ドグラ・マグラ
演劇企画集団THE・ガジラ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2017/06/04 (日) ~ 2017/06/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/06/07 (水) 19:00
「生きていたのか呉青洲!」という、まんまの舞台でした。そこが凄いですよね。「ドグラマグラ」は一旦、読み手の解釈を加えたとたんに破綻してしまうような作品です。一生、直には見られない自分の顔のような、掴むことのできない雲のような、逃げられない影のような作品。作品との距離を付かず離れず、微妙なバランスで保ちながら演出するのは大変だったろうなと思います。忠実に忠実に、そのためには削除も厭わず、「ドグラマグラ」の神髄を抜き取り見せるような舞台でした。
(えっ?何を言っているか判らないですって。私はまだ胎児ですので許してください)
Die arabische Nacht|アラビアの夜
shelf
The 8th Gallery (CLASKA 8F)(東京都)
2017/06/02 (金) ~ 2017/06/05 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/06/02 (金) 19:00
ローラント・シンメルプフェニヒの「語りの演劇(Narratives Theater)」とはそういうことだったのか。本来、演劇とは「語るな、演じろ」ということが基軸だと思っていたし、説得力を感じていた。しかし、壁も扉も階段もない空間で、床に示されている位置や状況のみを説明する文言。登場人物は舞台装置の変換ではなく、自身の発する言葉で、今の自分の状況を示し心情を吐露する。始めは何とも違和感を感じたけれど、進行するうちに、その最小限とも言える身体表現が言葉で膨れ上がり、何よりも大きな説得力を持ってくるのである。なるほどね。
まつろわぬ民2017
風煉ダンス
座・高円寺1(東京都)
2017/05/26 (金) ~ 2017/06/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/05/28 (日) 14:00
座席1階1列
いやあ、素晴らしい。白崎映美さんの女っぷりのよさに拍手拍手!!!!鬼、東北、ゴミ屋敷、行政、1000年。言わずもがなですが3.11が舞台の背景にあります。しかし、けしてそれを引き摺るではなく、そこを原点として前に進もうという意思であふれています。いやあ、歌とユーモアとダンスの奔流は2時間半を、物凄い強度で圧縮し、けして淀みを見せません。とにかく観てください。私の言葉などでは何も表現できません。
舞台を初めて観る方に、なぜ「絶対観るべし」がないのだろう、とちょっと意固地になります。
GIRLS(大好評終演御礼!次回MUは11月コメフェス、2018年2月下北沢駅前劇場・下北沢演劇祭へ参加!)
MU
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2017/05/24 (水) ~ 2017/05/30 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/05/24 (水) 19:30
座席1列
MUの男優陣(青木友哉さん、成川知也さん)は体に自信があるんだなあ、という意味のないツッコミはおいておいて、、、MUの皆さん含め全員、初日にもかかわらず、セリフを噛まないことはもちろん、淀みがなくいリズムのある進行は、さすが10年選手MUの舞台でした。ただ、「めんどうくさい女」「SUPER ANIMAL」共に、もっとテンポは上げられると思うので、2日目以降のアップテンポに期待します。そうすると、両作ともほとんどがベッド周りのまったりした芝居なので、笑いどころも、思い入れどころもメリハリが効くように思います。
兎洞大さんの活舌とリアクションは、キレキレでしたねえ。本当にノン気なのかどうか???な、微妙な感じがよく出ておりました
温井さん、天動虫入団後、初外部出演おめでとうございます。(中野の公演時は、まだ入団前でしたよね)でも、「SUPER ANIMAL]ああゆうテイストの芝居はちょっと照れます(汗)ただ、まだまだ成川知也さんのリードで進んでいますので、千秋楽には彼に汗をかかせないほどの立場で演じきってくれればと思いました。遠慮はいりませんよ。MUさんは、なかなか懐の深い劇団さんですから。それと、すぐ横で拝見した時、右肘の傷が気になりました。お大事にしてください。稽古のときにできたのなら、ハセガワさんの命(タマ)取りに行きますけん! (笑)
23階の笑い
Grass919
小劇場B1(東京都)
2017/05/23 (火) ~ 2017/05/28 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2017/05/23 (火) 19:00
座席1列
今となっては、せっかく直近で博品館でも、同演目の舞台があったので見比べてみたかった。というのも、こちらGrass919の芝居が、どこまでオリジナルで、どこまで演出なのかがよく解らなかったから。別にオリジナルと演出どちらがよいということではなく、オリジナルが判ると演出の妙が味わえるし、他の演出と比べれば面白さが一層堪能できたのかと思えるからだ。
喜劇作家が詰める事務所の場所が、23階らしい。舞台上では語られないので、タイトルそのままということになるのだと思う。
サイモンの自伝的作品ということで、1950代の雰囲気がとてもよく出ている。
マッカーシーの赤狩りや、スターリンの死去、ソ連の核兵器保持などの政治ネタ、果てはマーロン・ブランドの映画「ジュリアス・シーザー」がこけたというネタまで盛り込まれ、移動する窓枠をうまく使い屋外の活況のニューヨークをうまく表現して見せている。
喜劇作家の1人、真那胡敬二、コメディアンのMaxこと大森博史、この2人の壊れっぷりもよい。(本当に壊れているのか、と思うくらい)ラストの挨拶の時の、常人ぶりにほっとしたものだ。
『あぁ、自殺生活。』4月~6月/365
劇団夢現舎
新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)
2016/12/31 (土) ~ 2017/05/29 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/05/15 (月) 19:30
まず、導入が怖いです。主人公たる2人が薄明りの中、こちらに歩いてきます。何かそのままとびかかってくるのかという緊張感。最前列の私はひたすら怖い。そうでなくても、会場の雰囲気が、開演前からどうも尋常じゃないのですから。
かなり怪しい舞台だな、と思っており、会話劇ということは理解していましたが、何やかやと細かい所作が連綿と続きます。その1つが、体に巻き付いたラップをはがしていくところ。この行為に何を見るかで、演劇の印象はかなり変わると思います。
自殺する生活、それはひたすら自身を殺し続ける(精神的な意味で)生活を意味するのかなと思っていましたが、違ったようです。絶え間ない生への執着を持つがゆえ、自殺してやろうという意思に自身の生の喜びを見つける所作。自身を頬をつねりながら、その痛みで生の実感を得るようなものでしょうか。
舞台の上では、ひたすら狂気が漂い、言葉の暴走が起き、そしてしょーもないダジャレが飛び交います。これはすごく不安な空間でもあり、またどこに連れて行かれるかわからない心地よい空間でもあります。
自殺志願の男の鬱屈した目と、彼を諫める男の焦点の定まらない目、舞台が終わると、お2人とも、至極まっとうな方々で、安心しました。リピーター割があるので、少ししてからまた観に行きたいなあ。今度は芝居好きの子供を連れて。
歌舞伎ミュージカル「不知火譚」
劇団鳥獣戯画
本多劇場(東京都)
2017/05/10 (水) ~ 2017/05/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/05/11 (木) 19:30
座席1階E列
奇しくも今年正月に、国立劇場で上演された歌舞伎「しらぬい譚」と同じ原作の歌舞伎ミュージカル。「奇しくも」というのは、この演目自体が「復活通し狂言」と銘打たれるくらいに滅多に上演されないので、ジャンルとしては異なりますが、このスパンで上演されること自体が奇蹟に近いのです。
歌舞伎では、天草四郎などのお家転覆のファクターはなく、あくまで鳥山親子VS若菜姫、化猫(別に連合軍ではない)の図式で進んでいきます。
鳥獣戯画は3部作で、この大長編戯作を、できるだけ原作に近づけて(といっても、十分に歌舞伎以上に傾いてくれるのですが)演りとげる所存のようです。
まずは第一段。けして派手ではないですが、舞台転換をさくさくと進めながらテンポよく話は進んでいきます。仕掛けは凝っており、若菜姫が蜘蛛の精に連れ去られた後の空中演舞、後の天草四郎が亡き父の亡霊と会うときの演出、殺される悪女とその色との首ダンス、ラストの大掛かりな〇〇登場と蜘蛛の巣のセット。
いやあ、お世辞抜きで、笑いあり、活劇あり(殺陣もしっかりしているんですよね)、ダンスありの舞台はまさにエンターティメントの粋をいっております。適度に歌舞伎の所作・ルールを意識しているところなど心憎い。
石丸さんの悪女ぶりがいいですね。小股が切れ上がった痛快な悪、でも、今回で死んでしまい残念。(次回からはナレーターやるのだそうな)
出演人数も多く華やかで、ラスト出演者全員でのレビューは圧巻です。舐めるなよ伝統芸能!!!とい喝采を上げたくなりますね。
1999の恋人
NICE STALKER
駅前劇場(東京都)
2017/05/04 (木) ~ 2017/05/08 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/05/08 (月)
千秋楽拝見しました。盛況でしたね。
軽快なテンポで進む舞台は、老若男女を問わず巻き込める不思議な空間でした。
イグロヒデアキさんは、あそこまで想われているんだから観念すべきです。
そんなに、女性に縁があった人生とは思えないしね。
でも、高校生以下100円以下というのは、1999年に生きていなかった方々へのハンデキャップ料金という意味合いですよね。
僕は僕する
劇団天動虫
要町アトリエ第七秘密基地(東京都)
2017/05/03 (水) ~ 2017/05/07 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/05/04 (木) 13:00
私は寺山修司を作品(戯曲、舞台、詩、映像)として知らない。(人物としては、経歴などそれなりには知っているが)まあ、興味がない。なので、天動虫の公演でなければ(この劇団には「飛び火」でやられて、それ以降逃げられない)観なかったと思う。そうした個人の感想としては、それでも面白かった。
1時間がもっともっと長く感じられた。終わったときに時計を見て信じられなかった。
それだけ濃密な時間だったのだと思う。
言葉はいくら引用だとしても、それを誰がどのように使って、何を表現しようとするかによって、本来の持たせられた意味や背景を逸脱していくものだ。学術の分野でそれは許されないが、創作の分野ではそれをしないことが許されないと思う。
そうした意味では、帆足知子さんが寺山修司の言葉をコラージュし、声と身体表現で見せたのものだとして十分に楽しめた。
帆足さん自身、私が観た時点で振付が固まっていないところが幾つかあると言っていた。役者の方々の動きに取り決めがあるのは当然として、多分に各人の情動に任されているのだろう。戯曲のセリフと違い、言葉のコラージュはその日その日の感じ方が違っていくことは容易に想像がつく。そうであれば、役者同士の感情表現の相互性が、常に新たな舞台を生成しているということなのだろう。
私はそうしたパフォーマンス生成の連続が面白かったのだと思う。
感想を書かれていたzeezoさん、ちなみに別売りのパンフにも、セリフの抜粋はありませんよ。でも、ご意見はごもっともと思いました。
最期にジョニーさん、舞台共々パンフレット作製、大変お疲れさまでした。
「蝉の詩」
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2017/04/25 (火) ~ 2017/05/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
私は月1回、母親と演劇を観に行きます。歌舞伎(たまにオぺラ)ということもありますが、新劇が多い傾向にあります。母は戦前の生まれ、あまり突飛なものにならないことや、割とゆったり観れること、そしてできれば彼女の生きた時代と重ねられることなどを思うことからそうした傾向になっているのだと思います。
ですから、小劇場などはまず想定していなかったのですが、桟敷童子とチョコレートケーキには、母親にも観るべき何かがあるという気がしておりました。
そこで求められるのは、昭和の風景です(必ずしも明るく快いものばかりではありません)。しかし、俳優座でも民藝でも文学座でも、昭和という時代を見せてくれくれる舞台には出会えません。苦しさは個人の感情に還元されてしまい、明るさもお茶の間的なほのぼのさとしてしか表現されないのです。
そして、「蝉の詩」。初めての小劇場でしたが、見せてよかった。それは私もうろ覚えながら知っている昭和であり、感じてきた昭和がありました。生きることへの執着のある時代。これほど見事な世界を作り出すとは。
この舞台の高い悲劇性・悲惨さも、人間のリビドーが作り出す笑いでうまく中和されています。それが素直な観客の涙につながるのでしょう。けして悲劇への感情移入が涙を流させるのではなく、ひたすら湧き上がる高揚感が涙を流させるのです。桟敷童子の力量の高さです。母に見せて正解でした。
すこやかに遺棄る
芝居流通センターデス電所
OFF OFFシアター(東京都)
2017/04/26 (水) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
これほどの娯楽性と「禍々しさ」が同居した舞台は観たことがない。確かに笑う笑う、そしてその背景にあるぞっとするような禍根の渦。ぱっくりと笑劇を割くように姿を見せる絶望感。何とも言えぬ居心地悪さが襲う。
チラシのストーリー書きを読むと、その曖昧な表現が醸し出すオカルト色に惹かれたのだけれど、どうみてもタイトルはしゃっれぽいし、何かかわいらしいイラストは入っているし、いったいどうなっているのと思ったけれど、双方正解。そういうことだったのね、という舞台でした。
入場の際に、あんな物を配ったり、配られた紙面にあんなことを書いたり、煽ってくれますが、これも演出なのかな。是非、芝居に
一期一会を求めるのであれば観てみるべき1作。
ただし、5人という限られた人数が劇中の回想含めて演じているので、服装がそのままで別の人物を演じなければならなかったのは、ちょっと興が削がれるなあ。
それと、あそこまで朗々とセリフがうまくはまっていたのに、ハブ・サービスさん頑張ってよ!
「遍在、或いは、いつもの軽く憂鬱な水曜日について」
ヘアピン倶楽部
シアター711(東京都)
2017/04/26 (水) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/04/26 (水) 18:30
「遍在」つまりどこにでもある話だ。考えるだに、展開を追い続けていると恐ろしくなっていく舞台である。結婚パーティの夜、そこに集う男女5人。この5人は、お互いの存在に気づかないのか、それとも気づこうとしないのか、話は双方向的になることもなく、ひたすらすれ違っていく。もちろん、彼らも相手を全く無視するというわけではない。一瞬、お互いを受け入れようとするが、そのささやかな努力さえも、失われたものを取り戻すことができない。その失われた状況は私たちの日常に遍在しており、明日の水曜日の朝を迎えることへの軽い憂鬱さを招いている。安部公房かルイス・ブニュエルの作品を思い出す、真実を露出させることによって成立した素晴らしい不条理劇。
大神家の一億
劇団ハッピータイム
ブックカフェ二十世紀(東京都)
2017/04/22 (土) ~ 2017/04/23 (日)公演終了
満足度★★
鑑賞日2017/04/23 (日) 18:00
とてもコメディーに真摯な劇団だと思います。
まずは、お詫びです。「大神家」だったのですね。「族」と「億」の韻だけに目が行っておりましてそこ観ておりませんでした。
誘拐されたのは、、、そしてその理由は、、、というのは、設定として面白かったのですが、設定自体に真摯な分(一定の合理性を確保しているので)、かなりラストがベタな展開過ぎて、、、ちょっと残念でした。
ふくろう
劇団昴
Pit昴/サイスタジオ大山第1(東京都)
2017/04/17 (月) ~ 2017/04/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/04/18 (火) 19:00
ふくろうはもちろん出てこない。鳴き声で暗示されるだけ。それでも、かなり新藤兼人さんのシナリオに忠実に作ってあり、新藤監督が意図していた一幕物を舞台という空間で忠実に作り上げています。戦中戦後の苦しみが親子の身体性と、「花」の歌詞を通じて見事に描かれています。
北村さんは、長い芸歴の中でこれが初演出というのは意外な感じがしましたが、ご本人いわく役者の方が楽しみが多いからだったそうです。
田渕真弓さんは、怪しい魅力のある方ですね。
わが兄の弟
劇団青年座
紀伊國屋ホール(東京都)
2017/04/07 (金) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
遠近法を強調するかのような、前傾になった舞台。皆さん三半規管大丈夫なのだろうか。舞台上の明るい会話もユーモアも、全てにほんのりと死の影を漂わせる舞台です。
ただ、舞台上では誰も死にません、それは語られるに過ぎず、故に死の現実は夢幻のように虚ろで、ただ香り立つしかないのです。
「贋作」いいじゃないですが、立派なチェーホフ傳ですよ。
セリーヌの世紀
劇団解体社
左内坂スタジオ(東京都)
2017/03/22 (水) ~ 2017/03/31 (金)公演終了
満足度★★★★
セリーヌという名前は、どこかで聞いたことがある。まあ、フランス風の名前なので、そう思い込んでいただけなのかとの思いながらも、予備知識なしで観に行った。
セリーヌに関するデンマークのピーター・ラウゲセンという現代詩人へのインタビュー映像とその訳文を投影し、そこにセリーヌの世界を再現していく。演劇というよりは、身体表現。セリーヌって何なの?暗澹とする空間と抑圧的な台詞に、ただただ聴覚・視覚をゆだねることの不安と恍惚。何なんだこれは?説明不能というか、言葉を持てない。せなお、帰ってセリーヌを調べると、、、、今から30年以上前、神田の幾つかの古書店で見かけた、あの分厚く濃朱のカバーを付けた本が出てきました。ああ、あれを書いた作家なのか、天井裏の書庫に1冊くらいあったかもしれない。でも読んではいないな。
だいこん・珍奇なゴドー
流山児★事務所
ザ・スズナリ(東京都)
2017/03/15 (水) ~ 2017/03/22 (水)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/22 (水) 17:00
座席1階A列6番
この作品もやはりゴドーは来ない。というか、ゴドーという存在がいない。エストラゴンもウラディミールも、ポッツオもラッキーも、使者の少年もいない。でも、やはり「ゴドーを待ちながら」なんだよね。「だいこん」への執着はよくわからないけれど。
立派な音楽劇でもあります。
ちなみに、X・Y席に座ると、思わぬプレゼントがもらえるかも。
珍奇な珍奇なゴドーです。解説も評価も不要。
彼の町
劇団銅鑼
俳優座劇場(東京都)
2017/03/15 (水) ~ 2017/03/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/19 (日) 15:00
この舞台のよさは、劇中劇という形でチェーホフの短編をつなげることで、細々とせずにチェーホフの短編を幾つも観られること。そして、チェーホフ劇を演じる役者役の役者さんたちが、自身のチェーホフへの思いを体現しているように感じられること。構成・演出の勝利です。
泥の子と狭い家の物語
こぐれ塾
浅草木馬亭(東京都)
2017/03/22 (水) ~ 2017/03/26 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/22 (水) 19:30
座席1階2列
「観たい」に投稿されている方同様に、鵺的「フォトジェニック」後、小崎愛美理さん主演の舞台ということで観劇に参りました。また、1人の人物(魔女)が家庭内に入り込み家庭崩壊を招く、それに16歳の娘が立ちはだかるというストーリーにも興味がありました。
元は大阪を舞台としたラジオドラマだったそうですが、今回は公演場所の木馬座がある浅草に舞台を移し、原作に若干のアレンジを施したそうです。
大阪から東京に舞台を移すとなると、やはり言葉の問題があります。単に言葉を変えるだけではなく、大阪弁特有のニュアンスもあるでしょうから。「悲喜劇」とうたっている以上、喜劇の部分に不安がありましたが、そこは無理せず。大阪弁のところは、酒井さんと浅野さんが担当し、小崎さんが興奮すると関西弁を時折混ぜることで、笑いの部分は十分クリアしていました。言葉のギャップとして、むしろ標準語がメインになることで、悲劇性を高めることができたようにも感じます。
小崎さんは、「フォトジェニック」の倒錯的な演技とは打って変わり、なななんと16歳の娘を、ある時は情熱的に、ある時は淡々と演じきっております。パンフレットでは、「一筋縄ではいかない女優」と評されていましたが、まさに言いえて妙。あの憂いのある目元は変わらないのですが、これほど演じ分けができるのですね。
浅野彰一さんのコメディーリリーフも素晴らしい。
舞台変換はほとんどないのですが、それでも幕を閉じることで屋外を描き出して、そこでのやりとりが浅草の小演劇を彷彿させます。(ただし、屋外の場では笑いがまったくないので趣向としてですが)一見の価値があります。
炎 アンサンディ
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2017/03/04 (土) ~ 2017/03/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/11 (土) 13:00
パンフレットを読む限りでは、役者の皆さん(再演がそもそも好きじゃないのか)、今回の再演には乗り気ではなかったみたい。それでも、オファーがあり、それに誰一人として欠けることなく出演したのは、この作品には、まだまだ演れることがあるという判断なんだろうな。
麻実れいさん毅然とした演技、娘時代の演技との乖離が素晴らしい。
岡本さんが後半出てくると(前半にも他の役で出てくるんだけれども)、舞台の重さは、とたんに軽くなると同時に陰惨さを纏い、雪崩を打つように悲劇色を濃くしていく、こういう役はうまいよなあ。那須さんも、童女のようなあどけなさを演じられる稀有な役者さんだし。
3時間強があっという間でした。