バルブはFB認証者優遇に反対!!の観てきた!クチコミ一覧

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こわくないこわくない

こわくないこわくない

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2014/08/30 (土) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★

初クロムモリブデン
なんだか煙に巻かれて終わった感じ。

結局あの子たちは何だったのか?

混沌として悪夢的なところに面白味を感じはしたものの、カオスの中にもそれなりの明瞭さを求めるクチの私にはこの劇団、どう頑張ってもあまり楽しめないのかもしれません。

ギャグがくどいのもちょっと苦手。

ネタバレBOX

覚醒した「子供たち」が最後の最後に主張する、自前でつかんだ「この世の真理」にはいくらか共感。
【ご来場ありがとうございました!】「姦~よこしま~」【次回は12月本公演】

【ご来場ありがとうございました!】「姦~よこしま~」【次回は12月本公演】

ロ字ック

スタジオ空洞(東京都)

2014/09/13 (土) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★

3作共通のテーマは女心?/約80分
小野寺ずるが複雑な乙女心を可笑しくもリアルに表現した、細谷貴宏との二人芝居が好き。小野寺ずるの地の可愛さのようなものが滲み出ていて微笑ましいし、何より変則的会話劇としてとても面白い。

梨木智香の演技はホームである月刊「根本宗子」出演時とあまり変わらず。。。
イメージからは遠いものの案外はまりそうな、恋に奥手なしおらしい女性なんぞを個人的には演じて欲しいですね。

ネタバレBOX

小野寺ずるは、もう一編の作品では一転、カタコト日本語を流暢に(?)操る中国人泡姫を妙演していて、その芸域の広さに感服!

あ、くれぐれもプレイシーンはありませんので。。。(笑)
コンタクト

コンタクト

水素74%

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/23 (火)公演終了

満足度★★★★

劇団初見。歴史はこうして作られる?/約90分
ナンパの話。男女関係を含め、人間関係というものが、ひいては社会や歴史というものが、ほぼ偶然の出会いによって成り立っているんだということがストンと腑に落ちるように理解できる良い劇でした。

そして、偶然の出会いも満更捨てたもんじゃないな、と思わせるところが素晴らしい。

以上、極めて主観的な感想でした。

ネタバレBOX

ひょろっとした彼とメガネ女子が男女の仲になれたのも、偶然に負うところ大。
そう考えると、やはり偶然というものを讃えたくなってくる。

一つ分からなかったのは、カノジョ連れで現代日本にやってきた未来人の男がなぜ消えなかったのかということ。
人生に絶望した未来人は両親の出会いを阻んで歴史から自己の存在を消そうとするが、ナンパで知り合った両親はホテル行き寸前で邪魔に遭い本懐を遂げられないままそれぞれの家路に着く。
後輩のひょろり君と帰路につくナンパ男の悄然とした様子を見るに、女の連絡先を聞き出せてはいないようだし、とすれば、件の未来人が生まれる芽はなく、その存在は消えて当然。
“じつはホテル行き前に青姦してた”というオチかとも思ったが、帰路での後輩との会話では「セックス直前まで行ったのに出来なかった!」と本気で悔やんでいて、青姦がなかったことは明らか。

なんだかモヤモヤします。。。
Sの唄

Sの唄

mizhen

ShibuyaHOME(東京都)

2014/09/05 (金) ~ 2014/09/06 (土)公演終了

満足度★★★★★

mizhenの代表作になりうるリサイタル形式の独白音楽劇/約90分
蕗子さんが「平松凛子」という女に扮し、会場のライブハウスを何度もそのステージに立って歌った馴染みの小屋に見立て、これが最後のライブになるかもしれない、と観客に宣言。
その上で滔々と半生を語りながら合間合間に歌を聴かせる、歌手のリサイタルに擬した独白音楽劇。

「代表作になりうる」と言うのは、今回初演された本作が、今後も演を重ね、このユニットの最も有名な演目へと育ってゆく可能性を秘めているからに他ならない。

何より面白いし、ギター伴奏と蕗子さんの身一つあれば何処ででも――天候に恵まれれば路上でも――上演できるという強みがある。
そして、「戦後」後の平和な日本が舞台だとぼんやり分かるのみで、時事性を出来るだけ排した戯曲は日本が大きく国体を変えない限り当面古びることはないだろう。

再演に適した要素がこれだけ揃っている以上、この傑作がたった3度しか演じられずに封印されてしまうのはあまりにも勿体ない。
「平松凛子」の年齢が特定しにくく書かれているのも再演可能性を強めていて、まだ20代の蕗子さんが年輪を重ねて貫録を加え、5年後、10年後にもこの芝居を演じている姿がありありと目に浮かぶ―。

私はこのカンパニーの一ファンとして、全国の劇場やライブハウスでの公演、さらには高齢者施設や学校をめぐる巡回公演などを通じ、本作が老若男女を問わず出来るだけ多くの人の耳目に触れることを願ってやまない。

むろん、ここまで強く再演を求めるのは、本作が見応えに富む傑作であるからなのは言わずもがな。

緻密なシナリオ構成、語られる事柄のディテールの生々しさ、蕗子さんの緩急自在、硬軟無碍な魅せる演技、聴かせる歌…これらが相俟って創り出される、一人の女を語り手とする劇世界は性別・年齢にかかわらず客を引き込む普遍性に満ち、観る者の心をヒリヒリさせながらその奥深くへと滲み透って、魂をざわつかせずにはおかない。

そして、作・演出の藤原佳奈さんの紡ぎ出す、詩情とユーモアと韻律とが手を組んで、聴く者の心にストンと落ちるレトリックの比類なさ―。

“学校を回ってはどうか?”と先に書いたが、高校生くらいにもなれば、この作品はおそらく理解できるはず。
また、演劇ならではの醍醐味を持つ本作のような作品を通じてこそ、演劇との出会いは果たされるべきである。

では、最後に―。
小刻みにビブラートする蕗子さんのか細い歌声から中島みゆきを連想したのは私だけ…?

ネタバレBOX

【ネタバレ注意!! 作品の核心部分に触れています。今後あるかもしれない再演が楽しめなくなるので、鑑賞済みの方のみお読みください。】










































平松凛子の幼馴染みで、長じて音大に進み、今は楽曲作りのパートナーであると凛子によって語られる「S」という女。
この「S」が、凛子の幼い頃に他界した音楽好きな母の化身であり、凛子の心にのみ生きる“虚構の存在”だと、そして、舞台上からギタリストが去り、照明が失せ、「ラストライブ」自体も虚構だったと明かされる終盤には震撼。。。

しかし、大切な何かを失って心の中に出来た穴を別の何かで埋めようと試みるのは、意識的にであれ無意識的にであれ、人間ならばきっと誰もがやっていること。だからこそ本作は私を含む多くの客の共感を誘い、琴線を震わせるのに違いない。
瀕死の王さま

瀕死の王さま

札幌座

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/04 (木) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白い! 他の上演例も観てみたい!!/約85分
イヨネスコの名前だけは知っていたものの、人物についても、この作品についても、ほとんど何も分からないままに観劇。

もうじき死ぬといきなり告げられたある国の国王が、二人の王妃や側近たちを巻き込んで最後の悪あがきを繰り広げる。

「あなたは死ぬんですよ、この芝居の終わりに」
なんてメタ演劇チックなセリフがあったりして、とても難解な劇なのかと思いきや、何の予備知識も無しに観たこの私でも十二分に楽しめたのは、エスプリの利いたやり取りが続く戯曲自体の面白さと、そしておそらくは、王様役で主演も務めた斎藤歩による演出の賜物。

なにせ初見なので典型的な演出例を知らないが、この札幌座版は戯曲の持つ滑稽味を強調するかのようにテンポよく、そしてドタバタ色を強く打ち出して演じられ、作品が大きく転調する終盤に至るまでは、たいそう愉快な気分で鑑賞。
作品を壊さない程度に時事的なギャグや楽屋オチさえ盛り込まれていて、声を出して笑ったこともたびたび。
斎藤さんの演じる飄々とした王様のキャラクターが可笑しみを倍加させていた。

個人的には、王の衰退と歩調を合わせて落ちぶれてゆく王国の様子を言葉巧みに表現した一連の会話をとりわけ堪能。
王国のひどい没落ぶりをありえない事例を列挙して言い表してゆくシュールでぶっ飛んだやり取りにグイッと心をつかまれた。

若い第二王妃を演じた坂本祐以さんという女優さんが溌剌として可愛く、その魅力にもやられました...(*'-'*)

東益平7丁目団地防衛隊

東益平7丁目団地防衛隊

ENBUゼミナール

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/09/09 (火) ~ 2014/09/10 (水)公演終了

満足度★★★★★

登米裕一は禍福があざなわれた人生という奇なものを相変わらず描き続ける。/約75分
「東益平7丁目団地防衛隊」。。。

観終えた後、このタイトルが甘く、酸っぱく、ほろ苦く、いろんな味を帯びて胸に沁みてくる素晴らしい人間ドラマでした。


それにしても、演劇学校の卒業公演だってのに、皆さん演技うますぎ。
「公演の主旨を考えてもっと初々しく演じなさいな」って言いたくなるほどに(笑)。

ともあれ、どの役者さんも、それぞれの役に付与されたビミョーな個性をきっちり表現されていてお見事でした。

アイドルソングに合わせて一同がハジけて踊る合間合間のダンスシーンがとても効いていた。

ネタバレBOX

大人になってそれぞれの道を進む幼なじみの男たち。
彼らが同じ団地に住む子供だったころ結成した「防衛隊」がいちばん強かったのは、そしていちばん固い絆で結ばれていたのは、子供時代だったのか、それとも…

そんなことを考えさせられました。
蕎麦屋の兄妹

蕎麦屋の兄妹

あひるなんちゃら

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2014/09/06 (土) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

女友達編を鑑賞。星のホールの素舞台ってこんなに広かったんですね。。。な70分(笑)。
星のホールの広い舞台をわざと持て余す演出を含め、とても面白かった。

ここの芝居にはちょっとした教訓を含むものとそうでないものとがあって、本作は完全に後者。
潔いほどにバカバカしいやり取りのみから成り立っていて、お気に入りは女4人であるものを探すシーン。
ツッコミ役の1人を除く3名のボケの連鎖に一切の手加減がなく、クスクス笑いが止まりませんでした。

それにしても、宮本菜津美さんの快活なボケっぷりは、観る者をスカッとした気分にさせますね。

なお、女友達編は、ここらしい“あまり張り切らない”演技体で演じられていましたが、男友達編はどうなんでしょう?

約70分。

ネタバレBOX

「じゃあ……外国のお金?」
女たちが探しものをする既述のシーンで繰り出されるこの言葉が、本作でいちばん笑ったセリフ。
これを聞いた時ばかりはクスクス笑いでは収まらず、笑いくずれてしまった。。。
水面の月、揺れる、揺れる

水面の月、揺れる、揺れる

劇団皇帝ケチャップ

北池袋 新生館シアター(東京都)

2014/09/01 (月) ~ 2014/09/03 (水)公演終了

満足度★★★★

まさか後半、あんな展開になるとは...
シリアスものにするはずがコメディ寄りになってしまった、と作・演出の吉岡さんが語る本作。

事実、前半はコメディ色が強く、賞味期限切れの牛乳にまつわるやり取りに代表されるディテールにこだわった会話が絶妙。

ちょっと天然な家出妻のすっトボけたキャラクターが、面白さに拍車をかけていました。

ただ、一人一人の喋りが長く、もっとセリフを割って一人あたりの言葉を短くすれば、よりテンポが良くなる上に“掛け合い感”が強まって、より多くの笑いが生まれていたかも、とも思いました。


本作が持つまた別の側面、ミステリーとしての側面と夫婦ドラマとしての側面についてはネタバレに記します。

あ、でも、ネタバレに移る前に一つだけ!
家出妻と夫とが某所で知り合うシーンには思わず頬が緩みました(*゚ー゚*)

ネタバレBOX

ミステリードラマとしては、殺害動機の描写がやや弱いか?

家出妻を泊めてくれた女の夫と兄妹仲のいいその妹を犯人があやめたのは、犯人が兄弟と反りが合わず、嫉妬心からだったと説明されるが、その辺の犯人の心理がもっと細かく描かれていれば、ミステリーとしての吸引力はより増したと思う。


夫婦ドラマとしては、妻が夫への不満から家出する序盤との落差も手伝い、夫と“仲良く喧嘩”するラストシーンにほっこり。

ただ、このシーンを最後に置いた理由がやや不明瞭。

夫婦で殺人事件の解決に関わり、非運な夫婦像を見せつけられた後にこのシーンが来ていることから、“夫婦として共にいられる幸せ”を描いたシーンだと解釈したが、だとすれば、“非運なあの夫婦”との対照を感じさせるセリフを夫か妻かに言わせたほうが、このシーンを最後に置いた意図がより明確になってより良かったのではないか?
私はそう感じた。

まあ、あんまり直截的なセリフを言わせてしまうとハッピーなラストシーンに不穏なムードが漂ってしまうので、言葉のチョイスには慎重を要するとは思いますが。。。
私の嫌いな女の名前、全部貴方に教えてあげる。

私の嫌いな女の名前、全部貴方に教えてあげる。

月刊「根本宗子」

テアトルBONBON(東京都)

2014/08/22 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

“嫌いな女”も描かれていたけれど…
個人的には、根本宗子にしか描けない“イタ女(いたじょ)ワールド”を堪能(笑)。

と言っても、根本宗子は世間にいがちな“イタい女”を傍観者的立場から一方的に嘲りはせず、自分の中のイタさも見据え、きちんと笑いに変えていて、そこに何より感嘆。

悲劇と喜劇が一体を成している本作固有の性質は、その自己嘲笑の精神の賜物だと思いました。

素晴らしかった!!


また、『今、出来る、精一杯。』で初観劇した時よりも明らかに客層が広がっていて、何より。

根本宗子という稀有なる才能は、もっと広く知られなければなりません。

ネタバレBOX

「イタい人」の底無しの純粋さを嘲りながらも讃えているような、バカバカしくも感動的なラストが最高!!

「相手のいいトコしか見えない気違いにならないと、アイドルの追っかけなんてやってられないんだよ!!」
そう言い放って“カノジョ持ち”だという不都合な真実に目をつぶり、目の前で歌い踊るアイドルロッカーを無心に応援するイタ女(いたじょ)役の石澤希代子がマジ愛おしく思えました。

グランギニョル未来

グランギニョル未来

グランギニョル未来2014

ヨコハマ創造都市センター(YCC)(神奈川県)

2014/08/29 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度

観念的なやり取りに辟易。私には長い2時間でした。
イス席があまりなく、私を含め、客の大半は立ち見。

だが、残念ながら、足腰の疲れを忘れさせるほど魅惑的な作品とは言いがたく、荒んだ未来を舞台に「入口」と「出口」をめぐる観念的なやり取りが続いてワケが分からず、お話としての面白みはかなり稀薄。

美術評論家による脚本は、予測にたがわず、シナリオの素人による手すさびでしかなかった。

キャストには演奏家やホーミー歌唱家もいて、劇中でパフォーマンスも披露。
しかしお話が空疎なため“コラボレート”もへったくれもなく、劇からは独立したただのパフォーマンスにしか感じられない。

劇がほぼ脚本から解き放たれる終盤に至って、ようやく作品は精彩を放ち出すも、時すでに遅し、でした。

日航機の墜落事故を暗示する轟音など、音響に重きが置かれる本作ではただでさえ人声が聞き取りづらいのに、セリフをわざと間欠的に喋ったり、割れ声でがなったりするのにも不満。

ネタバレBOX

書き手いわく、日航機墜落事故を主たるモチーフとし、機械に代表される冷酷な物質とのせめぎ合いの中に生きる我々、未来人たる我々を描いたそうですが、格別そういう内容だとも思えませんでした。
キスミー・イエローママ

キスミー・イエローママ

ゲンパビ

OFF OFFシアター(東京都)

2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★

兄へのフォーカスが足りない
キーパーソンは電気屋兄弟の兄なのに、兄にフォーカスしきれておらず、全体に平板・散漫な印象を受けた。

被写体が多すぎるとピントは合わせづらくなるもの。多すぎるエピソードのいくつかをばっさり切り捨て、“お兄さんの話”としての輪郭をもっと際だたせるべきだった?

それでも、蓮根わたるさんの深みのある演技には引きつけられました。

ネタバレBOX

お兄さんにフォーカスしきれていないため、兄が電気椅子整備の仕事にこだわる理由もあまり説得力を伴って伝わってこない。


母を銃殺して死刑囚となった父の刑執行に手を貸し、父に復讐したかった...。


それは分かったが、客にその動機をより深く理解させるには、もっと微に入り細を穿った背景描写、心象描写が必要。

そして、これは個人的に思ったことだが、電気椅子に執着するもう一つの理由として、兄の度を超したメカマニアぶりをもっともっと強調すれば、兄の狂気が作品に滲みだし、本作はもっと見応えが増したかもしれない。
妥協点P

妥協点P

劇団うりんこ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

演技体と結末がややチグハグ
あることを議題に教師たちが侃侃諤諤の議論を戦わせるディスカッション劇。

笑いも多く、楽しみましたが、おしゃれでかっこいいエンディングは熱演調の演技体を持つ本作に合ってない上、盛り上がっていた劇をなんだか尻すぼみにしていた印象。

それにしても最近目立つな、こういうディスカッション演劇。。。

ネタバレBOX

“教師と生徒の恋愛は是か非か”が議題。
そこに本作の眼目はないとはいえ、最近どのメディアも遠ざける話題だけに、もっと議論を煮詰めて欲しかったです。
ヒューマンエラー

ヒューマンエラー

青年団若手自主企画田上企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/20 (水) ~ 2014/08/24 (日)公演終了

満足度★★★★

田上作品初観劇
「建築現場で起こった、あるとんでもない事件を通して、社会の構造をシニカルに炙り出す。
<働く人>は、魅力的で面白い。人が働く現場には、たくさんのドラマが介在する。
そこに焦点を当てて、切実さを孕んで生きる人たちを、丁寧に描ききります。」

この釣り書きを真に受けて観に行くと軽いヤケドを負うかもしれません(笑)。

面白かった♪

ネタバレBOX

「ヒューマンエラー」とは人災を意味し、本作ではより具体的に、してはならない場所での意図的脱糞を指す。

建設現場に堂々とひられたブツは誰のものかという犯人探しを軸として話は進むが、紋切型に陥りがちなこの手の話を妙に高テンションな独特の演技体や脱糞動機の意外性、脱糞者のイカれたキャラなどによってひとクセある劇に仕上げてみせた作り手の手腕には感服させられました。
ハエのように舞い 牛は笑う

ハエのように舞い 牛は笑う

はえぎわ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

下界を見つめる眼差しはより高みへ…
はえぎわの作品には、この世の中を、そこに生きる一人一人の人生を、大所高所から見下ろしているような眼差しが感じられるが、本作ではその眼差しがより高所へと引き上げられた印象。その眼差しは、人間一人一人の生き様を“そっと”見守る神の眼差しにも感じられて、作品の持つ救済力はより増していたように思われた。

それはそうと、今回の座組の中で図抜けて若い女優さんがロリータ男爵『しのび足のカリン』でカリンを演じた女優さんだと途中でようやく気づいた時には大いにテンションが上がりました(笑)。出ていると知らずに観たのでそのぶん喜びもひとしおでした。その後もご活躍のようで何よりです。

ネタバレBOX

本作、劇団ホームページその他でははえぎわの変わり目を成す一作であるかのように語られているが、器用に生きられない人たちの人生模様を併走的に描き出す作風はこれまでと一緒。

いちばんグッときたのは、牛乳が飲めないことをはじめ、自分にまつわる全てのことにコンプレックスを感じている行かず後家の女が、密かに思いを寄せているある男に声をかける場面。
自販機飲料の補充の仕事を生き甲斐とし、それを生業にできるだけで充分だと自分に言い聞かせている不憫な男に、女はただこれだけのことを笑顔で言う。
「いつも見てますよw」
その時の女の優しげな表情と、男の嬉しそうな表情。
これが見られただけで、チケット代三千数百円を投じて池袋まで本作を観に行った私の行為は報われた。
台所の女たちへ

台所の女たちへ

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2014/08/21 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

ウェルメイドな葬儀コメディ
ある会社の三代目社長だった男が死に、三人の姉妹や奥さんをはじめ、男にゆかりの深い女たちが通夜の晩の台所で男の秘密を暴露し合う、会話主体の割合オーソドックスな葬儀コメディ。

ただ、緻密な脚本と凝った演出、そして青年座の大御所女優たちによる絶妙な掛け合いが多大なる相乗効果を生んで、引き込む、引き込む!

これまで観てこなかったタイプのお芝居でしたが、最後まで飽きることなく楽しめました。

ネタバレBOX

舞台となるのは、フタムラ製作所という会社を営んできた二村家の台所。
三代にわたって続いた会社は男が授からずに世襲が絶えて人手にわたり、二村家本家では最後の社長を務めた三代目・儀之介の通夜が今まさに行われている。
そんな通夜の晩に儀之介の妻や三人の姉妹、その娘たち、さらには儀之助の愛人とその娘までが入れ替わり立ち替わり台所にやって来ては儀之助の、ひいては二村家の思い出話に花を咲かせ、それぞれが知っている、儀之介や家の秘密を暴露。
けして軽くはないそれらの秘密を豪快に笑い飛ばしながらざっくばらんに家の歴史を語っていく老妻や老三姉妹の姿を見ていたら、なんだかすがすがしい気分に…。
そして、女傑たちを演じる青年座の大御所女優たちの貫録あふれる演技に魅せられた。


同じ台所を舞台に二代目社長の葬儀エピソードも描かれるところが本作の面白味。そこで若き日の三代目が妻と愛人の板挟みにあって往生するくだりには大いに笑わせていただきました♪

わたしの星

わたしの星

ままごと

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2014/08/21 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

ちょっと呆気ないか?
それは多分、劇が限られた生徒の話になってしまって、そこへ他の生徒があまり絡めていないのも一因。他の生徒をもっと強く巻き込んで話を進めていれば、物語がうねりながら大きく大きくふくらんで、より見応えが出たことだろう。
そうするためには、90分という上演時間はやや短すぎたかもしれない。

また、「わたしの星」と題されながら、みんなの母なる星・地球への愛着、愛惜があまり表現されてないのも物足りなさを助長。表現されてはいるものの、これではまだまだ生ぬるい。


それでも最後まで楽しく鑑賞できたのは、10人の高校生を演じた現役高校生たちの生気あふれる演技の賜物。

どんな出来事にもヴィヴィッドに反応して群れ成して騒ぎ、なじり合ったりふざけ合ったりする生徒たちの姿には何度も何度も声を出して笑ってしまった。

そして、2人の女生徒が動きを揃えて軽快かつ優雅に繰り出すステップの美しさには、音楽の素晴らしさも相俟って、上の不満が帳消しになるくらいときめいた。

私はこのダンスレッスンのシーンから映画『花とアリス』のワンシーンを連想したが、そう言えば柴ワールドは岩井俊二の映画世界に通じる何かを持っている。

ネタバレBOX

温暖化が進んで住みづらくなった地球から火星への移住が進み、地球最後の高校となってしまった近未来の学校の夏休みの出来事を描く。
3学年合わせても生徒数が両手で収まるこの高校を家族の火星移住によって去ることになった女生徒スピカは、文化祭の練習のため学校へ日参する仲間たちに転校を切り出せず、地球を去る前日にようやく白状。
学業成績、運動神経、明るさ、人望…あらゆる点でスピカに負けていると感じ、悔しさのあまりしばらく前から一緒に登校することをやめていた幼なじみのナナホは、それでも大好きなスピカ、その存在のまぶしさから心密かに「わたしの星」と呼んでいるスピカの転校にショックを受け、劣等感によって抑え込まれていたナナホへの友情を爆発させる。
…というのが基本的なストーリー。

こういう背景があればこそ、2人きりでのダンスレッスンのくだりは胸に迫るし、水臭いスピカをビンタしたあと強く抱きしめるというナナホの行動は感動を呼ぶ。
抱き合う2人に感極まった他の生徒が2人に抱きつこうと群がってきてダンゴ状態になるくだりはさらなる感動を呼び込むと同時に笑いをも誘い、えもいわれぬカタルシスがありました。

惜しむらくは、スピカがいかに魅力的な女生徒であるかがあまり詳しく描写されていない。そこがしっかり描かれていれば、感動はより増したと思う。

荻窪ロータリー

荻窪ロータリー

ENBUゼミナール

シアター風姿花伝(東京都)

2012/12/18 (火) ~ 2012/12/19 (水)公演終了

満足度★★★★★

主人公の勤め先にも驚かされた...
登米裕一作・演出。
大人への一歩を踏み出した主人公が実社会のキツい洗礼を浴びる、胸にヒリヒリくる劇でした。
心象描写の生々しさに圧倒された。

インザマッド(ただし太陽の下)

インザマッド(ただし太陽の下)

範宙遊泳

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/09 (土) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★

第一部は面白かった
坂口安吾をこうアップデートしたかぁ、という面白さはあったものの、それも第一部まで。

第二部以降も安吾の思想を現代日本を舞台に展開したようなお話が続くが、第一部ほど刺激的でない上に喩え話が分かりづらく、興味を持続できなかった。

一方、映像が絶えず映し出されているスクリーンの前に俳優が立ち、スローなパントマイムのような動きを伴いながら演技をする趣向も、最後まで客を飽きさせないほどの魅力を持ち合わせてはいない。

だからと言って、笑いも弱め。
しかも、虚無的な作風はウケなかった場合に備えての予防線にも感じられて、私は感心できなかった。
作風がこれなら、仮にウケなくとも、“最初っから笑いなんか取りにいってませんけど、何か?”と言い訳が出来てしまう。

とはいえ、改善できるものがあるとするなら、筆頭に挙げられるのはこの“笑い”である気もした。


星は2つです。

痕跡 〈あとあと〉

痕跡 〈あとあと〉

KAKUTA

青山円形劇場(東京都)

2014/08/10 (日) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

2時間15分という長さに見合った濃密な一作!
2時間15分超とやや長めではありましたが、これだけのものを見せてもらえりゃ文句はありません!

メインストーリーだけでも十二分に見応えがあるのに、それに重なるいくつものサブストーリーも味わい深く、一作で三作くらい観たような充実感!

毎回、人生の一筋縄ではいかなさを強く訴えてくる桑原作品ですが、今作は色んな苦汁を舐めてきた熟年者を主要人物に据えることで、それが特に色濃く感じられ、激しく琴線を震わされた。

前作『ショッキングに煮えたぎれ美しく』を青春の劇とするならば、本作は苦味がじわじわ滲みてくる大人の劇と言えるでしょう。

とはいえ、絶妙な間(ま)で魅せるKAKUTA流のユーモアもそこここに。。。


斉藤とも子さんの細やかな演技が光っていました。

ネタバレBOX

大人にしか為しえない尊い諦めを描いた劇。私は本作をそう捉えました。

果たして、瞬/有樹を諦めたのは、斉藤とも子さん演じる折出聖子だったのか、松村武さん演じる折出竹夫だったのか?

それをあえてボヤかしたまま終幕を迎えるところが、本作をより味わい深いものにしていました。

素晴らしかった!!
解散

解散

江古田のガールズ

本多劇場(東京都)

2014/08/05 (火) ~ 2014/08/06 (水)公演終了

満足度★★★★

本編のみならずカーテンコールもイイ!
初日公演の終演後から劇場退出時間までに巻き起こるすったもんだを制作さんほか裏方さんにフォーカスして描き出し、劇団運営の厳しさ、大変さをユーモアにくるんで表現した小劇場界バックステージもの。


感心したのはリアルとアンリアルの絶妙なバランス。

持ち上がるゴタゴタは実際に起こりえそうな生々しさをはらみながらもどこかぶっ飛んでいて現実味に乏しくもあり、それがゆえに娯楽作品たりえていた。
一演劇好きとしては主役の制作さんの心の襞の一つ一つまで丁寧に描き込むもっとリアル寄りの作品を観たかった気もしましたが、そういう細やかすぎる作品は本多劇場のような大箱では伝わりづらいと最近実感しているので、今回上演されたもので良かったのだと思います。


バランスについてさらに言うなら、緊張と弛緩の按配も絶妙。

ちょうど空気が張りつめてきたところでおバカな出来事が起こるので、ギャップ効果で何倍にも可笑しみが増す。

そして何より良かったのが、終幕からカーテンコールにかけて。

この劇団の“色々あるけど人生明るくいこうぜ!”ってな突き抜けた楽天主義がヒシヒシと伝わってきて、心が踊った。

ネタバレBOX

総責任者である劇団主宰者がいない間に話が進むのが本作の肝。

結果、主宰の独断で決められることを制作さんが周囲と揉み合いながらああでもないこうでもないと苦悶しつつ決めていく姿が描かれ、“悩める制作さんの劇”として輪郭がくっきりした印象。

また、最終的な決定権を持つ主宰がいないことにより話がややこしくなり、結果として話が面白くなっていた。

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