満足度★★★★★
鑑賞日2017/04/26 (水) 18:30
「遍在」つまりどこにでもある話だ。考えるだに、展開を追い続けていると恐ろしくなっていく舞台である。結婚パーティの夜、そこに集う男女5人。この5人は、お互いの存在に気づかないのか、それとも気づこうとしないのか、話は双方向的になることもなく、ひたすらすれ違っていく。もちろん、彼らも相手を全く無視するというわけではない。一瞬、お互いを受け入れようとするが、そのささやかな努力さえも、失われたものを取り戻すことができない。その失われた状況は私たちの日常に遍在しており、明日の水曜日の朝を迎えることへの軽い憂鬱さを招いている。安部公房かルイス・ブニュエルの作品を思い出す、真実を露出させることによって成立した素晴らしい不条理劇。