スーホの白い馬
公益財団法人武蔵野文化事業団 吉祥寺シアター
吉祥寺シアター(東京都)
2024/09/07 (土) ~ 2024/09/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
何でチケットを買ったのか思い出せなかったが、白い馬テグ役が小玉久仁子さんだったので多分それだろう。小玉久仁子さんはデビュー当時の池畑慎之介(ピーター)とミー(ピンク・レディー)を合わせたような魅力。
上手で二弦の馬頭琴(モリンホール)をヴァイオリンのように弓で弾くのはフルハシユミコさん。坂本龍一の『ラストエンペラー』で聴いた二胡に似た音色。その横で木目調のエレキベースを弾く竹内武氏。
淺場万矢さんが進行役で登場、子供達を元気にいじる。お婆さんやビラを配る人などを兼ね作品の基調となる。
主人公スーホ役は中西柚貴さん。この二人の声がのびのびと会場によく通り、子供達にも伝わりやすかっただろう。声優向き。
羊やトノ様などユーモラスなキャラ役の村山新(あらた)氏はユースケ・サンタマリア系。
悪態Q
劇団不労社
北千住BUoY(東京都)
2024/09/06 (金) ~ 2024/09/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
『SAW』を思わせるコンクリート打ちっぱなしの殺風景な一室。会場ごと見立てて演出するという“空間への当て書き”、東京公演は北千住BUoY(ブイ)。かつて陰惨な事件が起き心霊スポットにされた廃ビルの一室のような佇まい。無機質で不穏な雰囲気が色濃く漂う中、気の違った陽気なSEがけたたましい。ムードは『ホステル』や『パージ』など病んだ作品の系譜。
幼稚園の卒園式の為に先生達が出し物の稽古中。ラジカセで『ピンポンパン体操』を流し愉快に踊る。黄緑(ライトグリーン)ジャージのむらたちあきさん、水色(シアンブルー)ジャージの永淵大河氏、紫(ロイヤルブルー)ジャージの荷車ケンシロウ氏。ジャージはやたらスタイリッシュ。愉快にコミカルに元気一杯に踊る。どうも男性二人はむらたちあきさんに好意を抱いているようだ。恋の鞘当てにヒリヒリした空気感。
ズンズンズンズンズンズンズンズン ピンポンパポン
ズンズンズンズンズンズンズンズン ピンポンパポン
がんばらなくっちゃ がんばらなくっちゃ がんばらなくっちゃ
延々続く気の違った唄に頭がおかしくなりそう。間奏に挿まれるむらたちあきさんが作った、園児向けのクイズ。ロールシャッハテストのようにサイコパスを炙り出す精神異常者向け。
むらたちあきさんは凄く魅力的だった。元気ハツラツなメンヘラ。
永淵大河氏はマトモな常識人としての立ち位置で「ちょっとそれ園児向けのクイズには相応しくないのでは?」と冷静にツッコむ。
荷車ケンシロウ氏は十一重(以上)人格者役も狂ったようにこなすハッスラー。
5つの連作集といった感じだが、とにかくしょっぱなの奴が凄まじい。これだけで元は取れる。
是非観に行って頂きたい。
『大洗にも星はふるなり』
ゴツプロ!
「劇」小劇場(東京都)
2024/08/28 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
舞台は茨城県の大洗サンビーチ海水浴場。何故かそこの海の家はサザンオールスターズの聖地、「江の島」を名乗っている。設定は2009年、海の家でのひと夏のバイト仲間達がマドンナ的存在だった江里子からクリスマス・イヴに各々手紙で呼び出される。真冬の海の家にノコノコ現れた男達が繰り広げる妄想恋愛バトル。
マスターは井上賢嗣氏。
ストーカー癖のあるナルシスト・バンドマンに葉山昴氏。
キックボード片手の浮気癖のある杉田大祐氏。黒澤明ネタは中途半端。
これまたストーカー癖のある牛窪航平氏。
鮫の研究をしている和田慶史朗氏。さかなクン帽子が似合う。女を口説くようなアクションでマスターにお願いをするシーンがどっと受けた。ちょっと窪塚洋介っぽい?
立ち退きを執行しに来た弁護士に佐藤正和氏。名探偵的に場を仕切る。
裏主人公、笹田伶氏。キャラ設定もあり、頭一つ抜きん出ていた。聞き間違いが多いことが物語のキーとなる。
松本清張「点と線」
カンパニーデラシネラ
神奈川県立青少年センター・紅葉坂ホール(神奈川県)
2024/07/27 (土) ~ 2024/07/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
マーティン・スコセッシ監督の『アフター・アワーズ』を思い出した。デヴィッド・フィンチャー監督の『ドラゴン・タトゥーの女』やクリストファー・ノーラン監督のような理系の思考法。小野寺修二氏の物事の捉え方に似た感触を得た。映画の演出に向いているのでは。
美術家のニコラ・ビュフ氏のアイディアが冴える。可動型の長方形の立方体、合体すると路線図や駅舎になる。演者が舞うように回転させ動き離れ背景を作り出す。ワークショップ・オーディションで選ばれた数十人のエキストラが繰り広げる雑踏は美しい。(総勢38人らしい)。
時代は1958年。福岡の香椎海岸にて青酸カリを飲んだ男女の情死体が発見される。産業建設省(現・国土交通省)の課長補佐(小野寺修二氏)と割烹料亭の女中(大西彩瑛さん)。小野寺修二氏は今日本を騒がせている疑獄事件に関わっており、汚職や詐欺等を取り締まる警視庁捜査二課が既に動いていた。警部補(成河氏)が現地に向かう。捜査が打ち切りになった福岡署の古参刑事(武谷公雄氏)は心中に疑問を抱いていた。小野寺修二氏の遺留品から出て来た食堂車での領収書が一人分だったこと。心中の為に旅に出た二人が別々に食事を取るだろうか?
踊りのようにくるくる回り、不意に意識を失い、突然のストップ・モーション。『マトリックス』のバレットタイムを思わせる時間の恣意的な流れ。夢遊病者のような繰り返し。詠春拳のような遣り取り。まさに松本清張『点と線』の最新Remix。天野天街氏と流派は違えど根底に流れる宗派は同じような。
成河氏が崎山莉奈さんに突然言い出すメタフィクション・ギャグ、「お前が犯人···!」はどっと受けた。
再再演作品、流石に面白かった。原作を知ってから、もう一度観てみたい。
成河氏ファン中心の一般的な客層にも受け入れられたようで何より。崎山莉奈さんは絵になる。
穏やかな罅
サンハロンシアター
OFF OFFシアター(東京都)
2024/08/29 (木) ~ 2024/09/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
大図愛さんを年に一度は観ようと思っているのでチケットを予約したものの当日はまさかの台風襲来、笑えるくらいの土砂降り。
だが作品は好きなテイスト。全国の大図愛マニアは必見、集結セヨ。
思えば中国に返還される前の香港映画にはこういう作品が多々あった。ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウの出ない後期『福星』シリーズな感じ。一体客層のターゲットを何処に絞っているのか全くの理解不能。だがそこがいい。心を込めて作った誰も観ない作品、それは極上だ。いつか世界の何処かで孤独な誰かがそれを眺めてひっそりと微笑むことだろう、きっと。ジョン・シャム(モジャ)やリチャード・ン(チンケ)を思わせる何の取り柄もないおっさん達の与太話。
内藤トモヤ氏と田野良樹氏は前の会社の同僚、今はボロアパートで同居暮らしをしている。建物の老朽化により立ち退きを迫られ、住民はちょっとヤクザっぽい連中との交渉中。そんな中、ポストに入っていたチラシの一枚にリフレ『水族館』と。ちょっとどんなものか気になる二人だったが···。北朝鮮からの弾道ミサイルが天気のように予報される呑気な日本の一コマ。
高齢者モラトリアムはすぐにでも確立されるであろうジャンル。今作はリアルと文学の間を器用に突いている。
『穏やかなヒビ』。日々なのか罅なのか。どっかで何かを間違えた気がしながら暮らしている。さて自分は一体何を間違えたのか?流れる曲は椎名林檎やらエモ切ない感傷的なもの。新海誠の高齢者ヴァージョン。
是非観に行って頂きたい。
奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話
イキウメ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/08/09 (金) ~ 2024/09/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
隣のシアターウエストでは篠井英介氏の『天守物語』が公演中、これも妙に観たくなった。未だに衝撃的な『人魂を届けに』の山鳥さん役。
開演前から舞台上の和風庭園に一筋の砂が天井から降り続けている。下手に石が積まれた小さな祠、上手に小振りな梅の木。ふと砂が止み、遠くから銅鑼や鉦の音が聴こえてくると開幕。能のすり足(ハコビ)で出演者が現われる。小林正樹の『怪談』っぽい格式。これはかなり凝った作りだな、と身構えるとスッとスカしてくる。安井順平氏が出て来ると何故かホッとする。松岡依都美さんが出演しているとは知らなくてあれ、まさか?と驚いた。凄え豪華な配役。生越(おごし)千晴さんは若き荻野アンナ顔の上品な美人。平井珠生さんは田畑智子と中井りかを足したような現代的キュート。
舞台は山奥の廃寺を改築した旅館。長期滞在している小説家(浜田信也氏)、偶然迷い込んだ二人の飛び込み客(安井順平氏と盛隆二氏)。そこの女将(松岡依都美さん)と従業員達(森下創氏、大窪人衛氏、生越千晴さん、平井珠生さん)。何となくの流れで、百物語宜しくこの地に伝わる怪異譚を順番に語り聞かせることとなる面々。その内に別の物語が頭をもたげてくる。
世田谷パブリックシアター主催の「奇ッ怪」シリーズは3作品あるが、今作は1作目のセルフ・カバーらしい。
自分が偉そうに言える立場にないが、この作家は金が取れる。プロの脚本。成程、納得。ここまでサーヴィスしてこその商業演劇。テーマは「グレイトフル・デッド」。
文句なしに面白い。
代が君・ベロベロ・ケルベロス
ケダゴロ
シアタートラム(東京都)
2024/08/22 (木) ~ 2024/08/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
青のパーティードレスに身を包んだ女性(木頃あかねさん)が開演前からステージにしゃがみ込んでいる。物干しにシーツを三枚干しそれが国旗掲揚のようにするすると上がる。赤いライトが当たり3つの日の丸に。『女囚701号/さそり』の処女を捨てた梶芽衣子、白いシーツに血が滲み日の丸にだぶるシーンを想起。
その下に現れるのは3つの巨大な回し車。ハムスターの運動用のアレが人間サイズで登場。
それを走って回し始める者達。女優陣は白いシャツに黒いゴワゴワした厚手のズロース姿。昭和のブルマ姿の女学生を思わせる出で立ち。
褌姿の男優三人(鹿野祥平氏、佐藤冴太郎〈こたろう〉氏、金指喜春〈かねざしきはる〉氏)。戦前の田舎者の風情。
一見、企画モノ乱交AVのような猥雑さ。全員前張りを仕込んでいる。由緒正しき暗黒舞踏、大駱駝艦の貫禄すら感じさせる佇まい。当時のその勃興の体験を令和の今にトランスレーションしてみせているかのよう。
突然のパラパラ。大阪府立登美丘(とみおか)高校ダンス部の『バブリーダンス』やアバンギャルディの流れも感じる。
軍隊アリの生態をイメージさせて変顔して四つん這いに歩く女達。矢鱈長く舌を出す。(画風が相原コージ・タッチ)。唐突なマジック・ショー。切断される上半身と下半身。ズロースをずり下ろしての生尻折檻。この辺からおっさん客が大受けで声を上げて笑い出す。戦前の童謡『皇太子さまお生まれなつた』が流れて大爆笑。アキラ100%っぽいネタもある。一見、天皇制を奉った大日本帝國を嘲笑っているような左翼的観方。だがこれはそれだけの安っぽい見世物ではない。国体論であり、日本列島で数千年生きてきた自分等民族の背負ったアイデンティティとカルマの物語。今村昌平の『神々の深き欲望』なんかもそうだった。
中国映画『南京!南京!』で奇妙な舞踏を舞う日本兵達の南京入城が描かれる。それが表現しようとしたグロテスクな異文化。この視覚から来る直接的な気味の悪さとそれを伝統だ文化だと好意的に受け入れ正当化しようとする、自分に内在された気味の悪さ。日本人特有のドメスティックで閉鎖的なローカルルールを苦笑いで許容する国民性。
昔、死ぬ程尖っていた時期のラフィンノーズは発表する作品ごとに『この音源に対する一切の批評を拒否する』と宣言していた。そんなRADICALなAttitudeすら感じさせる。
鹿野祥平氏はヤバい人だと思っていたが終演後に知人とまともに歓談している姿を見てほっとした。
5911と右脇腹にTatooが入った佐藤冴太郎氏。その眉毛。
金指喜春氏は亀田兄弟のような気安さが武器。
今作を言語化するのは不可能だ。醜くて愛おしい我が民族。ここまで何とか生き延びたんだ、どうにかしてもう少し生き延びろ。
主催の下島礼紗さんにRespect。
是非観に行って頂きたい。
スクールバス
ホチキス
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2024/08/15 (木) ~ 2024/08/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
先行でチケットを買ったら、追加キャストに大井川皐月さんと小林れいさん(元夢みるアドレセンス)という至れり尽くせり。
劇団ホチキスは結構観てきた気がしていたが今回でまだ6回目らしい。小玉久仁子さんを観る度にホチキスの気分だったのだろう。
主演の雷太氏は松岡昌宏などの物真似芸人、むらせのようなキャラクター。最初から最後まで観客のハートを鷲掴み。凄腕。
山﨑雅志氏はキャラも宮迫似。
里中将道氏は踊る大捜査線の青島コートがよく似合う。大人気。
話は近未来の小学校のスクールバス。自動運転で3DホログラムのAIがBJとして搭載されている。バス内でも授業が受けられることが売り。教育への過剰な理想を持つ理事長(大井川皐月さん)や父兄等に導入前の試験運転を体験させる日、一人の教師(雷太氏)にはある目論見があった。
観客大満足。凄く良いLIVEだった。
雑種 小夜の月
あやめ十八番
座・高円寺1(東京都)
2024/08/10 (土) ~ 2024/08/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2回目。
台風直撃土砂降りの東京、散々な目に遭った。
Life is dream. Life is but a dream.
人生は夢、人生は夢に過ぎないよ。
この作品は一つの楽曲のように作り込まれている。そのセンスを高評価。岡本喜八や深作欣二には秘密があった。それはフィルムを編集する際、ジャズのリズムで細かくカットを繋ぐこと。テンポと気持ちよく刻んだ繋ぎに観客はノっていく。挟み込まれるメロディー、リフレイン、快楽原則。それは曲の構造そのもの。だがセンスは歳と共に落ちていく。黒澤明も卓越した反射神経でカットを繋いで大衆を熱狂させたが、やはり衰えていった。アカデミー名誉賞を受賞した時の有名なスピーチ。「私にはまだ“映画”というものがよく解っていない。」大家の謙遜のように捉えられたが、実は晩年に語っている。「最近、ちょっと見えてきたんだよね。“映画”はカットとカットの間に垣間見える。」
“映画”というものを一瞬だけでも見せる為のカットの連なり。
この作品の演出は一つの曲を構成する為のもの。話自体は定番の人情物かも知れない。かつて山田洋次は大ヒット作となった『男はつらいよ』を会社からシリーズ化するよう要求されて悩んでいた。おんなじ話を再生産していくことに果たして意味があるのか?作る方にとってもキツい。高名な落語家に相談したところ、「私は古典落語をやる時は来ているお客さんがそれを初めて聴くものだと思ってやっています。何度やったものでも初めてそれに触れるお客さんはいる。その人の為に新作としてやるのです。」
そこで何かを掴んだ山田洋次は『男はつらいよ』を続けることにした。
ゲストは活動弁士の片岡一郎氏。サイレント映画こそ映画の構造の真髄を知る機会。何が伝わって何が伝わらないのか。
佐原囃子(千葉県香取市、佐原の大祭の祭囃子)を演奏する囃子方を下座連(げざれん)と呼ぶ。
福圓(ふくえん)美里さんはちょっと見た目が若すぎると思っていたが今回細かく観て納得。配役にも演出家の意志を感じた。
小口ふみかさんの漫画的に誇張した表現は見事。中野亜美さんと共にジェスチャーが秀逸。
川田希さんの気の強い古風な女の啖呵、極妻だ。
歩かなくても棒に当たる
劇団アンパサンド
新宿シアタートップス(東京都)
2024/08/07 (水) ~ 2024/08/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
女ジャック・ニコルソン、川上友里さんは三好栄子っぽい。この人はヤバイな。もう作家性がどうのこうの全て吹っ飛んでしまった。『めちゃイケ」以前の江頭2:50を投入してしまった感じ。作品はもう全部乗っ取られた。観客は唖然として見守るのみ。「ハ〜~~~イ。」
『悪魔のしたたり』(1974年)というカルト映画がある。サルドゥという見世物小屋のオーナーがさらってきた人々を延々拷問して殺す話。世間的には黙殺されたがその筋の人には好評で監督のジョエル・M・リードはカリスマ的な敬愛を集めた。だが後年インタビューに答えた監督によると、サルドゥ役の俳優に映画を乗っ取られてしまいあんな作品になってしまったそうだ。「自分にこんな趣味はない。こんな映画を撮るつもりはなかった。」
やっぱり山内ケンジ氏っぽさを何となく感じた。下らない細かいところと真剣に向き合い、そのディティールにこそとことん拘る笑い。強迫神経症的。
シアタートップスは相変わらず冷房の効きが悪い。ステージ上も汗だくで客席もキツかった。ケチってんのか?
マンションの共用のゴミ置き場。普通この規模だと管理人を雇うのだが団地のように住民の自主管理に任せている。
新しく引っ越して来た西出結さん、8時50分位にゴミを出しに来たが収集車はもう行ってしまったっぽい。
下の階の永井若葉さんも冷蔵庫の電源が落ちてしまい腐った生ゴミを出しに来る。
(主催・脚本・演出も兼ねている)安藤奎(けい)さんもゴミを出しに来る。
3人はまだ収集車は来ていないと踏んでゴミを置いて行こうとするのだが・・・。
マリア・ルーズ号の夏
劇団横濱にゅうくりあ
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2024/08/10 (土) ~ 2024/08/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
チケットには整理番号順に入場と書いてあるのだが、並んだ順の入場だった。まあそれでこそKAAT。
演者も観客も年齢層高め。市民劇団、社会人劇団の背負うカルマだが、一人若い綺麗な女優がいて驚いた。ブラジル人会社員の役、守倉紡(つむぐ)さん。
主演の大江卓役は坂下優一氏。小比類巻貴之と島田秀平を足したような長身。
盟友・林道三郎役はなっきー氏。デヴィッド・ラム似。
山東一郎役は吉浜直樹氏。ドスを効かせるとハマコーっぽい。
ヒールの船長へレイロ役は宮本悠我氏。土屋公平っぽい。
船長の弁護人ディケンズ役は斉藤れいこさん。森口博子っぽい。この弁護人軍団(優木かおるさん、Kiccoさん)を女性にした点が冴えている。ガルマ・ザビみたいな制服姿。
1872年(明治5年)7月、ポルトガル領マカオからペルーに向かっていたマリア・ルーズ号が暴風雨に遭い帆先を破損、修理の為横浜港に入港。積み荷は騙されて奴隷として売り飛ばされた清国(現・中国)人231名。救けを求める彼等の為に神奈川県副知事・大江卓は日本初の国際裁判で争うことに。
MVPは非人役の勝碕若⼦さん。流石。
雑種 小夜の月
あやめ十八番
座・高円寺1(東京都)
2024/08/10 (土) ~ 2024/08/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
自分の死期が近いのか?と思う程泣いた。ああだこうだつべこべ色々与太れるけれどそのことだけは間違いなく事実。心が弱っているのかも知れない。今作を自分の好きな連中、皆に観て貰いたい。つまんなくてもいい。イマイチでもいい。何か皆これを観て欲しい。そんな作品。
凄く猫が好きで、猫に救けられて生きてきたような気分の自分にはこういう作品はヤバイ。
昔、利害関係のないよく知らない人に何故か親身になって助けて貰った記憶が甦る。生き長らえて今残るものはそんな無名の優しさだけ。何の興味もない田舎町の夏祭り。知らぬ素振りで素通りした筈なのに心が震える程焼き付いている景色。それは一体何故なんだろう?
千葉県香取市にある香取神宮の参道沿いにある団子屋、梅乃家本店がモデル。
日替わりゲストは木原実氏、実優さん親子だった。
物語は団子屋「小堀屋」を切り盛りする井上啓子さんが主軸。彼女の娘達、長女金子侑加さん、次女大森茉利子さん、三女小口ふみかさん。そして近所の神社の神主である原川浩明氏、その息子の松浦康太氏。
何十年も神社の境内にいるようなヨボヨボの猫、小夜。心が弱っている人を見付けるとそっと近寄っていってニャアと鳴く。
東京、神田からこの田舎町を気に入って越してきた中野亜美さん。流石だねえ。どんどん女優として力を付けている。
下手に吉田能氏率いる生演奏の楽団。東京節(パイノパイノパイ)をアレンジしたような歌もいい。ヴァイオリンの中條(ちゅうじょう)日菜子さんは松井珠理奈系。
MVPは3人。次女大森茉利子さんの娘役の佐藤つむぎちゃん。子役の使い方が見事。演出家の腕の見せ所。
主人公でもある井上啓子さんの飄々とした味。時間軸を越えても何も変わらずにそのまんま成立させるキャラの強さ。
そして原川浩明氏の優しさ。安田忠夫みたいなとぼけた不器用さで弱って怯えた野良猫の心を時間を掛けて解きほぐすような。優しさは伝播していく。何処かの誰かに届いていく。
シリーズ3作目らしいが全く知らない自分でも充分に楽しめた。このクラスの作品でも空席があり、当日券を売っていた。何の予定もないんなら絶対観た方がいい。これが日本の演劇の最高峰。話はまず観てからだ。
朗読劇『風が吹くとき』
新国立劇場演劇研修所
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2024/08/09 (金) ~ 2024/08/12 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
ロシア(原作ではソ連)と西側諸国が開戦間近。イギリスの新聞には「予防戦争」という字句が踊る。政府の配布した核戦争への備えのパンフレット。それを頼りに老夫婦は家の中にシェルターを作ってみる。どうも核爆弾が落とされたようだ。TVもラジオも繋がらない。電気ガス水道も止まった。貯蔵した食料を頼りに政府の救援が来るまで何とか生き延びなくては。
5人のジムと5人のヒルダ。シーンシーンで入れ替わって朗読劇は続いていく。メインは石井瞭一氏と山本毬愛さんのようだ。役者は文句なし、魅力的。
一番ビビったのは19時57分頃、緊急地震速報が場内に鳴り響く。切り忘れた何人かのスマホから大音量で。観ている舞台と連動した緊迫感に「凝った演出だな、やるな。」と思ったが全く関係なかった。神奈川県で最大震度5弱を観測する地震が発生。南海トラフに散々脅かされている今、舞台の中も外も不安が満ち満ちていく。ウクライナも逆にロシアに侵攻してガスパイプライン施設を制圧中。
鴉よ、おれたちは弾丸をこめる
劇団うつり座
上野ストアハウス(東京都)
2024/08/07 (水) ~ 2024/08/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
チャリティーショーが行われている。歌手(yokoさん)が「鴉よ!」と聴衆に呼び掛けると皆が「鴉よ!」と呼応する。今現在の自分達を「恥で身を黒く染めた惨めな鴉」だと自認しているようだ。そこに乱入して来る二人の青年(加藤亮佑氏と徳田雄一郎氏)、手製の爆弾を投げ付ける。
逮捕され裁判に掛けられる二人。加藤亮佑氏の祖母の鴉婆(宇沙木はこさん)、徳田雄一郎氏の祖母の虎婆(青木恵さん)
率いる武装した婆集団が裁判所を占拠。婆による裁判官、検事、弁護士等を裁く民衆法廷が開廷する。
当時の批評では「三里塚闘争」を重ねて観たようだ。若き活動家共の不甲斐のなさに千年以上もの恨みを抱えた老婆姿の怨霊達が大地から這い出て猛り狂う。
プロのサックス奏者でもある徳田雄一郎氏がサックスを吹き鳴らす。
加藤亮佑氏はつまみ枝豆と勝村政信を足したよう。
宇沙木はこさんは岸田今日子みたいな貫禄。
一升瓶片手の青木恵さんはドスが効く。
AKUTAGAWA
八王子車人形西川古柳座、Yara Arts Group
座・高円寺1(東京都)
2024/08/03 (土) ~ 2024/08/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
人形浄瑠璃=文楽では頭(かしら)と右手を操る主(おも)遣い、左手を操る左遣い、足を操る足遣いの三人遣いで人形を動かす。160年前、山岸柳吉がろくろ車(前に二つ、後ろに一つの車輪が付いた箱)に腰掛けたまま、一人で操る車人形を考案。自分の足の甲の上に片足ずつ人形の足を乗せ、両手で人形を操作しつつ腰を使って自由自在に移動が可能な車人形。これの利点は一人で一体を動かせつつ舞台上を自由に動き回れる点。ずっとこの体勢は腰がきつそうだが実に面白いアイディア。現在これを受け継ぐのは五代目家元西川古柳氏。20年前、彼に師事した米国のパペット・アーティスト、トム・リー氏とのタッグで芥川龍之介に挑む。
上手にニューヨーク在住の音楽家、辻幸生(ゆきお)氏が鎮座。太鼓尺八キーボード、インド民謡のような歌まで披露。下手には執筆中の芥川龍之介人形を操作するトム・リー氏。講談師や活弁士を思わせるウィットに富んだ口上で英語のべらんめえ口調。(正面スクリーン上部に日本語字幕が入る)。登場する何人もの車人形の声を独りで演じ分けていく。
スクリーンに映し出される影絵アニメが秀逸で車人形の動作とシンクロ。センシティヴな心の奥底を繊細に分け入っていく光と影のあわいが観客の想像力を掻き立てる。
『羅生門』『地獄変』『竜』『杜子春』『河童』に『歯車』のフランベ。特に『河童』をキーにしており、何処からかやって来る河童に悩まされる芥川のスケッチが数度挿まれる。影絵調の河童が紙を飛び出してスクリーンの中を動き回り、瓶の中に封じられる様は見事。古典芸能と最先端技術が違和感なく融合。結局何の技術を使っていようが受け取る側にきちんと伝わっていれさえすれば、それが正解。
オチのない芥川龍之介節にきょとんとするが、やはり『杜子春』の美しさ。真面目に一日一日を大切に積み重ねる尊さを今更ながら感じた。架空の世界は何処までいってもやはり架空の世界。「日々のつまらない生活こそを愛せ」みたいな格言。
ジョナサン・スウィフトのようなラディカルな『河童』にも驚いた。自殺前の代表作。これ故芥川の命日を「河童忌」と呼ぶようになったと云う。自殺する為のアリバイ作りのような。
古典と最先端の取っ組み合いはすこぶる興味深い。車人形なんか全く知らなかっただけに衝撃。
MVPはアフタートークの通訳の女性。これだけ優れた通訳を久方振りに見た。マジで評価されるべき才能。言語感覚がずば抜けている。
ムーミン谷の夏まつり
日生劇場
日生劇場(東京都)
2024/08/03 (土) ~ 2024/08/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
全てちっちゃな動物は尻尾にリボンを着けなくちゃ!
そうリボンをね、尻尾にさ!
スナフキンの吹くこのハーモニカの歌の詩だけで感性がずば抜けていることがよく分かる。原作者トーベ・ヤンソンのこのセンス。
子供の頃、アニメ(多分1972年版)に夢中だった訳だが、原作も少し読んだ記憶がある。アニメと全然違っていて驚いた。何か妙に深層心理に引っ掛かってくる世界。日本だと『冒険コロボックル』や『ゲゲゲの鬼太郎』になるのか。幼年期の虚構世界の記憶は永らく人間に影響力を持つのだろう。
原作は『ムーミン谷の夏まつり』。火山が噴火して大洪水が起こり、ムーミン谷は水没してしまう。一家と仲間達はムーミン屋敷が水没する前に流れて来た化け物屋敷に移り住む。
人形劇団ひとみ座、出遣いにて上演。人形美術は勿論小川ちひろさん、看板女優の松本美里さんはちびのミイ役。
ムーミン人形を持っている子供達が多くて嬉しい気分。上演後の客席へのサーヴィスは皆大喜び。
らんぼうものめ
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2024/07/20 (土) ~ 2024/07/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
一度だけモーニング娘。を観に行った事があり、それが2015年12月の日本武道館、絶対的エース鞘師里保卒業ツアーだった。それ以来となる鞘師里保さん。やはり人気は健在で、客席は鞘師ファン達の歓談会。何回観に来たとかの会話に流石の集客力を感じた。女性ファンの心をガッチリ掴んでいるのが強い。
タイトルから昔観た『あの子と遊んじゃいけません』みたいな感じを想像していたら全く違った。
異形の者達が神として登場する。
モコモコした埃取りのモップみたいな色取り取りの奴等が天井から吊り下げられた顔のある太陽を捕まえる。その手足を引き千切ってバラバラにするオープニング。神様達と神様の神として君臨する江川(近藤隼氏)。
野菜の神様、大月(秋元龍太朗氏)は食べると何でも望んだものを産み落とせる野菜を持っている。無数に生えた大根をぶら下げた姿は宇宙怪獣バイラスやイカデビルを彷彿とさせる。
虫の神様、守屋(中山求一郎氏)はネットでの目撃談で広まったシシノケを思わせる姿。多足類のように地を這う。
守屋が分身として産み落とした要(かなめ)〈高田静流さん〉はノミやミジンコ、サナギマン、『ベルセルク』の幼魔(異形の胎児)のイメージでカッコイイ。
主人公、8歳の鞘師里保さんは癇癪を起こして地団駄を踏むムーヴがまさに生粋のダンサー。
お母さん、掃除機を掛ける安藤聖さんは可愛らしい。
お父さん、金子岳憲氏はコピーとして異界に呼び出される。その姿が泥で捏ねくり回したレザーフェイスで今作のMVP。一番良かった。
神社の木材が重量感のある軽量のバルサ材を使用しており、いろんな場面に活躍。
逃げ出してバラバラにされた太陽の神の身代わりとしてさらわれてしまったお母さん。主人公はお母さんを救い出す為、太陽の神のパーツを集める旅に出ることに。
日曜日のクジラ
ももちの世界
雑遊(東京都)
2024/07/25 (木) ~ 2024/07/30 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
シルエットを使って影絵調に演出するプロローグが雰囲気を出す。激しい雨が打ち付ける中、ハンドルを握って車を走らせる。ある男がこの町にある目的をもって向かっている。その男が誰なのか、目的が何なのかが作品の主題となる。
物語が綴られる場所は映画のポスターやらフイギュアやらが賑やかに飾ってある地方のモーテルのラウンジ。『サイコ』や『猿の惑星』なのは何かの伏線だろうか?
三井田明日香さんはチンピラ役のステレオタイプを元気よく演じた。
二瓶正也似の内田健介氏の出演を知らず、いきなりの大物役者の登場にびっくりした。
鈴木美緒さん、谷川清夏(きよか)さんも雰囲気がある。
喜田裕也氏は高畑裕太の不穏な雰囲気を感じさせた。
青海(あおみ)衣央里さんから見えるこの世界は一体どんなものなのだろうか?
ずっと波の音、雨の音。
ラフヘスト~残されたもの
ミュージカル『ミュージカル~残されたもの』製作委員会
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/07/18 (木) ~ 2024/07/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
人は去っても芸術は残る
Les gens partent mais l’art reste
日本の植民地時代に生まれた韓国の中原中也的な詩人、イ・サン。韓国語で「異常」とも「理想」とも音読み出来る為、このペンネームにしたらしい。1934年、彼が韓国の新聞に連載した『烏瞰図』は難解でシュールレアリスム的で抗議が殺到し打ち切りとなった。ただ横光利一や安部公房っぽく暗号めいていて強烈な印象が残る。ピョン・トンリムと4ヶ月だけの結婚生活。東京に一人旅立ったイ・サンは7ヶ月後、1937年肺結核で逝去、享年26歳。
数年前観た、彼を主人公にした韓国ミュージカル『SMOKE』で興味を持った。韓国人は詩への評価が高く、日本でいう文学の位置を占めているそうだ。当時気になって『空と風と星の詩人~尹東柱(ユン・ドンジュ)の生涯~』までチェックした。
2004年2月29日、キム・ヒャンアン(ソニンさん)88歳は生涯を終えようとしている。手帳をめくって自分の人生を思い返す。
二十歳の時(1936年)、詩人イ・サン(相葉裕樹氏)と楽浪(らくろう)パーラーで出逢ったピョン・トンリム(山口乃々華さん)。防風林を歩きながら詩について語り合う毎日。理解されない天才詩人を励ます。
「凡人の言う事なんか相手にしないで」
まるで三点リーダーのような気持ち。
「一緒に死んでくれませんか」
2つの時系列が交差する物語の面白さ。イ・サンとピョン・トンリムは戦前から順行。キム・ファンギとキム・ヒャンアンは現代から逆行。戦前と戦後、この2組のカップルが重なる時間軸。ソニンさんは最高。理想的ミュージカル女優。
生演奏のピアノ(落合崇史氏)とヴァイオリン(廣田碧さんと森麻祐子さん)も素晴らしい。
貴方の感嘆符を信じて!
『口車ダブルス』
劇団フルタ丸
小劇場B1(東京都)
2024/07/10 (水) ~ 2024/07/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
劇団俳小の『ゴールデン・エイジ』が急遽公演中止。折角なのでこちらに伺った。
脚本が抜群。頭一つ図抜けている。一人ひとりの人間の魅力を余す所なく書き連ねている。ちょっと単調な展開もあったが、「悪そうな奴とは大体契約」の笑いで帳消し。
二つの可動式の高座、二つの釈台、各々に張り扇(おうぎ)と扇子。釈台に叩き付ける張り扇がリズムとなり客席を煽る。シーンによって演者が二人一組で高座を色々な角度に移動していき、その都度舞台デザインのフォルムが変わる。
二人の講談師(真帆さんと篠原友紀さん)が語り始めるのは生命保険会社「第三生命」の人間模様。突如、外部から営業部長として送り込まれた二人。徹底してデータと数字で理詰めの管理をする真帆さん。一見ド素人ながら人の好さでフォローする篠原友紀さん。二人は部長でありつつ、講談の中で様々な役に化けていく。
成績No.1で叩き上げの大勝かおりさんは自分が部長に選ばれなかったことに少々不満顔。
にしやま由きひろ氏は多趣味で、変わった石を拾う楽しみを覚えた。
優秀なキザ野郎、松尾英太郎氏の決め台詞「夢を見てしまえよ!」は最高。
幼稚舎からの慶應ボーイのキタラタカシ氏は刺激に飢えている。
色恋営業で契約を取りまくる神咲妃奈(ひな)さん。
新卒の涼田麗乃さんの教育係に大野朱美さんが命じられる。大野朱美さんは落語家を目指していた時期があり、今でもそれを引きずっている。
セールスマンの営業心理学テクニックが炸裂する。
ラポール(信頼関係)形成、ミラーリング(相手に合わせる)、ペーシング(自身を調節する)、などなど。
神咲妃奈さんは板野友美のアヒル口に多部未華子の目力みたいな美人。こういう女に男はことごとく騙される。それはDNAに刻印された本能で、そう創った造物主が悪い。ホストに騙されて立ちん坊をしている女達も同様。自分の意思を超えたところで惹き付けられてしまうのだからお手上げだ。
大勝かおりさんはナンノっぽい。
にしやま由きひろ氏は渡辺いっけい似。
作・演出を兼ねるフルタジュン氏はタカアンドトシのタカとFUJIWARAの原西を足したような味。
あやめ十八番を観ている時の感覚に近い。
講談師の篠原友紀さんが他の人の熱演を真剣に見ていて、うんうん頷いたり笑いを必死にこらえたりする様がこの劇団の強みだろう。嘘偽りなく演者が本当に面白いと思って演っている。理想的空間。才能が溢れ返っている。