奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話 公演情報 イキウメ「奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    隣のシアターウエストでは篠井英介氏の『天守物語』が公演中、これも妙に観たくなった。未だに衝撃的な『人魂を届けに』の山鳥さん役。

    開演前から舞台上の和風庭園に一筋の砂が天井から降り続けている。下手に石が積まれた小さな祠、上手に小振りな梅の木。ふと砂が止み、遠くから銅鑼や鉦の音が聴こえてくると開幕。能のすり足(ハコビ)で出演者が現われる。小林正樹の『怪談』っぽい格式。これはかなり凝った作りだな、と身構えるとスッとスカしてくる。安井順平氏が出て来ると何故かホッとする。松岡依都美さんが出演しているとは知らなくてあれ、まさか?と驚いた。凄え豪華な配役。生越(おごし)千晴さんは若き荻野アンナ顔の上品な美人。平井珠生さんは田畑智子と中井りかを足したような現代的キュート。

    舞台は山奥の廃寺を改築した旅館。長期滞在している小説家(浜田信也氏)、偶然迷い込んだ二人の飛び込み客(安井順平氏と盛隆二氏)。そこの女将(松岡依都美さん)と従業員達(森下創氏、大窪人衛氏、生越千晴さん、平井珠生さん)。何となくの流れで、百物語宜しくこの地に伝わる怪異譚を順番に語り聞かせることとなる面々。その内に別の物語が頭をもたげてくる。

    世田谷パブリックシアター主催の「奇ッ怪」シリーズは3作品あるが、今作は1作目のセルフ・カバーらしい。
    自分が偉そうに言える立場にないが、この作家は金が取れる。プロの脚本。成程、納得。ここまでサーヴィスしてこその商業演劇。テーマは「グレイトフル・デッド」。
    文句なしに面白い。

    ネタバレBOX

    安井順平氏の靴下がストッキング並みの薄手で気になった。
    松岡依都美さんが凄惨な女幽霊を演った後、そのまま雑談に参加。「女将、ちょっと髪が乱れております。」の言葉で中座。観客大受け。
    グレイトフル・デッドの意味が「感謝する死者」であることを知って驚く。ディラン&ザ・デッドの『天国への扉』は死ぬ程聴いた。

    ①常識
    白い巨象に乗った普賢菩薩が毎晩寺にやって来る。その日たまたま居合わせた猟師が取った行動とは。
    ②破られた約束
    妻が亡くなる時、絶対に再婚はしないと誓った夫。だが暫くして後妻を娶ってしまう。
    ③茶碗の中
    茶碗の中に一人の男の姿が見える。無理矢理飲み込んでみたがその晩訪ねて来る。
    ④お貞の話
    死の間際の恋人が必ず生まれ変わって会いに来ると約束する。
    ⑤宿世の恋(『霊の日本』の「惡因緣」)
    原作は当時大ヒットしていた落語の『牡丹燈籠』をアメリカに紹介した話。

    浜田信也氏の覚悟が胸を打つ。
    「地獄に堕ちるのだぞ!」
    「それが悪いとも限るまい。」

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    2024/08/25 22:03

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