タッキーの観てきた!クチコミ一覧

2001-2020件 / 2248件中
本間さんはころばない

本間さんはころばない

九十九ジャンクション

小劇場B1(東京都)

2014/09/30 (火) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白い!
脚本はわかり易く、演出は丁寧で、それに応えた演技は見応えがあった。また、舞台セットは随分と造り込んでいた。
さて、水難事故を通して救助された本人と救助し命を落とした人の遺族が向き合ったことで明らかになった事実・真実は…。
人は色々な側面を持っており、だから一概に決めることが出来ない。そんな当たり前の事だが、改めて感じ入った。
登場人物は、立場による建前・本音をしっかり表現し、人間臭さを見せることで観客の共感を誘う。この流れとテンポの良さが心地よい。
そして内容は、日常生活に近いところを描くが、その心情や懊悩が見事に表現されていた。とても秀逸な芝居だと思う。
次回公演も期待しております。

ネタバレBOX

真実は藪の中。
救助された本人曰わく、実は本を万引きし、捕まらないために川へ入った。それを追った方は、足を滑らし事故死したと。
一方、遺族からは父親は、日頃川は危険である旨話していた。本当に助けようと川へ入ったと(助け舟的な台詞かも)。
どちらにしても「命」は大切にと言うことだろう。
The World is Yours

The World is Yours

トランス☆プロジェクト

テアトルBONBON(東京都)

2014/10/01 (水) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★★

自分探し
インターネットというバーチャルな世界の方が自分自身を曝け出せるという、逆説的な話。説明にあるあらすじ「主人公マキトが訪れたインターネット上の世界『ミラーワールド』。 そこでは誰もが自分の分身『アバター』を作って生活を送っていた。 そこでマキトは『人を探している』と語る男性と出会う」ことになる。虚構の中の真実は継続できるのか。そもそも虚の中に実は存在するのか、という疑問が生じる。
バーチャルな世界では、自分の性別・年齢・容姿について事実を登録していない。第三者に成りすまし、自分の本当に行いたいこと、言いたいことを実行している。それは本当の自分を相手に見せることなく、嘘のままだから可能ということらしい。自分らしさとは…実に興味深い公演であった。
最後はそうなるであろう展開に胸を撫で下ろした。

今後の公演にも期待しております。

ネタバレBOX

性同一障害であることをカミングアウトできず、本当の自分を表現出来ない悩みが、バーチャルの世界へ逃避させていた。
最後はカミングアウトし、現実の世界でインターネット上の人と会うことになる。自分に正直にと言うのは簡単だが、世間的にはまだまだ理解が進んでいないだろう。そういう意味では、意義ある公演だと思う。
第三帝国の恐怖と貧困

第三帝国の恐怖と貧困

劇団わらく

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/10/02 (木) ~ 2014/10/06 (月)公演終了

満足度★★★

物足りない
ブレヒトの「第三帝国の恐怖と貧困(悲惨)」は、当初そのパロディ「第三定食と豆腐と蓮根」として上演される予定であったが、事情により変更したもの。
さて、本作は20世紀を代表する劇作家ブレヒトの記念碑的な大作であり、全編を上演すると4時間を超えるらしい。ナチス統制下における小市民の不安な日常を描いた情景のうち、「白墨の十字」「黒い靴」など10景を上演した。もともと色々な劇団で上演されるほど魅力のある作品だからストーリーは面白いが、演技でその面白さを現し切れなかったと思う。もっと言えば役者間の演技力に差があり、バランスを欠いていたと思う。

何気なく見逃してしまいそうな新制度の中に、将来を危惧させる重要な決め事が…どんな時代でも真を見誤らないよう心したいと思わせる芝居であった。
そして何より、無関心が将来に悪影響を及ぼすということを示唆しているようであった。
今後の公演に期待しております。

ヨロタミュージカル2 Ready Go ~あいのままで~

ヨロタミュージカル2 Ready Go ~あいのままで~

劇団ヨロタミ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2014/09/25 (木) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

心温まる
ヨロタミらしい。ふんわりした気持ちになる公演だった。
今回はミュージカルであったが、残念ながら「歌」は厳しいのでは…。それとも狙いだったんでしょうか?

ネタバレBOX

いつも変わらず舞台セットは素晴らしい。
会場内に入った途端、温泉旅館が出現したような錯覚を起こさせる。
この旅館を舞台に、女将の娘が男と別れて帰ってきたところから始まる。
旅館の従業員・卸業者・宿泊客などが絡んだヒューマンドラマといった様相。

この劇団の好きなところは、奇を衒わずともしっかり観(魅)せてくれるところ。
コミカルな演出だが、泣き・笑いのツボを押さえ、最後は観客を安心させ、楽しい気持ちにさせてくれる。

次回公演も楽しみにしております。
ウーララ

ウーララ

マグネシウムリボン

d-倉庫(東京都)

2014/10/01 (水) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★★

不思議な世界観
エレベータに閉じ込められた男女の物語。
素舞台にエレベーター内の大きさを示す白地の布テープが貼ってあってあるだけ。
その狭い空間から、広く不思議な世界観を描き出した好公演である。
その状況変化を上手く観客に伝えることができたと思う。

ネタバレBOX

舞台上は、三次元、二次元、時空移動、黄泉?(「三途の川」の此岸側)など、色々な次元の世界観が現れるが、設定の妙により上手く描き分けられていた。

さて、エレベーターに閉じ込められた人達は、何らかの作用で機外へ出るが、そこがどこなのか解らない。そこに、二次元 (マンガの中の登場人物+α)、時空移動(エレベーター内にいた男の十数年前の妻、黄泉?にいる女、さらに潮干狩りをする不思議な男。

更には隕石の衝突という突飛な事象まで盛り込んだ。
混沌とした展開だが、ストーリーは破綻しなかったと思う。
それは、登場する人物の性格、性癖、生活環境、現況を吐露し合うことで共感が生まれる、という訴求の過程が丁寧に描かれたからだと思う。
そのドタバタの中で見えてくる人間の本質 (ここでは「心」の開放か)は、役者の演技で十分に観(魅)せてくれた。

今後の公演も期待しております。
“秋の、死んで貰います祭り!!”地獄の3本同時上演!!!

“秋の、死んで貰います祭り!!”地獄の3本同時上演!!!

good morning N°5

OFF OFFシアター(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/10/04 (土)公演終了

満足度★★★★

刺激的…愛欲の乱NEO
女子高における劇中劇…。
実際の高校では絶対演じられることはない毒舌・暴走という言葉がピッタリする刺激的な公演。
ちなみに観劇しながらの飲食は自由であった(役者が売り子になっていた)。

ネタバレBOX

開演前は役者が舞台上(緞帳(どんちょう)前)で、飲食やDVD、Tシャツの物販を行っている。
その姿は女子高生の恰好である (41歳と20歳台前半~30歳台前半の5人の計6名)。
開演後はビキニ、手ぶら、さらに全(隠)裸と刺激的な肢体が躍動する(全(隠)裸の時はさすがに躍動しない)。

女性である前に人間である…そういう意味で人間の「欲」本能が描けていた。逆に人間だが女性として見た時、こんなに下劣、卑猥なのかという「欲」の醜さ。女性の「愛欲」…業の深さを思い知った。

今後の公演も楽しみにしております。
落伍者。

落伍者。

ラチェットレンチF

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/09/30 (火)公演終了

満足度★★★★★

真摯な…
落語という芸を極める噺家の物語。
落語は世相・人情を滑稽な咄(はなし)に仕立て、最後に落ちのあるもの、だと言う。
公演でもその咄を十分取り入れて味わい深く仕上げていた。

ネタバレBOX

「死神」 「品川心中」 をモチーフにした物語であったと思う。
落語の咄 「死神」 に研きをかけ名人域を目指す話と、公演全体を牽引するミステリアスな咄 「品川心中」 を上手に紡いでいた。

少し強引な展開もあるが、“咄”のエキスは十分注ぎ込まれていた。その脚本・演出に応えたキャストの演技は見応えがあった。

さて、釣り好きな噺家の最後は…落語だけにその「オチ」は海に「落ち」たようなイメージを持たせ…。

今後の公演も楽しみにしております。
あの空の向こうへ

あの空の向こうへ

ノーコンタクツ

萬劇場(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

戦争ゲームごっこではない
戦争シミュレーションソフトの開発に関する芝居と思っていたが、そんな単純なものではなく、人間ドラマであり、社会ドラマでもある。
そこにミステリー要素も加え見応えのある公演に仕上げていた。

いくつかダンスシーンがあるが、ノーコンタクツの公演だから…でしょうね。

ネタバレBOX

1945年、戦艦大和は出撃し撃沈する…これが事実。

その乗組員がタイムスリップして現代に現れる。
科学者は、その事象を確認するためゲームメーカーへ大和の戦闘シーンを再現させる。そして撃沈(事実)を回避するシミュレーションの模索が始まる。
事実を知らされず集められたゲーマー達は、必死に攻防シミュレーションを繰り返すが、沈没は避けられない。

その苛立ちと、シミュレーションする意味を問うことになり…。この乗組員を助けるためだが、その手立ては見つからない。
結論は乗船しないことだが、それに対する返答は「自分は軍人だから出来ない」と。「『殺される』 と 『殺す』 の二者択一を求められたらどうするか?」 「どちらも厭だが、それが戦争だ」 という重い台詞の応酬に、「戦争」の無意味さが込められる。

今後の公演にも期待しております。
ヒョウイズム

ヒョウイズム

爬虫類企画

新宿シアターモリエール(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★

重い内容、ポップな演出
高校時代に苛められ、そのあげく兄まで・・・。

凄惨な過去を持つ男がある事象によって力を得て行う復讐劇。
その描かれている内容はハードで問題提起も鋭い。
しかし、その描き方はコミカルで堅苦しさを感じさせない。

ここで登場する主人公の感情や行動が、普通の人間が持ち得るようなものであるから共感できると思っていたが、終盤は少し教訓じみてきた。

ネタバレBOX

弟の苛めを知った兄が苛めグループを戒めようとしたが、逆に刺殺されてしまう。
悲観していた弟だが、落雷を受けて不思議な力(一定時間、他人への憑依ができる)を得て、高校時代に苛められた人達へ復讐していく。
その奇妙な現象が刑事事件へ発展し、警察との間の追跡・逃避が始まる。
不思議な力にもそれを行使する時間的制約という欠点を設け、緊迫感ある仕上げになっている。最後までテンポよく見応えのある公演だった。

次回公演にも期待しております。
Master Plan ~B~

Master Plan ~B~

劇団スクランブル

シアター711(東京都)

2014/09/23 (火) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

女…会話劇
同僚女性3人が男性1人を巡って…、女性の恋愛感における本音 (男性には「真剣・愛情」な思いを、同性には「虚勢・見栄・嫉妬・侮辱・憎悪」が渦巻くようだ) を聞いているようで面白かった。

その一方で単なる暴露話という感じもする。

ネタバレBOX

最後、この男性は事故死するが、あの世でも幸せそうな振る舞い、懲りないなー。
さて、少しかたい話になるが、最近の新聞に 「昔から男が浮気すると、パートナーの女性は相手の女性に対し嫉妬を燃やし、憎むものだと言われている。女性が浮気をした場合は、パートナーの男性はその女性本人に怒りを抱く。どちらにしても女性が恨まれると相場が決まっているようだ」との記事が出ていた。

本公演でも女性同士の虚勢・誹謗・中傷合戦であったが、そういう心理になるのかと改めて「情」の怖さを知った。

今後の公演も楽しみにしております。
騒音と闇 ドイツ凱旋ver.

騒音と闇 ドイツ凱旋ver.

革命アイドル暴走ちゃん

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/25 (木) ~ 2014/09/30 (火)公演終了

満足度★★★

ぶっ飛びだ~
理屈は要らない。ただ「爆音」「投水」「閃光」などのインパクトが凄かった。普通の芝居にあるような脚本・演出は感じられない。そもそもキチンとしたものがあるのか疑わしい(失礼)。逆にシッカリ有れば、ある程度その台本に縛られ、自由に動けないだろう。多分、ゆる~い決め事だけで、弾けた感じである。しかし、不快感はなく、逆に爽快感が残った不思議な公演であった。

おとなげない遺伝子

おとなげない遺伝子

スマッシュルームズ

シアター711(東京都)

2014/09/17 (水) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★

もう少し捻りがあると…
人間一人ひとりが違うように親子であっても少しずつ違う人生を歩むだろう。本公演の眼目として”人生という名の不条理”を謳っているが、三代にわたり同様のシーンを繰り返えすのはどうか…。
確かに遺伝子という”不思議なるもの・こと”の存在は否定できない。鏡の中の顔は、同じ年齢だった頃の父親に似てきた。人としての性格付けや外見は似ているが、生活の歩みは違った。そんなことは当たり前で改めて言うことではないだろう。
この公演では、遺伝子を強調し、その結果人生の不条理を描こうとしたと思われるが、冒頭にも記したが不条理もよしとするような芝居でもよかったのではないか。観客を飽きさせず、集中させるには少しずつ違う観せかたも…。

最終的には、説明文の逆説に落ち着く展開になる。つまり、二度あることは三度あるが、その反対として三度目の正直もある。まさしく人間ドラマであり、人間讃歌の公演でした。

今後の公演にも期待しております。

同級生たち

同級生たち

シンクロナイズ・プロデュース

調布市せんがわ劇場(東京都)

2014/09/23 (火) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

心に響くすばらしい最終公演…残念!
最終公演・・・
こんなに「含蓄あり」「印象深い」「見応え」のある芝居が見られなくなるのは本当に残念である。
同級生といっても劇団の同期生の集まり…20年の時を経て、かつての稽古場に集まった面々の話。
学校の同級会であれば、卒業後の人生は千差万別。しかし、劇団員となると、同じ目的で入所したからには…それでも別々の道を歩いている。

また現在の劇団員との交流を通じて、その時代のギャップが浮き彫りになるところは現実感がある。

ネタバレBOX

この公演は見所満載であるが、かつての劇団員の肝胆相照らす様が、卒所後の人生がしっかり語られる。
説明ではなく状況が浮かびあがるような見事な展開である。コミカルな演出・演技でありながら、そこで発せられるセリフの一言一言が名言のようである。
また舞台設営は、劇中において素舞台から瞬く間に稽古場(今は物置)を再現する。そこには衣装・小道具が所狭しと置かれていくが、この作業には驚嘆した。
初見の劇団であったが、「これこそ、芝居!」…最終公演で観劇できて良かった。
非常の階段

非常の階段

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

人間…孤独か孤立か
脚本・演出・演技という芝居の主要な項目について満足する内容であった。
まず、脚本は集団犯罪を描きながら、実は一人間の犯行の動機・実行に至る経過、犯罪を肯定する屁理屈(社会が悪いと問題をすりかえる)を上手く人間の懊悩と絡めて描く。そして犯罪集団に身を置きながら、段々と自分を見失い孤立するという矛盾と狂気がうまく表現されていた。
舞台もパイプを繋ぎ合わせ家屋の外観を模した衝立、中央に盆をセットし、家族・仲間という角の無い関係を象徴しているかのようであった。それらの脚本・演出に応えるかのような迫真の演技は見応えがあった。
上演後、作・演出・主宰 広田淳一氏のアフタートークがあったが、その中で気になることが…。

ネタバレBOX

広田氏の談では、太宰治の「斜陽」をモチ-フにしたと言っていたと思うが、自分はどちらかというと「人間失格」のイメージを持った。”恥多き生涯を送った”こと、家族の中でも孤独感を味わい、悪の仲間への逃避が生んだ悲劇。孤独には耐えられるが、孤立は受け入れ難いとは或る冒険家の談話。大勢の人に囲まれているが、心は素直になれない、解放できなければ苦しいだけだろう。そのもがいた挙句、自死の選択を…。その過程が痛いほどわかる苦悩、丁寧な状況説明は秀逸である。

今後の公演にも期待しております。
SPIRAL Cage

SPIRAL Cage

teamキーチェーン

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★★

化学反応あり
相容れない作風の2団体(teamキーチェーン&EgHOST)の共作ということだが、そんなことは微塵にも感じさせない素晴らしい公演であった。

視聴率が取れないテレビ業界の下請け制作会社が、起死回生の企画を得るため取材を始めたその先にある出来事・・・、実にシュールな内容で面白かった。
また、舞台設営と衣装は黒を基調としたモノトーンで、重厚感があった。
しかし、演出・演技はどちらかというとポップ調でテンポ良く進展する。
この脚本、演出・演技設営という要素が微妙にズレており、もしかしたら、その不思議な感覚が2団体コラボの妙味かもしれない。

また機会があれば、コラボレーションの優れた公演を期待しております。

太陽への回廊

太陽への回廊

無頼組合

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★

人間ドラマか社会ドラマか
高度成長期における重厚長大な産業の基盤で働く労働者の話かと思ったが少し違った。大きな話が二つ(1964年.2012年以降)あり、それが基本的には時系列を追いながら、時に交錯しながら展開する。前半部分は、どちらかと言うと人間ドラマ、中盤以降は、社会ドラマの様相を呈する。その結が強引すぎるような気がした。
説明文によれば、警察内部で邪魔者扱いされた者達の寄せ集めチーム、通称〝ダストボックス〟は、日々目にする狂気にまみれた犯罪現場に身も心も疲れ果てていたが、ついに連続児童誘拐犯を追いつめた〝ダストボックス〝は、犯人側との激しい銃撃戦になる。硝煙にまみれた現場で、チームは信じられない光景に遭遇する…とある。この件は「裏切り」と「猜疑心」という言葉が当てはまるであろう。推理サスペンス風な仕上げ方は、2006年当時のテレビドラマを席巻した「アンフェア」(篠原涼子主演)を思い出した。時代に翻弄され、紆余曲折しながらも長い人生を歩んできた主人公・海馬正義…その軌跡はまさしく”太陽への回廊”であったと思う。
次回の公演を楽しみにしております。

今はただ遠くからありふれた歌を-

今はただ遠くからありふれた歌を-

演劇企画ハッピー圏外

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★

面白い!!
今とあまり変わらない西暦2042年。50年の時間を越えて、あの日の友達との約束をたよりに再び3人は集まることに…。しかし、時間は逆戻りしたかのようで、失われた”宝物”を探索・確認するような心温まる話。
コミカルな演出でありながら、その描く内容は鋭く印象深い公演であった。その重層的な展開は幅広い観客層を満足させるのではないだろうか。ストーリーは、直接的には個人の愛情から発展するが、その背景にある社会問題への切り口はユニークである。必ずしも未来は日本人(取りあえず限定した)に希望を与えるだけではない。その描く対象が日本、と言っても関東近県(それ以外の地域から来た人には分かり難い)の行政を卑近な例に取りながら身近にある問題から軍事的なことまで飛躍させる。通常であれば無理な設定であるが、そこには演出の妙があった。
また、舞台セットは巨大玩具のような仕掛けが中央に据えられ、この装置が中盤から終盤にかけて有効な演出効果をもたらす。
演技は、子役も含め見事なチームワークであったと思う。

今後の公演にも期待しております。

人間機械より夜空へ

人間機械より夜空へ

劇団晴天

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2014/09/20 (土) ~ 2014/09/23 (火)公演終了

満足度★★★★

機械人間では暗闇に
劇団晴天…第5回せんがわ劇場演劇コンクールで観劇したのが最初であった。
さて、本公演はプロットに新鮮さはないが、限りなく人間に近い(感情を持つ)ロボットと人間の愛憎行為が分かり易く描かれていた。しかし、人間とロボットの本質的な違いの描き分けが、中途半端な感じだった。確かにロボットは、限定された使命・役割を持って製造されたことになっていたが、明確に描き切れていただろうか。また、人間は、ロボットに比べ自由な選択が出来る特徴があるらしい。見た感じでは、人間はロボットの持つ使命・役割に振り回される様相を呈していた。この芝居の視点は、人間側かロボット側かと言うことが明確でないため、何を主張したいのか分かり難い。人間またはロボットでもよいが、単に恋愛対象になり得るか否かでは、あまりに表層的すぎる。
限定された役割であれば、現代の人間社会でも存在するだろう。例えば就労形態など、差別・格差は社会問題になっていると思う。人間の感情の欠落は、社会を暗闇で覆ってしまうだろう。
どの視点から何を描きたいのかもっと明確にすれば、不条理感が際立ち深みが増し印象に残っただろう。脚本・演出は、テーマの明確さがあれば、今でも十分楽しめる。
今後の公演が更に充実したものになるよう期待しております。

おとなずかん ①今日ほど素敵なショウはない。

おとなずかん ①今日ほど素敵なショウはない。

ハグハグ共和国

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/09/23 (火) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

厳封したネタバレ封筒あり
ゲネブロ拝見。
開演前から一人黙々と舞台上を掃除する女性(月野原りんサン)。
既に公演が始まっているかのような演出…、実は公演の一部だったのかも。
人間の煩悩を取り上げた芝居…、と記載すると内容がイメージできてネタバレになる恐れもあるが、その構成力は見事であり単純な結末ではない。

ネタバレBOX

精神を病んだ患者の妄想と医療陣が現実的な処置を施す、その内容が交錯する物語。
多くのキャストによる「妄想」と「事実」の入り組んだストーリーは、終盤になって明確になってくるが、それまでは役者のキャラが立っており、単に演技を追いかけるだけで精一杯であった。
場面転換が早いため思考が追いつかなかった…というのは自分の妄評多罪。
とても良かったです。
Libido

Libido

創作集団Alea

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★★

モラトリアムから現実社会へ
大学時代の楽しい生活から、卒業して直面した厳しい現実。その後、学生時代の友人との有り触れた付き合いを坦々と描いた話。大学時代は自由気ままな生活を送っていても、社会人になると思い描いていた理想とは程遠い思いをする。まさしく「理想」は「現実」に取って代わられる。そのギャップが大きいほど、社会で生きるには厳しい思いをするだろう。
何の変哲もない日常生活、いつの間にか沈殿してくる澱のようなものが精神を蝕んでいく。そのじわりじわりと追い込まれていく狂気が上手く表現されていた。
その病んだ心を、歪になった舞台セットで表現したのだろうか。客席前列からだと意味なく上方へせり上がったように見えるだろう。客席後方からは、屋上から街を眺める、または飛び降りるというイメージを持たせる。意識しないうちに迫り来る不安・恐怖が不思議と伝わる公演であった。
そう、フライヤーにある乾いた風景に生身の人間が写り込む…そこが現実なのだと主張しているかのようだ。
次回公演は、モラトリアム人間から力強く踏み出し、人間ドラマを期待しております。

このページのQRコードです。

拡大