ハエのように舞い 牛は笑う 公演情報 はえぎわ「ハエのように舞い 牛は笑う」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    下界を見つめる眼差しはより高みへ…
    はえぎわの作品には、この世の中を、そこに生きる一人一人の人生を、大所高所から見下ろしているような眼差しが感じられるが、本作ではその眼差しがより高所へと引き上げられた印象。その眼差しは、人間一人一人の生き様を“そっと”見守る神の眼差しにも感じられて、作品の持つ救済力はより増していたように思われた。

    それはそうと、今回の座組の中で図抜けて若い女優さんがロリータ男爵『しのび足のカリン』でカリンを演じた女優さんだと途中でようやく気づいた時には大いにテンションが上がりました(笑)。出ていると知らずに観たのでそのぶん喜びもひとしおでした。その後もご活躍のようで何よりです。

    ネタバレBOX

    本作、劇団ホームページその他でははえぎわの変わり目を成す一作であるかのように語られているが、器用に生きられない人たちの人生模様を併走的に描き出す作風はこれまでと一緒。

    いちばんグッときたのは、牛乳が飲めないことをはじめ、自分にまつわる全てのことにコンプレックスを感じている行かず後家の女が、密かに思いを寄せているある男に声をかける場面。
    自販機飲料の補充の仕事を生き甲斐とし、それを生業にできるだけで充分だと自分に言い聞かせている不憫な男に、女はただこれだけのことを笑顔で言う。
    「いつも見てますよw」
    その時の女の優しげな表情と、男の嬉しそうな表情。
    これが見られただけで、チケット代三千数百円を投じて池袋まで本作を観に行った私の行為は報われた。

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    2014/08/23 23:57

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