みさの観てきた!クチコミ一覧

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マチクイの詩

マチクイの詩

F's Company

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/08/08 (土) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★

原爆投下とかける
たぶん、カサガイで起きた爆発事故は脚本家の思うところの原子爆弾なのだと思う。
そして爆発事故で蔓延したマチクイ病は原子爆弾投下での後遺症を指しているのだと感じる。
だから・・・この物語は私たち本土に対するメッセージなのかもしれない。


以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX


本音で言えば原爆投下の街・長崎で息づく人たちと、殆ど被害を被らなかった人たちではこの芝居を観る角度が違う。その感情はどうしても外枠に住む人たちの傲慢さかも知れないが、大抵ニンゲンとはそんなもんだ。

脚本家の福田の言葉によると、長崎市では毎年8月9日の11時2分には鐘やサイレンが鳴り、黙祷をします。長崎に居た頃はそれは当たり前となっている風景が東京にはなかったことが僕としては驚きだった。とあったが、「マチクイの詩」のなかで誰かが木になったことを告げる詩が悲しく響いたり、登場人物が歌う歌は、きっと、長崎の鐘でありサイレンなのかもしれない。

さて、物語はマチクイ病になってしまった父の世話をしながらもやがて自分もマチクイ病にかかってしまうという加藤マトヤと彼のの周りでマチクイ病と戦う人たちの風景を描いたものだ。マチクイ病の解明にやっきになるサワタリ教授、かつて爆発事故を起こした財団の関係者も絡ませながら、少しずつ樹木に近づいていってしまう妊婦など、聞いただけでもおどろおどろしい内容なのだが、演出の仕方なのか、殆ど樹木になってしまった父がひょうきんなおしゃべりなんかしちゃうもんだから、それ程の壮絶さはない。

むしろ、生活の為に偽証して行政からマチクイ病の認定を受けたアラカネの心境や、中途半端に樹木と化したニンゲンを人間扱いしない教授の心理状態のほうに人間の底の部分を観る。

樹木にならない前の父が樹木になってしまった母を切って椅子やテーブルを作った原因を知ると息子・マトヤと妻に対する愛情を感じた感動のシーンはあるものの、全体的に、この物語には震えるような感動を覚えなかったのも事実だ。
たぶんそれは無駄なセリフや無駄な笑いが多いせいだと思う。しゃべる木の苦悩も描いていたら違っていたかも知れない。



この夜の終わりの美しい窓

この夜の終わりの美しい窓

世の中と演劇するオフィスプロジェクトM

タイニイアリス(東京都)

2009/08/05 (水) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★

プチミュージカル
秘密の花園(フランシス・ホジソン・バーネット)をすこし題材にしたのだろうか?庭師といい、母に愛されたことの無い情景がそんなふうに感じた。

タイニイアリスという劇場は声が篭るのだろうか?
折角のミュージカルなのに聞き取れない声があったことと、声が音楽に負けてたことが残念。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


小劇場の舞台で、ミュージカルをすると決まった時点で、きっと劇団はマイクなしでもOKと考えたのかと思う。
確かに小劇場ではマイクを使うと煩すぎるし、微妙なところだよね。
そこいくと吉祥寺シアターで公演を打つミュージカルはマイクを使ってるから、あのくらいのスペースならマイクOKということだろう。

今回のミュージカルはキャストによっては歌の下手さ加減も全面的に露出しちゃったのだから、聞いてる観客はあれ?あれ?あれれ??状態なわけだ!笑
そんでもって間の開きが妙に気になって仕方が無かった。
あの間はなんだろうか?その時だけ音楽の導入も無いから、シーーン・・、セリフとセリフの合間のシーン・・!シーンが長すぎる。オルゴール的な音楽導入があっても良かった。

物語はかつて女優だった母親が結婚を機に女優を引退し、家庭に入ったが、父親はそんな妻の気持ちを常に疑い、本当に自分を愛しているのかどうか試していた。
子供たちはそんな父親がある日、居なくなってしまったので、自分たちやママを捨てて家出した無責任な父親と憎んでいた。
だからママは自分が主演した映画の中に自分で自分を閉じ込めてしまって現実を見ようとしないのだと。
子供たちは幼い頃から母親に愛された事が無かったから愛情に飢えていた。特に長女は何とかしてママを自分に振り向かせようと画策する。母の愛情と母のまなざしが欲しかったのだ。
しかし、ママの本心は、「私は子供なんか要らなかった。女優に戻りたい。そうして、あの嵐のような拍手喝さいをもう一度手に入れたい。私から拍手喝さいを奪ったのはお前だ。」と現在女優の長女に毒づく。、

愛情に飢えた子供たち、子供に対しての愛情が稀薄な母親、自分を家庭に閉じ込めたと誤解して夫を殺し庭に埋めた妻(母親)、それらの闇の全ては母親が幼稚で大人になれない精神が原因だった。彼女は自分しか愛せないのだった。

そんな不条理劇をミュージカル仕立てにしたのだから、観客が満足するかどうかはキャストの声量いかんに関わってくるのだと感じる。
衣装も照明も美しく、役者が絵画の中から飛び出す仕掛けはまるで「不思議な国のアリス」を見ているようなおとぎ話だ。
キャンバスの奥に振る赤い花びらもハラハラと美しい光景だった。

だからこそ、音に負けて歌が聞こえない舞台をひじょうに残念に思う。


グッバイ・マイ・ダーリン

グッバイ・マイ・ダーリン

世田谷シルク

小劇場 楽園(東京都)

2009/08/06 (木) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★

セクキャバはセクシーキャバだった!(^0^)
決してセクハラキャバではなかったのだ!笑
今回のネタバレBOXはおっさんになったつもりで書きました。
入場して右側が美味しい席!(^0^)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

6人のキャバ嬢が勤めるセクシーキャバは不景気のあおりを受けて客が3人しか居ない(苦笑!)
6人のキャバ嬢はそれぞれのキャラが確立していて結構、楽しめる。

新人のエイコ(中里純子)は以前からの客・坂井という馴染みの客が付いている。その坂井の為にアラレモナイお姿で登場する訳よね。
オパンツはT-バック!ボディースーツのような・・・部分的に隠してます!みたいな下着姿で椅子に座り、その細いおみ足を組み替えたりしちゃっってサービス満点!!観るだけはタダ状態なナリに、おじさんは軽く酔っ払っちゃう訳よね。笑
だから、決して目はつぶってはいけません。その瞬間、この瞬間が勝負どころなんどす。もうちょっとで神秘的な森林までも見えちゃう?なんつって、期待に胸は最高潮に膨らみきった瞬間・・・、
エロいエイコさまは店長に叱られた、とか言ってキャバ制服に着替えちゃう訳よね。
く~~~!!やっぱり至福の時間はそうは続かず。
これって全員がエイコさまみたいに露出しても良かったんじゃないの?
もしくはスケスケのキャミでも。(願望)

なんつって考えていたら、舞台は1階のうるさい風俗の上で生活をする親子4人の光景に移る。夫はセクキャバに足繁く通い、妻は子供を溺愛する。ここで登場する林檎は浮気の象徴として使われていて、実際には存在しない。

家族の愛憎とセクキャバの人間関係にスポットをおいてその情景をポップでモダンな音楽と共にキカイダンスで所々表現する。
その奇妙なダンスは糸釣り人形にようにカクカクと音が聞こえるようなダンスで、中々面白い。

いつまでも女で居たい母と男である夫の闇はぶつかり妻は夫を刺すシーンがあるが、夫は、再婚相手の妻の子供に以前から暴力をしていた事実も浮かび上がる。

芝居はリアルと妄想を爆走しながら陸橋の上を走る列車のようだった。
だから、中に乗り込んだ観客はビデオテープのように流れる景色を見つめながらも、なんだか不思議な空間に迷い込んだような気分になるのだ。

物語は日常を描いた作品だが、その表現は解り辛いと思う。だから評価は割れる。それでいいのだと思う。




黄金時代と優しい奴ら

黄金時代と優しい奴ら

東京ポトラッチダンディーズ

タイニイアリス(東京都)

2009/07/30 (木) ~ 2009/08/02 (日)公演終了

満足度★★★

ユルイコメディ
貧乏漫画家が古いマンションに引っ越してきて、とんでもないヤツラとシェアするはめになったお話。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

漫画家・池田の同居人・芝山が勝手に決めてきた古いマンションに引越し早々、部屋には水がでない携帯が繋がらない。なんてハプニングがあったかと思いきや、これまた芝山が義理の父親になるはずの谷口を勝手に同居させるという。
池田は反対するもズルズルと芝山に推される形で納得せざるを得なくなる。
池田役の川口は毎回こんなキャラで登場するがこれがまたぴったりのはまり役なんだよね。(苦笑!)
そのうち今度は妻に離縁された芝山の兄・桃介までもが同居することになってしまう。

そんな折、出版社の白木(塚田)がいつものキャラで登場するのだが、毎回のことながら塚田の得体の知れない不気味さがいい。「人の不幸は蜜の味」じゃあないけれど、他人の不幸を観たときの満面の笑顔には特別なオーラのようなものを感じるのだ!(^0^)
物語の笑いの殆どはこの白木の表情で取ってたようなものだから、だとしたら、今回の本はコメディとしては練りが甘いと感じた。全体的に笑いの要素が少なかったのも観た後に満足できなかった要因なのかと。

物語の収束の仕方は無理なものを感じたが、キャストの熱演に助けられたと思う。
次回はもっと笑わせてちょーだい!(^0^)



ばべるの塔の僕とガイジン【ご来場ありがとうございました】

ばべるの塔の僕とガイジン【ご来場ありがとうございました】

ザ・プレイボーイズ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/08/01 (土) ~ 2009/08/05 (水)公演終了

満足度★★★

白組さんを観ました!
ゴジゲンの松居君が出演するからには、やはりここは白人チームを観たい訳です。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

このところ、松居君を下北沢で見かけたり(勿論男子数人で連れ立って)、とある公演の観客として見かけたり、何かと不思議なご縁があるのですが、相変わらず女性連れの彼を見た事はない訳で・・、そんな情けなさを地で行く松居君は役柄でもなんだかリアルな松居君のような気がしてならないのです。(苦笑!)

舞台はアパートの一室でガイジンとルームシェアすることになったシンイチ(松居)は言葉の壁から中々コミュニケーションが取れない。日本男子特有のウザイとかメンドクサイとかダルダルの気配一色のシンイチに対してガイジンは仲良くなろうと努力する。
ガイジンとシンイチのちぐはぐな会話が面白い。
そのうちガイジンは一生懸命にシンイチに話しかけながら、日本語を覚えていくがシンイチはガイジンの母国語を覚えようとしない。それでも二人は親密になって、いつもシンイチに暴力を振るう大家に仕返しを企む。

ここでのシンイチは日本人特有のコミュニケーションの下手さ加減を表現し、一方でガイジンは多国民族の手馴れたコミュニケーションに対する文化の違いを見せ付ける。要するにシンイチとガイジンの精神は大人と子供くらいの違いがあって、置き換えると日本人のソレは諸外国に比べるとまだまだ成熟してなくて、たぶん、100年は遅れているのだ。

タイトルの「ばべるの塔」の意味は終盤になって理解できる。コメディとして観るなら面白いが、物語としては雑で練りが甘い。いきなりバイブを持ち出したり、大家の暴力もどうしてあんなにハイテンションなのか理解できないし、立ち居地も曖昧なんだよね。最後の「どっきりカメラ」は無理に笑いをとる手法で頂けない。
むしろ、ガイジンの母国の内乱で終止してシンイチは自分の甘さに気付き、これからは真摯に生きる。みたいな流れの方が良かったような気がする。

それでも相変わらずの松居君の演技に魅せられました。

アフタートークはぐずぐず。
信長 -NOBUNAGA

信長 -NOBUNAGA

劇団め組

吉祥寺シアター(東京都)

2009/07/31 (金) ~ 2009/08/04 (火)公演終了

満足度★★★★★

トップに立つものは
常に孤独が押し寄せる。周りは敵だらけだからだ。戦国の世を題材にコミカルな部分も混ぜ合わせて、本当に楽しく、かといって軽くは無く、キャストの演技力も秀逸で重みのある納得のいく舞台でした。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

信長が生まれた時には既にこの世は戦国であった。彼はこの戦国の世を終わらせようと戦うが本能寺を潰す決意をした段階で彼の側近や母親らが揺らぎ始める。信長は宗教(本能寺)こそが絶大な勢力を持った戦力だと先を読むが、母親と信長の腹心は躊躇する。しかし、信長はこの世から戦いを無くすのは天下統一しかない、と信じ己の信念で押し通す。
一方で、信長の心は常に孤独でその心と戦っている信長がいた。
「神は一人」と説き神の愛を伝える異教に「その神は余程孤独なんだろうな、信者でもその孤独は解るまい。」と信長。

信長の天下統一にかけた真理を描いた作品。

猛将・信長役の新宮がひじょうにいい。無駄なものをそぎ落とし、動けばピシリと音が鳴りそうなしなやかな筋肉で形作られた体躯。刃物のように鋭く、それでいて清流のようにすんだ声。こんな猛将なら、誓いの金打はいくらでも打ってしまう!(^0^)
それに対比して足利義昭(野村)のバカ将軍っぷりぷりが実に素敵だ。なにやら珍重すべき野生の動物をみる思いでいた。そんな絶妙なキャラで観客を楽しませてくれたのだから大いに満足し帰りの足取りは軽すぎるくらいだった!(^0^)
め組という劇団、抱えてるキャストの熟練された演技力には舌を巻いたが、ただ一つ、惜しむらくはお鍋の方(宮尾)のカツゼツが悪く聞き取り難いセリフがあったことだ。

ダンスあり、不穏さを匂わせる導入音楽あり、コメディあり~の素晴らしい舞台でした。

ラーメンすすって、泣いちゃって!

ラーメンすすって、泣いちゃって!

悲願華

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/07/31 (金) ~ 2009/08/02 (日)公演終了

満足度★★

つまんなかった!
まだ、学生なのだから・・・シビアな意見はどうか?とも思ったが、きょうびの学生は本当に舌を巻くほど面白い芝居を作るので、学生演劇だからといって中途半端なものを作っていたら、観客は離れる。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

この芝居を観たら、東京の学生演劇のレベルの高さを思い知らされる。
間のとり方はなってないし、間延びしちゃってて途中で退席したいくらいだった。それでも我慢して我慢して席についてたくらいだったから、終わった時には、ワタクシ、自分で自分を褒めちゃった!(我慢大会じゃあないんだから。)

ラーメン屋の師匠・西子のラーメンの湯切りの技はなんだか大げさすぎて笑えないし、笑いのネタも薄い。でもって、導入音楽もなく全体的にシーン・・。
西強ラーメンの常連のユリエが頑張って歌を歌ったり、一人で張り切っていたが、その張り切りようが一人浮いてて、痛々しいのだ。笑いをとるどころか、ドン引き状態だった。

物語は屋台に集まる客たちの人情劇だが、物語性は薄く、ラーメン屋店主の頑張りもいまいち真に迫ってないんだよね~。
終盤、母子の場面ではほろりとさせられるも、そこに行き着くまでの内容も浅い。
そんなだからユリエの存在自体がうざくうっとうしい。関西ではこういった芝居がウケルのだろうか?
時間と費用をかけて東京入りするのだから、もっと修行して出直してきてください。

家族

家族

かもめマシーン

遊空間がざびぃ(東京都)

2009/07/30 (木) ~ 2009/08/02 (日)公演終了

満足度★★★

痛みの家族
本来なら幸福な家族像を誰もが望んでいる。しかし、幸福そうに見える家族でも問題の一つや二つは抱えてるはずだ。
この物語は兄が幼女2人を殺害し、遺体を観覧車の下に埋めたことから、死刑囚の家族となっても尚、この廃墟と化した団地に住み続ける家族の物語である。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


孤独死は多いしキチガイは多いし・・、と嘆く自治会長が汚い団地を少しでも住みよくする為にと、死刑囚の家族の下にやってきては何かと自治会の催しの参加を促す。「あんたらみたいな家族はここにしか住めない」とのたまう。家族の父(後夫)は会長の押し付けがましい態度を疎ましく思っている。妻は疎ましいとは思いながらも、近所と上手く付き合わなければここに居られない、という思いが強い。
死刑囚の妹は殆ど言葉を発しない。たぶん、これは兄が犯罪を犯したことを知った日からだと思う。
一方でこの街をうろつく詩人と呼ばれる狂人が居る。この狂人に対して妹はひじょうに優しく接して家の中を自由に出入りさせている。狂人は独特の理解出来ない言葉を発する。しかし、妹はこの狂人を他のニンゲンと比べて純粋と感じてる節があって、その純粋さに惹かれてるようだ。そうして妹は死刑囚の兄を持っていることで異質な者に対する寛大さ、あるいは容認さがそうさせるのかもしれない。
兄の犯罪から一転して兄は加害者でも妹や家族は世間の白い目を常に意識するという被害者でもあるのだ。
妹は声にならない悲鳴が喉を突き上げて、息を詰めてそれをこらえたら言葉がでないのかもしれない。屈折した表情と発しない言葉がそれを意味する。

一方で狂人は言葉にならない言葉を発しながら途方にくれたふうには見えない。自分の境遇を嘆いたり社会を恨んだりしている様子でもない。顔に表情はなくまなざしはぼんやりとして、ほんとうはどこも見ていないような・・・だから逆に、ふつうの人には見えないものをじっと見つめているようにも思える。

死体を埋めた観覧車の向こうにみえる団地に暮らす家族の物語。

微妙な位置にいた後夫が本当の家族となるまでの描写、自治会長との軋轢、家族の心理状態を繊細に映した物語だったと思う。しかし、物語の静かで遅い流れが観客の息に合っていないように感じた。見方によっては浅く見え、見方によっては深いのだ。
なぜなら、傷ついた家族はあまり言葉を発しないから。

いい作品だけれど、この流れのまま芝居にするには少々難しいような気がする。観客が欲するものはもっと違うものだからだ。


花とアスファルト

花とアスファルト

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2009/08/01 (土) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★

大人の童話
川上弘美の「神様」を題材にしたらしい。川上弘美の作品はかなり前に夢中になって読んだ時期があって、確か10冊ほど読んだ頃、飽きて読まなくなった作家だった。なぜ飽きたかというと、川上の書く短編は幻想的な世界といえば聞こえはいいが、まったくの嘘話で、登場人物というか登場動物が変わっていて、蛇だったり河童だったり龍だったり人魚だったり、熊だったり・・。文章自体もひじょうに読みやすく中学生向きの作家レベルだから、東野圭吾や北重人の文章力と比較するとあまりにも幼児性が強いと感じたからだ。
だから、それに平衡して今回の小夏の作風はどうしても童話的要素が強くなっている。

以下はネタバレBOXにて。。

ネタバレBOX

それでも川上の作品は読み終わった後にほのぼのとした透明な優しさに包まれる。そういった意味では小夏の描く世界観と川上の世界観は同じ線上にあるのかもしれない。

すみれが原団地に引っ越してきたクマは明らかに異質で異文化の生きものだから、人間たちに受け入れられない。それでも紳士的なクマはどうにか馴染もうと頑張るが、やはりそこには大きな見えない壁が立ちはだかる。
クマは「クマの神様の祝福が皆様の前にも降り注ぎますように。」と常に思っているが、当の人間たちには響かない。

やがて人間の中にもクマと仲良くなって家族のように親密度を深める人も出来るが、全員ではない。クマと人間。ここでの人間は個々は悪い人ではない、ほんとうに。ただ、とても大切なことに気づかず、そこを土足で踏んでしまうだけのことだ。
人間の住民たちの会議での外面、家族の中の風景での内面の、反面の描写が面白い。子供に甘える母親がいて、子供はそんな疲れてる母親を思いやる。

そして紳士的なクマは仲良しの鈴木さんに森(故郷)に帰ることを告げる。馴染みきれなかったのだといいながら。人間たちの日常はクマが居なくなってもなんら変わることはなく、同じように守るべき何かを持って、負けたり勝ったり、相手を傷つけたり、傷つけられたり、嘘を言ったり、喧嘩をしたり、そうやって自分をだましながら折り合いをつけて暮らしていくのだ。

こうしてクマは二度と街に戻る事はありませんでした。

じんわりと心に温もりが広がってくる芝居です。クマ役の荒井志郎と鈴木役の羽場睦子のかかわりと演技がいい。



ボラボラ

ボラボラ

劇団アルターエゴ

OFF OFFシアター(東京都)

2009/07/29 (水) ~ 2009/08/02 (日)公演終了

満足度★★★★

温もりが伝わる
二人の兄弟が母に抱きしめられるとその体温が確実に伝わってくるような温かい物語でした。人はこうやってエネルギーを充電されなければ、動くことも出来ないのかもしれないね。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

工事現場から、十勝の野球場から、あるいは六本木のビルから、それぞれの人たちは別々の場所から、気が付いたらここにワープしていた。
彼らはここから出る事も出来ないまま、それぞれの生きてきた体験を話し始める。
ここでは掃除婦のハナコの家族の情景を映す。
夫・ハルヒコの不倫相手の、タヒチからやってきたチキが妊娠した、といってハルヒコの自宅を訪れたことから、騒動は巻き起こる。
父・母・息子・父の弟・父の愛人・下宿人らは、チキのどこまでも天真爛漫で素直な性格にいつしか憎悪は消え去り、純粋なチキが育った故郷の話を聞きながらチキの存在を容認していく。
死んだはずのばあちゃんを純粋なチキや息子は最初から見えていたが、そのうち他の家族にも見えるようになっていく。要するに純粋な心の持ち主にしか幽霊は見えない、という設定。

家族とは何も血のつながりだけではないのだよ。と芝居の中でさらりと私たちに投げかけ、チキが子供をハルヒコの家族に預けてタヒチに帰ることになってしまうが、ハルヒコの家族は子供を引き取り育てるという。
息子はチキに「弟を生んでくれて有難う。うんとうんと大切にします。」と伝える。

彼らはチキに出会ったことで今までの自分とは少し変わって相手の身を思いやれるようになっていく。チキの語る癒しのセリフがいい。心が洗われる。
チキの後ろの映像では空は怖いくらいに青く澄み渡っている。深く純粋な青。トロピカルな音楽と共に家族の情景は死んだはずの母親に叱られて甘える兄弟のシーンに移る。この情景がいい。

男子ってやっぱりマザコンだよね!(^0^)

こうやって家族の一人一人が人生に迷ってワープしていたが彼らをチキが元に戻してあげる。という優しい物語。


レンアイドッグス

レンアイドッグス

カラスカ

アイピット目白(東京都)

2009/07/30 (木) ~ 2009/08/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

好きだーーーー!!!
バカ馬鹿しい展開も、真面目に恋に悩む展開も、とにかく江戸川のコメディが好きだ!彼の脚本はワタクシの感性にぴったりとハマリ心の底から大笑いできるからだ。そんな2時間はワタクシにとって南の海にぽっかり浮かんだパラダイスな島に居るようなひと時なのだ!ったら、なのなのだ!!
そして劇団鴉霞のキャスト陣が好きだ。
だから、彼らが舞台に登場するや否や、次第に顔が綻び愛しく思ってしまう。そんな愛の感情を抱いて観劇するわけだから、彼らが何をやろうがどんな情けない表情をしようが痘痕もエクボなのであ~~る!(^0^)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX



ひょんなことから最悪な死に方をして、あの世とこの世の間に辿りついた3人はどこから見ても天使とは思えないような天使に逢う。
天使は3人に「あの世に行きたくないなら、子孫を増やす為に、自らの恋の成就をしろ。」と条件を出す。
3人は恋の成就のために、七転八倒しながらもどうにかこーにか恋を成就するという物語。
いつものように、コメディ感が溢れちゃってて、とにかく面白い。終盤の永遠の片思いじゃあないけれど、左の人に順にコクる情景がバカ馬鹿しくてとことん笑える!(^0^)
悪魔と天使の悪巧みを起用しながら、物語はユルク可笑しく怒涛の勢いで観客を笑わせるネタも見事だ!
劇中、流れるボブ・ディランの音楽もいい。

もう、こんな芝居を魅せられたら満点以外は考えられない。(^0^)

次回は9月に番外公演が1000円で観られる!っつーことだから、行くっきゃないっしょ?(^0^)





限界

限界

オニオンスライス

シアター711(東京都)

2009/07/29 (水) ~ 2009/08/04 (火)公演終了

満足度★★★

前回よりも下品!
相変わらずのコント集。そのエロさは相変わらずなのだが前作「THE LIVE」の方が上品なエロさに対比して今回は下品なエロさ。
役者はボイストレーニングをきちんとしてるのか、発声は完璧でした。小劇団の役者って発声の悪い役者が多いけれど、この点で、オニスラは素晴らしいです。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

なんだかんだいって、一番笑えたのが遭難した4人の会話劇。これ以外はそんなに大笑いの箇所はなく前作と比較してもちょっと物足りない感が否めない。
楽隊では男性器のバイブを持ち出してきてのコントなのだが、4人の女性がそれを口で遊ぶというナリで、爆笑よりも完全にドン引きするという、やり過ぎの感もあり、笑いのスパイスがどんどん間違ったエロさに移行しすぎちゃって、程よい加減から大きく外れちゃってる。
裁判制度のコントではレッド(石川まさと)の裁判が合コンの様子からその後の展開までひじょうにリアルで面白かった。要は暴露裁判みたいな情景が私たち観客のツボに合ったのだと思う。

だから、総合的に考えると観客がウケルコントを作ってもらいたいし、そこにちょっとしたブラックなエロも必要なんだけれど、そのエロさも度が過ぎちゃったら、ウケを狙うどころか、ドン引きしちゃうってことなんだよね~。。

次回は是非、上品なエロを求めます!(^0^)


ピースの煙

ピースの煙

壱組印

ザ・スズナリ(東京都)

2009/07/25 (土) ~ 2009/08/02 (日)公演終了

満足度★★★★

煙草の嫌いな人にはお勧めしません
ピースの煙とは煙草の煙のこと。平和の香りとかけてもいるが、何にせよ舞台では煙草の吸い過ぎ!
これでもかっ!ってくらい吸われて不機嫌になったワタクシ。

キャストの演技力は目を見張るほど素晴らしかったけれど、物語の繋ぎは断片的です。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


戦後の時代、昭和21年を舞台に原田家を描いた作品。
主軸は間組で働く事になった原田兄弟の生き様が主で、中国での戦争での様子や引き上げの様子をも描く。ドンキホーテのような古参兵はわらじに拘りがあって、兵士が履いている軍靴をわらじに履き替えさせるなど、一種の悲壮感も漂わせながら笑いをも誘う。

中国の陳の親切と背中合わせの裏切りの描写も見事だったし、戦争という大きな傷痕の前では正気とやる気を失った男たちの代わりに、気丈にもパンパンと言われる娼婦になって家族の稼ぎ頭として生き抜いた女たちを抜きにしては語れないのだろうと深く染み入る。
そういった意味では娼婦の吐くセリフ、「日本の男がだらしないから私たち女がこうやって稼いでるんじゃないのさ!」というのも一理ある。

パンパンだけでなくヤミ商売や露店商などをとっても、きっと女が戦後の日本を立て直したといっても過言ではない。

こうして戦後の日本を断片的に見せながら終盤は義理の母親と原田兄弟がピース(煙草)を吸いながら、平和に酔ったふりをするシーンで終わる。

キャストの殆どが中年以降の方たちばかりでその演技力は重厚さを感じたものの、何故か観た後に満足感の無い不思議な中途半端さが心に漂っていた。この感情は自分でもよく解らないが、もしかしたら、何日か経ってから満足するかもしれないし、そうでないかもしれない。
足らないものは何か?を考えた時、この物語は戦後の描写のみに徹していて物語性は本当にありきたりだったことだ。

まるで「昭和21年のあの頃」をTVの画像で見られるような物語だったからだ。演技力といい、他の要素で確かに安心して観られる舞台だったが、居眠りの多い観客の心理状態を見過ごすことは出来ない。

いってきますの、あと

いってきますの、あと

空晴

OFF OFFシアター(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/26 (日)公演終了

満足度★★★

大いには笑えなかったけれど、
ハートフルな家族の物語。姉役の岡部尚子が大阪弁まるだしで好演でした。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

「行ってきます。」と書置きして出て行って1ヶ月も帰らない母を待ち焦がれた挙句、家出した少女まさみが同名の18歳まさみ(男)を頼って、かくまってもらった事から、舞台は始まる。まさみ(男)の姉と少女まさみの父親は蒲団に入って隠れてるのが、少女のほうかと勘違いしながら、物語は進みます。そこに少女まさみの先生役に仕立て上げられたまさみ(男)の友人が、どうにかつじつまを合わせながらのコメディ色の濃い前半。
しかし、後半に入って「行ってきます。」と言って出て行ってしまった母の帰りを待ちわびた少女の心の情景に視点は注がれます。
「行って来ます」の後には必ず「ただいま」の言葉があるように、少女まさみは見送りながらも、いい子でいようと頑張るのです。頑張って頑張って頑張ったのに、帰って来ない母にどうにか帰って欲しくて、少女は「自分が家出したら、心配して帰ってきてくれるんじゃないか?」と小さな胸で一生懸命考えた結果の家出でした。
同時に、まさみ(男)と姉の若年性認知症で入院している父への想いもここで同時に進行させながら、観客を泣かせます。
二人の兄弟の思い出の品を父に見せたら何かを思い出してくれるのではないか・・。そんな考えから、ダンボールに入った懐かしい姉のセーラー服や、まさみの帽子、風鈴などを手にとり、父が元気だった頃の懐かしい情景を思い出しながら家族とは、兄弟とは、親子とは、を否応がなしに観客に訴えます。
故郷が遠くにあって、一人で東京で頑張っている観客は田舎の両親を想いながら泣けるのです。

大爆笑はないけれど、大阪風の笑いは確実にあって、温かな物語でした。
前半部分の蒲団の中から中々出てこない、不在の主役にちょっと苛々しました。「そこにはまさみ(少女)は居ないんじゃないの!(・・)」なんつって。

もうちょっと笑わせて欲しかったけれど(大阪の劇団と聞くとどうしたって笑いに対する期待は高まるのです)、それでも大阪弁のポンポンと流れる言葉は楽しかったですね。
また東京に来るということなので次回は更に期待大ですわ!


からっぽう(再演)

からっぽう(再演)

弾丸MAMAER

あうるすぽっと(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

妻が遺したノートの意味
心に傷を持ちながらも、その消化を上手く出来ない夫・道喜文生に対し、夫に暴力を振るわれながらもひたむきな愛を生涯に亘って通し続けた道喜佳代子の生涯を綴った作品。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

広島出身の道喜らはピカドンによって両親、友人らを失った精神的外傷が癒されないまま、新地の長屋で夫婦生活を始めることとなった。新婚生活は何もないところから始まったが二人はそれでも幸せな日々を送っていた。
ある日、文生は突然、会社を退職してしまう。その日を境に二人の生活は一変する。放蕩生活に明け暮れ借金までしてしまう文生に対し、佳代子は働きながら夫を支える。それでも改心しない夫と喧嘩をしながらも、佳代子の瞳は夫を見続けていたのだが・・、そのうち文生は近所の女・夏実(ヤクザな夫と死別して一人身)に誘われ不倫してしまう。
夏実は「うちの人(死別した夫)は、たった一言でキレちゃって命を落としたの。こいのぼり(中身がからっぽう)と言われて喧嘩になって命を落としたの。」こう文生に言いながらも淋しさで薬漬けになっていた夏実。
その薬を売っていた「BAR蠍座」のヤクザな男たち。

そんな状況の中、文生は不倫を知った佳代子と再び喧嘩になり、更に知人と些細な事から揉めて、失踪してしまう。

一方でツケが貯まっていた「BAR蠍座」では佳代子の身体で返済してもらうと脅し、いわば強姦のように文生の知人ら3人の男たちに辱められる。
一時は自害しようとした佳代子はそれでも文生をこの地で待つのだった。「貴方が帰って私が居なかったら困るでしょ・」と。(号泣!)

佳代子に特別な感情を抱いていた家主・野津の不気味な仕草やセリフがひじょうに面白い。殆どの笑いは彼が取ってた。美味しい役どころ!(^0^)

やがて、文生は長屋に佳代子が欲しがっていたTVを抱えて帰ってくる。そして佳代子に何かを言いかけて言い出せない。その何かは何か・・?
こうして、一年後道喜家の長男・政彦が生まれるも、佳代子はガンに侵され28歳の若さで逝ってしまう。「ねえ、文生さん。貴方はもう・・、見えない何かに苦しまないで。生まれ変わっても、また一緒になりたい・・。」
残された文生は佳代子の骨をかじりながら号泣する。赤ん坊を抱きながら・・。

この物語は佳代子の遺した一冊のノートによって過去の夫婦の模様が描かれ、それを観た息子・政彦と現在の年老いた文生が佳代子の心を知る、という内容でした。そしてあの当時、佳代子に何かを言いかけて言い出せなかったその何かとは、たった一言「ありがとな」だったのです。

年老いた文生は言います「わしは本物のからっぽうだ!」
そして「政彦、明日、わしと一緒にキャッチボールしてくれんか?今まで何もしてやれんですまんかった。」


涙と笑いに満ち溢れ、久しぶりに号泣した芝居でした。本の作りもひじょうにいい。観客がどんな場面を欲しているか熟知した本でした。そういう意味ではどんな世代にも受け入れられ、しかもベタで解りやすく、簡単に感動出来ます。主役の3人の演技はさることながら、それぞれのキャストの持ち味も効果バツグンでまったく欠点のない公演でした。
素晴らしい!の一言です。

死ぬまでにしておきたいこと

死ぬまでにしておきたいこと

パセリス

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/26 (日)公演終了

満足度★★★

大爆笑はない。
どちらかというと不条理劇。コメディだとばかり思っていたけれどそれほど笑う箇所が無いところを観るとコメディではなかったんだね。

第三話「歴史は繰り返す」の公演がサカモトワカコの降板で中止となりました。小劇団ってこんなふうに俳優のドタキャンが多いけれど、無責任ですね。大人の世界でドタキャンしたら違約金とられますわ!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX



第一話「フィクション」
作家の彼にまとわり付いていた同じく作家の彼女が、彼の作品を盗む。まとわり付いて好き好き光線を送っていたのはこの為だったのだ。彼は別れを告げると彼女は本当のストーカーになる。

第二話「死ぬまでにしておきたいこと」
番組で採用する「星座占い」に「血液型占い」、「あかさたな占い」に「干支占い」は実はいいかげんに決めていると実感したサトミだったが、占い師の壮大な予言が的中しサトミが救世主になるという展開。

第三話「ゴッドブレス」
男性に関して全く考え方の違う2人の女性が4年ぶりに再会する。互いの考え方に影響を受けた2人は、今度は男性に対して真逆の考え方になる。

個人的には「ゴッドブレス」が好み。
三話しかなかったぶん、点数は辛いです。
アルバトロス

アルバトロス

ホチキス

王子小劇場(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/28 (火)公演終了

満足度★★★★

加藤の表情がいい!(^0^)


とにかく楽しめた。この一言。たぶんワタクシの感性に合ってた、ということだと思うが、春日部乙彦と久保田が組んだアルバトロスの漫才も楽しかった。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX


リストラされた乙彦(加藤)はそのことを妻に言えないまま就活をしていたがどこにも採用されない。一方でお笑いコンビ「イーグル」は番組の録画撮りがあったが、突如相方が移籍すると言い出す。困った製作会社は久保田(橋本)の相方を募集してその様子から成功させるまでのサクセスストーリーを撮る事を提案する。番組に穴を空けない為だ。こうして募集したサイトに乙彦が食いつきコンビを組まされることに・・。
乙彦は募集の内容と食い違っていた状況下、一旦は断るがプロデューサー円城寺(小玉)の提示した一週間で50万のギャラにあっさりと頷く。たぶん、ワタクシも頷く!(^0^)

こうしてアルバトロスが結成された訳だが、この二人が息の合うコンビになる為に、とアニメ本を参考にしながら円城寺は二人を教育する。二人は紆余曲折ありながらもどうにか一人前のコンビになっていくが、披露される二人の漫才がおもろい!(^0^)でもって、乙彦の一人漫才もなんだかゆるくて可笑しい!劇中で使用される「ひょっこりひょうたん島」の導入音楽も良かった。

円城寺の恋する乙女の表情には笑えるし、ちぐはぐな勘違い手紙の場面もあり、ひじょうに満足しました。最後、どっきりカメラでの仕掛けもありで、芝居と漫才ショーを融合させたような空気感でした。

やっぱ、ホチキスはいいわ~~(^0^)

溺れる家族

溺れる家族

アロッタファジャイナ

タイニイアリス(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/27 (月)公演終了

満足度★★★★

もうひとつの家族


波島家、望月家、菊見家、長澤家、田所家、村山家、霧島家の7家族が少しずつ関係性を持ちながらも家族とは何か?を描いた作品。
要するにどこの家庭にも人には言えない問題の一つや二つは抱えてるということ。

以下はネタばれBOXにて。。



ネタバレBOX


波島家の主人・和郎(テレビコメンティーター)には昔付き合っていた望月美緒がいた。彼らは愛し合っていたが和郎の勤め先の上司から家沼衆議院の娘・早苗との縁談を持ち込まれる。早苗は同僚の和郎に以前から好意を抱いていて、父親に相談したのだった。和郎はこの縁談を美緒に話してしまい、美緒は和郎の将来を考え身を引くことを決めて、失踪してしまう。
月日は経って和郎は早苗と結婚し長男・和則、長女・和美が生まれる。

一方で失踪した美緒には和郎との子供・美和が生まれるが、美和は父親は自分たちを捨てたと思い込み母親の死後、父親への復讐を誓い、霧島がそれを手伝う。

この二つの家族が軸になって舞台は動くが、一つの疑問が生じる。それは美緒はなぜ、娘の美和に真実を伝えなかったのか?という疑問だ。この真実を美和に教えていたなら美和は自分の人生を復讐に時間を削る必要はなかったはずなのだが・・。

波島家の長男・和則はエリートの家に生まれて何不自由なく暮らしてきた結果、我侭で幼児性が強い性格になってしまっていた。彼の職場(銀行)の上司はかつての和郎の部下だった菊見裕一。そして菊見の恋人が和則と同じフロアの田所利香と知るや、和則は人のおもちゃを欲しがる子供のように利香にちょっかいを出す。
女って強引な男に弱いよね~、なんだかんだいって好き好き光線を持続して浴びせられると大抵の女は落ちる。だから諸君!宝引きは、そうあっさりと手を離してしまわない方が宜しいようです。じっくり粘ったらハズレからアタリに変わることも御座います!(^0^)

して、利香は菊見とも和則のフタマタをかけることに・・。(失笑!)
しかし、その棚から牡丹餅状態は長く続かず和則との関係は菊見の知るところとなる。菊見と利香の結婚で逆切れした和則は利香にカッターをつき付けて菊見を脅すが菊見は和則を説得し、利香の不貞を知っても結婚する、という大人な判断をする。

長澤了祐は鬱で作家希望の引きこもりで妹・志保から暴力を受けていた。了祐の鬱をサポートするのが大学のうつ病患者を支援するサークルの同志・波島和美と村山沙織。しかし、彼女らのサポートの甲斐なく了祐は志保の罵倒に耐えかねて志保を殺してしまう。

ここでの登場人物は心に何らかの闇を持っていて、それはエリートの父親を持ったが上の重いプレッシャーだったり、思い込みによる被害者意識だったり、過剰な自尊心だったり、現状に不満しか見出せない感情だったり、不条理な思いだったり・・。
それらが少しずつ繋がって大きな渦となり、闇はどんどん広がって大きくなってやがて漆黒の夜に飲み込まれる。闇が悪魔だとしたら、悪魔は決して目立たない。悪魔でございという顔もしていない。いつの間にか百年の知己のような顔をして静かに隣を歩いているのだ。
そうして彼らが気が付いた時には悪魔に半分の魂を取られてるかもしれない。残りの半分の魂が健全ならば、美和のように真実を知った後、復讐という呪縛から解き放たれて、自分に戻ることができる。
家族とは良い事も悪い事も含めて共感して生きていくものだ。そうやって、偽りの家族から本当の家族になれるのだから・・。

和則(太田)と利香(青木)の絡みは面白かった!
松枝の本は比喩のセンスが絶妙で好きだ。

しかし・・アフタートーク(斉藤先生)では政治がらみの話が多く、いつもの精神論は聞けなかったのが難点。
ナカヤマミチコが頑張ってました。客入りから終演後の「すなっくミチコ」でも。彼女の手作りの肉じゃが・パスタなどが有料で販売されます。価格表が欲しかったかも。トークと同時に作り出すので、トークに集中できない。どちらか一つで良かったような気がする。

『ダンパチ7』/『みてあげる~お花畑病院奮戦記~』

『ダンパチ7』/『みてあげる~お花畑病院奮戦記~』

ショーGEKI

「劇」小劇場(東京都)

2009/07/17 (金) ~ 2009/07/26 (日)公演終了

満足度★★★

『みてあげる~お花畑病院奮戦記~』を観た
噂では女を捨てちゃって、すんごく面白い!ってことだったけれど、そうでもなかった。普通。
もしかしたら、『ダンパチ7』の方が面白いのか?

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

「お花畑病院」での奮闘記。
院長の大山花子先生の下に訪れる普通じゃない患者たちの診療の様子を描いたコメディが物語の筋だが、とにかく笑いの感性が古い。だからはっきりいって大爆笑はないけれど、ふふふっ!くらいの中途半端な笑いなら聞こえる。
どんなお笑いか?というと、ひとむかし前のドリフターズ的なお笑いだから、若い人には当然の事ながらあまりウケナイ。若くなくてもあまりウケナイ。壮年期には少しウケルかも。しかし、壮年期にもあまりウケテなかった。

観客の笑いを誘う本って本当に難しいよね。今回は脚本どおりのセリフより、役者がトチッタセリフに観客は反応していた。
「ソコ、ソコなんだよね~、笑いの感性は!」なんつってひとりごちながら、患者のまのつぼみの不眠症についてのなんちゃらかんちゃらのご立派な説明や、夫婦の磁派の関連性やサボテン男、臭い女など、ばかばかしい病気の様子を眺めていました。

まあ、そこそこ楽しめる舞台です。
もうちょっとひねりがあったらもっと楽しめたけれど・・・。
関係者がドア側に座って「笑い桜」をやってた。桜なのか、本当に笑いたかったのかは明白ではないけれど、異様な笑い声にワタクシ、完璧にひきました。ひきマクって、たぶん精神がドアの外まで出たと思う。


SHURABA

SHURABA

劇団たいしゅう小説家

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2009/07/18 (土) ~ 2009/07/26 (日)公演終了

満足度★★★

安心して観られる
とても解りやすいベタなお芝居でした。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

社長の由佳が124億の遺産を残してある日急死してしまう。由佳は顧問弁護士だった落合に遺言を託し、山荘に由佳と関係のあった世代の違う6人の男たちの面々が集まる。由佳の遺言は金庫を時間内に探し当て、キーワードを入力すると彼らに遺産相続の権利があるという。遺産相続と聞いて男たちは醜いバトルを始める。

そのキーワードを解きながらかつての由佳の愛人だった4人の男や由佳の過去を夫の雄一が知らされる結果になり、由佳を愛していた雄一は絶望してしまう。

しかし、由佳の死因が愛人の策略だったり、他の愛人達が由佳の金目当てだったりと、由佳に群がる人たちの嫌らしさが明らかにされていく。見栄と欲望が渦巻き本音が爆発する男たち。由佳のポストを狙う女性社員。そんななか、雄一だけは由佳の死を悲しむ。

舞台は由佳の少女時代と死ぬ前の由佳をリンクさせながら物語りは進んでいく。そうして雄一の知らない由佳の悲しい過去が浮かび上がってくる。

遺言と見せかけながら、刑事が由佳殺しに関わった犯人を捜す為に弁護士になりきっていたさまや、由佳の過去の出来事をネタに愛人に脅されていた事実などが解き明かされていく。やがて・・・由佳が心の底から本当に愛していたのは雄一だけだった事が解り雄一は今更ながら、由佳の死を悲しむのだった。

北條さんと須田さんのダンスは本当に美しかった。元全日本ラテンチャンピオンペアだけあって魅せられました。
物語はちょっぴり笑いも散りばめながらも特に斬新さはなく、まあ、安心して観られる舞台でした。




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