、ストーリーテラーの次女と双子の六女・七女の物語で、エンディングはちょっと切ない。生演奏を入れた工夫は買うが、それで休憩込み2時間45分というのはシンドイ。

『ソウル市民』『ソウル市民1919』

『ソウル市民』『ソウル市民1919』

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/10/14 (日) ~ 2018/11/11 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/31 (水) 19:30

 『ソウル市民1919』を観た。本編から10年後だが、舞台は同じ家の同じ居間。オルガンがあるなど、一部変わっているが、基本的には変わっていない場所で、やはりさまざまな出来事が起きるものの、ある一家の日常が淡々と紡がれる。本編に比べて、「朝鮮」「朝鮮人」という言葉が頻繁に使われ、三・一独立運動の当日という設定なので、支配-非支配の関係に気づきやすいとは言える。

虹をみたかい?

虹をみたかい?

文月堂

劇場MOMO(東京都)

2018/10/30 (火) ~ 2018/11/04 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/10/30 (火) 19:30

 ヒットである。児童養護施設で育った7人と、その周辺の人々の群像劇。30年前に児童養護施設で一緒に暮らした人々が、現代に集まって過去を振り返る…、という芝居で、時間軸は30年前と現在を行き来する。文月堂馴染みの役者陣をメインに集め、三谷の得意とする人間を信じる作劇が展開され、最後は美しいエンディングである。気持ちよく観ることができた110分だった。30年前の「自粛」が昭和天皇崩御直前ということが分からないと、ちょっと理解しづらい部分があるのは勿体ない。

『ソウル市民』『ソウル市民1919』

『ソウル市民』『ソウル市民1919』

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/10/14 (日) ~ 2018/11/11 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/30 (火) 14:30

 『ソウル市民』を観た。平田オリザの代表作の一つで何回も再演されているそうだが、個人的には初見。日韓併合前年のソウルの、とある家族の居間のみで展開される芝居。いろいろな出来事が起きるが、大事件というわけではなく、淡々と日常が展開される、平田の「静かな演劇」の典型とも言えるだろうか。支配-非支配の関係に思いを及ぼすべきなのだろうが、残念ながら、それが見えるだけの観劇眼は私にはなかったとしか言いようがない。

美しい村

美しい村

タテヨコ企画

小劇場B1(東京都)

2018/10/24 (水) ~ 2018/10/28 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/26 (金) 19:30

 緊張感はある舞台だった。実話ベースとのことだが、元の事件はちょっと調べても分からなかった。十七戦地の柳井の脚本だが、タテヨコの方向性とは少し違うのではないかという気もした。冤罪が生まれる「村」社会を扱いたいのか、人間の「業」を扱いたいのか、やや明確でない印象が惜しい。それでも緊張感を維持できるのは、役者陣の力量と言えるだろうか。

ライク・ア・ファーザー

ライク・ア・ファーザー

自転車キンクリーツカンパニー

OFF OFFシアター(東京都)

2018/10/24 (水) ~ 2018/10/31 (水)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/25 (木) 19:00

 ベタにはベタなりの良さがあるという芝居だった。電車に飛び込もうとする男(久松信美)を助ける、男女2人(樋渡真司・歌川椎子)。実は幽霊の2人だが、男の方は娘(内田亜希子)に心残りがあって…、という物語を、ひたすらベタな展開で送る。歴史あるユニットだが、ベテラン勢と力量ある若手が巧くマッチして、気持ちの良い舞台になっている。ベタはベタだが、ベタにはベタなりの良さがあるということを改めて痛感させる舞台だった。ただし、チラシ等に書かれている物語とは全然違うというのは、ちょっと別な意味で期待外れとも言える。

背に描いたシアワセ

背に描いたシアワセ

やみ・あがりシアター

APOCシアター(東京都)

2018/10/24 (水) ~ 2018/10/30 (火)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/24 (水) 19:30

 巧妙な作劇だった。新婚の「わたし」は、脱サラして郊外に引っ越した「旦那」の親の家で甘い新婚生活を始めるが、脱サラに失敗した舅・姑・義妹と同居する破目になり、嫁姑の戦いが始まる。そこに、「わたし」の友人、旦那の幼馴染み、コーヒー豆の販売員などがからみ、「わたし」の秘密が明らかになるが…、という物語。昭和の三種の神器「冷蔵庫」「洗濯機」「カラーTV」を自慢する「わたし」のセリフから、昭和の物語かと思うと、スマホも出てきて時代が分からなくなるが、それこそが秘密のヒントという脚本が巧みだ。ただし、これはこの劇団のスタイルなので、しょうがないのだが、芝居のテンポは感心しない。それと、タイトルは余り活きていない気がして勿体ない。

わたし、と戦争

わたし、と戦争

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2018/10/17 (水) ~ 2018/10/24 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/10/23 (火) 19:00

 流山児事務所にとっても、作・演出の瀬戸山にとっても、珍しい作劇となっていたように思う。日本に軍隊ができ、男性に徴兵制が敷かれ女性も軍隊に入る近未来。戦争に行くこと/行ってきたことを、男女3人の個人的な物語として描く。社会派と呼ばれる瀬戸山だが、徹底的に個人の物語として社会を描くのに成功していて、タイトルが、その意図を表している。瀬戸山を起用した流山児事務所も、役者のしっかりした力量が芝居を支えている。メインの林田は、役者としてまた成長したところを見せていると思う。

古書パラレル浪漫譚

古書パラレル浪漫譚

はらぺこペンギン!

神保町花月(東京都)

2018/10/17 (水) ~ 2018/10/21 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/10/21 (日) 14:00

 古書店を舞台にパラレルワールドを扱って、ロマンチックに終わる、まさにタイトル通りの芝居だった。最初の内は、辻褄が合わない物語に???となったが、パラレルワールドものと分かると腑に落ちる。いくつかの恋愛や親子の愛情の物語が絡み合うのだが、パラレルワールドを逆手に取っての解決は見事で、脚本がよくできていると言える。役者陣も好演で、見ていて楽しい舞台だった。

誤解

誤解

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2018/10/04 (木) ~ 2018/10/21 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/19 (金) 18:30

 カミュの作品を稲葉賀恵の演出で上演。母(原田美枝子)とホテルを経営するマルタ(小島聖)は、旅行者を殺しては金を取り、美波の国で過ごすことを夢見ている。そこに泊まりにきた男は、実は、20年前に家出して成功した息子(兄)だった…、という展開が凄い。抽象的なセリフが多いが、それに一定程度リアリティを持たせる演出の努力は買うが、翻訳劇にありがちな、文化的な違いを乗り越えきれていないようには思う。ただ、セリフのない使用人の小林勝也が最後の最後に放つ一言は素晴らしい。公共劇場ならではの豪華で繊細な美術や照明は見事としか言いようがない。

咲けよ、酒よ。

咲けよ、酒よ。

ソラカメ

「劇」小劇場(東京都)

2018/10/17 (水) ~ 2018/10/21 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/18 (木) 19:30

 中途半端な印象が残る勿体ない芝居だった。居酒屋での乾杯シーンから始まり、仕事も恋愛も巧くいっている彩英子(江田恵)が実は家庭に問題を抱えて悩んでいるという設定から、さまざまな展開を呼ぶ。友人との酒、恋人との酒、一人で知ってる店で呑む自棄酒、など、さまざまな酒飲みシーンが出てくるのだが、どれも少しずつしか物語が進行しないのが焦れったい。もっと、スッキリいろいろなものを提示していけば、もっと面白い舞台になったのに、と思う。

The Dark City

The Dark City

温泉ドラゴン

ブレヒトの芝居小屋(東京都)

2018/10/15 (月) ~ 2018/10/21 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/10/16 (火) 19:30

 昭和23年の「本庄事件」を扱った作品だが、事件そのものは知らなかった。ヤクザが支配する本庄の町で、朝日新聞の記者が元ヤクザの議員に殴られ、立ち上がる…という物語。現在と昭和23年の時間軸が何回も前後し、役者はそれぞれの時期で異なる役割を演じるが、そこをシッカリ演じられるだけの力量の役者が集まっていた。シライ自身は「社会派」と呼ばれることに戸惑いを感じるそうだが、それが見える、家族の物語として出来上がっているのは巧かった。ただ、当時の記者たちが、やたらと「民主主義」を言うのは違和感があったが、それが語れる時代になったことの誇りが出ているからでは、とは、観劇後に話した方の意見で、腑に落ちた。大久保鷹の存在感は見事としか言いようがない。

セイラム

セイラム

sortie

新宿眼科画廊(東京都)

2018/10/12 (金) ~ 2018/10/16 (火)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/14 (日) 17:30

 不思議な感触の芝居だった。肋骨蜜柑同好会が作った架空の田瓶市を舞台に展開される、ある種の幻想的な物語。この田瓶市を共有する芝居は3団体目だそうで、ホームページもあり、本格的な架空化が見事だ。最後まで解けない謎もあり、よく分からないままに終わるが、面白いとは思った。特に終わり方の突然さもちょっとステキだ。つついきえの過剰な演技と、沈ゆうこのごく普通の演技の差も興味深い。

華氏451度

華氏451度

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2018/09/28 (金) ~ 2018/10/14 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/10/14 (日) 14:00

 壮大な舞台である。レイ・ブラッドベリが1954年に書いたディストピア小説の舞台化で、原作は読んだが、映画や舞台では見たことがない。3面が巨大な本棚に囲まれた舞台美術にまず目を奪われるが、そこで演じられる芝居も長塚が脚本で白井が演出というだけの価値はあり、ほとんどの役者が2つ以上の役を演じることで、逆に深みが出てきていると思った。特に、美波が正反対の重要な役を演じるあたりを見ると、この人は本当に巧い役者になったなと思う。草村礼子のセリフがないのに存在感を示すところも見事だと思った。

パパは死刑囚

パパは死刑囚

劇団チャリT企画

座・高円寺1(東京都)

2018/10/10 (水) ~ 2018/10/14 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/10/10 (水) 19:00

 「笑える社会派」らしい作品だった。自分が父母だと思ってた両親が、実は叔父と叔母で、本当の父が母と義父を殺して死刑囚として収監されている男が主人公。その男が結婚する式で、新婦の父に、そのことを伝えるか、という問題が軸になるのだが、それを笑い飛ばして上演するのは、いかにもこの劇団らしい。ただし、登場人物が多すぎて、余分なサイドストーリーがあるのは勿体ない。また、エンディングは一寸ドキッとさせすぎな気がする。
 再審請求中の死刑囚の死刑を執行してしまうなど、問題点がいくつも残るが、そこは敢えてそうしたのだ、と思いたい。

竹取

竹取

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2018/10/05 (金) ~ 2018/10/17 (水)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/09 (火) 19:30

 不思議な舞台だった。マイム系の小野寺修二が作る、現代能楽集の第9弾だが、小林・貫地谷という俳優、小野寺のカンパニーによく出るマイム系の藤田・崎山、大駱駝艦の小田、能の佐野、打楽器奏者の古川というメンバーによる、一種の異種格闘技戦のようにも思え、監修の野村萬斎の狂言的な演技もあり、何とも言えない舞台だった。発話はあるが、セリフとして説明するものではないので、みんなが知ってる物語である、というところが大前提の作品に思えた。ゴム状の紐を巧みに使った舞台美術と照明・音響等のコラボレーションは、さすが公共劇場だけのことはあると思う、美しい出来だった。

はしらない

はしらない

劇団スポーツ

王子小劇場(東京都)

2018/10/04 (木) ~ 2018/10/08 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/06 (土) 19:00

 勢いはあるが、スジは通っていない印象である。高校のとき、何となく軽音楽部を作ったメンバー4人の一人が結婚するというので、集まるが、その内の一人は呼んでいない。その事情を回想する、というのが芝居のほとんど。個々の場面は面白いが、全体として不要な部分が少なくないし、回収されきれないエピソードも多い。アフタートークで、元芸術監督の玉山氏が面白いと絶賛されていたが、光るものはあるものの不十分な印象が拭えない。
 開演を10分以上も押して、理由を一切言わないというのは、客をナメきっている。学生の劇団だから、というのは、言い訳にならない。

月極セイラ ゴールデン★ベスト

月極セイラ ゴールデン★ベスト

Dr.MaDBOY

スタジオ空洞(東京都)

2018/10/03 (水) ~ 2018/10/08 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/04 (木) 19:30

 チラシの80年代感に惹かれて観劇。やや勿体ない印象が拭えない。若くして死んだアイドル月極セイラの関係者が集められるが、その人物達が次々に死んでいく…、という謎の提示は悪くない。また、それぞれの関係者のセイラ像が異なることを5人の女優にセイラをやらせることで表現するというのも悪くない。ただし、謎は最後まで明確には解けてないし、失踪した上野はどうしたのか、等、回収されないエピソードが多いのが勿体ない。女優さんは皆さんキレイでアイドル感満載なので、女優ファンには最前列で観られることを勧める。後、役者の名前だけでなく、配役表が欲しい。

ミカンの花が咲く頃に

ミカンの花が咲く頃に

HOTSKY

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2018/10/03 (水) ~ 2018/10/07 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/10/03 (水) 19:30

 東九州縦断高速道路の計画地に入った集落の人々の物語で、実話ベースだと言う。公的なものとの対立に軸を置くのではなく、村落の共同体としてのあり方を、広い意味での「家族」ととらえる視点が興味深い。東京から実家に戻る役の本多真弓が「異物」として存在することで、その辺を明らかにする役割を演じた。明樹を客演に得たことで、ジェスト・ダンスという動きと歌という表現に広がりが出た。

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