サムライ・シェークスピア "R&J” 公演情報 シアタージャパンプロダクションズ「サムライ・シェークスピア "R&J”」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    演舞による演出は見応えあり
    シェークスピアの「ロミオとジュリエット」(邦題)を原作として、舞台を日本に見立てた公演である。もちろん梗概は原作を踏まえたものになっているが、描く視点をロレンス神父を悲劇に導いた被疑者として捉え、法廷心理劇を構築している。だから、証言者としてのロミオやジュリエットの親近者、従者が証言台へ立つが、その発言は時・場所・状況・立場で違う。事象は羅列されるが、真実は明らかになるのか。
    ニューヨーク公演に向けた日本プレビューということを前提に観ないと、ツッコミ所が…芝居と同様、アメリカという違う場所・状況等考えあわせると合点できる。

    ネタバレBOX

    この公演の面白いところは、観客は俯瞰しているが、当事者達は断片的、もしくは思い込みによる証言になる。同じようなことが我々の日常生活・行動にもみられると思う。自分の立ち位置による見方は主観的であり、一事象を見ているが、他者から見た場合はどうだろう。現実に舞台を観るように俯瞰していないのだから。この公演の眼目の一つが視点の転換(主人公は二人ではなく、二人を誤って死なせたロレンス神父を被疑者にした劇)を試みたという。その意味では、試みは成功したかもしれない。

    一方、その描き方は事象の再現・回想で、あえて場面を分割し、回想ごとに繋ぐ必要はなく、時系列的にストーリーを展開したほうがわかりやすいと思う。この分割/結合という観せ方がテンポのキレを鈍くしたようで残念である。

    もう一つの見所は、”舞”である。序盤の群舞や、芝居の所々で剣舞が観られる。時代劇のような殺陣もあるが、それはストーリーを構成する演出として取り込まれている。「舞踊」そのものは見応えがあったが、芝居・舞踊の関連性が今ひとつ融合していないようで、公演の中で分離した演出に見えた。またサムライに原作の名前はビジュアル面も含めて不似合いだと思う。日本公演では、なぜ日本・サムライにする必要があるのか、という違和感が残る(ニューヨークでは喜ばれるか?)。
    あくまで日本公演の視点での感想である。
    最後に、シェークスピア劇にある有名なセリフなど、アフォリズムな言葉があると、印象深い公演になると思う。

    ニューヨーク公演の成功を願っております。

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    2014/11/05 23:38

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