歩かなくても棒に当たる 公演情報 劇団アンパサンド「歩かなくても棒に当たる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    女ジャック・ニコルソン、川上友里さんは三好栄子っぽい。この人はヤバイな。もう作家性がどうのこうの全て吹っ飛んでしまった。『めちゃイケ」以前の江頭2:50を投入してしまった感じ。作品はもう全部乗っ取られた。観客は唖然として見守るのみ。「ハ〜~~~イ。」

    『悪魔のしたたり』(1974年)というカルト映画がある。サルドゥという見世物小屋のオーナーがさらってきた人々を延々拷問して殺す話。世間的には黙殺されたがその筋の人には好評で監督のジョエル・M・リードはカリスマ的な敬愛を集めた。だが後年インタビューに答えた監督によると、サルドゥ役の俳優に映画を乗っ取られてしまいあんな作品になってしまったそうだ。「自分にこんな趣味はない。こんな映画を撮るつもりはなかった。」

    やっぱり山内ケンジ氏っぽさを何となく感じた。下らない細かいところと真剣に向き合い、そのディティールにこそとことん拘る笑い。強迫神経症的。
    シアタートップスは相変わらず冷房の効きが悪い。ステージ上も汗だくで客席もキツかった。ケチってんのか?

    マンションの共用のゴミ置き場。普通この規模だと管理人を雇うのだが団地のように住民の自主管理に任せている。
    新しく引っ越して来た西出結さん、8時50分位にゴミを出しに来たが収集車はもう行ってしまったっぽい。
    下の階の永井若葉さんも冷蔵庫の電源が落ちてしまい腐った生ゴミを出しに来る。
    (主催・脚本・演出も兼ねている)安藤奎(けい)さんもゴミを出しに来る。
    3人はまだ収集車は来ていないと踏んでゴミを置いて行こうとするのだが・・・。

    ネタバレBOX

    駅前のベローチェの店長、生真面目な安藤輪子(わこ)さんがやって来て置かれたゴミに憤慨。3人は話を合わせて憤慨する。
    声の小さいマイルール満載の鄭亜美さんも遅れてゴミ出しにやって来る。

    挨拶と自己紹介とゴミ出しのルールを巡る気まずさが妙な空気感を作って面白い。皆ゴミを置いてさっさと帰りたいのだが、共同体のルールとモラル、体面とに板挟み。そして頻発するサナエさんの話。このゴミ置き場に腰を据え、自主的に住民のルール違反を監視していた女性。一年前に事故死し、その空室に西出結さんが越して来たらしい。

    (彼女とは気付かなかったが)鄭亜美さんはカリカの家城啓之を思わせる強烈なキャラ。一人ボソボソ喋る為、それを聴き取る為に客席がシーンとなった。
    永井若葉さんは原由子っぽくて、じっと人の行動を無言でチェックしているような感覚。近所にいたら嫌だろうなあ。

    原作スティーブン・キング、監督ジョン・カーペンターのB級映画が狙い。西出結さんの左肩に人面瘡が出来、無理矢理剥がしたところ、サナエさん(川上友里さん)となって受肉する。死後の世界から甦ったサナエさんは合理的な考えを持たない。彼女にプログラミングされている思考はルールを守るか守らないかだけ。「ルールを守らない悪い子ちゃんには御仕置しちゃうぞ!」と徹底した残虐な暴力を振るう。荒れ狂う化け物に為す術がない女達。西出結さんがサナエさんの存在に対する自己矛盾を突くラストはまさにキング節。

    観客大受け、大成功だろう。
    個人的にはサナエさんが現れてからが長過ぎる。『エクソシスト2』や『地獄の門』のように無駄に聖書なんかを絡めて欲しい。

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    2024/08/12 14:12

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