満足度★★★★★
面白い! 他の上演例も観てみたい!!/約85分
イヨネスコの名前だけは知っていたものの、人物についても、この作品についても、ほとんど何も分からないままに観劇。
もうじき死ぬといきなり告げられたある国の国王が、二人の王妃や側近たちを巻き込んで最後の悪あがきを繰り広げる。
「あなたは死ぬんですよ、この芝居の終わりに」
なんてメタ演劇チックなセリフがあったりして、とても難解な劇なのかと思いきや、何の予備知識も無しに観たこの私でも十二分に楽しめたのは、エスプリの利いたやり取りが続く戯曲自体の面白さと、そしておそらくは、王様役で主演も務めた斎藤歩による演出の賜物。
なにせ初見なので典型的な演出例を知らないが、この札幌座版は戯曲の持つ滑稽味を強調するかのようにテンポよく、そしてドタバタ色を強く打ち出して演じられ、作品が大きく転調する終盤に至るまでは、たいそう愉快な気分で鑑賞。
作品を壊さない程度に時事的なギャグや楽屋オチさえ盛り込まれていて、声を出して笑ったこともたびたび。
斎藤さんの演じる飄々とした王様のキャラクターが可笑しみを倍加させていた。
個人的には、王の衰退と歩調を合わせて落ちぶれてゆく王国の様子を言葉巧みに表現した一連の会話をとりわけ堪能。
王国のひどい没落ぶりをありえない事例を列挙して言い表してゆくシュールでぶっ飛んだやり取りにグイッと心をつかまれた。
若い第二王妃を演じた坂本祐以さんという女優さんが溌剌として可愛く、その魅力にもやられました...(*'-'*)